天災二人と馬鹿一人   作:ACS

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小学三年生 11

秋になって通学路の落ち葉を見ながらたまーに思うんだけど、もみじ饅頭って形以外に紅葉要素無いよね? もみじおろしも色だけだし、たい焼きに鯛が入ってないレベルで嘘つき商品だと思うんだ。

 

でもテレビで紅葉のてんぷらっての紹介してたし、食えるのか食えねーのかよく分からん葉っぱだよなぁ。

 

そんな事を考えながらちょっと遠回りして道端に落ちてた紅葉の葉っぱを拾った後、俺は学校で二人に聞いてみる事にした。

 

「んでどう思うよ? 紅葉」

 

「……あのさ、そこまで話の内容を圧縮されると流石の束さんも何の事かさっぱりなんだけど?」

 

「時々思うんだがな、お前は分かってて会話の内容を省略してるだろう?」

 

「あっはっはっは、バレた?」

 

 

普段は別に意識してる訳じゃないんだけど、最近は冗談の通じる相手には敢えて言葉を省いて会話する時がある、まぁ理由はアレだ、人によってツッコミとか表情とかの反応が違うからその反応を見るのが楽しいんだよね。

 

例えば篠ノ之ならジトッとした目で睨みながら呆れるし、織斑なら意味が分からないと言った様なきょとんとした顔をする。

 

他にも男友達の多くは口に出して『どーゆー意味?』とか聞き返したり、軽いチョップでツッコミを入れてきたりと人によってちがうからなー。

 

とそんな事を考えながらも、ランドセルの中に入った紅葉を取り出して二人に見せる。

 

「で、紅葉」

 

「おい馬鹿、お前人の話聞いてたの? 圧縮言語で話されても理解できないって言ってんの!!」

 

「まぁ落ち着け束、この主語を省略した話し方も今に始まった事じゃ無いだろう?」

 

「流石に程度って物があるよ!? ちーちゃんはコイツに優し過ぎるんだって!! 二年以上コイツと会話してるけどここ最近の圧縮言語が半端ないんだってば!!」

 

 

そんな言うほどかなぁ? とか思ってここ最近の会話を振り返って見たけど特に変わった事は無いはず、少なくとも俺は違和感無く会話してたからなー。

 

ま、取り敢えず脱線しかけてる話を元に戻そう、俺は紅葉についての話をしたい訳だからさ。

 

「要はアレだよあれ、紅葉って食えるのかって話だよ」

 

「……何をどう察したら食用紅葉の話に繋がるんだよ」

 

 

そう言って溜息を吐いて机に突っ伏す篠ノ之、普段何でもやれる奴だからこんな姿を見せるのは中々にレアなんだよなぁ、けどその姿を見れるのが俺との会話ってのがアレだけど。

 

まぁそんな訳で、俺はもみじ饅頭とかもみじおろしの話をしながら適当な雑談をしてたんだけど、気怠げな篠ノ之や割と真面目に話を聞いてくれる織斑との話の中でメープルシロップがまさかのもみじから作られる物だと知ってびっくりした、てっきり蜂蜜の仲間か何かだと思ってたんだけど違ったんだな。

そんな新しい知識でまじまじともみじの葉っぱを眺めてたんだけど、二人の視線が俺に集まってる事に気が付いた。

 

「えっ? 何その目?」

 

「どっからそれ拾ってきたのか知んないけど、食べんなよ?」

 

「街路樹などには農薬が撒かれているらしいからな、食べて身体を壊すかもしれないから食べるのはオススメ出来ないな」

 

「……お前ら、俺が何でもかんでも口にする奴とか思ってない?」

 

「違うの? 前に『イナゴの佃煮ってあるし、イナゴって食えるんだろ?』とか言ってそこら辺で捕まえたイナゴ食べようとした事あったよね?」

 

「違うのか? 以前『つくしって食えるらしいぜ?』と言ってその辺に生えていたつくしをそのまま口にしていただろう?」

 

「……俺、知ってる、コレ、身から出た鯖って奴だ」

 

「それを言うなら身から出た錆でしょ?」

 

「偏が違うだけで随分と生臭くなったな」

 

言い訳するなら単純に気になったからってだけだから、そこら辺で虫とか雑草毟って食ってる雑食の生き物だと思われたら困る。

 

てな事を言ったんだけど『結局好奇心優先じゃん』と篠ノ之に小馬鹿にされてしまった。

 

そんな訳で、特に何の為にもならない雑談をしながら朝のHRが始まるまで俺たちは時間を過ごすのだった。

 





今回は普通に日常回、身にならない話ばかりではありますがその身にならない話が束や千冬にとって何よりも嬉しい物だったりしますからね。

尚主人公の圧縮言語は一部確信犯だった模様。

まぁ意図してやってる時があるってだけなので普段の圧縮言語は素なんですけどね(白目

……尚わざとやってる時は圧縮した会話を更に圧縮する模様(震え声

原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)

  • MF文庫J
  • オーバーラップ

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