天災二人と馬鹿一人   作:ACS

1 / 130
主人公の名前は……何時も通りその内出るor最後まで出ないスタイルです、基本的に馬鹿呼ばわりなので。

この主人公はおだてに弱く、先頭に立ちたがる人種です。

良く言えばリーダーシップ溢れる男、悪く言えば目立ちたがり屋。


今作は私の主人公に対する殺意はありません、コレを信用する人は良い人です、しない人は多分毒された古参の人。


小学一年生 1

––––俺の隣の席には変わった女が居る。

 

 普段からクラスの誰とも話さず、授業態度も不真面目を通り越して椅子に座ってるだけ、義務教育だから仕方なしに出席していると言う雰囲気を纏ったコイツはこのクラスの腫れ物だった。

 

 常に暇そうで無気力、偶に考え事でもしてるのか上の空で外を見てるだけのよく分からない女。

 

 俺の印象はそんな程度だったが、幼稚園から知ってる奴らからしたら甘い評価らしい。

 

 曰く不気味、コイツの話を誰も理解出来ない、難しい事ばかり喋る上に口も悪い、仲良くしてる人を一人しかしらない、話しかけても無視する、など。

 

 

 何気無しに聞いたらそれはもう悪口が出るわ出るわ、余程の事をやったのか聞いた事を後悔するレベルだった。

 

 直接話した事がない癖に又聞きの話で人を判断するのは我ながらどうかと思うが、実際教師に暴言吐いたり人の話を無視したりするのは良く目にするから正当な評価なんだろう。

 今更ながら、じゃあ何故俺がそんな事をわざわざ考えてるのか? それは席替えで丁度左の席にコイツが来たのと、俺が今日算数の教科書を忘れたからだ。

 

 右隣は離れてて借り辛い、かと言って左は問題児、小学一年生の時点で早速人生の山場に来てしまった感がある。

 

 

「つー訳できょーかしょ見せて?」

 

「は? なんで束さんがそんな事しなきゃならないの? てか、お前誰だよ気安く話しかけんな」

 

 

 すげーな、他人が言われてるのと自分が言われてるのとじゃ全然ちげーわ、目付きと語調のせいでめっちゃ心にぶっ刺さる。

 

 

「いやほら、きょーかしょ忘れたからさ」

「それこそ知らないよ、お前が何忘れようと知った事じゃないんだけど? しかも気安く話しかけんなって言わなかった? 馬鹿なの? 猿並みの知能しか無いのかよ」

 

 よし、教科書は諦めよう、先生の説教よりコイツの罵倒の方が効く。

 

 思わず泣きそうになった俺は上を向いて涙を堪えて前を向き、どーせ忘れたんだからと開き直って横の女に振り返った。

 

 黒板の書き写しとか色々やれるだろうけど、俺はコイツと違って社交的な奴だからこのクラスの人とは全員友達だ(約1名以外)、ノートは後で誰かに見せて貰えば良いや。

 

 それよりも、その唯一例外のこの女と友達になるにはどうしたもんか。

 

 これから先も教科書を忘れる度に罵倒されちゃたまったもんじゃ無い、いくら俺が馬鹿でも精神攻撃は地味に刺さるのだ、将来的にくらうであろう攻撃を何とかして回避せねば。

 

 

「うん決めたぞ篠ノ之、お前俺の友達になれ」

 

「頭おかしいんじゃ無いの? なんで束さんがお前みたいな凡人の相手しなきゃなんないの? つかさ、話しかけんなって言ったよね? 三回目だよ? 三回聞いて理解出来ないくらい低脳なの? 単細胞生物ですらもう少し賢いよ? そもそも教科書貸してって話からなんで友達になれって話になんの? しかも上から目線でさ、お前私の爪の垢以下の価値しかないクセに私より上にいる気? 生意気だね、二度と外歩けない様にしてやろうか?あ゛? つかこんだけ罵倒されてる癖になんで話しかけてくるんだよ、マゾかよ気持ち悪いから近寄らないで欲しいんだけど? 席離せよ、変な菌が移るかも知れないだろ?」

 

 ……た、他人に対する拒絶感半端なくね? あまりのマシンガントークに俺も何言われたのか全然理解出来なかった。

 

 少し強気に行ったら相手に対抗できんじゃね? みたいな軽い気持ちで話しかけたら手が付けられなくなったんだけど、ど、どーすっかな?

 

 いやでも、ほら、クラスでぼっちってのは辛いだろ? 本人も辛いだろうし、見てる俺も辛い。

 

 うん、100%の善意が嫌がらせになる訳が無い、そうに決まってる。

 

 

「––––聞いてんのか馬鹿、お前自分から話しかけといて無視ってのはどう言う了見だよ。舐めてんのか? お前如きに舐められるとか束さんも随分落ちたものだね、不愉快極まりないぞお前」

 

「え? ごめん聞いてなかった、なんだって?」

 

 

 まくし立てる様に言われたもんだから頭に入って来なかった、というか考え事してたから途中からマジで何言われたのか理解してなかったし、多分聞いてたとしても理解出来なかっただろう。

 

 ただその発言を聞いた瞬間奴はキレたんだろう、俺は見るからに青筋を浮かべた篠ノ之のガチ罵倒で授業中にも関わらず大号泣させられるのだった。

 

 後々になって、他人に関心が無い篠ノ之が俺に対してキレた事が非常にレアな事だった事を知る。

 

 普段なら冷たい目で見つめてそれ以降一切口を利かないと言うパターンに入るらしく、此処まで感情的になる事は早々ないと言う。

 

 

––––この日を境に俺は篠ノ之の中で“特別”になったらしい、尚それは良い意味での“特別”では無く“特別ムカつくクソ野郎”って意味らしいが。

 

 




束さんがキレたのは単純に機嫌が悪い所にウザ絡み(束視点)されたのが理由です。

やったね主人公君、オリ主のテンプレ束博士の『特別』になれたよ!!

当分デレは無いです&ドM歓喜の罵倒祭りです。

原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)

  • MF文庫J
  • オーバーラップ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。