篠ノ之と一緒に天体観測をやった後、俺は寝る前に篠ノ之と少しだけお喋りをしていた。
そのせいで普段寝る時間から大分過ぎちゃって結構眠いけど、せっかくのお泊りだし早く寝るのは勿体ない気がしてさー。
「けどあれだな、まさかさんぼーがお泊りする日が来るとは思わなかったなぁ」
「誘ったのは君でしょ……まったく」
パジャマに着替えた篠ノ之に下で作ってきたホットミルクを渡しながらその顔を眺めてみる。
割と個性的なパジャマを着てるけど、篠ノ之はクラスどころか学校の中でも特に可愛いと思う、織斑は綺麗の方だからまた別だけど篠ノ之の顔もずっと見てられるんだよねー。
そもそもコイツは口が悪いだけで別に悪い奴じゃねーし、頭も良いから俺の知らねー事とか勉強の事とか色々教えてくれるし、普通にいい奴なのになんでクラスのみんなは相変わらずよそよそしいのかなぁ。
じーっと両手でマグカップを持ちながらミルクを飲む篠ノ之の顔を見てると、ほんとに普通の女の子なのにみんなビビり過ぎだって。
そんな事を思いながら俺もミルクを飲んでたんだけど、ずーっと目を合わせてた篠ノ之の顔がだんだんと赤くなって来た気がする、めっちゃ目が泳いでるし風邪でもひいたのかな?
「さんぼー、風邪ひいたの?」
「ひいてない、てか人の顔まじまじ見ないでよ」
「えー、なんでさ、織斑もそうだけど篠ノ之も可愛いから見てて飽きないし、別にいいじゃん」
「ずっと目見つめられたら流石の私でも恥ずかしいの!!」
「いやお前も俺の目見てるしおあいこじゃん、てか俺たち仲良しだし別にへーきだろ?」
「何その理屈!?」
こんな風にテキトーな事言ってもちゃんと返事してくれるし、ちょっとだけ人見知りなだけなんだよな篠ノ之は。
んな事考えてたら『今妙な事考えたろ』って睨まれた、コイツのニュータイプは何時もの事だから置いといて、けどそっかもう三年になるのか、コイツとの付き合い。
「なぁさんぼー、ちょっと聞きたいんだけどよー」
「何? どーせ身にならない話だろうけど一応聞いてあげる」
「さんぼーの事下の名前で呼んで良い?」
「………………………好きにしたら?」
「マジで? じゃあ今度から束って呼ぶなー」
いやぁ、付き合い長くなって来たし他の友達も結構名前呼びするようになって来たから前々から束達も名前で呼びたかったんだよねー、今まであだ名呼びだったからちょっと照れくさかったけど束はおっけーしてくれたし今度織斑も千冬って呼ぼっと。
「んじゃ、そろそろめっちゃ眠いから俺もう寝るなー」
「はいはい、じゃ私も寝るからおやすみ」
束は手でしっしってしながらそう言ったけど、俺は笑顔で手を振り返して親父達の部屋で寝たんだ。
んで、朝になったら母さんに起こされて材料の下ごしらえとかを手伝った後、朝ごはんが出来た辺りで束を起こしに来た訳なんだけど……なんか丸まってみのむしみたいになってる、なんで?
「おーい束さんや、あっさですよー」
「……あとごふん」
「それ、言われる側になるって思わなかったわ……」
うーん、布団ひっぺはがして起こしても良いんだけど……つか母さんはそうやって起こして来るけど、束はお客さんだし五分くらいならいっか。
とりあえず部屋を往復すんのが面倒だから椅子に座りながら束のみのむしを眺めつつ、五分くらい待ってからもう一回声をかける。
「ほーら、五分経ったぞ、起きた起きた」
「……おきる」
「カーテン開けるぞー」
そう言って俺はカーテンを開けつつ、ベッドの方を振り向いたんだけど『一回起きたからいいでしょ?』的なオーラ出しながら二度寝しようとしてやがった。
これ以上待たせたら母さんに怒られるから、ぺちぺちと頬っぺたを叩いて束を起こしてみる。
「ちゃんと五分待ったんだから着替えて顔洗いに行くぞ?」
「……うん」
一応半分起きてるのか、ごそごそと着替えをカバンから取り出し始めたから一旦部屋の外に出て束が着替え終わるのを待つ。
……にしても束って朝弱かったんだな、寝起きのコイツ超別人だわ。
そんな新発見をボーっと考えてる間に着替え終わったのか、目をこすりながら束が出て来たのでそのまま洗面所まで連れて行くのだった。
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ