ちーちゃん回ですが、ちょっと遅くなったのはうっかりシリアス化し過ぎたからです(震え声
いっそちーちゃん視点はシリアス振りにしてしまおうか(白目
昼休みに屋上で束と昼食を食べていた私は話の流れから校庭でドッジボールをしている彼を上から眺めていた。
昼休みになった途端に弁当を素早く食べ切ってしまったから元々そういう約束をしていたんだろう、今日は一緒に食べようと思っていたんだがな……。
そんな小さな落胆を感じては居たがこうして眺めていると彼の友達の多さを実感する。
私もそれなりに話す友人は居るが……腹を割って話せるかと言えば疑問だ。
まぁ横で少しつまらなさそうに彼を見ている束よりはマシな人付き合いをしている自信はあるが。
「ねぇちーちゃん、なんであの馬鹿は落ち着きが無いのかな? 三限目体育の授業だったよね? 馬鹿は疲れないんだね」
「今日の体育はサッカーだったからな、アイツは忙しなく動き回ってたよ」
「……これだから馬鹿は」
そう言ってため息を吐く束を横目で見ていたが、呆れてはいるものの視線を外そうとしない。
口ではキツイ事を言ってはいるが結局束の中では線引きの内側に居るんだろう、本人は認めたがらないが。
彼は明るい馬鹿だ、頭の中では道筋を立てて考える事が出来ているのにその過程を省略して話す癖があったり、どんな人とも仲良くなれると信じてるから基本的に人見知りをしない、その心の広さを少しは分けて欲しい。
「ちぇっ、あの馬鹿もう当てられてるよ」
「どうせ変な魔球を開発して失敗したんだろう?」
「ピンポーン、腕をぐるぐる回して真上に投げちゃって自分の頭にボール落としてたかな? あっフィールドに戻った、そもそも変な事しなかったら当てられなかったんだよ」
「馬鹿な奴だな……まぁそんな馬鹿だからだろうな、側にいても苦じゃないのは」
「……ふんだ」
あの馬鹿が側に居ると良い意味で肩の力が抜ける、色々な不安や不満が溶ける様に消えるから私もつい側に居て欲しくなる時がある。
特に彼が家に遊びに来た時だとかはそうだ、時々別れ際にもう少し遊んで欲しいと言う寂しさを感じるんだ。
それは束も同じなんだろう、彼が道場に顔を出すと分かりづらいがほんの少し嬉しそうな顔をする。
今だってブツブツと文句を言いつつも彼の活躍を眺めてる、彼がボールに当てられたらイライラしているし逆に誰かへボールを当てた時は余計な一言を言いつつもホッとしたりと色々忙しい。
……あっ、また当てられたなあの馬鹿。
「まったく、馬鹿みたいに高笑いをしながら胸を張ってるからだ、あれぐらいアイツでも避けられただろうに」
「ほんとだよ……直ぐに調子に乗るんだから」
「むっ、またフィールドに戻ったが……残り二人になってるな」
つい束と一緒に身を乗り出しながら見てたが、最終的には彼が当てられてゲームセット、最後の一人になって外野と内野のキャッチボールに挟まれた状態だったから仕方ないか。
「ふん、なにさなにさ楽しそうな顔をしちゃってさ……」
「いいじゃないか、彼は友達が多いんだ。私達が特別仲良しな訳じゃない」
「……でもあれだけちょっかい掛けてきてたんだよ? なのに最近は全然だし、偶には私に会いに来いよ」
ムスッとした顔で文句を言う束、私はその言葉に何かを言おうとしたのに掛ける言葉が見つからず、口を開けなかった。
……何となく彼が私の事よりも束を優先するのが気に入らず、不愉快なモヤモヤを感じてしまったのだ。
親友に対して暗い気持ちを抱いた自分が情けなく、またその原因も分からない。
こんな時ほどあの馬鹿と話していたいんだがなぁ……。
頭を振ってそんな嫌な気持ちに区切りをつけると、それと同時に昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「はぁ、またつまらない時間が始まるよちーちゃん……」
「放課後まで我慢しろ」
「ちぇ、どーせちーちゃんはあの馬鹿が話しかけてくるから暇じゃないんでしょ?」
「さっきも言ったが、彼にとって私達は特別な友達と言う訳じゃないんだ、良く話すが彼は私以外の人とも会話してるよ」
「ふーん、相変わらずいろんな奴と話してるって事はあの馬鹿には話の引き出しが多いんだねぇ……まっ大半が身にならない話なんだろうけど」
弁当箱とシートを片付けた私達は、そんな事を言いつつ自分達の教室へと戻って行った。
……特別な友人ではない、か。
ちーちゃんの内心が少し変化しつつありますが、恋愛感情が芽生える一、二段階前くらいに思ってください。
束さんは気難しい猫に近いです、撫でて欲しいけど撫でられ過ぎるのも嫌、でも構って欲しい的な?
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ