天災二人と馬鹿一人   作:ACS

19 / 130

今日はほんとに一話だけ。


小学一年生 16

 

 篠ノ之と話す様になってからあっと言う間に時間が過ぎて冬になった。

 

  昨日の夜から雪が降ってたんだけど、その量が多くて朝起きたら積もってたから学校に行くのがめちゃくちゃ楽しみなんだよなー。

 

 親父も雪が積もってるからって、めっちゃ早起きして出勤前に庭で『キャタピラ付きのロボット!!』とか言って雑な雪だるまもどきを作って母さんに叱られてた、俺も親父に起こされて母さんの雪だるま作ったんだけど、親父にチクられて一緒に叱られた。

 

 夏が大好きってシャツを着せたのがダメだったんだろうか? それとも鬼レベルを表現する為に頭に枝をぶっ刺したのがアウトだったのかな?

 

 説教の所為で何時もよりも遅い時間に登校しながらそんな事を考えてると、前の方に見知った二人が歩いてるのが見える。

 

 普通に声を掛けようと思ったんだけど、雪玉を作れるくらいには湿った奴だったから思わず雪玉を作って二人の頭に投げてやった。

 

 織斑は勘が冴えてたのか咄嗟に避けられたけど、ポスッと篠ノ之の頭には当たる雪玉、正直ニュータイプ能力で投げた雪玉を避けられると思ってたので当たるとは思わなかった、仕返しが怖えぇ。

 

「おいそこの馬鹿、ちょっとこっち来い」

 

「ふっだが断る!! 俺はこの後さんぼーにボコられる未来しか見えないからな!!」

 

「ちーちゃん、お願いあの馬鹿に雪玉投げて?」

 

「ちょっと待て、織斑を味方にすんのはダメだろ!? なぁ織斑!?」

 

「……私にどうしろと?」

 

 

 困惑する織斑を挟みながら睨み合ってたけど、ついまたいたずら心が芽生えたので一度しゃがんで足元の雪を丸め、野球のボールの様に篠ノ之の顔面に投げ付けたんだけど、正面から投げたからか余裕で避けられた。

 

 そしたら直ぐに篠ノ之は足元の雪を固めて俺に投げ返して来たので、こっちも同じ様に避けたら避けた先に雪玉を投げつけられた、おのれニュータイプ!!

 

「はっ!! 丁度良かったじゃないか、君のその顔を雪で良く洗ったら少しはマシになるかも知れないよ?」

 

「やったなさんぼー!! ぜったいにゆるさん!!」

 

「おい二人とも? まだ私達は登校の途中……」

 

 

 何か織斑が言ってる様な気がしたけど、篠ノ之の奴が新しく雪玉を作り始めたから一旦無視し、俺も新しい雪玉を作ってから狙い撃ちされない様に身体を左右に揺らしながら篠ノ之の攻撃を躱す。

 

「ふははは!! 必殺分身の術!! 当てれるもんなら当ててみろーだ」

 

「あっそ、なら当ててやる」

 

 

 雪玉を作り終わった篠ノ之はそういいながら本当に俺の顔面に雪玉を命中させまくって来た、というか吸い込まれる様に全部当たったんだけどね。

 

 しかし奴の雪玉は尽きた、いくら篠ノ之とは言え雪玉を作ってる最中に攻撃されちゃ避けられないだろ? 親父にやられた俺が一番よく知ってるからな!!

 

「喰らえ親父直伝!! ヒーローの変身合体中にこーげきする反則アターック!!」

 

「わぷっ!?」

 

 俺の雪玉は篠ノ之の横顔に当たり、珍しく驚いた様な声を上げたので一旦俺の中のいたずら心は満たされたんだけど、雪を投げられた篠ノ之がまた仕返しにぶん投げて来たもんだからしばらくの間戦いが終わらなかった。

 

 なので禁断のランドセルバリアーを発動し、片手で攻撃を防ぎながらもう片方の手で雪を投げるという最強の戦法を使いつつ篠ノ之の攻撃を耐えながら反撃を返して行く。

 

「おいこの馬鹿!! そんなもん使うなよ!! 当たらないだろ!!」

 

「俺を本気にさせたさんぼーが悪いんだ、親父からは『決して使うな、週3が限度だ』って言われたこの技をかいきんさせたさんぼーが!!」

 

「週3で使ってたら禁断でも何でもないだろ!? 君のお父さんは馬鹿なのかよ!!」

 

「うん、だってこの間も『タラバガニ買ってきたぞー』とか言って買って来たのがヤシガニ?とか言う変なカニだったし」

 

 いやーあの時は本当にびっくりした、おっきな箱開けたら中でわしゃわしゃしてたし、親父が母さんに家追い出されて朝まで玄関前で体育座りさせられてたからさ。

 

「君の馬鹿はお父さん譲りだったのかぁ……」

 

「いやぁそれほどでも」

 

「褒めてないから」

 

「えっ? そーなの? でもまー落ち着いたし学校いこーぜ、なっ織斑?」

 

 そう言って振り返った先に織斑が居ない、篠ノ之も居ない事に首を傾げてたけど、それと同時に聞き慣れたチャイムの音がし始めた。

 

 そーいや、登校中だっけ? なんか雪合戦してる最中に織斑がそんな事言ってたよーな……。

 

 ふと足元を見ると織斑らしき足跡が真っ直ぐに学校に向かってる、なるほど先に学校に行ったのか、そりゃそーだよなー。

 

––––あれ? 俺たちって置いてかれた上にもしかして遅刻した?





千冬さん、雪合戦中の二人に何度か声かけてましたが熱中してたので諦めて先行きました(白目

親父の思考→奮発してタラバガニを買いに行く→その最中に街の電気屋のテレビをチラ見→テレビの人『タラバガニってね? 生物学上はヤドカリの仲間なんですよー』→へーそうなんだー→ヤドカリ下さい→帰宅後『タラバガニ買ってきたぞー』。

原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)

  • MF文庫J
  • オーバーラップ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。