天災二人と馬鹿一人   作:ACS

27 / 130
小学二年生 3

 

ある日の休み、俺は篠ノ之ん家の道場で織斑に竹刀を向けていた。

 

というのも『剣を交えた相手とは分かり合える』ってアニメで言ってたからこうやって織斑と戦おうとしてる訳よ。

 

「前からいっぺんやってみたかったんだよなー、剣術っての」

 

「いや、だからって……いきなり私か?」

 

「当たり前だろーだってお前と分かり合う為にやる訳だしさー」

 

 

子供用の竹刀を振り回してた俺は織斑に向けて構えたんだけど、なんだか織斑が迷ってる感じがするな。

 

「ちーちゃーん、一回その馬鹿けちょんけちょんにしちゃってー!! 遠慮しなくていいよー!!」

 

「ふっ、バカめ織斑!! そんで篠ノ之!! 俺の手を良く見てみろ!!」

 

「竹刀を二本握ってるな」

 

「竹刀を二本握ってるね」

 

「そう、竹刀が二本!! 1+1は2だから俺は一刀流の織斑より二倍強いって事だ!!」

 

 

ふっ我ながら完璧な理論だ、1+1も分からないなんて篠ノ之もまだまだだな!!

 

「さーこい織斑!! けちょんけちょんにしてやるからな!!」

 

「酷くやり辛いんだが何とか出来ないか? 束」

 

「あ、あはは、流石の束さんもコイツの頭ん中までは分からないかなぁ……というかどうにもならない?」

 

「えーいごちゃごちゃと、織斑がこねーんなら俺から行くぞ!!」

 

 

二人で話してる間に織斑の側に走り寄った後、二本の竹刀を同時に織斑へ振り下ろしたんだけど、振り下ろした筈の竹刀が二本とも無かった、あれっ?

 

しかもめっちゃ手が痛い、つかじんじんしてて握る力が無くなったんだけど何が起きたのよ?

 

ぽかんとしてると後ろでカランと言う音が二回、ゆーっくり振り返ったら子供用の竹刀が二本転がってた、アレ俺が握ってた奴だよな?

 

織斑の方を振り向いたら真剣な表情で竹刀を振り切った姿勢だった、ああなるほど、弾き飛ばされたのか……。

 

「こ、こ、こ」

 

「こ? こがどうした?」

 

「さぁ? 鶏にでもなったんじゃないかな、トリ頭だし?」

 

「こ、これで勝ったと思うなよッ!!」

 

 

完全に俺の負けだけど、負けだけど!! 一回負けただけだからセーフセーフ!! いやむしろ? 一回負けても二回勝ったらお釣りが来るじゃん? だから全然だいじょーぶ。

 

だから俺が篠ノ之ん家の道場から走って逃げたのは……あれだ、そう、えーっと、なんちゃら的撤退って奴!! 決して負けて悔しかったからじゃねーからな!? 今日は単純に作戦の立て直しをするだけだからな!!

 

 

––––んでまた一週間後の同じ日。

 

今日はアレから腕立てと腹筋をやって来たからこの間よりも俺は更にパワーアップしてる筈、今日こそ俺は織斑に勝てるぞ!!

 

「つー訳で織斑、先週の続きだ覚悟しろよ!!」

 

「また来たのかお前は……」

 

「とーぜん!! しかも今回は更に背中に二つ付けてるからこの前みてーにはいかねーぞ!!」

 

「いや、それは……」

 

 

織斑がまた困惑した顔してるけどなんでだ? 篠ノ之なんかなーんにも言わずに溜息吐いてめっちゃかわいそうな目してんだけど? 初めて見る目してら。

 

けどまた織斑がどうしようか悩んでるけどこの前は斬りかかったら反応してたし、今回も遠慮なく斬りに行ってもいいだろ。

 

「隙あり!! 織斑敗れたり!!」

 

「––––ハアッ!!」

 

 

棒立ち相手に両手で振り切ったんだけど、めっちゃくちゃ早い一振りでまた両手の竹刀を吹っ飛ばされた、コイツ隙無くね?

 

だ、だけどまだ俺の背中には二本竹刀が付いてる、甘かったな織斑!!

 

「あ、あれ? し、竹刀に手が届かねー」

 

「……隙ありだ」

 

 

俺がまごまごしてる間にペシっと頭に振り下ろされた織斑の竹刀、まーた負けたのか俺……。

 

くっ、今回は俺の作戦が悪かっただけだから負けはノーカン、握る所上にしてたから手が届かなかった訳だし? 今度は逆さに付ければ問題無し!!

「もーいっかい!! もーいっかいだ織斑!!」

 

「それはいいんだが……二刀流やめたらどうだ?」

 

「嫌だ!! 二刀流ってかっけーじゃん!!」

 

 

ごそごそと背中の竹刀を逆さまに付け直した俺は泣きの一回を頼んだ後、また二本竹刀を構える。

 

二回負けたから俺は学んだ、同時に竹刀を振り下ろしたから一発で弾かれる訳だから一回ずつバラバラに攻撃したらいいんだって。

 

なんて単純な事だったんだろう、早速実践してやるぞー。

 

とか思って斬りかかったら竹刀を別々に弾かれたぞちくしょう、織斑強すぎるだろ!?

 

「け、けどまだ二本残ってる、今度こそ俺の勝ちだな織斑!!」

 

「––––甘い!!」

 

腰に手を回そうとしたら、織斑は弾き落とされた俺の竹刀を拾って切りかかってきた。

 

とーぜん避けられる訳も無く、見事に引っ叩かれた俺は三回の負けで勝てない事を悟る。

 

「く、くそッ、こうなったら……」

 

「ん? 何をする気だ?」

 

「織斑!! 俺を弟子にしてくれ!!」

 

「……は?」

 

 

そう、勝てないのなら織斑に弟子入りする!! そーすれば俺も強くなれるし織斑の弱点も知れて一石二鳥ってすんぽーよ!!

 

はーっはっはっは、弟子入りしたらぜってー勝ってやるからな織斑!!

 





主人公がちーちゃんに弟子入り(一方的に)しましたが、別に人外レベルの強さは手に入れませんのであしからず(白目

原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)

  • MF文庫J
  • オーバーラップ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。