今日は篠ノ之と織斑の二人と遊んでたんだけど、久々に二人と遊んだからか思ったより遅い時間まで遊んじゃった。
「あちゃー雪まで降ってんなぁ、なんか悪いな二人とも」
「別に、傘借りてくから良いよ」
「私も気にしてないさ、むしろ今日はコッチが羽目を外し過ぎた」
確かに二人と遊んだのは先月ぶりだったしなぁ、そんなことを思いながら玄関先で二人で見送ろうとしてたんだけど、丁度ご飯が出来たのか帰って来てた親父が俺たちを呼びに来た。
「夕飯が出来たよ、ついでだし二人とも食べていきなさいな、帰りは僕が車で送って行くからさ」
「おやじー、今日の晩御飯ってなにー?」
「お鍋だよ、みんなで囲んで食べるのにはうってつけの料理だ」
「よっしゃ、んじゃ二人とも一緒に食おうぜ!!」
「……ま、まぁ、おじさんが誘ってくれたんだし、せっかくだから食べてこうかな? ね? ちーちゃん?」
「ありがとうございますお父さん、一度家のベビーシッターさんに連絡を入れたいのでお電話をお借りしてもいいでしょうか?」
「うん、どうぞ」
「じゃあさんぼー、俺らは先に行こうぜー」
そう言って俺は篠ノ之の手を引いてダイニングに行って、早速椅子に座ろうとしたんだけど母さんの拳骨が降って来た、超痛い。
涙目で横を見たらおんなじ様に座ろうとして拳骨くらった篠ノ之が頭をさすりながら『なんで私まで……』とぶつぶつ文句言ってるのが見えた。
「なにすんだよ母さん!!」
「最近風邪が流行ってるからご飯の前にもちゃんと手洗いうがいしなさいって言ってるでしょうが、あんたら全員ウチに着いてからもやって来てないし、早く済ませて来なさい」
「別に一回くらいしなくても平気だろ?」
「なんか言った?」
「な、なんでもないでーす、じゃ、じゃあさんぼー、手洗いしに行こうぜ?」
「……ものの見事に暴力に屈したね」
ジトっとした目で篠ノ之が俺を見てくるけど、母さんは容赦なく手あげる人だから口答えしたら問答無用でしばかれるんだぞ? 今だって指鳴らしてヤクザみたいな目付きで俺たちを睨んでるし、大人しく手洗いしに行った方がいいに決まってるだろ。
取り敢えず二人で並んで洗面台に向かってたら、ハンカチで手を拭きながらダイニングに向かう織斑と入れ違いになった。
すれ違いざまに『やはり手洗いをしてなかったか、行きで会わなかったからそんなことだろうと思ったよ。 どうせそれで怒られたんだろう?』と笑われちまった、その通り過ぎて何も言えねぇ。
横で篠ノ之が『ちーちゃんに笑われた……お前の所為だぞコラ』って言いながら脇腹を抓ってくるし、手洗いって重要なんだな。
んで、やる事終わらせてから改めてダイニングに行ってみんなでお鍋、今日はしゃぶしゃぶも出来る様に普通の水炊きらしい。
織斑はバランス良く鍋の具を食べてるし、篠ノ之も若干野菜を多めに食べてるけど大人しい。
問題は俺だ、肉と鶏団子を連続して取ろうとしたら母さんに睨まれて白菜に箸を伸ばさないといけなくなる、好きに食わせてくれよなー。
そんな不満を感じてたら、父さんが刺身の乗った皿を俺たちに差し出して来た。
「寒ブリのお刺身だよ、そのままでも美味しいししゃぶしゃぶにしてもいいから食べてごらん」
「あんがとー、んじゃ早速……」
俺が箸を伸ばした瞬間左に座ってた篠ノ之が一切れとって早速実行して食べてた、ちらちら見てたってほどじゃないけど少し興味あった感じだったからなぁ、口には出さねーけど。
織斑も織斑で勧められた瞬間に箸を伸ばしてる、割とクールな表情をしてるけど案外好奇心のある子だからずっと気になってたんだろうねー。
しっかし、初めて会った時の事を考えるとこの二人とこうやって夕飯一緒に食えるなんて思わなかったなぁ。
「ってあれ? 俺の分は?」
「ぼーっとしてたのが悪いんでしょ、束さんしーらない」
「むむむ、まぁしょーがねーか」
確かにぼーっとしてたし、今回は諦めるかーと思ってたら織斑がちょんちょんと俺の肩を叩いて来た。
「ん? どったのししょー?」
「その、なんだ、私は最後の一切れをまだ口にしていないから……だな、あ、あーん、だ」
「えっ? 良いの? じゃああーん」
俺は差し出された切り身を遠慮なく食べたんだけど、味わってる最中に今度は篠ノ之に肩を叩かれる。
「んー? どうし––––」
どうしたの?と聞こうと口を開いた瞬間、超あっつあつの豆腐をれんげで口の中に突っ込まれた、超絶妙なタイミングでしかも自然に入れられたから口の中に入ってから全く反応できなかった、ってか熱いなんてレベルじゃない熱さなんだけどコレ!?
「あっつ!?」
「ふーんだ、この束さんもあーんしてやったんだから感謝したら?」
「お、おう、ありがとう」
「……本当に言うとは思わなかったんだけど」
「えっ? ダメだったの?」
「いや、ダメってことは無いけどさぁ……」
その後も篠ノ之の表情がなんとも言えない感じだったり、なんでか織斑が箸を咥えてハッとした顔で固まってたり、似たような感じで雑炊を食べてた篠ノ之がレンゲを見つめて何か悩んでたりしてたけど、その日の夕飯は楽しく過ぎて行った。
箸を咥えたちーちゃん、何故固まったんですかねぇ?
レンゲを口に運べず悩む束さん、何故口に出来ないんですかねぇ?
意識しはじめてますがまだ大部分がlike。
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ