織斑ん家での出来事から暫くして、俺は篠ノ之ん家に遊びに来てた。
てのも親父が今日は雲もないし、空気も澄んでるから夜空が綺麗らしくてよーく星が見えるって言ってて、折角だし天体観測でもやろうかって話になったし、星の写真も撮るから篠ノ之も誘おうかなーって思ったんだよね。
「つー訳で、俺ん家に行こうぜ?」
「だからちゃんと主語を入れろってば、何年注意させる気なんだよ……」
「いやーほら、いい加減長い付き合いだし通じるかなーってさ? それにさんぼーはニュータイプだろ?」
「だから私をそんな変なカテゴリーに入れるなってば!!」
そんな何時ものやりとりをしながら、俺は出して貰った何とかペッパーを飲みつつ、ベッドに腰掛けながらジトっとした目で睨む篠ノ之に事情を説明した。
「ふーん、今日はあの望遠鏡で天体観測するんだ……ふーん」
「んで? 特に用事なけりゃ一緒に見ようぜ? 親父の解説は昔話とか雑学とか入ってるから飽きねーからさ」
「…………おじさんの話が聞けるなら行く」
篠ノ之はぷいっと横を向きながらそんな事言ってたけど、コイツは親父を引き合いに出したら結構素直に付いてくるんだよなー。
……俺、仲良くなるのに一年は掛かったよな? 親父はちょこっとしか会ってないのに直ぐに仲良くなってたんだけど?
ま、まぁいいや、俺も将来親父とおんなじぐらいいろんな人と仲良くなれるようになりゃいいんだから、うん。
「じゃー決まりだな、着替えとか持って来いよ?」
「言われなくてもわかっ…………ふぇっ? 着替え?」
着替えって言葉を聞いた瞬間、篠ノ之はきょとんとした顔で俺の方を見た。
何でそんな顔すんだろ? だって夜の天体観測って事は俺ん家の庭で夜空を見るってことだし、それってつまり泊まりって事でしょ? どこも変じゃねーじゃん。
「へっ? はっ? 着替え? ほえっ? だって、えっ? 泊まりって……こと?」
「だって泊まりじゃん、夜に天体観測して撮影もするって言ってるしさー」
「そ、そうだよねー!! 泊まりだよねー!! あはははっ!!」
「変なさんぼーだなぁ。 あっそうそう、今ちょっと客間が物置になってっから泊まるのは俺の部屋になるからよろしく」
「あはは、はえっ!?」
「じゃ、部屋の片付けしてくるから今日はこのまま帰るなー、夕方になる前に来いよー」
そう言って俺は篠ノ之の部屋から帰って片付けをしたんだけど、なーんであんなに篠ノ之はおろおろしてたんだろう?
気になって帰ってから親父に聞いたら『多分友達の家にお泊りするのが初めてだったからじゃ無いかな?』って言われて納得、あいつちょっとはマシになったけどまーだ友達以外の連中にゃ厳しいし俺と織斑以外近寄らねーからなぁ、相変わらず友達がいねーのな。
ただ母さんが俺らの会話を聞いてすっごいため息を吐いてたのが気になる、何故に? 親父も首傾げてるし、母さんには……怖いけど聞いてみようかな?
「てー訳で母さん、何でため息吐いたのよ?」
「…………私はね? この人と結婚するのにすっっっごく苦労したの、アンタも将来好きになってくれた人にそんな苦労させるんだろうなって思っただけよ」
「母さん、俺意味わかんないんだけど?」
「良くも悪くもアンタがお父さん似だって事よ」
「えっとつまり、俺は褒められてるんだな!!」
そう言ったら母さんに無言のげんこつを食らった、そんで『夕飯の支度するから手伝いなさい』って言って台所へ連れて行かれちゃったから結局あやふやなままだった。
まーいーや、今日は篠ノ之に部屋を貸すから久しぶりに親父と母さんと一緒に寝れるし、そん時に聞きゃいいや。
そんな事を思いながら鼻歌混じりに下拵えを手伝ってたんだけど、その途中で玄関のチャイムが鳴った。
野菜を切ってた途中だったから一旦包丁を置こうとしたんだけど、親父が出てくれたらしく玄関からとたとたと軽い足音が聞こえて来たし、多分篠ノ之が来たんだろうなー。
母さんもそう感じたようで、『こっちはもういいから束ちゃんのとこに行ってなさい』って言ってたんでそのまんま篠ノ之に会いに行った。
…………ただ、なんでだろ? 俺は親父と母さんの部屋で一緒に寝るって言ったら『そう言う事は最初に言え!!』って怒られた、言い忘れただけなのになぁ?
部屋に泊まる(一緒にとは言ってない)
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ