天災二人と馬鹿一人   作:ACS

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なんとか間に合ったので二投目。


小学二年生 8

 

世の中には要らないもんが沢山あると思うんだ、ピーマンとかプチトマトとかさ。

 

いや、前に篠ノ之から裏技教わったけどやっぱ苦手なもんは苦手なんだよ。

 

大体無くたって生きていけるのになんで大人ってのは無理矢理にでも食わせようとするのかな? この前もチンジャオロースのピーマンを『意地でも食わねー』って残したら母さんが『意地でも食わせる』って言って一週間連続でチンジャオロース出してきたし、本当大人って卑怯だよな。

 

「だからさ、夏休み前のテストって要らないと思うんだよね? さんぼーもししょーも分かるだろ!?」

 

「束さんも今まで同じ意見だったけど君と意見が被ったからテスト必要派に寝返るね?」

 

「酷くね!? ししょーは俺の派閥だよな!?」

 

「私はお前のお母様に頼まれたからな、勉強を見てやってくれって」

 

 

そう、俺が自分の部屋で教科書を捲るハメになったのは母さんの所為なのだ。

 

偶々買い出しの手伝いに駆り出されていた俺は近所のスーパーでスポーツドリンクを買ってる織斑と会った、そこまではいい。

 

けど世間話の最中に織斑が『そう言えばテストは大丈夫か?』って口を滑らせたもんだから、そっから今まで全力で隠してたテストの存在がバレて……はぁ。

 

母さんは花見の後もちょくちょく買い物とかで道場帰りの織斑とばったり会う事があったりして世間話をするらしく、話の流れで俺の勉強を見る事になったんだ。

 

んでどうせだからと歩く辞書の篠ノ之にヘルプの電話を入れて勉強タイムがスタート、母さんの野郎何という卑劣な人なんだ!!

 

「鉛筆を握りしめてないで問題を解け」

 

「ぐぬぬ、ししょーの裏切り者め!!」

 

「仮にも私を師と呼んでいるのなら私が言った事には従え。束、問題を出してやってくれ」

 

「仕方ないなぁ……問題、カナダのオンタリオ州とアメリカのニューヨーク州を分ける国境でもあり観光地としても有名な滝の名前は?」

 

「写真はこれだ」

 

頬杖を付きながら俺の勉強椅子に足を組んで座る篠ノ之と、地理の教科書を開き問題の答えになる部分を指で隠しながら写真を見せる織斑、なんたって家でまで授業を受けなきゃいけないんだ……。

 

けど、滝かぁ……写真もテレビとかでよく見る滝だし、なんちゃらガラの滝とかじゃなかったかな?

 

「えっと、鶏ガラの滝?」

 

「違う、そんな出汁の出てそうな名前じゃない」

 

「海外の滝なんだから横文字に決まってるだろ馬鹿」

 

横文字? 横文字かぁ、ヒント貰ったし喉まで出かかってるんだけど中々出てこねーんだよなぁ、いやでもそれっぽいのを思い出したわ。

 

「分かった!! バイアグラの滝だろ!?」

 

 

そう俺が答えた瞬間篠ノ之の顔が真っ赤になり、座ってた椅子のクッションを顔面に投げ付けられた、何でだ?

 

織斑の方を見ても首を傾げてるし、何で顔真っ赤にしてんだろ?

 

「なーさんぼー、バイアグラじゃねーの? バイアグラって横文字じゃん? 意味知らねーけど」

 

「さ、さっきからそんな言葉を連呼すんなよ!! 私だって女の子なんだよ!?」

 

「えっ? 何言っちゃダメな奴なの? 意味おせーてよ」

 

「そ、それは……その……あの……」

 

 

おろ? 珍しく篠ノ之の目が泳いでやがる、顔も赤いしそれほど言いにくい恥ずかしい意味なんだろうか?

 

見兼ねた織斑が篠ノ之んところに言って内緒話したと思ったら、織斑も顔を赤くしちまった。

 

しかもその後『こ、答えはナイアガラの滝だ』と少し上ずった声で答えを教えてくれた、うーん惜しい。

 

その後もしばらくの間真面目に勉強してたんだけど、気が付いたらもう大分遅くなってしまった。

 

「ん? もうこんな時間か……」

 

「おーおー、夕飯の時間だぞー」

 

「ちーちゃん、今日はこのくらいにしとこうよ? この馬鹿途中から入って来た言葉が右から左に流れてたみたいだし」

 

「仕方ないな、続きは明日だな」

 

「明日も地獄が続くのかー、絶対母さんに仕返ししちゃる」

 

 

ぱたぱたと勉強道具を片付ける二人だったけど、途中で織斑のお腹の音が鳴ってしまったので折角だし母さんに頼んで夕飯をご馳走してもらった。

 

最初は織斑も断ってたんだけど、勉強会のお礼と言う言葉と遠慮してる時にもお腹の音が鳴ったから結局食ってく事にしたらしい、篠ノ之も織斑が居るからって理由で一緒にな。

 

…………けどさ、俺一個言いたいんだよね。

 

「……なー母さん? 今日で8日目だぞ? いい加減チンジャオロース以外のメシ作ってくれよ!!」

 

「アンタにはオムライス作ってやったでしょ? 我慢して食いなさいよ」

 

「俺の知ってるオムライスは中身の半分以上が微塵切りされたピーマンとか言う謎料理じゃねーよ!? 玉子の部分割ったら中緑色って俺の目が腐ってんのかと思ったわ!?」

 

「はぁお客さんが来てるのに意地はってんじゃないわよ……いいから食え」

 

「…………ハイ」

 

 

母さん、指鳴らしながら食う事強要すんのは反則だって……。

 

織斑も笑い堪えてるし、篠ノ之なんかノーリアだし、お前らも覚えてろよ……。

 

二人に復讐を誓いつつ、母さんの恐喝に負けた俺は仕方なくピーマンを口にした。

 

 

…………甘くなるまでが苦いんだよなぁ。





主人公の無自覚セクハラ、知識のある束さんにクリーンヒットしました(白目

ピーマン克服しててもやっぱ苦手な主人公、無理矢理食べれば食べれるけど進んで食べようとは思わないって奴です
(震え声

原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)

  • MF文庫J
  • オーバーラップ

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