俺は今割とピンチだ、どのぐらいピンチかってーとトイレで紙が無い時くらいピンチだ。
と言うのも、友達とサッカーした帰りに木の上に登って降りられない子猫を見つけたんだわ、んでそれを助ける為に木に登ったら俺も下見ちゃって降りれなくなった、マジでどーしよ?
「しかも助けようとした子猫はあっさり降りちゃったし、俺何のために登ったんだよ……」
みーみー言って震えてた子猫も、登った矢先に俺の頭を踏み台にしてするする降りちまったし、中途半端に登ってるから飛び降りるのも怖い。
通りかかった誰かに声掛けてもいいんだけど、あんまり知らない人に迷惑かけるのもなぁ。
とりあえず太めの枝に跨りながら色々考えてたけど、ちょうどいいところに束が歩いてるのが見えたので声を掛ける事にした、アイツなら頭いいし何とかする方法分かるだろ。
「おーいたばねー!! たーばーねー!! ちょっと助けてくれよー」
ちょっと距離が離れてたからそんな風に大声で呼んだんだけど、束は一瞬ビクッとしたと思ったらキョロキョロと周りを見渡して俺を探し始める。
多分不意打ちで、しかも大声で名前を呼ばれたからなんだろうなーとか思った俺はちょっとだけ反省してたんだけど、丁度束の方も俺を見つけたみたいで割と怒った感じでコッチに来た。
あれ? ヤバくね?
案の定、俺が登った木の下に来た束はゲシゲシと幹を蹴って思いっきり木を揺らし始めた。
揺れ自体はそんなだけど、揺れる事自体が怖い事には変わりないので必死になって幹に捕まりながら落ちない様にその場に踏ん張る。
「ちょ、タンマタンマ!? 揺らさないで!?」
「お前は馬鹿なの!? アホなの!? 人通りのあるところで大声で叫ぶなって教わらなかった!? お腹に力入れて人の名前呼ぶとか何考えてんのさ!! 少しは周りの迷惑考えろよ!! ほらあそこのオッさんとかさっきので缶コーヒー落としてるだろ!!」
「ゴメン、ゴメンってば!!」
謝りながら周りを見ると結構な注目を集めたらしく、割といろんな人に見られてる事に気が付いた、やだ俺って有名人?
「……今アホな事考えてたろ」
「お前やっぱニュータイプだわ、うん」
「変な納得して私を妙ちきりんなカテゴライズすんのやめろよ、てかそんな無駄話する為に私呼んだのなら張り倒すよ?」
「いやいや、俺は割と真面目に今困ってる、だから助けて?」
「……何に困ってんのさ、まずそこを話しなよいつも言ってる事だけどさ」
溜息を吐きながら肩を落とした束は木を蹴るのをやめて俺の話を聞いてくれた、聞いてくれたけど聴き終わった瞬間の呆れた目が久々に突き刺さった。
「じゃ、私はコレから用事があるから」
「アレ? 俺の話聞いてた? めっちゃ困ってるって言ったよね? 助けてくれると嬉しいなぁって」
「そ、頑張ってね」
「うおーい!? お願い、何でもすっからさ!!」
俺の頼みも虚しく、束はそのまんまどっか行っちまった。 えっ? マジで? 俺たちの友情ってそんな脆いモンだったの? 流石の俺も割りかしショックだよ?
見捨てられた衝撃にしょぼくれながらしばらく拗ねてると、ガチャガチャと煩い音が下の方から聞こえて来たから少し疑問に思って下を見ると、どこからか脚立を借りてきた束が幹の近くに立てかけてくれていた。
「何拗ねてんのさ、わざわざこの私が近くのお店から脚立借りて持ってきてあげたのに、お礼の言葉も無いのかよ」
やっぱコイツ良い奴だわ、一瞬でも見捨てられたとか考えた自分が恥ずかしい。
不機嫌そうにそっぽ向いてそんなことを言う束にお礼を言った後、下に降りた俺は脚立を借りたお店に二人でお礼を言ってからバイバイしようとしたんだけど、後ろ向いた瞬間に襟を掴まれた。
「待てよ、さっき何でもするって言ったでしょ? だから少し私の用事に付き合えよ」
「へっ? そら別にいいけどさ、俺がお前の用事手伝えるの?」
言っちゃなんだけど俺が手伝える事なんて少ないと思う、束ほど頭良くねーし、やれる事って荷物運びとかそんなくらいじゃね?
そんな風に束に言って見たら『別にお前が居なくてもいいけどさ、居ても問題無いんだから着いて来いよ、てかそもそも何でもするって言ったのは君でしょ? それにそんな複雑な事はしないし』とか言って俺を引きずってちょっと行った先のパソコンとか売ってる店に俺を連れて行った。
「んで? ここに何しに来たのさ?」
「私の使ってるPCがもう古くてさ、お父さんが新しいの買ってくれるって言うんだけど、センス悪いからわざわざメーカー直営店舗に来て選んでるの、本当はパーツから何から自作したいんだけど、あんまり迷惑かけられないからさぁ」
「それって、俺要らなくね?」
「一人で選ぶのって暇でしょ、ちーちゃん付き合わせるのは気が引けるから、全然全くこれっぽっちもそんな気が微塵にも起きない君を候補に選んであげたんだよ、嬉しいでしょ? 嬉しいって言えよ」
「いや、まぁ、嬉しいけどさ、それなら最初からウチに来て誘ってくれりゃいいじゃん」
「……だって、朝行ったらもう居なかったし」
そう言った束は明らかに不機嫌なオーラを出しながら俺をジトっとした目で睨み付けている、いやなんでそんな目で俺を睨むのよ?
「俺、何かした? なんでそんな目すんの?」
「は? 何もしてないよ? たださ、お前何時も何時も私が暇で暇でしょうがないから仕方なしに遊びに行ってやったら遊びに行ってて家にいないとかザラじゃん? 別に君は悪くないよ? ぜーんぜん悪くないよ? 責めてる訳でも無いよ? だけどさ、勝手に遊びに来る癖にいざコッチから遊びに行くと居ないって不公平って思わないかな? かな? かなぁ!?」
そんな風に俺に詰め寄った束に俺は一日中連れ回されるのだった。
……その最中に俺は一つ学ぶのだった、コレが薮蛇って奴なんだなぁって。
更新が遅くなってすみませんでした(震え声
原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)
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MF文庫J
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オーバーラップ