仲良くなったつもりだったんだけど、篠ノ之の事を全く知らない事に気が付いた俺は部屋で横になりながら作戦を考える、というか久しぶりだなこんな作戦考えんの。
アイツの誕生日すら知らねーってのは恥ずい、誕生日おめでとーくらい言いてーのになぁ。
織斑なら知ってそうだけど、こう言うのは本人から聞いた方がいいって親父から聞いたし、そもそも俺が篠ノ之の口から聞きたいんだよね。
また手紙出すか? んーでもまたいっぱい印刷されてそこら中に撒かれても嫌だしなぁ、前なんか学校だけかと思ってたら町内全部に撒かれてたから顔見知り全員にからかわれたし。
お菓子持って遊びに行くとか? ダメだなアイツがなに好きなのかわかんねー、俺が好きなもん持ってってもアレだしなぁ。
好きな物……好きな物……そーいや前に宇宙に興味沸いたとか言ってたっけ、でも宇宙?
宇宙系のアニメはいっぱい持ってるけど、結局それって俺が好きなもんになっちまうだろ? それだと多分アイツプレゼントしても興味ねぇだろーしなぁ……宇宙っぽいなんかを探すしかねーや。
「つー訳で親父ー? 宇宙っぽいなんかってねー?」
「宇宙っぽいなんか? うーん、スノードームくらいしか思い付かんなぁ」
「なに? そのスノーなんちゃらって?」
「……良し、確かちょっと遠いけど体験教室だったかがあるし、次の休みにとーちゃんと一緒に行くか!!」
「マジで!? よっしゃ!!」
やっぱ親父は頼りになるなー、アニメも漫画も教えてくれたし、色んなところ連れてってくれるし。
『そんじゃ、今の内にデザイン考えとけよー』つって親父は紙と色鉛筆を俺に手渡してどっかに電話しに行った、後で聞いたら予約の電話だったらしい。
そんで俺は親父といっしょにその体験教室とか言うので親父やそこの先生に手伝って貰って作ったスノードーム?のキーホルダー作って篠ノ之の所へ持って行った。
「てな訳でぷれぜんとふぉーゆー?」
「……いきなり来たと思ったら、なにそれ?」
「ん? いやお前が何好きか分かんねーから宇宙っぽいの作って持って来た」
めっちゃ呆れた顔されたけど親父と一緒に作ったキーホルダー渡したら突っ返されなかったし、ちょっと興味深そうにしてたから当たりだったらしいやったぜ親父、大成功だ!!
「これ君が作ったの? ヤケに出来がいいけど?」
「もちろん!! って、言いたいんだけど実は殆ど親父が作ってくれたんだよ、俺がやったのは絵を書いたのと最後の仕上げだけ」
「だと思った」
「まー次はきっと俺一人で作るからさ、今はそれで良いだろ?」
「……ふん、期待しないで待っとくよ」
そう言って篠ノ之は俺の渡したキーホルダーを机の上に置くと、『で?』と言いながら俺に目を合わせてくる。
「今日はコレだけ? 他に用事は無いのかな?」
「えっ? 用事作って良いの? お前に用事っていっぱいあるよ?」
「……墓穴掘ったかな」
用事っつっても篠ノ之の話聞きたいってだけの事だし、別に用事らしいもんじゃねーけどな。
取り敢えず一番聞いとかなきゃいけないのはコイツの誕生日、後好きな食べ物と好きな趣味と好きな漫画と好きなテレビと好きな動物と好きな遊びと……ダメだ多すぎる。
「うーん、何から聞けば良いのかなぁ? とりあえずさんぼー、何か俺に話してくれよ?」
「何かって、何さ?」
「えっ? さぁ? なんでもいーよー? 俺お前の話が聞きてーだけだし?」
「なにそれ、随分アバウトだね」
「なーなーさんぼー、良いだろー?」
「はぁ……」
諦めた様に篠ノ之はため息を吐き、本棚の中から分厚い図鑑を取り出して俺の目の前で広げ始めた。
首を傾げながらその図鑑を覗くと英語で書かれた星がいっぱい書かれてて全然読めねー。
「……この星とこの星、あとココも」
「ココがどーしたの?」
「……もしかしたら、生き物がいるかもしれないって言われてるんだよ」
「ほえーすげーなー」
「おい馬鹿、何が凄いのか言ってみろよ?」
「すげーからすげーんだよ」
「あのねぇ……意味分かって言ってる? 地球とは遠く離れた星に私達人類の様な文明を持った生物がいるかもしれないんだよ!? それこそUFOとか宇宙人とかが実在してる可能性があるんだよ!? もしかしたらそれこそもう一つの地球ともう一つの人類が居てもおかしくないんだよ!? それこそ宇宙のロマンだと思わない!? この星も!! こっちの星も!! 地球からの観測だけで実際に目で見た事のある人なんて居ないんだよ!? 何があるかわからないし、私だって分からない!! 第一月面にすらアポロ計画以降有人着陸が行われてないんだから!! その理由は? コストの問題? それとも世間の陰謀説みたいに有人着陸が嘘だったとか? 調べれば分からない事は無いけど、やっぱり私はこの目で見たいの!!」
最初は説教口調だった篠ノ之も話してるうちにだんだん熱がこもって来たのか、凄く生き生きと話しかけて来た。
俺が相槌を挟む暇も無く一時間も二時間も篠ノ之は喋り続けただけでなく、最終的に部屋のパソコンで海外の論文?とか言うのを見せられたけど日本語じゃねーから全然読めねー。
––––けどま、コイツが楽しそうだし俺もそれで良いか。
この時の主人公は笑顔でニコニコしながら束さんの熱弁を聞いてます。
そしてこの時期から宇宙に興味が芽生え始めた束さん。
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ