「なー頼むよししょー、俺と稽古しよーぜ?」
「師匠はやめろ馬鹿!! 私はまだ弟子を持つには早いと何度言えば分かるんだ!!」
「いーじゃんちょっとくらいさー!!」
俺が織斑に弟子入り(勝手に言ってるだけだケド)した日からほぼ毎朝こうやって付きまとってるのに中々コイツは俺に稽古を付けてくんない。
あんだけ強けりゃ別に弟子の一人や二人取ったっていーじゃん、なんで織斑はそれが分かんねーかなぁ?
「大体、私はお前を弟子にした覚えは無いぞ!? なのに何故そんな話になるんだ!!」
「俺がお前の弟子になりたかったから弟子になったんだよ!! 悪いか!!」
「当たり前だこの馬鹿!! 私もまだまだ未熟者なんだぞ、お前の相手をする暇など無い!!」
「いやだ!! 俺はお前に勝つまで付きまとうのやめねーからな!!」
「あーもう、鬱陶しい!!」
途中から段々と織斑もイラついて来てたのか、机の中からノートを取り出して俺の頭をひっぱたいた。
スッパーンっとハリセンでも使った様な音が教室に響き叩かれた場所がヒリヒリする、ナニコレ快感。
「す、すまん、つい手が出て––––」
「ししょー!! もう一発、もう一発!!」
「……どうすれば黙るんだこの馬鹿は」
頭を叩かれた瞬間に鳴ったあの良い音、そして頭の先から突き抜ける衝撃、じんじんと痛むつむじ、その三つのコンビネーションが最高なんだ、篠ノ之に叩かれた時よりも気持ち良かったし、どーしたらもう一発叩いてくれるのかね?
いや待てよ? さっき織斑に絡んでたら引っ叩かれたよな? 篠ノ之と話す時のノリで話したら良いんじゃねーの? やっぱ俺って天才じゃん!!
「ししょーししょー!! 今日一緒に飯食おーぜ!!」
「話の脈略が飛びすぎだ!! いきなりなんでそうなる!!」
「いーじゃん!! 新北海って言うだろー?」
「それを言うなら親睦会だ!!」
「それそれ、それやろーぜ!!」
俺は織斑にへばり付きながらそんな風に付きまとってたんだけど、織斑の手が震えてるのに気が付いた。
そーいや前に織斑はからかわれるのが嫌いだって篠ノ之が言ってたよーな……。
「なーたのむよちーちゃん!!」
「そーかそーか、そんなに叩かれたいのか……どうやらお前には遠慮が要らないようだな?」
ぷるぷると震えていた織斑は、そのまま俺の頭をまたノートでひっぱたいてくれた、なるほどコイツに頭を叩かれるにはからかったら良いんだな?
「ひゃっほう!! いい感じだぜししょー!!」
「……去年この男の事で束を散々からかったが、後で謝らないといけないか」
そう言って深い溜息を吐いた織斑はぐったりと机に突っ伏しちゃった。
多分疲れてるんだろう、なんで疲れてんのかしらねーけど俺は弟子だし、ししょーのマッサージくらいしなきゃいけねーな。
「つー訳で肩揉むぜししょー」
「しなくていい、揉まれるほど肩は凝ってない……」
「なら腰か? 親父も腰揉んでくれって良く言ってるし」
「腰も要らん……」
「ならお尻か? それともふともも?」
「……もう静かにしててくれ」
あれ? 織斑の奴なんでそんな余計に疲れた声してんだろ? しかも静かにって言われたし何がアレだったのかな?
うーん、でもこーいう時篠ノ之の奴はなんだかんだで構って欲しそうな事多いし、織斑も似たようなもんだろ。
とーなると……なんの話すっかなぁ、こないだ唐揚げの話したから飯系は被ってるだろ? きのこの山とたけのこの里どっちが好きかってのは聞くまでも無くたけのこだろーしなー、漫画か?
「てな訳でししょー、ししょーはどんな漫画が好きよ?」
「お前は常に何か話してないとダメなのか……」
「えっ? 別に俺は黙れって言われたら黙れるよ? まー確かに喋り出すととまんねー奴っているよなー、そーそー篠ノ之も好きな事話させると全然話止まんねーし、アイツもそのタイプじゃん? その点俺は直ぐに黙れ––––」
「分かったから少しの間何も話すな、な?」
織斑は気怠げにそう言いながら俺の頭にチョップを落とすと、そのまま俺の口を手で塞いだ。
もごもご口を動かしながらもとりあえず分かった事は、織斑は篠ノ之と同じ距離感じゃダメらしいと言う事。
コイツと仲良くなるにはもー少し会話して織斑の事を知らねーとなぁ。
そんな事を考えながら、俺は織斑が口から手を離してくれるまで黙ったままになるのだった。
主人公のゴリ押しの洗礼を浴びたちーちゃん、この瞬間彼女から遠慮が消えました。
束レベルの厄介者認定って意味ですが(白目
けどこれ書いてると段々とシリアス系の話が書きたくなってくるんですが、どうにかならないものか……。
AC4→ACfa→ISに転生くらいのやつ(白目
……私がやったら絶対各章で百話以上使うからやらないけど(震え声
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ