天災二人と馬鹿一人   作:ACS

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ちーちゃん回+クリスマス回=滲み出る黒さ(震え声




小学二年生 19

 

 

あと三日でクリスマス、サンタさんがプレゼントを配ってくれる最高の一日だ。

 

でも俺は知ってるんだよなー、前に母さんが『サンタさんは世界中回って忙しいから、普通は家の人が代理でプレゼントを用意してるの、だから普段から私達に感謝しなさいよ?』って言ってたからプレゼントを置いてるのは親父か母さんだって。

 

ま、プレゼント自体はサンタさんが用意してくれてるらしいし問題は無いよな、うん。

 

去年は自転車だったし今年は何頼もうかなぁ? ゲーム機ってのもありきたりだし、漫画はお小遣いで買えるからわざわざサンタさんに頼まなくてもいいし……。

 

「てな訳でししょー、何頼んだらいいかな?」

 

「だから窓越しに話しかけるなと言ってるだろう……」

 

「何時もの事だからいーじゃん、そもそも宿題してんだろ? ピンポン鳴らしたら気が散るだろ?」

 

「はぁ……まあいい、で? 何がどんな訳なんだ? 過程を話せ過程を」

 

 

意見を聞きに近くの織斑ん家に行ったんだけど、そんな事を言われたからちゃんと一から順番に説明をする。

 

んで話を聞き終わった織斑は『うーん』と珍しく悩んじまった、プレゼントの話なのになんでそんな悩むんだろ?

 

「そういやさー、織斑は去年のクリスマスに何貰ったんだ? やっぱ竹刀とか木刀か?」

 

「…………何も」

 

「ん? 何もってどーゆー事よ?」

 

「私は……クリスマスプレゼントと言う物を一度も貰った事がないんだ」

 

「あーっと……その、えっと、なんかゴメンな?」

 

家庭の事情って奴なのか? でも織斑のお父さんもお母さんも織斑へのプレゼント預かってんだろ? ならなんで渡してやんねーんだろ? 寂しそうな織斑の表情がせっかくのクリスマスなのに見てて凄く悲しい気分になる。

 

でも俺が解決出来る問題じゃないしこんな日も仕事に出てるから凄く忙しい人達なんだろうし、そんでつい渡し忘れちゃうとかかな? でもだからってプレゼント貰えないって……。

 

俺のプレゼントをそのまま織斑に渡す? いやいや、それはサンタさんに失礼だし織斑にも失礼だよなぁ。

 

「––––そんな訳だから私では力になれない、すまんな」

 

「……へっ? ごめん考え事してたから聞いてなかった」

 

「他を当たってくれと言ったんだ、私は別に……プレゼントなど貰わなくても平気だからな」

 

 

そう言って織斑は宿題に戻った、俺も変な気まずさがあったからそのまま織斑ん家から帰る事にしてたんだけどなんだか凄くもやもやする。

 

おせっかいな事かもしれないけど篠ノ之にでも相談してみようかな? 俺馬鹿だからどんだけ考えても良い案が思いつかないし、アイツで無理なら……うんそん時はそん時だ!!

 

 

「つー訳なんだよさんぼー、ちゃっちゃとなんとか出来ねー?」

 

『いきなり電話して来たと思ったら……過程を省略すんなって何時も言ってんだろ!!』

 

「いや通じるかなぁってさ、お前ニュータイプだし?」

 

『だ・か・ら!! そんな妙ちきりんなカテゴリーにすんなっての!!』

 

「良いじゃんべつにさ、てか俺電話ボックスからかけてるんであんま時間ねーんだけど?」

 

『話を脱線させたのは君じゃないのさ!! はぁ……で? なんの相談?』

 

俺は普段のやりとりをしながらとりあえず織斑の事を説明したんだけど、返って来たのは『君じゃ何も出来ないよ』って答えだった。

 

『ちーちゃんの両親って私も直接の面識が無いんだよね、朝早くから仕事に行って日付が変わった後に帰って来る事くらいしか知らないし。 まぁ私が本気で調べたら直ぐに分かると思うけど、ちーちゃんの両親には興味無いからねぇ』

 

「ふーん……よくわかんねーけどとりあえず分かったわ」

 

『どっちだよ……ま、どーせ無い頭で考えるくらいなら自分の貰うプレゼントでも決めたら? ちーちゃんの事はどうしようも無いし』

 

「そう、だよなぁ……あんがとな」

 

 

受話器を置いて電話を終わらせた後、俺はとぼとぼと電話ボックスの中から外へ出たんだけど、下を向いて出たからかあるモノが目に映る。

 

それを見た瞬間、俺はいい事を思い付いたのでそのまま街を走ってそれを探し回るのだった。

 

––––んで、クリスマス当日。

 

「よっ織斑!! メリークリスマス!!」

 

「……窓越しに話しかけるな馬鹿、で? 何の用なんだ? 今日は隣町の友達の家でパーティーなんだろ?」

 

「まーなー、けどその前にお前に渡すもんがあってよー」

 

「渡すもの? 何の話だ?」

 

「ほいクリスマスプレゼント、サンタさんじゃなくて俺からだし、すっげー微妙かもしれねーけど」

 

 

そう言って俺はこの間見つけたモノ、クローバーで作った栞を織斑に手渡した。

 

冬なのに咲いてたから必死こいて四つ葉のクローバー探して押し花の栞にしたんだよねー、ほら幸運のクローバーって言うじゃん? 今年はプレゼント貰えるといいなって気持ち込めて作った自信作だ、ちゃんと厚紙とかも拘ったんだぜ?

 

「んじゃ!! そんだけだから俺は行くなー?」

 

「ま、待て!! あの、その、あ、ありがとう……」

 

「おう!! じゃーな?」

 

 

俺のプレゼントを受け取ってくれた織斑は少し嬉しそうだったし、うん満足!!

 

そんな達成感を味わいながら自転車を漕いでたんだけど、肝心の自分のプレゼントの事をすっかり忘れてたから今年はプレゼントを貰えなかった。

 

……サンタさんや、靴下無くてもエスパーしてプレゼント用意してくれよ。

 

 





今回の行動は単純にプレゼント貰えないから凹んでるちーちゃんを元気付けようとして主人公が頑張った感じです、やけに大人びて見えるのは一人称視点且つ地の文だから(震え声


ちなみに束さんはちゃんとちーちゃんへのプレゼントを用意して、主人公と入れ違いでちーちゃん宅に行きました。

主人公にはどうにも出来ないと言いつつもちーちゃんにプレゼントを用意してる辺り束さんはやっぱりツンデレ(白目

尚四つ葉のクローバーの花言葉には復讐と言う意味もありますが他の意味はと言うと……?

主人公はそこまで深く考えてないですけどねー、単に四つ葉=ラッキーくらいな思考回路(白目

原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)

  • MF文庫J
  • オーバーラップ

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