天災二人と馬鹿一人   作:ACS

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小学四年生 18

 

 

––––親父の店は一応本屋だ、頼まれ物とか輸入雑貨なんかも色々置いてたりする所為で何屋か分からない事になってっけど。

 

んで、そんな訳の分からない何でも屋も年に何回かは大掃除をするらしく、今回は俺も掃除を手伝う事になった。

 

本屋の癖に本が置いてねーなー、とか考えながら片付けしてたらティーカップとか外国の食器とか色々気になる物があったんだけど、そんな中で一個特に気になるのが家庭用プラネタリウムって書かれた箱。

 

説明書きには星座とかが観れるって書いてあるから束に見せたら喜びそうだなぁ、とか考えてたんだけど値段を見たら三万円くらいしてるので勝手に持ち出せそうに無い。

 

結局その日は諦めて店の片付けを手伝ったんだけど、別の日に親父がボトルシップを作ってるのを見てたらピーンときた。

 

––––勝手に持ってけないなら作りゃいいじゃん!!

 

 

「てな訳で!! 手作りのプラネタリウム持って来たぞ束!!」

 

「急に遊びに来たと思ったら……懐中電灯を厚紙で囲っただけじゃん、どんな訳で作る事になったのさ」

「ん? ボトルシップ」

 

「違う、もう一個前の段階。それと付き合いが長い私だから理解出来てるけど、その圧縮言語が誰にでも通じると思うなよ?」

 

「あはは悪りぃ悪りぃ、実はこの前親父の店の片付けしてたら家庭用プラネタリウムがあったんだけど、高かったからさー」

 

「持ってくる訳にもいかないから自作したの? 相変わらず単純てか安直ってか……」

 

 

はぁ、と束は盛大に溜息を吐きながら部屋の明かりを消すと、手招きしながらカーペットに横たわって俺の持って来た手作りプラネタリウムの灯りを付ける。

 

「なぁにこれ? ただそれっぽく穴空けただけじゃん、実際の星の並びと全然違うし、もーちょっとクオリティ何とかならなかったのかよ」

 

「えー? ちゃんと図鑑の上で透かしながら下書き作ったんだけどなぁ」

 

「あそことあそこ、星の位置がズレてるから星座が歪でしょ? だからそこからずーっと降りたところにあるまた別の星の位置がズレてそこから連鎖的に全体がズレる、まぁ手作りだし? そこまで精密なのは期待してなかったけど楽しむ分にはいいんじゃない? 所々頑張りが見えるし」

 

 

そう言って束は立ち上がって部屋の電気を付けると、勉強机の引き出しの中から黒い厚紙を取り出してその内の何枚かをこっちに持ってくる。

 

なんとなーく先が読めたけど、取り敢えず何するのか聞いて見たら『どーせこの後の事なんにも考え無いんでしょ? だったら今から本格的な配置のプラネタリウム作るからそれ手伝えよ、君でも居ないよりはマシだからさ』って言われた。

 

来客用のテーブルの上に工作道具を並べながら早く座れよ的な視線を飛ばしてくる束、えらい張り切りようだから箒ちゃんに見せる気なんだろうなぁ。

 

そんな風に思いながら束の付けた印の通りに穴を開けてると、作業に夢中だった束がふと思い出したように顔を顔を上げた。

 

 

「そういえばさ、おじさんってちょくちょく海外に行ってたよね? 確か頼まれ物のアンティーク探しとかで」

 

「うん、今月の頭もフランスに行ってたっけ」

 

「また隕石とか拾って来てない? アフリカとかこっそり行ってたりとかしてない?」

 

「お前は俺の親父を隕石ハンターと勘違いしてね?」

 

「おじさんの人脈ならギベオン隕石でもドファール隕石でも実物持って来れそうじゃん」

 

「え、何その隕石? 隕石は隕石だろ? 種類なんてあったんだなー」

 

「ま、普通はそうだろうね。 丁度良い機会だからこの束さんが特別に個人授業してやるよ、有り難く思うんだね」

 

ふふん、と胸を張ってそんな風に言う束、宇宙に関する知識や雑学を語る時は凄く嬉しそうなので、何時も大人しく聞いてるんだけど、内容が難しくてほとんどちんぷんかんぷんなのが残念だ。俺ももー少し束の話に着いてける様に勉強した方が良いのかなぁ?

 

一応星座の話だとか彗星の逸話とかの雑学みたいな部分なら大分覚えたんだけど、それこそ専門用語満載の話とかされたら完全にお手上げ、話聞くのは好きなんだけどね。

 

「何考え込んでんのさ、私の話が半分も理解出来ないのは何時もの事でしょ? 変な事考えてないで大人しく聞いてりゃいいんだよ、君は」

 

「んー、でもさぁ? 俺も多少はそーゆー話出来たらお前も楽しいんじゃね?」

 

「別にいいよ、私は君にそう言うの求めて無いし。ただこうやって私の話を聞いてくれるだけで充分だから」

 

 

顔を逸らして手をひらひらさせながらそんな風に言う束、何と無くその表情からは嫌味とか馬鹿にした様なのは感じなかった、多分本心なんだろう。

 

束が別に今のままでもいいってんなら無理して知識詰め込む必要は無いかなぁ、にわか知識で話合わせてもあんまり会話は膨らまないし。

 

そもそも束に頼んだら分かりやすい様に噛み砕いて教えてくれると思うから態々自分で勉強しなくてもいいしな。

––––まぁでも。

 

 

「いつか束とおんなじ目線で色々見れたらいいなぁ」

 

「…………あっそ、まぁ期待しないで待っとくよ」

 

 

俺の呟きに束は素っ気なく返すと、ちょっとだけ嬉しそうに笑いながら工作の続きに入るのだった。

 




この後完成したプラネタリウムは無事箒ちゃんにお披露目されました。

ただし、主人公はその横で束さんによる星座講座を延々と聞かされる事に……。

原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)

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