食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋、運動会も済んで次は文化祭と秋は学校行事が目白押しで暇をする事がない季節だと思う。
そんな話を篠ノ之にしたら鼻で笑われた、そもそも他人に興味の無いコイツから見ればどの行事もうざったいだけらしく、LHRの時間に何時もの様に空を見上げてしまった。
まぁ俺たち一年生は展示物の掲示なのでやる事も無いので今回ばっかりは篠ノ之と同意見なんだけど、なんだかなぁ……。
前々から思ってたけどコイツは頻繁に空を見上げてる。
普段自分を天才だと言ってるし、本人曰く『何でも分かる出来るって事はある意味じゃ不自由なんだよ』との事、俺は馬鹿だからよく分からなかったけど、コイツからしたら切実な問題なんだろう。
今も『将来の夢』と言うタイトルの作文を書かずに居る、行儀が悪いけど横を覗くとタイトルと書き出しの『私の夢は』とだけ書き込まれたまっさらな作文の紙のままだ。
ちょっとだけそれをからかってやろうかと言うイタズラ心がくすぐられたけど、退屈さの中に寂しさみたいな物が混ざってる気がしてそんな気が失せた。
––––なので、別の方向からちょっかいを掛ける。
「なんだよさんぼー、お前まだ作文出来てねーのかよ」
「うっさいな、私に将来の夢なんてある訳無いだろ」
少し苛立った様な声、久々に不機嫌丸出しの篠ノ之なんだろうけど、鬱陶しいくらいに構ってやるから覚悟しろよ?
「何言ってんだよ篠ノ之、お前のしょーらいの夢はせかいせーふくに決まってんだろ?」
「そんな物今すぐ出来るし、した後の統治とか面倒くさい」
……さ、流石篠ノ之、冗談めかして言ったのにあっさり返して来やがった、スケールが違いすぎる。
ツッコミが返って来る事を予想してたのに返って来たのはガチ回答、俺も予想外過ぎて言葉に詰まった。
けどほら、俺は篠ノ之の友達だしなんとかしてやりたい。
「ならさ、宇宙の果てを目指してみたらどーだよ? 男のロマンだし?」
「……なんで私がそんな事しなきゃならないんだよ、というか男のロマンとか言われても分からないから」
「いやさ、前にテレビでうちゅうは今も広がってるとか言ってたからさ、その先端に何があるかとか気になるじゃん? もしかしたらマジでうちゅーじんとか居るかもしれねーしよ」
なんだっけ? 名前忘れたけどすげー爆発が起きてから宇宙が出来たって話で、今もその力で宇宙が広がりまくってるって聞いた気がする。
宇宙が広がってるって事は地球みたいな星がゴロゴロしてるかもだし、今わかってる惑星にだってもしかしたら住んでる生物がいるかもしれない、こーいう考えこそがやっぱロマンだよなー。
「それにさんぼーは神様って訳じゃねーじゃん、色々知ってるっつっても世の中の事ぜーんぶは知らねーだろ?」
「なにその暴論……」
「でも実際そーだろ? さんぼーは人間だし、自分の知らねー事って絶対あると思うんだよなー」
「……馬鹿じゃないの」
珍しく篠ノ之の罵倒にキレが無い、それどころか空を見上げる事をやめて俯いてしまった。
触れられたく無い話題だったのかな? でも言ってしまった以上最後まで言い切ってしまえ。
「きょーりゅーの化石とかもそーだけどさ、実際にそれが生きてた姿を見て確かめられる奴っていねーだろ? もしかしたらティラノサウルスがそーしょくだったかも知れないしさ」
「……普段結論ばっか話してる癖に、今日は回りくどいじゃないか」
「えっ? じゃあ結論だけ、難しく考えるな簡単に行こうぜ簡単に!!」
「……ぷっ、あははっ」
超笑顔で親指立てながらそんな事言ったんだけど何故か笑われてしまった。
今の俺の熱い語りの何処に笑う要素があったんだろう? まーいいや、篠ノ之がちょっと元気出たみたいだし、結果オーライって奴だな。
「もう……君はなんでそう単純に物事を考えられるのかな?」
「むしろ俺の方が聞きたいんだけどなー、何をそんなに難しく考えれるのかってさ」
「天才だからだよ、君みたいに脳みそすっからかんのお馬鹿さんには分からないだろうけど」
おー、ちょっとだけ調子出てきたな、悪口に何時ものノリがプラスされてら。
うん、やっぱ篠ノ之はこれぐらいの方が良いな、凹んでるのはコイツらしく無いし、見ててこっちが悲しくなるし。
「なんにせよ元気になって良かった良かった」
「ふん、別にちょっとナーバスになってただけだから元々君に心配される筋合いなんて無いんだよ」
「へーへー、さんぼー様の笑顔が見れて俺は幸せですよー」
「ふん!! …………ありがと」
「ん? なんか今言った?」
「別に? ただちょっとだけ宇宙に興味が出たって言っただけだよ」
そう言って、篠ノ之はそっぽを向くのだった。
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ