天災二人と馬鹿一人   作:ACS

32 / 130
小学二年生 7

 

今日は学校行事で町内清掃のボランティアをする事になった。

 

二人一組でクラスごとに分かれてのゴミ拾い、篠ノ之の奴が昨日の帰り道にブツブツ文句言ってたけど俺はこう言った活動は好きだったりする、だって授業受けなくていいし。

 

「あっちーけどやっぱ外はいいよなー」

 

「そうだな、それにこうやって町のゴミ拾いをしてると気分も良い」

 

「おー確かに、なんつーか町にこーけんしてる感じするよなー」

 

 

ゴミ拾いのトングで落ちてる吸い殻とかちり紙とかを拾いながら一緒に回ってる織斑と雑談してると、視線の先に篠ノ之が見えた。

 

思わず声をかけようとしたんだけど横に居た織斑が唇に指を当てて来たので思わず黙ってしまう。

 

よく見ると篠ノ之の横には同じクラスの人らしき子が居る、会話は無いけれど簡単な返事くらいは返してるので去年のアイツに比べたら大分変わったなぁ。

 

「折角だ、このまま私達は私達のまま回ろう」

 

「えっ? なんで?」

 

「アイツがサボっていないのは珍しい事だからな、私達が接触するとやる気を無くすかもしれん」

 

「ふーん、そんなもんなのか?」

 

 

ま、確かに未だに俺達以外にまともな会話してるの見た事ねーしなぁ、二年になってから余計に空を見てる事が多くなった気がするし、やる気出してるなら水差すのもアレかな?

 

「……それに夏日のゴミ拾いで馬鹿二人の面倒は見たくない」

 

「ん? なんか言った?」

 

「いや何でもない」

 

「ふーん……おっ? 猫だぞししょー!!」

 

「フラフラと横道に行くんじゃない……さっきも注意しただろう」

 

「だって三毛猫の野良猫だぜ? ちょっとくらい良いじゃん」

 

「ダメだ行くぞ!!」

 

「いてて、耳引っ張んなって!!」

 

 

息抜きのつもりで言ったのに織斑は真面目だからか全然通じなかった、篠ノ之なら止めなかっただろーに。

 

まあその真面目なとこも織斑の魅力だし大人しく従っとこう、俺は学習する男だから!!

 

 

とか思ってたら織斑に軽くチョップされた、なんでもアホな事考えてたのが顔に浮かんでるとかなんとか。

 

もしかしたら織斑は前に断念した会話せずに意思疎通がやれるかもしれ––––。

 

「残念ながら出来ないぞ、私は束とは違うからな」

 

「いやいや、考えてる事エスパーしてる時点で十分可能性があるって」

 

「勘だよ、特にお前は考えてる事が表情に出るだけさ」

 

「前にさんぼーにも言われたんだけど、そんなに顔に出る?」

 

「注視してればよく分かるよ」

 

 

がさがさと潰れた空き缶を入れながらそう言う織斑、注視って事は良く見れば分かる表情を俺はしてんのか……。

 

なら顔を引き締めてキリッとしてみるか? ゲームに出て来る強キャラって大体織斑みてーにキリッとした顔してるし、そーすりゃエスパーされる事ねーだろ。

 

……されても問題ねーけどさ。

 

「つー訳でししょー」

 

「なんだ? そろそろ時間だろうし戻ろうと思うんだが……」

 

「キリッとした顔!! キリッ!!」

 

「…………どう、コメントしたら良いんだ? 私は」

 

 

あれ? 困られたぞ、何故に?

 

「いやほら、良く分かる表情してるっつーからキリッとクールな顔してみたんだけど?」

 

「……そ、そうか」

 

「ほら、こーゆーのってキャップ萌え? って言うだろ、前にテレビで見たから知ってるんだぜ?」

 

「それを言うならギャップ萌えだ……」

 

頭を抑えながらため息を吐く織斑、頭でも痛いのかな? するってーと夏風邪か、辛いらしいし熱があるのかね?

 

もし本当に風邪なら一大事、俺は織斑の前に回り込んだ後に、顔を上げた織斑のおでこと俺のおでこをくっ付けて見たけど、織斑に熱は無かった。

 

けど、顔を真っ赤にした織斑に突き飛ばされた俺は背中をアスファルトのフライパンの上で焼かれてしまった、流石の俺もこの熱さは気持ち良くない。

 

「い、いきなり何をするんだ!? 反射的に突き飛ばしてしまったぞ!?」

 

「いやーははっ、頭押さえてたから風邪かなーっと思ってさぁ」

 

「それなら手を使え手を!! 何故顔を近づけるんだ!? 羞恥心は無いのか貴様には!!」

 

「だって軍手外すの面倒くさいし……そもそもゴミ拾いの最中なんだぜ? 手もきたねーだろ?」

 

 

トングも古い奴でちょっとサビが付いてるし、それ以外にも色々ゴミ拾ってるしちょっと女の子の顔に触るのは気がひけるんだよなぁ。

 

大分顔が赤くなってるし、もしかしたら本当に風邪だったりしないだろうな? うーん心配だ。

 

「なーししょー、もう一回熱計らせてくんね?」

 

「待て大丈夫だ、今から深呼吸するから顔をコッチに向けるな」

 

「深呼吸で風邪が治るのかよ?」

 

「……あれだ、病は気からという言葉があるだろう? それと一緒だ、呼吸を整える事で氣を練って体調を整えるんだ」

 

「な、なるほど、流石ししょー!!」

 

「……信じるとは思わなかった」

 

 

そっかそっか、病は気功波だもんな!! 織斑なら自力で治すか!!

 

俺も将来氣が使える様にならねーかなぁ、とそんな事を考えながら俺達は学校に帰るのだった。

 





男慣れしていないちーちゃん、顔を近づけられたから照れました、何だかんだ言って根が乙女です(白目

束さんが漂白されつつあるので渋々文句を言いながらもこの手の行事に参加してくれてます、尚主人公orちーちゃんが同じクラスならもう少しテンションは違いました。

原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)

  • MF文庫J
  • オーバーラップ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。