初風と提督のとある休日のやり取りです。

いろいろと色眼鏡で見られている初風の魅力を少しでも感じていただければ幸いです。

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ちょっと書きたくなったので書いてみました。

ツチノコと言われたり、妙高姉さんが怖いとネタにされたり、十七駆のなかで一人だけ絵師違いでハブられたりする初風ですが、陽炎型の中では一番のお気に入りです。

そんな世間の色眼鏡から離れて初風の魅力を表現できたらなぁと思って書いた短編です。



※海防艦の方とは設定、世界観が異なってます。


初風とある休日

「で、いきなりどうしたのよ、バカ提督。」

 

午前九時をすこし過ぎたあたり、執務室で執務をする俺の前に彼女は立っていた。

 

数週間急激に増えた深海棲艦の攻勢も落ち着き、働きづめだった艦娘たちは各自交代で休暇に入っていた。

 

俺の前に立つ、彼女、初風も秘書官業務が落ち着き今日から休暇に入る予定だ。

 

急に呼びつけられた彼女は不機嫌そうに見えた。

 

「あぁ、確かに休暇だっていうのに呼んだのは悪いけど、いきなりバカ提督呼びはひどくないか?」

 

「バカ提督よ。どうせまた何かミスでもやらかしたんでしょ?せっかくの休みなのに秘書艦を呼びつけて、いいご身分ね。」

 

そういいながらあきれた顔をして腕を組む初風。

 

当たっているのでぐうの音も出ない。

 

「それにどうせ燃料の発注量を間違えたんでしょう?それで哨戒スケジュールの変更をしたいから補給量の調整をしたいとかで。」

 

ぴしゃりと呼んだ理由を言い当てられた。どうしてわかったんだ?

 

締め切りの前日、うっかり発注の書類作成を忘れていた俺は誤って資源の申請量を過少にしてしまった。いつもは申請前に秘書官の初風に確認を取ってもらうのだが、急いでたためそれを省略し、大本営へ補給の申請をしたのだ。

一度送ってしまった申請はほかの鎮守府との補給の兼ね合いもあり、減らすことはできても増やすことはできない。

そのため俺は、次の補給まで何とか燃料を持たせるように、艦娘の哨戒スケジュールを変更していたのだった。

 

「ほら、やっぱり。」

 

動揺した俺の顔を見て、初風はにやりと笑った。

 

「どうしてわかったんだ?」

 

「それくらい表情を見てたらわかるわよ。特に提督はわかりやすいし。それにいつも見ているし......、ね。」

 

表情から普通そこまで読めるのだろうか?やっぱり初期艦で秘書艦を長く務めてくるとその境地へ達するのだろうか。

 

そう思うとなぜか初風が不満そうな顔をしていた。何か気に入らないのだろうか?表情から読み取ろうとするがわからない。俺には初風のいる境地にはたどり着けていないようだ。

 

あきらめて聞いてみるが「それくらい察しなさいよ。」とのことだった。さっきより少し小さな声だった。

 

やっぱり表情から思考が読めるの好ましくないということだろうか?状況によっては士気にも関わる事態もありうるだろうし。

 

そう反省していると初風が執務机に身を乗り出し、手元の編成表を覗き込んできた。頭と頭がくっつきそうな距離だ。

 

「で、どこを変更しようと思っているの?見せてみなさい。さっさと終わらせるわよ。

 

「いや、ちょっと聞きたいだけでそこまで手伝ってもらわなくてもいいんだぞ。」

 

椅子を引いて覗き込む初風から離れる。久しぶりの、せっかくの非番に仕事をさせるわけにはいかない。

 

初風は隠されたことに不満なのかむすっとした顔をした。

 

「提督だけで調整なんてどれだけ時間がかかるって思ってるのよ。提督だって明日からは休みでしょ?しかたないし手伝ってあげるわよ。」

 

正直、これに気づいた時点で今回の休みは諦めていた。確かに初風に協力を仰げば早く終わるのはわかっているのだが、普段、出撃に加え、事務作業でも頼りきりなのに休暇中にまで仕事を任せるのは申し訳ない。

 

「普段でも迷惑かけているんだ、休みの日まで初風を仕事をさせるわけにはいかないよ。」

 

そう言って書類を立てて初風に見えないようにする。

 

「いいから見せなさい!」

 

初風が俺の後ろに回り書類を見ようとする。

 

「いいって。」

 

「こういう時こそ人を頼りなさいよ。あなたはこの艦隊の司令で、部下の生死を左右するの!こうやって休日を削っていった結果、疲労困憊になって判断ミスをして私やほかの子を沈めたりしたらどうするのよ?!」

 

「大丈夫だよ、頃合いを見つけてきちんと休むし、それに初風にはいつも迷惑かけてるし休むべきだよ。手伝いならほかの子にお願いするから。」

 

「そう言っていっつも一人で仕事を抱え込んで徹夜しているのはわかってるのよ。」

 

うぐっ。隠していたつもりなのだがバレていたのか。

 

「で、でも今日は雪風たちと出かけるって約束したんだろ?違う基地でなかなか予定が合わないんだし、今日は仕事をさせるわけにはいかない。」

 

「もー、うだうだ言わないで人の厚意には素直に従いなさいよ!!」

 

「いや、でも…。」

 

「いいから、任せなさい!私が付き合ってあげるって言ってるの!」

 

初風は有無を言わせない勢いでさっきまで書いていた編成表を奪い取る。」

 

ここまで強く言われると断わるのも申し訳ない。

 

「すまない、お願いするよ。雪風たちには俺の方からも申し訳ないと伝えてほしい。」

 

そう言って俺は初風に頭を下げた。

 

「次の休みは雪風たちと合わせるから。向こうの提督にもなんとか聞いてもらえるようにお願いするから。」

 

「ちょっ、ちょっと。そこまでしなくてもいいわよ。私のわがままでキャンセルするわけだし。」

 

「でもこちらの都合で予定をつぶしてしまったわけだし…」

 

「ほら、いつまでもこんなやり取りしてたらいつまでたっても終わらないわよ、さっさと仕事するっ。」

 

そういうと初風は執務机から離れ、自分の椅子を取りに秘書艦席に行った。

 

「しかし、せっかくの休みをつぶしてしまったわけだし、なにかして欲しいこととか欲しいものは無いかい?できる限り答えるよ。」

 

「そうねぇ。」

 

そういうと初風は顎に手をあてて考えた。

 

「そうね、ごはん、ごちそうして。食堂なんかじゃダメよ?あ、言っておくけど”二人だけ”よ、雪たちはいいから。その分の予算でもっといいお店に連れて行きなさい。」

 

二人だけというのが良く分からないが初風がそう望むならそうしよう。

 

「あぁ、わかった。いい店を知っている。」

 

ちょうどこの間教えてもらった店がある。きっとそこなら初風も気に入るはずだ。

 

「そう?なら期待させてもらうわね。」

 

そういうと何故か初風は機嫌よさそうに私服のポケットから携帯を取り出し、雪風たちに断りの電話を入れた。

 


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