天災二人と馬鹿一人   作:ACS

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※この作品は(深読みしなければ)ほのぼのです。


幕間:戦乙女から見たアイツ

 

––––自分で言うのもなんだが彼と関わる様になってから、正直に言って私は変わったと思う。

 

それまで余り趣味と言う物に興味を持たなかった自分が、漫画やゲームの類いに手を出す様になったし、スポーツも楽しむ様になった。

 

我ながら良い変化だと思うのだが、その反動か最近家に帰るとやけに静かな我が家に居心地の悪さを感じる様になってしまった、以前は気にならなかったのに。

 

…………まぁそれも一夏が産まれるまでの話だったが。

 

最近は一夏が居るから寂しくは無いんだが、彼に影響されつつあるのか段々とやんちゃをする様になって困る、正直私一人では手に負えない事が時々ある。

 

かと言って彼が一緒に居れば手が足りるのかと言うと……そんな事はない、彼は彼で問題児なのだからそちらの対応も必要になってくる。

 

そんな事を考えていた私は一夏と一緒に積み木をして遊びながらも思わず部屋の窓を見てしまう、彼自身時々分かってて怒られている節があるから余計にタチが悪い。

 

後あの過程を省略した話し方もそうだ、なんの脈絡も無く話を始める癖も矯正しておかないと一夏に悪影響だろう、将来私の可愛い一夏が話の噛み合わない男になられても困る。

 

そんな内心が顔に出ていたのかきょとんとした顔で私の顔を見つめる一夏と目が合う。

 

「ああすまない一夏、少し考え事をな? さぁお城を作るぞ」

 

 

そう私が言うと一夏は笑顔になってまた積み木を再開する、まだ今より小さい頃は人形の様に大人しい子だったが、一夏も彼に大分影響されている。

彼が一夏と遊ぶ様になってからと言うもの、まるで好奇心と言う物を理解したかの如く部屋の中を歩き回ったり、色んなものを噛んだり口にしたりとやりたい放題。

 

筆記用具や銃のプラモなどは机の引き出しに入れてあるから大丈夫だが、それでも部屋が散らかってしまう。

 

…………元々散らかってるのに更に散らかるのかと言う点は置いておいてだ。

 

 

話が逸れた気がするが、とにかく彼は関わった人に少なからず影響を与える人でしかも朗らかだ、一緒に居ると暖かい気持ちになる。

 

少女漫画とかだとコレが恋という物だろうがあまりピンと来ない、彼が誰か私以外の女の子と一緒に居てもそれほどムッとしないしもやもやした気持ちにもならないから恋愛漫画に書かれているような恋ではない……と思う。

 

断言出来ないのは自分の感情が分からないからだ、情けない話だが彼が居ると不安や悩みが溶けて行く感覚は自覚して居るし、側にいて他愛の無い話をすると気が楽になるのは分かっている。

 

しかし、何故そのように感じるのかが分からない、恋だとしてもどうして彼に惹かれるのか分からないからそれが腑に落ちないのだ。

 

「なぁ一夏、私は彼の事をどう思っているんだろうな? 少なくとも嫌いでは無い事だけは確実なんだが、好きと言う気持ちそのものが全く分からない」

 

 

無論答えは返って来ない、話しかけられた一夏は首を傾げるだけだったが、私は構わず一夏を抱き寄せるとその頭を撫でながら彼の事を振り返る。

 

私は運動方面なら束と互角に渡り合える自信がある、しかしそれだけだ、それ以外が私には無い。

 

––––しかし彼は逆、束の様な頭脳も無いし私達の様な身体能力も無いが、それ以外を多く持っている。

 

例えば楽器の演奏や絵画、最近だと一夏と小麦粘土で遊んだ時に上手な象を作っていたか……とにかく彼は持ち前の広い人脈で色々教わっているらしく、私や束が興味の湧かなかった物をそつなくこなせるのだ。

 

と言っても束曰く『あの馬鹿の趣味は浅く広くって感じだから下手の横好きとかそんなレベル』らしい、だがそれでも私達よりも沢山の事を経験しているし、それを元に良く私達を連れ出しては手を引いて色々な事を一緒にやってくれる。

 

「一夏、お前も大きくなったら彼のように色んな事を経験して、沢山の事を知るんだぞ? そうすれば必ず良い男になれるさ」

 

––––彼は私の知らない事、出来ない事を体験させてくれる男の子、ただそれだけ、きっとその筈。

 

そんな事を思いながら私は一夏を寝かしつける為の絵本に手を伸ばすのだった。

 





まっくろくろすけでておいでー(震え声

下手したら過去1真っ黒なんじゃねーのってくらいヤベェ内容になってしまった悲しみ、どうしても織斑家は黒くなる。

この作品書いてると書く気なくても余計に一夏アンチが書く気なくなりますわ(遠い目


尚最後の一言から時刻を想像すると……。

原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)

  • MF文庫J
  • オーバーラップ

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