【凍結】 Fantasy Story Online   作:竜人機

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第3話

 

 

 <生産>

 

 

 

 

「暗くなってきたし、そろそろ街に引き上げよう」

 

 夕日が沈み、茜色から薄暗くなってきた空夜を見上げてアオへそう告げるフローレルメヌテイア。

 

「確か、夜は強いモンスターが出るんだったか? 」

 

「そそ、昼間とガラッとモンスターの種類が変わって視界も悪くなるし、今のLvと装備じゃとても相手に出来ないようなのが出てくるから早く街に戻ろう」

 

 SFOには昼夜の概念があり、朝は6時間、夜は2時間の一日8時間。そしてゲーム内は時間圧縮率二倍となっている。

 これはVRの安全上の取り決めでプレイ時間は連続8時間となっているためだろう。

 8時間近くプレイしたら1時間以上の休息が必要とし、連続プレイ時間が8時間を越えるとVRマシンのシステムにより強制ログアウト+ペナルティが発生する。

 ペナルティの内容は24時間のアクセスの禁止だ。

 

 閑話休題(ともあれ)

 

 アオとフローレルメヌテイアは闇夜の差し迫った「狩人の草原」を背に、始まりの街「ファストーラ」へ戻るのだった。

 

 

 

 街に戻ってきたふたりは、まずは採集やドロップで得たアイテムの整理に取り掛かった。

 

 2時間ほどの成果は以下の通り。

 

 採集で得た薬草が21個に毒消し草が10個、毒草が4個で石ころが37個に石ころ「?」が19個。

 モンスターを狩って得たドロップは、角うさぎの角が20個、角うさぎの毛皮が23個、角うさぎの肉が27個、マッドプラントの葉が20個、マッドプラントの蔓が17個、マッドプラントのつぼみが15個だ

 

 「調理」食材の角うさぎの肉とマッドプラントの葉、「錬金術」素材の薬草と毒消し草と毒草とマッドプラントのつぼみは手元に残すことにして、角うさぎの角、角うさぎの毛皮、マッドプラントの蔓、石ころ、石ころ「?」は露店、プレイヤー店舗で売って心許ない資金の足しにすることに。

 

「今更なんだが、石ころなんて売れるのか? 」

 

「売れる売れる♪ 1個10G程度だけどね」

 

 石ころが何百個と必要になるクエとかがあったり、「石工」ていうアビで加工したりとか、そこそこ有用なんだよとフローレルメヌテイア。

 

「ふむ、アイテムの整理は終ったが、どこで売る? 」

 

 プレイヤー店舗の露店はかなりの数が開かれている。その中から腕が良く、人当たりの良い生産者の優良店、とまでは言わずとも出来るだけ良い店に売りたいと思うのは誰しも同じだろう。 

 

「それなら当てがあるから大丈夫」

 

 そう言って笑顔を浮べたフローレルメヌテイアは売るアイテムを預かり、ついて来てとアオを先導する。

 

 着いたのは世界樹広場の隅、復活ポイントを見据えるところにある露店だった。

 

「アスくん、おひさしぶりー。お店は繁盛してる?」

 

「おう、テイアか。ボチボチだーな」

 

 アスロウ、とフローレルメヌテイアに呼ばれた少年が親父口調で応えた。

 

「紹介するね。この子はドワーフの生産者でアスロウくん、わたしと同じβテスターで、その頃からのフレンドだよ。

 彼はアオさん、わたしのリア友で、今回一緒にFSOで遊ぶことになったんだ♪ 」

 

 嬉しそうに双方を紹介するフローレルメヌテイアに「アオだ、よろしく頼む」と頭を下げるアオ。アスロウの方はというとジロジロとアオを見て――

 

「はあー、「神造人間」選ぶなんて、お前知らんのか? 「神造人間」ちゅーのは」

 

「HPMP微回復と全体的に高いステータスを引き換えにアビリティの熟練度が3倍掛かる不遇種族、だろ? 」

 

「んだ、知ってんのか。それで選ぶってお前、マゾか? 」

 

「マゾ言うな」

 

 苦笑を浮べるアオにアスロウは笑って返した。

 

 

「それじゃ、アスくん買い取りお願いできる? あ、ついでに「?」の謎石ころの鑑定もお願い」

 

「構わんぞ、何があるんだ? 」

 

「えーと、角うさぎの角20個、角うさぎの毛皮23個、マッドプラントの葉20個、マッドプラントの蔓17個、石ころが37個に謎石ころ19個、だね」

 

 トレードウィドウを開いたフローレルメヌテイアはアイテムボックスからアイテムをドラッグしながら売り物を告げる。

 

「ん、これなら大体11k(1万1千)くらいだな。で、謎石鑑定すればもう少し色が付くか」

 

「そか、お願いね♪ 」

 

 そうして鑑定で石ころ「?」19個は銅鉱石(小)11個、鉄鉱石(小)8個と判明。

 これで13,570Gの買い取りとなり、アオとフローレルメヌテイアで分けて一人6,785Gとなった。

 

 

 

  ×+×+×+×+

 

 

 

 アオたちがアスロウとフレンド登録して別れた後、アオとフローレルメヌテイアのふたりは街灯に照らされた夜の街を散策していた。

 

「あれが武器防具を売ってるNPC店の虎狩り堂、あっちがNPCのレストランで…… 」

 

 FSOを始めたばかりで街に不慣れなアオのために街を案内するフローレルメヌテイア。

 

 そうしている内に辿り着いたのはプレイヤーたちに工房通りと呼ばれる場所。

 「裁縫」、「細工」、「木工」、「鍛冶」、「錬金術」などの生産職プレイヤーたちがお世話になる各工房っが並び建っている。

 

 ちなみに「調理」は道具と食材があれば、なぜかどこででも作れる。

 

「丁度良い。「錬金術」を試してみるか」

 

「じゃあ、わたしはその間に食材屋で食材揃えて適当なところで料理してようかな」

 

 終ったらメールねと手を振って分かれるフローレルメヌテイア。

 アオはフローレルメヌテイアを見送ってから錬金術の工房へ足を向けた。

 

 

 

「おや、いらっしゃい」

 

 工房へ入って間もなく、ノースリーブの上着にミニスカートという動きやすい格好にローブを纏った金髪の女性がアオを出迎えた。

 

「え? あ、と、あなたは…… 」

 

 てっきりギルドの訓練所内のように誰もいないものと思っていたアオは、意表を突かれて間の抜けた声を上げてしまう。

 

「私はマリベル、この工房を管理している錬金術師さ」

 

 アオの様子に苦笑を浮べて答える女性、マリベル。どうやら錬金術師のNPCらしい。

 

「あー、ポーションを作り来たんですが……」

 

 ばつが悪そうに頭を掻きつつ、工房に来た用件を述べるアオ。

 

「奥の工房を使うなら一時間500Gだよ。

 あと、錬金で足りない物があるなら言ってくれれば売るよ。私が常備している素材に限られるけどね」

 

「足りない物、か。

 …… ポーションを作るのに必要な素材は何がありますか? 」

 

 足りない物と言われてアオは自分がポーションの素材を薬草くらいしか思いつかないことに気が付いた。

 

「ポーションに必要な素材は、薬草3つに蒸留水が5あれば作れるよ」

 

「蒸留水? 」

 

「錬金術で不純物を取り除いた水のことさ。別に普通の井戸水でもやろうと思えば出来るんだけど、でもやっぱり蒸留水を使った方が出来上がった時の質は良いよ。失敗もしにくいしね。

 あと、蒸留水を作るなら水は庭の井戸を使うと良いよ。

 作る時間がないなら私から買っても良いし。ちなみに値段は蒸留水一つ20Gだよ」

 

 と何となく呟いた蒸留水について説明してくれたマリベル。アオはそれに感謝しつつ考える。蒸留水を自分で作るかマリベルから買うか。

 「錬金術」のLv上げ的には面倒でも作る方が良いが、工房を借りるのに一時間500G掛かることを考えると時間はあまり無駄にしたくはない。また長く掛かり過ぎるとフローレルメヌテイアを待たせてしまうことになる。いくらフローレルメヌテイアが料理をして待っているとは言え、手に入れた食材で調理に一時間以上も掛かるとは思えない。

 

「蒸留水50個ください。あと工房を一時間でお願いします」

 

 考えた末、アオは蒸留水作りは今度「錬金術」のLv上げを目指す時にして、今回は当初の予定通り、「錬金術」を試すためにポーションだけを作ることにした。

 

 蒸留水50個分の代金1,000Gと工房の貸し賃500G、合せて1,500Gをマリベルへ渡して、アオは蒸留水を受け取り、工房へ足を踏み入れた。

 

 

 大小様々な空の瓶が置かれた棚に試験管立てやフラスコにビーカーなどの実験器具が載った大きな作業台。壁に吊るされた大小の鍋に数種のナイフやオタマにトング。そして大きな釜戸。

 大昔の古めかしい実験室と厨房を合せて割ったような雑然とした部屋がそこにはあった。

 

「とりあえず、ステータスを見れば何かわかるか? 」

 

 マリベルにポーションの作り方を聞くのを忘れたなとアオ。ステータスを表示してアビリティの「錬金術」に触れて別のウィンドウを開き、「錬金術」について表示する。

 

 

 ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

 

▽錬金術

 薬の調合などが行なえるようになる。

 

 ・蒸留水作製(必要素材:水×3=1)

 ・ポーション作製(必要素材:薬草×3+蒸留水×5=1)

 ・解毒ポーション作製(必要素材:毒消し草×3+マッドプラントのつぼみ×3+蒸留水×5=1)

 ・麻痺薬作製(必要素材:痺れ草×3+蒸留水×2=1)

 ・毒薬作製(必要素材:毒草×3+蒸留水×2=1)

 ・エネルコア・シェイク作製(必要素材:エネルコア結晶×3+ミルク×3+フルーツ一種×2=1)

 

 ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

 

 

「来る前に確認しておくべきだったな……」

 

 マリベルに聞かずとも必要素材に付いて知ることが出来たことにちょっとばかりたそがれるアオ。

 

 次からは確認を怠らずにやろうと固く決め、気を取り直して作業に取り掛かる。

 

 まずはとウィンドウの「ポーション作製」に触れてやり方が出ないか確認してみるアオ。

 そうして「ポーション・基本レシピ」というポーションの作り方が表示された新しいウィンドウが開いた。

 

 その「ポーション・基本レシピ」に則って必要な器具道具を用意し、集めた素材を作業台に並べる。

 薬草は21個全部を使い、蒸留水はそれに合せて35個を用意。器具道具はナイフとまな板に乳鉢、そして片手鍋、ではなく小さい錬金鍋。

 

 作り方はまず、ナイフとまな板で「薬草」3個を小さく刻み、次に乳鉢でさらに念入りに丁寧に潰す。

 そして「蒸留水」5個を入れた錬金鍋を釜戸の火に掛けて沸かし、そこへ潰した「薬草」を入れて魔力(MP)を込めた匙でゆっくりとかき混ぜながら煮詰める。

 煮上がて色が澄んだ緑色になったら鍋を火から上げて、また魔力を込めた匙でかき混ぜて冷まし、冷めたら空瓶(ポーション瓶)に移して完成。

 

「このポーション瓶、あとで金取られたりするんだろうか? 」

 

 空瓶が必要というので、棚に並べて置かれていた空瓶の中からポーション瓶と表示された試験管を使ったのだが、勝手に使って良かったのだろうかと頭を悩ませるアオ。

 

「まあ、良いか。支払いが必要なら後でマリベルに聞けば良いだろう」

 

 そう結論付けるとポーション作りを再開する。

 手間の掛かる作業を続けることしばし、ポーションは2つばかり失敗してしまったものの、ランク2が3個、ランク3が2個が出来上がった。

 

 ポーションの効果は以下の通り。

 

 ・ポーション

 ランク2

 普通に苦い魔法薬。

 HP回復量:15%

 

 ・ポーション

 ランク3

 普通に苦い魔法薬。

 HP回復量:30%

 

 

「苦い魔法薬、ね。ふむ」

 

 3つあるランク2のポーションから一つ手に取り、飲んでみようと、蓋のコルクを外して口元に持っていくとエネルコア結晶を「食べる」時と同じくポーションは粒子になって吸収されていった。

 

「まずい! 」

 

 表記通りに苦いが飲めないこともない味で、青汁を薄めたような味、とでも言えば言いのだろうか。

 とろみはなくサラッとしているから喉越しが悪いということはないから必要ならば飲めるが、ただ好んで飲みたいとは思はない味だ。

 

「さて、まだ時間はあるし、解毒ポーションを作ってみるか」

 

 ポーションを作ったときのように素材と器具道具を用意して新しい作業に取り掛かる。

 とは言え、解毒ポーションの作製はポーションのそれとほぼ同じ要領で行なえた。

 作った解毒ポーション3個の内一つは失敗してしまったものの残り二つは無事成功。

 

 ・解毒ポーション

 ランク2

 解毒用の魔法薬。

 毒・麻痺Lv2までを解毒可能。

 

 二つともランク2だった。

 まだ少し時間があるが、素材不足で麻痺薬も毒薬もつくれない。勿論心情としては作りたい「エネルコア・シェイク」も。

 

 ちなみに「エネルコア・シェイク」の錬金方法は、まずエネルコア結晶を乳鉢で魔力を込めながら粉になるまで砕き、錬金鍋に注いだミルクに溶いて、搾ったフルーツの果汁を加え、錬金鍋に魔力を込めて匙でかき混ぜていく。

 混ぜていくうちに冷えかたまり、シェイクになる、というものだ。

 

「テイアの方は終ったかな? 」

 

 コール宣言でPDAを呼び出し、フローレルメヌテイアへメールを打つアオ。

 

 「エネルコア・シェイク」の作製は素材を揃えてまたの機会だと心に決めて。

 

 

 

 

         To Be Continued

 




 アオ
 HP89/89  MP72/72  AP6 W:駆け出しの魔導銃(Atk:6)
 銃術Lv2 体術Lv2 魔力運用Lv1 鷹の目Lv1 雷魔法Lv2 索敵Lv1 錬金術Lv1 
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