––––突然だけど篠ノ之は可愛い、んで織斑は綺麗だ。
良く二人と遊んでるけど、俺はその事で年上の知り合いとかに羨ましいって言われる事が多い。
『俺もお前くらいの頃から可愛い子と知り合ってりゃなぁ〜』とかその人に言われるんだけど、それなら別にそんな人と仲良くなればいいんじゃないかなって思う。
「んな訳でさ、今日の朝もその人に羨ましがられたんだけど、どー答えたら良かったのかなぁ」
「だから、話の過程を省くなってば……」
「おーごめんごめん、要は人と仲良くなる方法を教えるのってどーやりゃいいのかなーってさ」
「休みの日に態々家に来た癖に、イヤミ言いにきてんの?」
「いや、だってさんぼーは頭いいしさー」
俺が考えるより篠ノ之に話を聞く方が早いしその方が上手に解決出来るんだよなー、俺は自分一人で出来ない事は出来る人に手伝って貰う派の人だからね!! ってなわけで土曜日に篠ノ之ん家に来たわけだ。
けど良く考えたら篠ノ之って俺と織斑以外に友達居る……のか? コイツの口から織斑以外の友達の話を聞いた事ねーんだけど……。
「な、なんだよその目」
「いや、さんぼーってもしかして俺と織斑以外に友達いねーの?」
「……べ、別にいいだろ、他に友達なんか要らないし?」
「えー、絶対友達が多い方が良いって!!」
友達が多けりゃ自分の知らない事を知れるし、色んな趣味も出来る、話のタネだっていくらでも作れるんだから箒ちゃんが大きくなった時にも話してて飽きられないんじゃね?
つか、箒ちゃんが大きくなったら友達が少ないお姉ちゃんになるんじゃ……。
「よし!! 外行くぞさんぼー!!」
「は? いや待って? 何でそうなるの!?」
「お前を箒ちゃんにがっかりされないお姉ちゃんにする為にも友達作りに行くぞー!!」
「ちょっ!?」
思い立ったらなんとやら、俺は篠ノ之の手を握るとそのまま外に連れ出したんだけど、商店街に出た辺りで良く考えたらなんも解決してねー事を思い出した。
結局篠ノ之からアドバイスも聞けなかったし、うーんどーしよ。
「あれ? 結局友達作りの方法教えるのってどうやったらいいのよ?」
「……そんな事いいから早く手を離せよ」
「えっ? せっかくだしこのままてきとーに町を回ろうぜ? 手繋いで歩いてたら仲良しに見えるし、誰かしら話しかけてくれるだろ? そしたら友達の一人や二人簡単に出来るって、さーレッツゴー!!」
「勝手なんだから……」
多少文句を言われたけど、何だかんだ言って篠ノ之は手を離さなかったからそのまま商店街を歩く。
今日はあんまりお小遣いを持ってこなかったけど、オヤツくらいならここで買えるし、肉屋のオッチャンとか駄菓子屋のおばあちゃんとかオマケしてくれる。
今日も『おっ? 坊主、デートかい? ははは、今時の子は進んでんなぁ、よーし今日はコロッケ半額にしといてやるよ』って言って一個分のお金で二人分くれたし、偶には二人で遊ぶのも良いな。
「ん? どったのさんぼー? ここのコロッケ美味しいよ?」
「か、勘違いすんなよ!? デートじゃないから、君が勝手に連れ回してるだけだからね!?」
「そんな顔を赤くしながら言わんでも……」
デートって結局あれだろ? 仲のいい人が二人で遊びに行くだけだろ? なんでそんな恥ずかしがるのかなぁ。
んな事を考えながら二人で並びながら食ってると、今度は駄菓子屋の前に着いた。
丁度喉が渇いてたから冷やしてあったラムネを二人分買ったんだけど、お金渡す時に店のおばあちゃんが余ってたおもちゃのカチューシャをプレゼントしてくれた、なんで今日は色々オマケが付くんだろ?
「はいこっちがボウヤの分、それでこっちがお嬢ちゃんの分ね?」
「ありがとーばーちゃん!!」
「……あ、ありがと」
「いえいえ、どういたしまして、また来てちょうだいね?」
駄菓子屋で貰ったカチューシャは動物の耳が付いた奴だったんで、俺は篠ノ之の頭にうさぎの耳と自分の頭に狼の耳を付けて門限まで商店街を回るのだった。
今回の商店街巡り、何気無いように見えて束さんからすれば結構大きな出来事でした。
主人公が居るからとは言え普通に接してもらえたり、向こうから挨拶が飛んで来たりと一人でいた時には何にも感じなかった事が多々。
案外将来に影響するかもね(意味深
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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