天災二人と馬鹿一人   作:ACS

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今回は会話多め。


小学三年生 2

 

新学期になってから初めての音楽の授業、今日は色々な楽器を使ってみよう的な内容で、先生から使い方を教わった後に好きに使うって感じだ。

 

面倒くさいってのが顔に出てる篠ノ之はカスタネット、真面目な織斑はトライアングルを鳴らしてたんだけど、俺は敢えてピアノの前に座る。

 

何を隠そう俺の母さんはピアノが弾ける、んでたまーに家にあるキーボードとかで弾き方を教えてくれる、本当は二つは別もんらしいけど。

 

「……ピアノ弾けんの?」

 

「ふっ、まー見てろよさんぼー、俺の腕って奴をさ!!」

 

 

俺は篠ノ之の疑問にそう答えつつ、自信満々になんちゃらの為にを弾いてみせる、母さんのキーボードで練習した奴だから余裕だ。

 

「ふふん、どーよ!!」

 

「……五箇所」

 

「へっ?」

 

「音外してたのが五箇所あった、自信満々な顔してた癖に音外し過ぎ、しかも演奏も微妙にたどたどしいし話にならないね、代われよ私が手本を見せてあげる」

 

 

そう言って篠ノ之は俺を押し退けると、俺とは比べ物にならない手付きで俺と同じ曲を弾き始めた、しかも超上手。

 

コイツあれだな、勉強だけじゃなくて楽器も余裕なんだな、今度何か教えて貰おうかな?

 

「ま、ざっとこんなもんかな? 君よりは上手だと思うけど?」

 

「すげーなさんぼー、マジで俺より上手じゃん!!」

 

「束、次は私が弾こう」

 

「えっ? ちーちゃんも?」

 

「私だってやれない事は無いさ」

 

 

フッとクールな笑いを浮かべた織斑は、篠ノ之と交代するとほんとに篠ノ之と同じ様にピアノを弾いてくれたんだけど、こうぽんぽん簡単に弾かれるとちょっと自信無くしそう。

 

「どうだ? 私も束の様に弾けただろ?」

 

「いやまぁ、すげーにはすげーんだけど、褒め言葉がそれ以外見つからねーんだわ、てか篠ノ之も織斑もピアノ弾けたんだな」

 

「えっ? 音楽室に置いてあった説明書読んだだけだけど……誰でも弾けるでしょ?」

 

「私はお前と束の指の動きを見て覚えたな」

 

 

……俺弾き方覚えるまで結構かかったんだけど、コイツらマジですげーな。

 

そんな風に単純に考えてたんだけど、『じゃあ次は私の番だねちーちゃん』って言って今度は篠ノ之がピアノの前に座る。

 

先に弾いてたのに取られちゃったから他の楽器でも探しに行こうと思ってると、いきなり篠ノ之に肩を掴まれた。

 

「おい、なんで聴いてかないんだよ?」

 

「えっ!? だってほら、お前らがピアノ占領してっからさぁ」

 

「お手本見せてるだけだって言ってるでしょ? だから君はここで聴いてないとダメなの、分かった?」

 

「お、おう」

 

 

なんだかよく分からないけど移動しちゃダメらしい、なんか弦楽器が向こうにあったから弾いて見たかったんだけど、まぁいいや。

 

とりあえず頷いたら篠ノ之はまたピアノを弾き始めたんだけど、その時に横に来てた織斑が『次は私の演奏だからな?』って言って来たから多分俺はこの授業中ずっと聞き役になる、いい加減コイツらとの付き合いも長くなってきたからなんとなく分かるんだ。

 

「さぁ私の番だが……そうだな、私の横に座って指の動きでも見たらどうだ?」

「んー、立ってるのも疲れるしそーするわ」

 

 

俺は教室の椅子を持って来て織斑の横に座ると、織斑の指の動きを見ながら自分の弾き方との違いを探してたんだけど、気が付いたら演奏が終わってた。集中し過ぎてたんだな、多分。

 

四回もお手本を見せてくれたしそろそろ弾かせてくれるだろうと思って織斑と交代したんだけど、そしたら今度は何故か篠ノ之が俺の左側に座った。

 

「なーさんぼーさんや、なんで俺の横に座ってんの?」

 

「何? 私が座っちゃいけないわけ?」

 

「いやそーじゃねーけど、ちょっと緊張してさ」

 

 

人に聴かれるとかなら平気なんだけど、篠ノ之のダメ出しは採点みてーなもんだからなぁ、あんまり下手だとまた色々言われるし。

 

そんな風に思ってたら早く弾けよ的な視線になり始めたから大人しく演奏をする、なんだろこのプレッシャー……はっ!? まさか俺も遂にニュータイプに覚醒したのか!?

 

「おい馬鹿、変な事考えてたろ? また音外したぞ」

 

「くっ、流石は本物のニュータイプだな……」

 

「だーかーらー!! そんな妙なカテゴリーに入れるなってば!!」

 

 

その後、俺は何回も同じ曲を弾かされたんだけど中々篠ノ之が合格点をくれなかった。

 

しかも途中からそんな俺を見かねたのか、椅子を持って来た織斑が右側に座って音が外れたり弾き間違えたりした時に指示する様になったから授業が終わった後は真っ白に燃え尽きたよ……。

 

……母さん、今なら母さんが女神に見えるや、だって二人のスパルタ加減が母さんの比じゃねーもん。

 




主人公は広い交友関係の影響で割となんでも楽器弾けますが、あくまでも弾けるだけです。

ピアノもキーボードの中に登録されてたエリーゼのためにと他数曲しか知らないので、ピアノ教室とか通ってる子よりは下手。

だから教えたがりになりつつある天災二人が自分達のチートスペックを有効活用しながら教えてくる訳ですわ(白目

原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)

  • MF文庫J
  • オーバーラップ

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