ドッジボール、コートの中の人にボールをぶつけて先に全員を倒した方が勝つゲーム。
俺は体育の授業でそのドッジボールをしてるんだけど、相手に織斑が回ったので無理ゲーになってる、誰か助けてくれ。
いや違うんだよ、相手は残り織斑一人なんだよ、後織斑当てるだけで勝てるのになんでこれが倒せないんだよ!!
そんな事考えてたら俺の横に居た奴がアウトになった、顔の横を風船が弾けたような音と一緒に何かがすっとんでったからマジで何が通ったのか分からなかった。
あ、でも横に居た友達がすごすごコートから出てったから多分ボールが当たったんだね……。
「さて、後はお前だけだな?」
「……15人抜きって、15人抜きってお前」
「……大丈夫か?」
「お前スゲーな織斑!! ヒーローみてーな強さしてんじゃん!!」
やっぱカッケーな織斑、まさか16対1をタイマンに持ってかれるとは思わなかった。
しかーし、奴は一つ大きな間違いを犯した!! それは俺のコートにボールを落としてる事、つまりこの勝負は俺の手の上!!
「お前は強かった、一気銭湯って奴だな!!」
「……一騎当千と言いたかったのか?」
「それそれ、取り敢えずお前は強いけど俺の方がもっと強い!!」
だって俺には必殺技があるからな!! 去年から使い続けてる俺の持ち技!!
「くらえ大車輪シュート!!」
「いや、私の目にはただぐるぐる回ってるだけにしか……」
「はっはっは!! 分かってないな織斑!! 俺自身が駒の様にくるくる回る事で投げる瞬間をごまかしつつえんしんりょく?とか言うのでパワーを上げ……上げ……おえ」
気合いを入れて回り過ぎた、めっちゃ目回ってるし気分悪い、おえっぷ。
途中から頭がぐわんぐわんし始めたので膝をついたらボール落とした、待ってー俺のボール。
転々と転がってったボールは織斑の足元にある、しかも拾った織斑が俺に当てようかどうか迷ってやがる。
「くっ、流石だ織斑……」
「いや、私は何もやってないんだが……」
「だが俺を倒したからって良い気になるなよ? 第二第三の俺が必ず現れ……ウッ!?」
「……もう喋るな」
いっぺん言って見たかった悪役のセリフを言ったら余計に吐き気がヤベェ、呆れた織斑が俺にボールを当てるのやめてくれたからなんとか吐かずに済んだけど、もし当てられたかと思うと………想像したくねぇ。
あ、吐き気が治ったらあっさりやられたよ、ボールの回転ヤバくて触った瞬間両手が弾かれたからキャッチ出来ねーよ。
体育の授業も本来より早く終わっちゃったから残りの10分くらいが自由時間になったからてきとーな木陰で少し休憩してたんだけど、そしたら織斑が俺の様子を見に来てくれた。
「まだ少し気分が悪そうだな、大丈夫か?」
「おー織斑かー? くっそー、後もう少しで勝ったのになぁ次は絶対に負けねーぞ織斑!!」
「元気な奴だなお前は……」
「さんぼーにも言われたわそれ、『君は元気だけが取り柄な馬鹿だからね、元気だけがね!!』ってさー」
「本当に普段お前たちはどんな会話をしてるんだ?」
そんなに不思議な事かな? 別に普通の会話だと思うけどなぁ、話してるとちゃんと返事してくれるし、この前なんか唐揚げにレモン汁かけるかかけないかで口論になったしさ。
そーいや織斑ってどっち派なんだろ?
「てな訳でさ、織斑はかける派? かけない派?」
「一体なんの話だ?」
「レモン汁?」
「すまない私の聞き方が悪かった、結論だけでなくその過程を話してくれ」
「ん? からあげにレモン汁かける派かかけない派かって話」
「……束もこんな気分だったのか」
なんだろ、織斑が疲れてるみたいだけどなんかあったのかな? うーん、次の休み時間にでも篠ノ之に聞いてみるか? アイツは織斑の事良く知ってるし。
うんうんと次の休み時間の予定を立てた俺は、とりあえず今の疑問を解決する為に織斑に答えを聞いてみる。
「んでんで? 結局どっちなのよ?」
「私は……かけない派だな」
「んだよ、お前もさんぼーと同じなのかよ」
「お前はかける派か? まぁ正直私はどちらでも––––」
「おう、俺はレモンを半分に切って衣がふやけるくらい絞ってかけてるぞ」
「それはいくらなんでもかけすぎだろ!?」
「さんぼーと全く一緒の反応してやがらー、これだからかけない派は……」
「誰でも同じ反応だ!! お前は馬鹿か!?」
その後俺は織斑と食べ物に対する議論をおっぱじめ、一つ新しい事を学べた。
––––それは俺の唐揚げの食べ方が少数派だったと言う事だ、何故?
唐揚げにレモン汁、焼き鳥を串から外すなどなど、食事の話は会話の定番(白目
因みに束さんはかけない派で外さない派です。
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ