けどこの後のちーちゃん回、シリアスにならないと良いなぁ……。
その日の俺は珍しく家でゴロゴロしながら再放送の『衝撃!! 日本と世界のUMA達!!』とかいう番組を見ていた。
多分篠ノ之が一緒にいたらボロクソに言われるんだろなーとは思うけど、こーいうのもロマンの一つだって親父が言ってたし、実際ツチノコだとか河童だとかは居そうな気がしてワクワクする。
家の裏にツチノコとか居ねーかなぁ? 蛇みたいなもんらしいしテキトーな罠とかで案外捕まえられたりしてな。
河童も河童できゅうりが好きって言うし、俺の持ってる子供用の釣竿にきゅうり付けて糸たらしゃ釣れるんじゃね? そしたら俺有名人になれちゃったりするのかな?
よーしそうと決まれば早速釣りに行くぞー!!
「てな訳でししょーや、釣りに行こーぜ釣りに」
「……態々道場に来てまで何を言ってるんだお前は?」
小さい釣竿を引っさげて稽古してる織斑ん所に行ったらちょうど休憩中、だからそのまま話しかけたんだけど困った顔をされちまった。
しかも丁度そのタイミングで篠ノ之が箒ちゃんを抱っこして織斑の様子を見に来たもんだから……。
「ほーら箒ちゃん? あの馬鹿がまーた馬鹿な事言ってまちゅよー? 頭の中に蟹味噌でも詰まってるんでちゅかねー? ほーきちゃんは、あんな馬鹿になっちゃダメでちゅよー?」
「さんぼー、聞こえてんだけど……?」
「当たり前だろ? 聞こえる様に言ってんだから、大体こんなところまで来てそんな馬鹿みたいな思い付きにちーちゃんを付き合わせんなよ、てかなんでちーちゃんなんだよ? 私を誘うならともかく、ちーちゃんが剣術の稽古で忙しいのは知ってんだろ? 私を誘うならと・も・か・く!!」
「えっ? だってお前箒ちゃんに構ってばっかじゃん? それにツチノコだとか河童だとか嫌いじゃん? そんなら一応は付き合ってくれるししょーを誘うに決まってんじゃん」
ブツブツ文句言われるよりもなんだかんだで付き合ってくれる方が楽だからなぁ。
まぁでも確かに言われてみればそーか、ししょーはししょーで忙しいし誘うなら篠ノ之だよなぁ、何だかんだ言って最近あんま篠ノ之と遊んでなかったし。
……てかなんで最後ちょっと強調したんだ?
「まぁいいや、んじゃさんぼー? ししょーの代わりに一緒に行く?」
「……ちーちゃんの代わりってのが引っかかるけど、偶には君に付き合ってやるよ」
おー珍しい、前に幽霊探そーぜって言ったら『は? んなもんどーやって探すんだよ、てか仮に出るとしても夜中だろ? 態々そんな時間に出歩くなんて面倒だろ』とか言ってめっちゃ馬鹿にされたのになぁ。
まぁ細けぇ事はいいや、取り敢えず篠ノ之が来るなら話し相手には困らないわな。
「なら行こーぜさんぼー? 虫除けも持って来てるし二人で––––」
「––––丁度今日の分の稽古が終わった所だから私も行こう」
「あれ? ちーちゃん何時も居残り稽古してるよね? ––––なんでまた」
「ふっ、私も偶には馬鹿に付き合おうと思ってな?」
「……ふーん」
なんだろ、背中が一瞬ぞくっとしたんだけど秋だし風邪引いたかな? それに織斑もなんか食い気味に行くって言ったよーな…………気のせい、だよな?
二人の顔を見比べてみたけど何時もの感じに思えるし、きっと俺の勘違いだろう。
あんまり深く考えないようにしながら近所の池にまで来た後、家の冷蔵庫から持って来たきゅうりを何本かまとめて吊るして池の中へ投げる。
「ふっふっふ!! 母さんが張り切って買ってきた採れたて新鮮のきゅうりだぞー? 出て来いよー?」
「……勝手に持って来て大丈夫なのか?」
「……ちーちゃん、大丈夫だと思う? あのお母さんだよ?」
「……それもそうだな」
俺の末路を悟ったのか、コイツらはヒソヒソと不吉な会話をしながら俺に同情の視線を向けて来た。
ハハッ!! そんな未来俺が想定してないとでも? 大丈夫大丈夫!! 特に何も対策してねーから絶対叱られる。
そもそも俺の頭じゃ言い訳とか思い浮かばないし、言い訳をした瞬間母さんの説教が長くなるから何もしないのが一番!!
俺の両脇にしゃがみ込んで水面を眺める二人の呆れた視線を受けながら、そんな事を考えるのだった。
……そうそう、河童もツチノコも見つからなかったし、帰ったら母さんにめちゃくちゃ叱られたよ? ちくしょう、素直に堂々ときゅうり持ってった事言ったのにお説教に容赦がなかった。
※まだlike。
好きな友達を取られたらちょっとムッとするよね? つまりそういう事(白目
尚束さんはクラスが別々なのが効いてる模様(震え声
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ