【凍結】 Fantasy Story Online 作:竜人機
<別行動>
「…… とログイン完了、か」
軽い浮遊感を感じながら再びFSOの世界へと戻ってきたアオ。
場所は宿屋、居眠り子獅子二階の一室。泊まった、ことになる部屋を改めて見回してみる。
テーブルに椅子が一脚づつあり、ふかふかとは行かないが、そこそこに寝心地の良いベッドがひとつ。
極普通の一人部屋。それがアオが取った部屋だ。なお、フローレルメヌテイアとこぬこは二人部屋を取っていた。
「待ち合わせは食堂でだったな」
そう言って居眠り子獅子の一階で
フローレルメヌテイアとこぬこのふたりが先に来ていないか、待たせていないか少々不安になり、少し足早に階段を下りていく。
「あ…… 」
と階段を下りた丁度そこにこぬこがいた。
「こぬちゃん、君も今来たの? 」
「はい」
「テイアは一緒? 」
「いえ」
人見知り発動のようで固い様子のこぬこに苦笑を浮べるアオ。フローレルメヌテイアが一緒ならもう少し柔らかくなるのだが、こればかりは慣れてもらうまで仕方ないとあきらめる。
「じゃあ、食堂へ行こうか。先に来て待ってるかもしれないし」
「そう、ですね」
結論から言うとフローレルメヌテイアはまだ来ていなかった。
アオとこぬこのふたりは空いていた壁際の席へ座って待つことに。
「俺は飲み食いできないけど、何か注文しようか? 飲み物とか。」
「いえ…… いいです」
と素っ気無いこぬこにそうかと返し、苦笑いのアオ。
何とか慣れて欲しい物だが、急いてはことを仕損じる。アオはゆっくりと慣れて行ってもらえば良いかと無理に話を振るのを止めた。
「そうか。
すいませーん、コーヒーひとつお願いします」
「? 」
種族:「神造人間」であるために、料理類は食べたり飲んだりできないアオが、コーヒーを注文したことに首を傾げるこぬこ。
「何も注文しないで座ってるのは、お店の人に迷惑かなっと思ってね」
まあ、ゲームの中なんだから気にすることないとは思うけどとアオ。
「あ、その、それじゃあ私も…… 」
そう言ってこぬこはアップルジュースを注文した。
すぐに注文の品は運ばれて来て、特に話すこともなく、静かに時が流れることしばし。
「待たせてゴメンね!
暇つぶしに読んだマンガ、つい読み耽っちゃって」
やっとログインして来たフローレルメヌテイアは慌てた様子でホントにゴメンと謝り、空いてる席に着いた。
「そう待っちゃいないから大丈夫だ。
ほら、これでも飲んで落ち着け」
「あ、ありがとう♪ 」
注文したものの、飲めずに自分の前に置いておいたコーヒーをフローレルメヌテイアへ差し出すアオ。
「ふう、これからどうするかなんだけど、アスくんからメール着ててね。防具出来たから都合の良い時に取りにこーいって」
後ベアレザーの篭手も無事に出来上がったって、と笑顔で告げるフローレルメヌテイア。
「この後すぐに受け取りに行くとして、その後はどうしょうか? 」
現実での夕食の時間のことを考えて幾つかクエストを受けて狩りに出て、クリアしたら切り上げるか、それともそれぞれ生産をやって今日は早々に切り上げるか。
こぬこは特に意見はないようでフローレルメヌテイアに全て任せますといった
「それなんだが、俺は別行動を取らせてもらえないか?
少し訓練所に篭りたいんだ。
神造人間の熟練度が3倍も掛かる特性上、少しでもアビリティのLvを上げておきたいんだが」
「んー、訓練所に篭ってLv上げかぁ……
粘ればLv4まで上げられるらしいけども」
アオの別行動宣言にフローレルメヌテイアは渋った様子を見せる。
「ダメか? 」
「あぁ、いやいやいや、違うの違うの!
別行動がダメって言うんじゃなくて、アオさんが訓練所に篭もるとなると時間的に今日はもう一緒に行動できなくなるから、それが残念ってだけで」
「そうか、それじゃあ」
「うん、アオさんには訓練所篭もりが必要みたいだから、しょうがないね」
本当に残念そうなフローレルメヌテイアに悪いと思うアオだったが、少しでも足を引っ張らないようにするためだと自分に言い聞かせた。
話し合いを終えて宿を出たアオたちは、立てた予定通りにまずはアスロウの
「お、来たか」
「お待たせ、アスくん。
防具受け取りに来たよ」
「おう。じゃ、受け取れ」
トレードウィンドウでのやり取りで受け取った防具、ウルフレザーシリーズとベアレザーの篭手は以下の通り。
・ウルフレザーヘッド(額当て) Def+13
・ウルフレザーアーマー Def+18
・ウルフレザーボトム Def+17
・ウルフレザーグローブ Def+15
・ウルフレザーブーツ Def+16
・ベアレザーグローブ・改 Def+18 Atk+14
決めていた通り、ウルフレザー一式はフローレルメヌテイアが使い、ベアレザーの篭手はアオが使うことに。
「さすがアスくん、良い出来だよ♪ 」
「良い出来というか、予想してたよりもステータスが高いな」
ベアレザーの篭手にほんの少しでもAtk+が付けば良いと思っていたアオは予想以上の出来に感心する。
「ま、それくらい出来なけりゃβテスター生産者の名折れってやつよ」
胸を張って言い切るアスロウ。余程腕に自信があるのだろう。
そうしてアスロウの露店を後にしたアオたちはギルドへ向かい、そこで別行動となった。
「それじゃ、わたしとこぬはクエ受けて狩りに行くね」
「ああ、気を付けてな。
一応、Lv上げが終ったらメールしておくから」
「うん、わたしも落ちる時にはメールするよ」
フローレルメヌテイアとこぬこは入って正面左側、壁際に置かれたクエストボードへと向かい、アオは受付の左側奥にある「ギルド訓練所」と書かれた階下へ伸びる階段入り口へ。
訓練所教官のNPCに声を掛け、まずはとLv3の「体術」からLv4を目指して木人の並ぶ「体術」の訓練所へやって来たアオ。
「さて、まずは「身体能力向上」を取らないとな」
ステータスメニューを開き、APを5消費してアビリティ「身体能力向上」を取って空いているスロットにセットする。
残りAPは7。もうひとつくらいアビリティを取ることは出来るが、「神造人間」の特性上あれこれとってもLvを上げきれないので止めておく。
「これでよしっ。さあ、ガンガンいくか! 」
掌に拳を打ち付けて気合を入れたアオは木人へ向かって行った。
×+×+×+×+
「にゃ! 」
「これで~、終わり! 」
フローレルメヌテイアとこぬこ、ギルドでクエストを受けて西門を出たふたりは「狩人の草原」で角うさぎやマッドプラントを狩っていた。
「ふぃ~、これにてクエストクリアー。
こぬ、おつかれ~」
「おつかれさまです、テイアさん」
受けたクエスト、「角うさぎ20匹討伐」と「マッドプラントのつぼみ30個採取」を終えたふたり。クリア報酬を受け取るべく街へ足を向ける。
「クエは無事に終ったけれど、アオさんからのメール、とうとう来なかったなぁ」
「仕方ないです。熟練度が倍以上掛かるんですから」
「そうなんだけれどさぁ」
ハァと溜め息を吐いて気落ち気味のフローレルメヌテイアの様子に苦笑を浮べるこぬこ。
「好きなんですね、アオさんのこと」
「すっ!?
な、なな何を言うかな!?
あ、アオさんとは友達であって! 」
アタフタと手を振るフローレルメヌテイアだが、しまいには「す、ススス好きって、そんなそんな♡ 」と頬に両手を当てて身をくねらせ始めた。
こぬことしては「
「テイアさんはアオさんのこと……」
「す好きとかそうじゃなくて……
ああ、嫌いって意味でもなくてね! 」
「……好き、なんですね」
「あう」
今度は「Love」という意味を込めて言うこぬこに、フローレルメヌテイアは根負け。「アオさんには内緒でお願い」と言って恥じ入るのだった。
×+×+×+×+
「サンダーアロー」
訓練所に篭ること15時間ばかり。アオは「体術」と「銃術」をLv4にし、今は「雷魔法」のLv上げに没頭していた。
指で指し示された鎧を纏う
「………」
パチパチと放電を弱める案山子を見つめながらふぅ、とアオは息を吐いた。黙々と出来る「体術」や「銃術」と違って、声を出さなくてはならない魔法は何十回何時間と続けるのはなかなか堪えるものがある。
それでも後1Lvだと、気を入れてもう一度と身構えようとした時――
<雷魔法 1LvUp! >
―― ポーンという電子音と共に祝福のメロディが流れた。
「上がった?
……ぃよしっ! 」
ステータスを確認してガッツポーズをとるアオ。
これで「銃術」「体術」「雷魔法」のLvが全て4になった。一緒に「鷹の目」「魔力運用」「身体能力向上」のLvも上がっている。
後はモンスターを相手に地道に上げていくだけだ。
早速フィールドに出たいところだが、ログインしてから既に16時間近くが経ち、現実時間では午前12時過ぎでもある。
後数十分で24時間のアクセス禁止になってしまう。
仕方ないかと一息吐き、アオはログアウトした。
To Be Continued
アオ
HP168/168:↑67Up MP124/124:↑52Up AP21:↑14Up W:練達の魔導銃(Atk:+11)
銃術Lv4:↑2LvUp 体術Lv4:↑1LvUp 魔力運用Lv2:↑1LvUp 鷹の目Lv3:↑1LvUp
雷魔法Lv4:↑2LvUp 索敵Lv2 錬金術Lv1 身体能力向上Lv2:↑1LvUp