すごいよ!!長門さん   作:メルセンヌ

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あだ名をつけられ意気消沈する吹雪と
センスがいいとほめられキラキラ付きの長門。
そんな二人に迫る魔の手とは!!


第1章 長門とトレンディ・ガールズその2

「フ~~ミィ~~~~ン!!」

 

あぁ・・・私の友達100人計画はここで終わってしまいそうです・・・

誰か助けて・・・タスケテ・・・タスケテ・・・ボスケ

 

「ずいぶん・・・楽しそうねぇ。お久しぶり、姉さん」

 

「フン、もう来ないのかと思ったぞ、長門」

 

 

あ、あれは・・・!

変なあだ名をつけられた私に救いの女神が!

と思ったのですがなにやら様子が変です。

 

 

一人は長門さんと似たような服装をしてます。

姉さんと呼んでましたし、もしかして姉妹艦では。

 

 

もう一人の方は浅黒い肌に知的な眼鏡、

背中に背負った馬鹿でかい艦装。

そしてなによりもだれも大きいお胸。

それを無造作にサラシで巻いているだけ。

ま、まさか・・・こちらの方は・・・あの大和型戦艦二番艦の・・・

 

 

戦艦が3人、私は駆逐艦。

戦力に差がありすぎます。そしてお二人とも長門さんのお知り合いの御様子。

それでは私はこれで・・・

 

 

 

とこっそり逃げかけた私の首根っこを掴みながら長門さんはとてもいい笑顔で言いました。

 

「やあ!誰かと思えば・・・

 ハンペンと干しシイタケじゃないか!!」

 

「え・・・?陸奥さんと武蔵さんではないんですか・・・」

 

「あぁ・・・彼女らは戦艦部だった頃のの同輩だよ!

 才能はあったのに後で建造されたばかりの私に演習でボコボコにされてね・・・

 今じゃ戦艦部もやめて不良艦隊進軍中のオフタリサンさ!」

 

(戦艦部って何ですか?)

 

「それをいつまでも根に持ってね・・・しつこく突っかかってくるんだよ・・・」

 

(戦艦部って何ですか?不良艦隊進軍中ってどういう意味ですか?)

私の疑問はスルーされそうです。

 

 

「ぐ・・・姉さん、相変わらずね・・・それに私の名前は陸奥よ!

 そんなおいしそうな名前じゃないわ!姉妹艦ぐらい名前で呼びなさいよ!」

 

「その通り!私の名前は武蔵だ!

 演習で遅れを取ったのは・・・その・・・たまたまだ!」

 

(陸奥さん、武蔵さん・・・どっちがどっちのあだ名なんだろう・・・

 武蔵さんが色黒だから干しシイタケかな・・・

 あぁ、でもそう考えると私のあだ名ってまだマシなほうなのかな・・・

 あは・・・あははは・・・)

 

「心配するな、フーミン。セクシーコマンドーは無敵だ」

 

一切心配はしてませんが、現実逃避したい私を長門さんは許してくれなさそうです。

 

「何をいっているのかしら、姉さん。

 約束通り私達が勝ったらその屈辱的なあだ名は撤回してもらうわよ!」

 

「いいだろう、セクシーコマンドーの恐ろしさ・・・

 思い知らせてやる!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「セクシーコマンドーはかつて深海凄艦の大進行時代に苦しい生活を強いられた海軍が編み出した・・・

 

「く・・・口で思い知らせているー!?」

 

 

 

「ふざけるな!長門ーーー!!!」

 

ガツ!っと武蔵さんのパンチが思いっきり長門さんの顔面に炸裂しました。

ていうか武蔵さん、躊躇なく顔面に行きましたね。

一応私達は女の子なので顔はちょっと引きます・・・

 

「フッ・・・ゲフゥ・・・フフフ・・・

 やるじゃないか、干しシイタケ・・・」

 

(あっ、やっぱり武蔵さんが干しシイタケなんだ)

 

「貴様のパンチを喰らって倒れなかったのは・・・

 この私が初めてだ・・・」

 

(え?)

(え?)

(え?)

 

口には出しませんでしたが、陸奥さんと武蔵さんとシンクロした気がしました。

 

 

「遊びは終わりだ。そろそろ本気でいかせてもらうぞ・・・

 ハアアアアア・・・・・」

(カチャカチャ、ゴソゴソ)

 

「何をやっているの!?姉さん!!なぜスカートを膝まで下ろして!?

「くっ!?とても女性のやっていい格好ではないぞ!血迷ったか!?長門!」

 

(こ、この非常時に何をやっているのですか!?長門さん!!)

 

「どうした?貴様ら?怖気づいたのか?」

 

セリフだけはかっこいいですが、スカートを膝まで下ろしてパンツ丸見えの状態では台無しです・・・

(お尻にあひるさんがプリントされたとてもかわいらしいパンツでした)

 

「くっ!?姉だからといってなめているのかしら!?」

 

陸奥さんがパンチで殴りかかりました!危ないです!

 

 

ところがそのパンチが当たる前に

「とぉ!!」

という掛け声とともに長門さんが飛びました。

 

いやほんとに飛びました。

あんな格好してるのにポーズまで決めて。

 

カッ!

という擬音がつきそうなほど目を見開いた長門さん。

陸奥さんと武蔵さんは予想外の動きに翻弄され隙だらけです。

 

今です!長門さん!!

 

 

「ぬあああああああああああああああ!!!!!!!!!」(だばだばだば)

 

 

「な、何やってるんですかー!!」

 

スカートを足首まで下ろし、ピョコピョコと走る・・・いや歩いている長門さん

気のせいかひよこの幻影まで見えるようです。

 

「な、なにやってるのー姉さんー!」

「き、気色わるいぞ!」

 

「今だっ!必殺・・・

 ホット・バスト・アタック!!!」

 

長門さんのパンチが一閃!

(バストって言ってましたが)

 

ガゴオと音とともに、陸奥さんと武蔵さんがきりもみ回転で宙を舞っています。

 

そして、妙に長く感じられた滞空時間ですが、

ドシャア!と音とともに二人が地面に落ちてきました。

 

「これが、セクシーコマンドーだ!!」

 

「あ・・あの戦艦二人を一撃で・・・すごいパンチだ・・・!!!」

(ホット・バスト・アタック?)

 

「フフフ・・・青いなフーミン・・・あのパンチは只のパンチ・・・

 セクシーコマンドーの極意は攻撃にあらず!」

 

カチャカチャとスカートを直しながら長門さんが教えてくれました。

 

「え・・?それじゃあ・・・」

 

「スカートを脱いでヒヨコ走りをしてただろ?

 あれがセクシーコマンドーさ!」

 

「エェー!?」(ガビーン)

「そ・・・そんな、だってあんなの全然格闘技と関係ないじゃないですかー」

 

「フフ・・・それがあるのさ!まあ、やってみた方がはやいだろう」

 

は?やってみるってどういうことでしょう?

まさか私もあの二人のようにきりもみ回転しながら宙を舞うハメになるのでは・・・

 

「な、長門さん・・・やっぱやめ・・・「なぁに!カンタンカンタン!」

「私がこれからこの鋼材を投げるから、フーミンはそれはキャッチするだけだ」

 

「え・・?それだけ?あと何で鋼材なんか持ち歩いてるんですか?」(あやしい)

 

「ああ・・それだけだ。そのかわり、絶対キャッチするんだぞ」

 

キメ顔で説明してくれる長門さんですが、私の疑問には答えてくれないようです。

 

と思うといきなり後ろを向いた長門さん、何をしているのでしょうか。

 

「さて・・・駆逐艦相手であれば主砲を撃つまでもないか・・・副砲で十分粉みじんになるか・・・」

 

「何を言ってるのー!?このヒトおおおおおお」

 

粉みじんとか冗談じゃありません、小さい声ですが十分聞こえます!

まさかきりもみ回転の方がまだマシだったとか・・・

 

ごぉぉぉーーん!!!!

と私の頭に鋼材の塊がヒットしました。地味に痛いです。

早く逃げなきゃと考えていたため私の反応も遅れてしまったようです。

 

「どうだ・・・フーミンは今投げられるのが分かっていたのに取れなかった。

 それはフーミンが油断していたからだ」

 

うぅ・・・痛い・・・何か説明してくれているようですけど、

私は頭を抑えてうずくまったまま涙目のまま動けません。

そりゃ戦艦にとっては鋼材はペットボトル程度かもしれませんが、駆逐艦には結構重いんですよ。

 

「そう・・・どんなに強い奴でもこっちが油断させてしまえば簡単に倒せるということだ

 普通の格闘技におけるフェイント等の技術を技として極めた格闘技・・・

 それがセクシーコマンドーなのだ!」

 

「あ・・・はい・・・」

 

「油断大敵!弘法も筆の誤り!ヒゲ長き駆逐艦に勝る者なし!ってことだな!」

 

だな!言われても・・・

でもこれは確かにすごい格闘技なのかもしれません!

現に戦艦二人を一撃で大破させてしまったのですから。

 

すごい!すごいよ!長門さん!!

 

「ふぅ・・・」

長門さんが一仕事終えたようなため息とともに立ち上がります。

何をやっていたのでしょうか?

 

疑問に思ってそちらに目をやると・・・

気絶してる陸奥さんの顔にヒゲがー!!

しかもご丁寧に鼻の下からアゴヒゲまできっちり書き込んでます。

 

 

「フゥー!いいヒゲかいた!」

 

(な、何てヒトだ。姉妹艦だろうがお構いなし!!)

 

 

 

 

 

この時初めて・・・フーミンは長門の恐ろしさを知ったのだった・・・

 

 

 


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