【凍結】 Fantasy Story Online   作:竜人機

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 やっぱり戦闘シーンは難しい……


第4話

  <フレンド>

 

 

 

 それぞれの生産を終え、夜の工房通り入り口で待ち合わせて無事合流したアオとフローレルメヌテイア。

 

「「錬金術」、どうだったアオさん」

 

「調理みたいな手順もあったりでなかなか面白かったよ」

 

「でも、数を作るとなるとかなりの手間でしょ」

 

「だろうな。今回は10個も作ることはなかったが、20、30と作るとなると相当手間だな。あれは」

 

「「錬金術」取ってたPTメンバーもLv10になるまでは良くぼやいてたよ」

 

「?

 「錬金術」はLv10になると手間を省けるようになるのか? 」 

 

「うん。大体どの生産アビでもそうなんだけど、Lv10になると自動作製ってのが出来るようになるんだよ。

 ただ、一瞬でパッとできる代わりに手動でやるよりランクが2、3落ちるけどね」

 

「そうなのか」

 

 Lv10とは「神造人間」では相当に長い道のりになりそうだなとアオ。

 

「そうだ。失敗したりして少ないが、ポーションふたつ、良かったら受け取ってくれ」

 

「おお、ありがとう、アオさん♪ 」

 

 アオはふたつ出来たランク3のポーションを渡す。戦闘でダメージを最も受ける壁役(タンク)のフローレルメヌテイアには少しでも良いHP回復薬を持つべきだろうという思いからだ。

 

「しかし、味見したがポーションは苦いんだな。必要とあれば飲める程度だが、苦手な人にはキツイんじゃないか? 」

 

「その点は大丈夫。直接飲まなくても身体にかけるだけでもいいし、ポーションにフルーツを加えればジュースみたいな味に変えられる裏ワザがあるから。

 まあ、「錬金術」のLvが低い間は5回に4回は失敗するらしいけど」

 

 へぇ~、と感心するアオ。「錬金術」のLvがある程度上がったら挑戦してみるべきかと思案する。

 

 

「ん? 」

 

「どうした? 」

 

「メールが来たみたい」

 

 そう言って六角水晶型のPDAを呼び出したフローレルメヌテイアはメールを確認し――

 

「ありゃ、こぬからだ」

 

 ―― 嬉しそうに破顔した。

 

「こぬ? 」

 

「アス君と同じβテストからのフレンドでね。PTメンバーでこぬこって言う名前のビートニアの女の子なんだ」

 

 ちょっと人見知りするけど良い娘なんだよ、とフローレルメヌテイア。

 

「パーティー仲間だった子からのメールということは」

 

「製品版今日から始めたから、また一緒にPTを組みたいって」

 

 ニコニコ笑顔のフローレルメヌテイア。βテストプレイ時、よほど仲が良かったのだろう。

 

「あ、アオさん、その、良いかな? 」

 

「良いんじゃないか。

 パーティーメンバーは多い方が心強いし、テイアとこぬこって娘さえ良ければ俺に異存はないよ」

 

 喜び顔から一転、アオの意思を聞いてなかったと遠慮がちにこぬこをパーティーに入れて良いかを聞いてくるフローレルメヌテイア。アオはそんなフローレルメヌテイアに微笑を浮かべて了承の意を伝えた。

 

「じゃ、返信するね」

 

 しばし、フローレルメヌテイアのメールのやりとりを見守るアオ。

 

「どうなった? 」

 

「うん、PT組むことになったよ♪

 今こぬはカフェ「青い小鳥」の前にいるっていうから、そこで待ち合わせしようって」

 

 VRのゲーム内とは言え、夜の街に女の子をずっと一人にはしておけないといフローレルメヌテイアに急かされ、足早に目的の場所へと向かう。

 

 

 夜は閉店しているオープンテラスのカフェ「青い小鳥」の前にぽつんと立つ女の子が一人。

 

「いたいた、こぬ~~♪ 」

 

「!? テイアさーん♪ 」

 

 たたたっと駆け寄り合うフローレルメヌテイアとこぬこのふたり。ヒシリッと抱き合うとうふふふあははははーと笑いながらくるくる回りだした。

 2m強の長身であるドラゴディアのフローレルメヌテイアに振り回される形の小柄なこぬこ。楽しそうにくるくる回り続ける、自分たちの世界へ行ってしまっている女子ふたり。

 

「おーい、そろそろ戻ってこーい」

 

「おおう、アオさんごめん」

 

 ノリについて行けずに取り残されているアオに呼びかけられて、フローレルメヌテイアはちょっとばかり目を回しながら止まり、抱き上げていたこぬこをおろすとアオに向き直る。

 そしてこぬこは人見知り故かフローレルメヌテイアの後ろに隠れてしまった。

 

「この娘がこぬこ。人見知りだけど慣れれば大丈夫だから、よろしくしてあげて。

 で、この人がアオさん。わたしのリア友さんだよ」

 

 こぬこの様子にたはーと苦笑いを浮べつつ、フローレルメヌテイアはアオとこぬこ双方の紹介をする。

 

「アオだ、よろしく」

 

「…… こぬこです。弓士です。よろしく、です」

 

 フローレルメヌテイアの後ろから顔を出し、アオを見定めようとしているのか金色の瞳でじっと観察するこぬこ。

 こぬこは獣成分は耳と尻尾のみようで、黒猫のビートニアらしく黒髪のショートヘアに黒いねこ耳がひょっこりと出ていて、先が白い真っ黒な尻尾がお尻の上辺りから伸びている以外は軽装に身を包んだ普通の女の子だ。

 

 

 

  ×+×+×+×+

 

 

 

 こぬことフレンド登録をし、パーティーに加えたアオとフローレルメヌテイアは朝を待って狩に行くことに決め、それまでの時間、およそ40分ほどをNPC店や露店を見て回って時間を潰すことにした。

 

 そうしてアオは(のぞ)いた武器防具屋「虎狩り堂」で「練達の魔導銃(Atk:+11)」(¥2,400G)を発見し、これを購入。なお、店主から得た情報によると一発の消費MPは25だとか。

 次に寄った道具屋でアオは錬金術用にエネルコア結晶を補充し、食材屋にも寄ってミルクやフルーツも購入した。

 

 アオばかり物を買っていたが、露店を見て回る段になってフローレルメヌテイアも「鉄の剣+2(Atk:+27)」(¥4,200G)を購入し、こぬこは弓と矢玉製作用に「木工」のアビリティを持っていることから安い「木材」を幾つかを購入した。

 

 

 

「今回はギルドで討伐系クエを受けてから狩りに行こうか」

 

「そういえば、クエとか一切受けてなかったか。

 ギルドから狩りに出かけたのにな」

 

 そろそろ日が明け始めてきた頃に、そう提案してきたフローレルメヌテイアに苦笑で返すアオ。

 こぬこにも確認し、ギルドへ先頭を切って向かうフローレルメヌテイア。

 

 ギルドへ付いた3人は低Lv・PT向けのフィールド、西門の外にある「狩人の草原」と3人パーティーなら行けるだろうとその先にある「西の森林」の入り口で狩を行なうことを決めてクエストを探し、「角うさぎ20匹討伐」と「くろおおかみ30匹討伐」の二つを受けた。

 

 それから早朝に西門を出たアオたちは早々に角うさぎ討伐を苦戦もなく終えて、くろおおかみ討伐のために「西の森林」入り口へと向かった。

 

 「くろおおかみ」。「西方の森林」とその入り口周辺に出現し、3、4匹で行動するアクティブモンスター。

 

 アオの「索敵」で探して魔導銃で2回ほど釣り、MPが尽きたら回復するまでこぬこが弓で釣るということを繰り返して狩りを続けていく。

 戦闘での位置取りはタンクのフローレルメヌテイアと体術を使うアオが前衛を務め、こぬこが後衛について弓で援護する形で、アオは遊撃という感じだ。

 

 戦闘の合間に採集などもしつつくろおおかみを倒していくアオたち一行。

 

 ここまででフローレルメヌテイアとこぬこは順調に「剣術」や「弓術」などのLvを上げており、アオも「鷹の目」と「索敵」が1LvUpし、Lv2になっていた。この調子なら「体術」ももう少しでLvが上がるだろう。

 

 

 そうして後3匹で討伐クエストもクリアというところまで来ていた。

 

「4匹見つけた。こっちだ」

 

 「索敵」で見つけた気配へフローレルメヌテイアとこぬこのふたりを先導するアオ。

 着いた先にはアオが察知した気配通り、くろおおかみ4匹が(たむろ)していた。

 

「釣りは、こぬちゃんに任せる」

 

 先ほど魔導銃を撃って尽きたMPをまだ回復しきれていないアオはこぬこへと譲る。

 

「…… 行きますね」

 

 と弓を構え、矢を番えるこぬこ。

 こぬこの弓は射程の長く威力の高い長弓と威力は低いが連射の効く短弓の中間の弓、狩弓だ。

 「鷹の目」の遠視、遠距離攻撃命中補正を効かせて狙い定め、一射。

 

 

  ギャウッ!?

 

 

 見事くろおおかみの1匹に的中し、釣り上げ、攻撃を受けた1匹に釣られるように他の4匹もこちらへ向かってくる。

 

 

『こいこいこーい!』

 

 

 盾を構え、大声を上げて「挑発」で向かって来たくろおおかみを惹き付ける

 

 アオはフローレルメヌテイアに惹き付けられたくろおおかみへと拳を打ち込んで行く。

 

 素早く味方ふたりに矢が遮られない位置へ移動し、弓へ矢を番え、隙を見ては放つこぬこ。

 

「シッ」

 

 くろおおかみの延髄へ手刀を叩き落し、次いで鋭い下段蹴りを叩き込むアオ。間合いが離れるとこぬこの矢が一射、二射とくろおおかみへと突き刺さる。

 

『行かせないよ! 』

 

 そして4匹を相手取って防御に徹するフローレルメヌテイアが「挑発」でくろおおかみのターゲトが移るのを防ぐ。

 

 出来るだけ早くフローレルメヌテイアの負担を減らそうと1匹に集中して攻撃をしていくアオとこぬこ。

 

「にゅッ」

 

 

  ギャウンッ!?

 

 

 こぬこの三連射を受けてくろおおかみの1匹がポリゴンとなって砕け散る。

 すぐにアオとこぬこ次の獲物へ集中攻撃を加えようと動くが――

 

 

  ゴアァアアッ!!

 

 

「ひにゃっ!? 」

 

 ――突然の咆哮がこぬこの背後から響き渡る。

 現れたのは仁王立ちした赤毛の熊。「西の森林」とその入り口周辺に希に出現するアクティブモンスター、「鬼ぐま」だった。

 どうやらアオたちが戦っている近くで湧いて出て、こぬこが知らずにその警戒範囲に入ってしまったようだ。

 

「ちょ、バックアタック!? 」

 

 真後ろからの攻撃、というわけではないが、くろおおかみ3匹を相手取っている現状、あまり好ましい状況ではない。

 

「ッ、こぬちゃんは下がって、テイアの援護を! こっちは俺が相手をするッ! 」

 

 アオは早口にそう言うと鬼ぐまへと突撃する。

 

「セァッ」

 

 迎え撃って腕を振るう鬼ぐまの攻撃を掻い潜り、拳を叩き込むアオ。そこから中段蹴り(ミドルキック)、上段蹴り(ハイキック)の連続蹴りを決めて鬼ぐまを怯ませる。そうして離れた間合いへ踏み込み、中段突きで追い討ちを掛ける。

 反撃を許さぬというような攻勢を仕掛けるアオ。

 

 

  ゴァアアッ!

 

 

 しかし鬼ぐまもやられているばかりでいるわけがなく、アオが放った正拳突きに怯むことなく鋭い爪を備えた豪腕を振り下ろした。

 

「ぐっ!? 」

 

 被ダメージ効果を示す赤いフラッシュ、衝撃と痛みがアオを襲う。

 もう一撃だというように今度は下から鬼ぐまの豪腕が振り上げられるが、アオは後ろへ跳んで間合い離すことでこれを回避してみせる。

 

 アオは油断なく構え、咆える鬼ぐまへ睨みを利かせつつ、視界の端で自身のHPへ目を向けた。

 

 今の一撃でHPは一気に4割も削られている。

 

 これは下手に攻撃は受けられないぞと気を引き締めるアオ。

 

 鬼ぐまが開いた間合いに四肢を地に着けて体当たりを仕掛けてくる。

 予想以上に速い体当たりの加速にギリギリで躱す破目になるアオ。体当たりに身体をを掠らせてしまい、ダメージを負って今度は一割HPが削られた。

 

「くっ」

 

 せめて防御行動に意味があればと内心で嘆くアオ。

 FSOのゲームシステム上、盾や武器を持たない徒手空拳での防御はスキルでも使わない限りダメージは素通りで、無意味な物となっていた。

 そして徒手空拳での防御スキルは「体術」Lv5で取得するために、今のアオに防御という選択はできない。

 

「(テイアが「壁」になってくれないことが、ここまでキツイとはな)」

 

 フローレルメヌテイアに知らず頼り過ぎていたことに反省し、意識を集中させるアオ。もう一切の攻撃は受けないと固く心に決めて鬼ぐまを睨む。

 

 そこからは一定の間合いを保ち、回避を優先して打っては離れるヒット&アウェイで攻めて行くアオ。

 

 

『パワースラッシュッ! 』

 

 

  ギャウゥンッ!?

 

 

 こぬこの援護の元、最後のくろおおかみがフローレルメヌテイアの渾身の一撃、剣術Lv3で取得したスキルによって砕け散る。

 

「ぃよしっ」

 

 一息入れることなく気合を入れてアオが対峙する鬼ぐまへ向かうフローレルメヌテイア。

 

「にゅッ」

 

 こぬこもそれを見て一射二射と立て続けに鬼ぐまへ矢を放った。

 

『さあ、ここからはわたしが相手だよ! 』

 

 アオの前に出たフローレルメヌテイアが「挑発」で鬼ぐまを惹き付ける。アオはこれを機に一端下がり、ポーションで回復をはかる。

 

『ハードシュート! 』

 

 このまま一気に行くと言うようにこぬこは弓術Lv3で取得する高ダメージで相手を怯ませるスキルを使う。

 怯む鬼ぐまに「パワースラッシュ」を叩き込むフローレルメヌテイアに回復を終えたアオも鬼ぐまへ攻撃を加えていく。

 

 

  ゴァッ!?

 

 

 そうして袋叩きにあった鬼ぐまは思いの他呆気なくポリゴンとなって砕け散った。

 

 

 

 

 

         To Be Continued

 

 




 アオ
 HP101/101:↑12Up  MP72/72  AP10:↑6PUp W:練達の魔導銃(Atk:+11)
 銃術Lv2 体術Lv3:↑1LvUp 魔力運用Lv1 鷹の目Lv2:↑1LvUp 雷魔法Lv2 
 索敵Lv2:↑1LvUp 錬金術Lv1

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