今日は天気が良かったので朝から町を散歩してぶらぶらしてた。
冬休みだから近場の友達もスキーとか旅行で居ねーし、道場もこの前行ったしなぁ。
連続して行っても良いんだけど、遊びに行ったり見学してるだけだからあんまり顔を出すのも邪魔になるし、今日はやめとこう。
そんな事考えながら誰か居ないかなと思って公園に行ったら、知り合いの大学生がベンチに座って絵を描いてた。
この人は絵の学校に行ってる人で、時々会った時に絵の描き方とかを教えて貰ったりしてる。
今日は宿題の絵を描いてる途中だったらしく、今日は風景の描き方だとか、色の使い方を教えて貰えたんだけど宿題の途中だしちょっとだけ教えて貰ってから別の所に行った。
少し足を伸ばして河川敷、近所のじいさんが犬を連れて散歩してたから挨拶して犬を撫でさせて貰おう、このじいさんの犬ってなんかめっちゃもふもふの柴犬だから触ってて気持ちいいんだよなぁ。
撫でたついでにじいさんの昔話を聞きながら一緒に散歩してたんだけど、コースを一周しちゃったのか直ぐにじいさんの家に着いちゃった。
少し残念に思ったけど、近くの自動販売機でココアを買ってくれたのでそれを飲みながら次はどこに行こうか考える。
雲が一個も無いくらいだし家でゲームすんのも気分じゃないし、外で遊びたかったんだけど中々上手く行かないなぁ……せっかくだし自転車で隣町まで行って見ようかな?
丁度爺さんの散歩に付き合ったから家の近くに居るし、隣町なら野球できる広場があったはずだから中々妙案って奴じゃね?
よし、そうと決まればちゃっちゃと行こう。
–––思い付いたがなんちゃら、補助輪付いたまんまだけど全力で自転車を漕いで隣町まで行くと、狙い通りに知ってる子が野球やってた。
「おーい、暇だから入れてくれねー?」
「いーよー」
やった、あっさり仲間に入れたぞ? ふっふっふ、これなら初めからコッチ来てりゃ良かったじゃん。
『マジ助かったー、なんか相手のチームにすんげー強いピッチャーが居て全然勝てなかったんだ』とか言われて直ぐに代打に出されたけど、俺のバットで逆転してやるぜ!!
「よっしゃこ––––って、あれ? ピッチャーってししょー?」
「私の友達が急に熱を出してな、その代わりと言ったところだ」
「ほえー、今日は稽古無かったのかー」
…………あれ? 織斑がピッチャーって事は俺打てなくね? 体育の授業でいっぺんも勝った事ねーよ?
ちらっとスコア代わりのちっちゃいホワイトボード見たら4回裏で3対0、ホームランが二本入ってるけどソレって多分織斑が打ったんだろなぁ。
「し、ししょー? 俺はお前の弟子だし勿論手加減––––」
「安心しろ、私は知り合いだからと言って手を抜く事はしない、正々堂々全力を出してやろう」
そう言いながら織斑は本当に全力で投げて来た、しかも近くのバッティングセンターのボールなんか目じゃないほど速え、キャッチャー取れんのかよ。
あんまり速いもんだから全く反応出来なかったんだけど、それはキャッチャーの子も同じだったらしく咄嗟に避けてた。
……てかキャッチャーが避けるってか、バッターの俺でも割と怖い速さだし多分座って受け止めようとしたらもっと怖いんだろな。
さーて打てるかどうか怪しくなったぞー? 寧ろ打つの諦めて振り逃げっての狙ってみようかなー?
そんな事考えてたら二投目がど真ん中を通ってった、あっまた反応出来なかったや。
んで三投目、とにかく見逃し三振はカッコ悪いから織斑の性格を考えて、投げてくるだろうコースを予測しながらバットを振った。
やっぱボールの速さに反応できなかったけど、俺のその作戦はドンピシャだったらしくバットはボールを捉えられた。
……うん、一応はね?
いや、当たるには当たったんだよ? でもボーリングの球でもブッ叩いたみたいな重さで全然前に飛ばなかった。
しかも手がジーンとして力が入らない、グーパーしてもマジで感覚がねぇ、凄えな織斑。
結局その後も俺達は逆転する事が出来なかったし、完全試合も食らっちゃった、あんまりにも織斑の奴が強すぎたんだよ……。
「ちくしょー、次は絶対に勝つからなー!!」
「……ふっ、それは楽しみだ」
帰り道に自転車の後ろに乗せた織斑に向かって俺はそんなリベンジを誓うのだった。
今回ちーちゃんは単純に自分の友達に代理を頼まれただけなので多分シリアスはありません(白目
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
-
MF文庫J
-
オーバーラップ