今日と明日は申し訳ないですが一話投稿になります。
篠ノ之の箒ちゃんフィーバー(本人命名)を乗り越え、織斑と二人きりの勉強会でなんとかテストまで頑張った。
そのおかげで大分問題が解けたし、今回はちゃんと1問目から順番に解答欄を確認して答えを書いたから篠ノ之に馬鹿にされた様な事にはならない。
「ふっ、今日ほどテスト返しが待ち遠しい日はねーぜ」
「テストの日に全問解答できたと張り切ってたものな、教えた側としても嬉しいよ」
「おう、ありがとなししょー!!」
この半月間、途中で箒ちゃんフィーバーの所為で勉強会に来なくなった篠ノ之の代わりに宿題見てくれたり、教え方を工夫してくれたりと織斑には世話になりっぱなしだった。
なーんかいいお返し考えられねーかな? 篠ノ之といい織斑といい、中々喜びそうなもんが思いつかねーんだもん、どーすっかね?
親父や母さんに聞くのもなんか違うだろうし、織斑の喜びそうなもんか……。
「つーわけでししょーや、なんか欲しいもんある? 勉強会の御礼がしてーんだけど?」
「なに、礼を言われる様な事はしてないさ」
相変わらずクールな態度でそう言う織斑、本気でそう思ってるんだろうけどそれじゃ俺の気が済まないんだよなぁ。
何とか俺のこの気持ちを受け取ってくれないものかと考えてたら予鈴のチャイムが鳴ったので雑談を切り上げる。
いやぁそれにしても今回のテストは強敵だった、何せ問題が50問もあったから時間ギリギリに終わったしな!!
けどその分手応えはあった、これなら70点は行けるぞー!!
「––––くん、早くテストを取りに来なさい」
「あっ、はーい先生!!」
「はいどうぞ、今回は頑張りましたね?」
「ふふん、なんたってししょー……じゃなかった、織斑に勉強を教えて貰ったからな!!」
「ああ、先生も採点してて分かったよ、勉強したんだなぁって」
「そーでしょそーでしょ?」
「––––解答用紙の裏表さえ間違えて無ければ平均点以上だったのに、残念だったな」
そう言って、先生は俺にテストの解答用紙を渡してくれた。
右上にデカデカと赤ペンで書かれた0点の文字、そーいや名前書いた後に裏面確認してそのまんま解答したよーな気が……。
あれ? そんなバカな、こんな事がある訳が無い、きっと夢に違いない。
「な、なーししょー? ちょっと俺のほっぺたつねってくれねー?」
「……普通、そんなポカはやらんぞ」
溜息混じりで織斑はそう言いながら俺のほっぺたを抓ってくれた、痛いから現実なんだネ。
ちきしょーマジかよ!! 俺散々母さんに全問記入出来たとか、70点はいけるとか自慢しまくったんだぞ? あの母さんに0点だってバレたら……考えたくねー。
「あの、ししょー? この事黙っててくれる気は……」
「……すまんな、私はその手の嘘が嫌いでな」
「デスヨネー」
思わずカタコトになってしまうほどどうしようもない、いっそ0の前に10を付け足して100点満点に偽造して……ダメだこの先生採点が丁寧な人だから赤ペンでちゃんと間違い箇所に赤文字で記入してくれてる。
……50問全部に書き込まれてるから偽造もクソもねーや。
「なーなーししょー放課後俺ん家来てくれよ、俺多分母さんにど叱られるから形見分けを……」
「縁起でもない事を言うな、誠心誠意謝るしかあるまい」
「母さん説教の時の目付き怖えんだよ……足組んで座りながら説教だし、なんかこう、アレなんだ」
「はぁ……仕方ない、私も一緒に謝ってやる」
「ほんとか!! ししょーマジ天使!!」
俺は織斑の手を握りながらお礼を言ったんだけど、何故か目を逸らされてしまった。
最近思うんだけど織斑の奴ってなんか目を逸らす事多いよなぁ、人の目を見て話せって言うし俺の目を見て話してくんないかなぁ。
「なんで目を逸らすんだよししょー、俺は単にお礼を言ってるだけだぞ?」
「れ、礼を言うだけなら手を握りながら顔を近づける必要なんてないだろう!?」
「いやだってししょーの顔ってきれーだからさぁ」
「お、お世辞はやめろ!!」
「えー? 俺単に思った事言ってるだけなんだけど……」
顔を赤くして横を向いてしまった織斑、篠ノ之に同じ事やっても『はいはい』くらいのリアクションだからなぁ、ほんとなんでだろ?
––––その後、織斑は約束通り放課後に母さんにテストを見せた時のお説教にフォローを入れてくれたので、軽いお説教で済んだ。
なので勉強会とフォローのお礼に、俺のお気に入りだったおもちゃのコルトパイソンって銃をプレゼントした。
まぁ子供向けのプラモデルだからそんなに質の良い奴じゃないんだけどさ、漫画のキャラが持ってた奴だから今年のお年玉で買ったんだよねー。
織斑も確か読んでた漫画だった筈だし、俺の誠意は伝わったはず。
でもまた断られるんだろーなと思ったんだけど、意外な事に『良いのか?』って言って受け取ってくれた。
……今年はこんな結果だったけど、来年は絶対満点とっちゃるぞ。
コルトパイソン357マグナム、ちーちゃんに渡したのは低学年用のプラモです。
尚この銃はシティーハンターの主人公冴羽獠が持ってる銃であり、彼はこの時代のちーちゃんの理想の男性だったりします(ボソッ
ま、"この時代の"ですが(白目
だからこの後家に帰ったちーちゃんは誰もいない事を確認してからひっそりとシティーハンターごっこして遊びました。
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ