天災二人と馬鹿一人   作:ACS

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 今回は特に伏線もない平和な話。


小学五年生 20

 

 

 ––––今更言う事じゃ無いけど俺は二刀流を学んでる。

 

 千冬に勝つ為に二本使ったら二倍強くなるんじゃね?みたいな発想で始めた二刀流だけど、実際に使うのは右手の竹刀だけで、左手の竹刀は防御とか牽制に使ったりするだけなんだよねぇ。

 

 いい加減長い付き合いになって来た千冬から未だに一本も取れてない事を考えると……もしかして二本使っても二倍強くならないんだろうか?

 

 ふとそんな不安が頭に浮かんだ俺は、左右に並んで下校してる二人に向かって俺の二刀流について聞いてみた。

 

 

 「……てな訳でどう思う? 二人とも」

 

 「いやどう、と聞かれてもな……」

 

 「ねぇ? 私普段から言ってるよね? 過程を省くなってさ。なのになんで改善されるどころか悪化してるんだよ。流石の束さんもその入りから君の思考を辿る事なんて出来ないんだけど?」

 

 「えっ? そのまんまの意味だけど?」

 

 「圧縮言語を更に圧縮したのか……束、通訳を頼む」

 

 「無理、ヒントが無さ過ぎるよちーちゃん。……とりあえず一から話してくれない? 君の圧縮言語に負けるのはすっごく癪だけど」

 

「一からって言われてもなぁ……」

 

 

 二人に話題を振ったのは確認の意味が強いから実際に言い直してまで聞こうって感じじゃないんだよねぇ。

 

 実際問題千冬には全敗してるから俺の二刀流二倍強い説は否定されちゃってるし、そうなるとむしろ二人に聞きたいのは『どうやったら強くなれるのか』とかかな?

 

 うーん、でも別に俺って武士になる気ないしなぁ。千冬に勝ちたいだけだし、強くならなくても別に良いっちゃ良いし……するってーと千冬に勝つ方法?

 

 でもなぁ、本人に聞くのもなんか違う様な気がするし、束に聞いて教えて貰った答えを俺が実践できるか分からないし、そもそもそれで勝っても俺が勝ったんじゃなくて束が勝ったって感じになるだけだろ?

 

 なーんかそれは束に頼り切ってる様な感じがして嫌だし、やっぱり俺が強くなる方法を聞いた方が良いかなぁ。

 

 そうなると、千冬の鋭くて速い攻撃を捌く方法が必要になるんだろ? どーやるかはともかくとして、前みたいに握力無くなるまで竹刀を受けてたらこっちが持たないのは身をもって知ってるから……受け側の左手を鍛えるとか? うん、何となくそれっぽい答えだし試しに聞いて見ようかな!!

 

 

 「……取り敢えず俺右利き辞めるわ」

 「ねぇ大丈夫? 勝手に話ぶっちぎってない? 束さんの経験則的に頭から話す前に話題が自己完結しちゃって次の段階にシフトしてる気がするんだけど気のせい? あと右利き辞めるってほんっと何の話!?」

 「……これは何時ぞやのドヤ顔キャンセルにちなんで説明キャンセルとでも呼べばいいのか?」

 

 

 どうもまた俺の悪い癖が出ちゃったみたいで二人が完全にテンパってたから一から順に話をしたんだけど……『だーかーらー!! 過程を省くなって言ってんだろ!? 一生注意しなきゃ治んないの!?』って束に揺さぶられながら言われてしまった。……束なら伝わるって思ったんだけどなぁ。

 

 

 

 「まーそんな訳で、俺の右手は封印されし右腕になるからそこんとこよろしく!!」

 

 「それするのは別にいいけどさ……おばさんに怒られるんじゃない?」

 

 「それ以前に左手一本で生活できるのか? 試しに左手で名前でも書いてみろ」

 

 

 そう言って、千冬はランドセルの中から鉛筆とノートを取り出してこっちに差し出してきた。

 

 束や千冬は何の苦労も無く左手で字が書けてるんだし、別に難しい事じゃないだろうと考えた俺は、近くの塀にノートを押し付けながら余白の部分に自分の名前を書き込む。

 

 そんでバッチリ書けた事を胸張って二人に見せたんだけど、二人が露骨に眉を潜めて俺の字を凝視してる事に気が付いた。

 

 

 「あれ? どったの二人とも」

 

 「その……なんだ。無理に左手を使えるようにならなくても良いんじゃないか? 左利きになったからと言って剣の腕が上達する訳では無いからな」

 

 「ちーちゃんはどーして無条件に庇うのかなぁ……。そもそも君のスタイルは剛の剣というよりは柔の剣なんだから左手鍛えるよりも柔術鍛えた方が良いんじゃない?」

 

 「うーん、二人が言うとそうなのかなぁ」

 

 

 妙案だと思ったんだけど、俺より圧倒的に強い二人にそう言われたら何となくそうなんだろうなぁ。

 

 けど柔術なぁ……親父の店にあった世紀末漫画でも激流を制するのは静水とか言ってたし、千冬に勝つにはそれで行くしか無いんだろうけど、俺にあんな動き出来るのかな?

 

 

 「なー二人とも? 俺瞬間移動とか出来ないよ?」

 

 「…………今日は意味不明さが絶好調だな。決して褒めてる訳ではないが」

 

 「流石のちーちゃんも庇いきれないのかぁ……。あとね? 君の家にある世紀末格ゲーみたいな動きは現実で出来ないからね?」

 

 

 そんなツッコミと束のアホを見る目をビシビシ受けながらも、俺達は適当な話題に話を膨らませながら帰り道を歩くのだった。

 

 …………あと、こっそり左利きになれる様に訓練しようと左手でご飯食べてたら、ボロボロ溢して母さんに拳骨くらった。やっぱ束はエスパーじゃん。

 

 

原作時代に入ってからの視点についてのアンケート。

  • 主人公視点(一夏は幕間)
  • 影響された一夏視点(主人公の出番は減る)
  • ①を完結させた上で両方(章分け)
  • ①を完結させた上で両方(作品分け)
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