夏、めっちゃ暑い季節になった。
ジメジメした梅雨の時期は外で遊べなかったし、身体にきのこでも生えそうなくらい嫌な感じだったけどもーそんな心配は無いね!!
耳に響く蝉の鳴き声、温度計の表記が40度を超えた道場、地面から湯気が出るぐれー燃えてる太陽、風も無いから余計に暑さをかんじるぞー。
……太陽なんか死んじまえ。
今日は休みの日を使って篠ノ之ん家の道場に来てるんだけど、人生で初めて友達ん家に行って後悔したわ、暑すぎるだろ。
織斑の真似して道場の端っこで竹刀借りて振ってたけど、最初の一時間くらいで暑さに負けた、流石織斑だわ。
壁の方に寄りかかりながらシャツをパタパタしながら織斑の顔を見てると余裕そうに見えるんだけど、全然そんな事は無かった。
「なーさんぼー、なんかこう、暑くなくなる方法ってねーの?」
「知らないよそんなこと、暑いんだから話しかけてくんな」
おんなじ様にうちわ扇いでる篠ノ之に聞いてみたけど、返って来た言葉がつれなかった、と言うか篠ノ之の奴暑いって言ってる割には汗掻いてねーんだよなぁ。
考えたら篠ノ之も織斑ぐらい強いし、強くなれば暑さにも勝てるのか……。
「なーさんぼー、お願いがあんだけどー」
「はぁ? なんだよ……」
「ちょっと行って、太陽倒して来てくんね? そしたら涼しくなるだろー?」
暑さに勝てるって事は太陽に勝てるって事、そして俺はこの通り暑さに負けてへばってるから動ける篠ノ之に頼むのが良い筈。
「……そんなことしたら地球凍るよ?」
「大丈夫大丈夫、カイロもストーブあるし、いけるって」
「そんなので耐えられる訳ないじゃん」
呆れた様な目で俺を見る篠ノ之にマジでこの作戦はアウトだったのかと分かったので、とりあえず暑さを我慢する方向で行くしかなくなった。
……暑さで頭の中がよく分からない事になってるだけなんだけどね。
雨が長けりゃ嫌になるし降らないと降らないで暑すぎるし、なーんで年中春と秋じゃないのかなぁ夏冬いらねーだろ。
そんな事を考えてると織斑が休憩時間になったのか、額に汗を浮かべながらこっちに来たので置いてあったタオルとスポーツドリンクを投げ渡してあげた。
「ん? すまんな」
「おー、気にすんなって、つか俺が勝手に来て邪魔んならねーところでへばってるだけだし、こんくらいはなー」
「はーいちーちゃん、束さんのうちわ扇ぎだよーそこでへばってる馬鹿と違ってカッコいいちーちゃんにはパタパタをプレゼントだよー」
「さんぼー、なんか何時もよりもアホっぽいぞー」
なんか若干のアホっぽさが出てるあたり篠ノ之も暑さにやられてたらしい、頭動かして室内温度計見たら41度になってた、恐るべし太陽。
「あ、一句出来た『まぶしいな、たいようなんか、きえちまえ』」
「いきなりなんだ?」
「ちーちゃん、コイツ今暑さで頭茹だってるからいつも以上に意味のないことだと思うよ? 多分思い付いた事を垂れ流しただけ」
反論したかったけど事実なので口を開こうとして止めた、今俺の頭はでろんでろんになってるだろうし。
家から持って来た凍らせたペットボトルのお茶を頭に当てながら自分の頭の心配してると、篠ノ之と目が合った。
「どったのー?」
「私的にはどーでもいいんだけど、冷やすなら首にしなよ」
「頭暑いから頭冷やしてんだけど、違った?」
「動脈と静脈が……って言っても分かんないか、とにかく早く身体が冷えるんだよ」
「はえー、流石さんぼーだなー」
篠ノ之が言うなら間違いないんだろう、そう思って首筋にペットボトルを持って行くと確かに気持ちいい。
「ありがとなーさんぼー、もー少ししたらまた竹刀振るわ」
「ふん、熱中症になられたら困るだけだよ」
ふいっと何時もの様にそっぽを向いた篠ノ之、何だかんだ言って優しい奴だよなぁ、弟か妹が出来たら絶対いいおねーさんになると思う。
そんな事を思ってる内に身体から熱が引いたので織斑に竹刀の握り方を教えて貰おっと。
「てな訳でししょー、竹刀の握り方と振り方教えてくれねー?」
「……まぁ休憩の合間だしそれぐらいなら構わないぞ」
「やった、なら早速教えてくれよ!!」
普段から稽古付けてって言っても中々やってくんねーからなー、せめてこれぐらいは教えて貰いたい。
早速立ち上がって竹刀を構えたら織斑が後ろからハグする様に俺の手を握って握り方と振り方を教えてくれた、耳元で解説されるのが妙にこそばかったけど。
けどこれで俺は更にパーフェクトになった、はーっはっはっは!!
––––とか言って気合い入れて全力で竹刀振り回してたら5分ちょっとでバテて篠ノ之に鼻で笑われた、ちくしょう。
そろそろ箒ちゃん達を出そうと思ってたんですが、原作開始時点で千冬姉が24って事は恐らく二人は小3の時に生まれてるんですよね……。
そのせいで書き直すハメに……。
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ