【凍結】 Fantasy Story Online 作:竜人機
< 初めての狩りへ >
まずは魔法を使ってみたいと、訓練所内は魔法の訓練をするための場所へと来たアオは、さてどうしたら良いのかと辺りを見回した。
魔法の訓練をするその場所は学校のグラウンドのように広く、天井も高い。鎧を着た幾つかの
ひとまず案山子の近くまで行くと、アオはコール宣言と共に中指と親指を1回叩き合わせて「メニューウィンドウ」を開いて、ステータスを表示して使える魔法は何かアビリティの「雷魔法」に触れる。
指が触れた瞬間、別のウィンドウが開いて「雷魔法」について表示された。
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
▽雷魔法
雷属性の魔法が使えるようになる。
・エレクトロショッカー
雷魔法の初期スキル。電撃弾を撃ち出し、30%の確率で対象に麻痺効果を与える。
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
「使い方については説明なし、か。
…… ターゲティングして、叫べば良いのか? 」
しばしウィンドウとにらめっこした後、手を振って「メニューウィンドウ」を消すと目の前の案山子へ向き直るアオ。
「……… 」
案山子へ向けて手をかざし、狙いを定める。
「エ、エレクトロ、ショ、ショッカァッ! 」
少しばかり羞恥にどもりつつ叫べば、かざした
案山子は電撃弾の直撃に揺らぎ、しばしパチバチと帯電していた。
どうやら危惧していた叫んだのに何も起こりませんでした、という間抜けなことにはならなかったようだ。アオは「はぁ…… 」と息を吐くと気を取り直してどれくらいMPを消費したのか自分のステータスを確認してみる。
しかしMPは減っていなかった。
何故だと疑問に思うアオだが、すぐに訓練所内だからMPを消費しないで魔法やスキルが使えるのではと思い至る。
そうでなければ篭ってLv上げなど出来ないだろうと一人納得し、「雷魔法」のLv上げのためドンドンやっていこうと、再び案山子へ向けて手をかざすアオ。叫ぶのはちょっと恥ずかしいとは思いつつ。
×+×+×+×+
「エレクトロショッカー」
小声で呟くと共に案山子を指差した人差し指の先から野球ボール大の電撃弾が撃ちだされ、案山子に数十回目の直撃を与える。
何十回とやっている内にコツのような物を掴んだというか、なんのことはない、叫ぶ必要はなかったのだ。
ターゲティングして使う魔法の宣言をすれば良いだけだった。
十数回目には魔法が使えるテンションで羞恥を忘れ、ちょっとばかりカッコ付けてそれらしい呪文を唱えて叫んで撃ってみたりとかしたのは、アオにとってココだけの秘密だが。
<雷魔法 1LvUp! >
ポーンという電子音と共に「雷魔法」のLvが上がったことを知らせるアナウンスが流れ、祝福のメロディが流れた。
これで「雷魔法」のLvが上がってLv2になったなと、ステータスを確認したらMPも最大値が16Upし、56から72になっていた。
「Lvが上がったし、次は銃術のLv上げに行こうか」
そう独り語ちたアオは魔法の訓練所を後にして「銃術」のための訓練所へ向かう。
もう1Lv上げたいところだが、アオの種族「神造人間」はHPMP微回復効果を持つ引き換えに、アビリティのLvUpに必要な熟練度が3倍という特性を持っている。訓練所で30分ほどやりこめばLv3まで上がると言う話が事実なら、「神造人間」のアオでは30分訓練しても1Lv上げるのがやっとと言うことになる。
実際「雷魔法」のLvを1Lv上げるのに30分強、40分近く掛かっていた。
これは近い内にまた訓練所に篭ってLvを上げられるだけ上げた方が良いかな、と思うアオだった。
そんなことを考えつつ「銃術」の訓練所、射撃場へ着いたアオは早速、腰のホルスターから魔導銃を抜き出して的に向かって構えた。
まずは試しと片手で構えると、引き金を引いた。
キユウンッ!
と甲高い金属音のような音が響き、少なくない反動と共に
そしてビームは的を外れ、物の見事に明後日の方向へ飛んで行った。
「撃った反動があるなんて随分リアルだな。
ビームなのに大きな反動があるのはどうかと思うが」
などと言いつつ今度は確りと両手で魔導銃を持って狙い撃つ。
キユウンッ!
的を掠めるビーム弾。
そう簡単に直撃命中とはいかないかとアオ。気を取り直して狙い定め、引き金を引く。
キユウンッ、キユウンッ、キユウンッ!
撃つ撃つ撃つ、的目掛けて無心に撃ち続ける。
<銃術 1LvUp! >
ポーンという電子音にアナウンス、次いで祝福のメロディが流れて「銃術」のLvが上がったことが知らされる。
ステータスを確認すればHPの最大値も8Upしていた。
LvUpに掛かった時間は30分と少し、待ち合わせに決めた時間まであと20分ほどだった。
この残り時間では「体術」のLvUpは望めそうにないかなと思いつつ、この後は狩りに行くのだし、それで上がれば良いかとアオ。
兎に角残り時間を「体術」につぎ込もうと「体術」の訓練所へ足早に向かう。
辿り着いた「体術」のための訓練所には数体の案山子、ではなく木人形が並んでいた。
時間が惜しいというようにアオはすぐに木人形へ近づくと一足踏み込んで――
「シッ」
―― 中段突き打ち込み、次いで木人形の頭目掛けて飛び膝蹴りを叩き込む。
そして正拳突きの連打に下段蹴り(ローキック)、上段蹴り(ハイキック)と次々に黙々と打ち込んでいった。
×+×+×+×+
「全部で450Gになるよ」
若い女性の道具屋店員がカウンターに置いた品、初級ポーション3つに「神造人間」専用の食品であるエネルコア結晶10個の金額を告げる。
ここはNPC店の道具屋「小うさぎ亭」。狩りへ行く前に準備をということで冒険者ギルドの訓練所を出てPT、パーティーを組むと、アオとフローレルメヌテイアはこの道具屋へ足を運び、初級ポーションと「空腹」対策の食品を購入することに。
ちなみに初期所持金は1,000G。
450Gを払い、初級ポーションとエネルコア結晶をアイテムボックスへ。
「さて、これで一応準備万端。一狩り行きましょうか♪ 」
「ああ、楽しみだ」
道具屋を後にして向かうは西門を出た先にある低Lv・PT向けのフィールド「狩人の草原」。
「結構人がいるな」
「正式サービススタートに加えてゴールデンウィークだからねー」
たははーと苦笑いのフローレルメヌテイア。
西門を抜けることで目の前に広がった草原では、狩をする他のプレイヤーたちで街中同様に賑わっていた。
「仕方ないね。人ごみを避けてフィールドの隅の方でやろうか? 効率は悪いけど」
「そうだな。それしかないだろうな、この様子じゃ」
と辺りの賑わいに苦笑を浮べて肩を竦め、フローレルメヌテイアの案を承諾するアオ。
「「索敵」を持ってるから獲物を探すのは任せてくれないか」
「りょーかい。アオさんにお任せします」
門から離れ、フィールドの隅へと移動し、さて「索敵」のアビリティはどう使うのかと、魔法を使うみたいに宣言して使うのかと一瞬悩んだアオだが、すぐに何かを感じ取れるようになる。
どうやら使うと意識するだけで良いらしい。魔法もそうだったら良かったのになと思いつつ、感じ取ったものに意識を向ける。
すぐそばに温かなモノ。心強さを感じるそれは恐らくパーティーメンバーを示す気配で、フローレルメヌテイアを示しているのだろう。
また、他のプレイヤーたちは生温かい感じの気配で示していた。
最後に冷たい気配が自分たちから離れた位置に点在していた。この冷たい気配こそ、お目当てのモンスターを示す物で間違いないだろう。
「こっちだ」
モンスターを示す気配の中から今自分たちに一番近い物を探し、その方向へ向かう。
目視できるところまで近いづいて立ち止まるアオとフローレルメヌテイア。
見つけたモンスターは3匹。額に角の生えたもっふりとした兎でなんというか、その愛らしさで狩る気が失せそうになる。
「あれは角うさぎだね。2、3匹で行動するノンアクティブのモンスターだよ」
見た目に反して凶暴だから気を付けてとフローレルメヌテイア。
「銃で釣って、後は臨機応変って感じで良いか? 」
「お~K。遠慮せずにばきゅんっとやっちゃって♪ 」
腰のホルスターから魔導銃を抜いて両手で構え、「鷹の目」を意識して発動させるアオ。遠くの物がはっきりと見えるようになったクリアな視界、遠視に感嘆しつつ、角うさぎを確りと狙う。
キユウンッ!
きゅっ!?
撃ち出されるビーム弾は狙い違わずに角うさぎへ命中。
外れるのではないか、避けられるのではないかと考えていて内心不安だったアオはほっとした。
攻撃を受けて怒り、こちらに向かってくる角うさぎ3匹を前にステータスを確認するアオ。知りたいのは魔導銃の消費MP。MPは52/72で20消費していた。これでは後二回しか撃てない。
残念ながら魔導銃に「魔力運用」の効果はないようだった。
『さあ来い! こっちだっ!』
そうこうしてる内に盾を構えたフローレルメヌテイアが勇ましい「挑発」で角うさぎを惹き付ける。
アオは気を取り直すと魔導銃をホルスターに戻し、拳を握って構えた。
フローレルメヌテイアの「挑発」からこぼれた一匹の角うさぎが突進して来くる。きゅ~と愛らしい鳴き声を上げながら。
力が抜けそうになるのを堪えてアオはその突進を躱し、手刀で角うさぎを叩き落とす。追い討ちに拳を打ち落とし、すぐに間合いを取ると油断なく構える。
きゅ、きゅ~ぅ、と怒りの鳴き声? を上げて愛らしい瞳で睨んでくる角うさぎ。なんともやりにくいなと思いながらアオはローキックを放つが、これは跳んで躱されて――
「ぐっ!? 」
――角突きでの攻撃を受けてしまい、HPを二割り持っていかれる。
ダメージ効果の赤いフラッシュに衝撃と小さな痛みに軽く怯むアオだが、すぐに持ち直して反撃の突き蹴りを打ち込む。それは丁度体当たりを仕掛けようとした角うさぎへカウンターとなり、角うさぎのHPバーを大きく削る。
この機を逃さずというように角うさぎに拳を、蹴りをと叩き付けていく。角うさぎが反撃に体当たりや角突きを仕掛けてくるが、単調な動き故に一度見たらもう喰らうことはないとカウンターさえ狙って打ち落とすアオ。
きゅ~!
3度目となるカウンターの正拳突きを受けて角うさぎがポリゴンとなって砕け散った。
「よしっ! 」
一息つく間もなくアオは二匹を相手取ってくれているフローレルメヌテイアの加勢へ。
×+×+×+×+
「はぁあッ! 」
「セッ! 」
花のつぼみを頭にした棒人間のような姿の植物のモンスター、マッドプラントたちがアオとフローレルメヌテイアのそれぞれの一撃を受けてポリゴンとなって砕け散る。
狩りを始めてかれこれ1時間あまり、フィールドの隅ゆえにモンスターの湧きはいまひとつながらふたりの狩りは順調に進んでいた。
アオの魔導銃での釣りはたった3回でMP切れして回復まで使えなくなったりしていたが、代わりに戦いの主軸たる「体術」の方は1LvUpしてLv2に、HPが13Upしていた。
また、戦闘にも慣れてきた頃には狩りの合間にアオの「錬金術」のために採集もしていた。
今のところ取れたのは採れた物は薬草に毒消し草と毒草。そしてただの石ころと石ころ「?」。「?」表記のある石ころは多分「鑑定」が必要なのだろう。
「んよし、キリが良いし休憩しよっか」
満腹度も心許なくなってきたし、とフローレルメヌテイア。
満腹度とは、人の満腹感や空腹感をゲージ等で再現したシステムで、物を食べずにいると数値は減って行き、空腹状態や飢餓状態になると
なお、VRでは空腹状態のDebuffを倦怠感に襲われるなど思うように身体を動せなくなくなることで再現している。
「了解。
ここじゃ、湧くだろうから門の近くに行こうか」
「うん」
そうして移動したふたりは「狩人の草原」を見渡す西門近くに生える木々の木陰で休憩をとることにした。
フローレルメヌテイアは道具屋で買ったパン二つを、アオはエネルコア結晶を口にする。
もぐもぐとパンを食べるフローレルメヌテイア。
「美味いか、それ」
「うん、微妙」
たはー、と苦笑いを浮べてフローレルメヌテイアは15Gの一番安い食品だからねー、と愚痴る。
「食材集めて料理作るまでの辛抱だね」
「テイアは「調理」のアビリティ取ってるのか? 」
「そ、VRで美味しい物を美味しく食べられる以上は持っとかないとね。VRでならいくら食べても太らないし。
アオさんは「錬金術」アビ取ってるみたいだけど、やっぱり食のため? 」
「ああ、
アオがエネルコア結晶を口元に持っていくと、結晶はパリンと砕けて粒子となり、スーと吸収されていく。
「
「…… ソーダ味のアイスかシャーベットみたいな味だ。シャリシャリしたのど越しだな」
「結構おいしそうだね。「錬金術」がないとそれだけしか食べられないのはなんだけど」
「確かにな」
アオはLv上げだけでなく、食にも難儀な「神造人間」に苦笑を浮べた。
To Be Continued
アオ
HP89/89:↑21Up MP72/72:↑16Up AP6:↑6PUp
銃術Lv2:↑1LvUp 体術Lv2:↑1LvUp 魔力運用Lv1 鷹の目Lv1 雷魔法Lv2:↑1LvUp 索敵Lv1 錬金術Lv1