天災二人と馬鹿一人   作:ACS

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小学五年生 3

––––最近、我が家のお猫様であるみーくんが丸々と太り始めている気がする。

 

去年の冬に引き取ってから大体三、四ヶ月くらいだからまだ肥満児って感じじゃ無いんだけど、小さな身体が何処と無く丸みを帯びてる様に見えるんだよなぁ、今日もオヤツ食べてるの見てて気が付いたくらいだし、最初が痩せてたからもしかして目の錯覚って奴?

 

 

「なぁみーくん? キミ太ったろ? こうやって持ち上げても子猫の割にずんぐりむっくりしてて重たいし」

 

「なー?」

 

 

みーくんへの冗談はともかくとして、マジでみーくんの顔の輪郭とか首回りが丸い、原因は何だろう?

 

何となく探偵になった気分、折角だから前に雑誌の応募で手に入れたシャーロック・ホームズのコスプレ衣装にでも着替えてみよう。

 

そう思ってクローゼットの中から衣装を取り出して着替えてる時だった、階段を登る音と共にノックも無しに部屋の扉が開けられた。

 

 

「––––相談したい事ってなに? 態々私とちーちゃんを呼んでまで話すない……よう?」

 

「ん? どうした束、部屋の前で固まって?」

 

 

着替えの途中で人が入って来るってのはアニメとか漫画でよくあるけどさ、これって普通男女逆なんじゃ……。ま、まぁ良いや取りあえず変な雰囲気を何とかする為にお決まりのセリフを言っとこう。

 

 

「いやん」

 

「そんな下らない事言う前に服着ろ馬鹿!! ちーちゃんだけじゃなくていっくんも箒ちゃんも居るんだぞ!?」

 

顔を赤くしながら捲し立てつつ思いっきりドアを閉める束、尤もな事を言われたのでさっさと探偵衣装を着替えてみんなを部屋に上げる。

 

んで、正面に座らせた束達の前に着々とドラえもんに近付いていくみーくんを置いて悩みを打ち明けた。

 

 

「という訳で諸君、みーくんのでぶっちょ問題についての捜査を開始したいと思います」

 

「それはいいんだが……」

 

「何その口調、キャラ付け? 全く似合ってないんだけど?」

 

「いや、探偵服着てるから探偵っぽい感じで行こうと思ったんだけど……ダメだったかなぁ」

 

 

呑気にみーくんにオヤツをあげてる一夏くんと箒ちゃんを脇に置いて置いて、本題の話に移ろうとしたんだけど、その前に千冬がチラチラとみーくんを見てる事に気が付いた。

 

「ん? どったの千冬? 別にお前もみーくん拾った時に一緒に居たし、実質飼い主みたいなもんだから別に触ってもいいんだよ?」

 

「そ、そうか? ならすまん、少し触ってくる」

 

 

普段クールな千冬も自分で拾って来た子猫は可愛いらしく、ポケットの中からおやつのササミを取り出してみーくんに食べさせてる。

 

「んでさ、束。 見ての通りみーくんが丸くなり始めてるんだけど、原因とか分かんない?」

 

「はぁ? なんで私があんな猫畜生の事なんか気にしないといけないわけ?」

 

 

自分よりも猫に夢中になってる箒ちゃんを見て、みーくんに嫉妬してるっぽい束、めちゃくちゃ拗ねた顔してるからこうなったら意地でも協力してくんないだろう。 うーん、手詰まりって奴?

 

捜査が一発で難航してしまったので、腕を組みながら考えてたらみーくんがちょろちょろと束の周りを擦り寄り始めた。

 

「にゃーお」

 

「寄ってくんな、私はお前みたいに他人に媚び売って取り入ろうとする奴が嫌いなんだよ」

 

しっしと片手でみーくんを追っ払おうとする束だけど、それに構わずみーくんはぐるぐると束の周りを歩き始める。

 

んで三周目か四周目の時に、束の後ろから出てきたと思ったら何故かおやつの焼きカツオを咥えて出て来た。

 

ついでに何故か束も顔を赤くしながら目を逸らしてこっちを見てくれない、さっきからなんだか違和感がチラチラあるんだけどなぁ……って、おやつ?

 

 

「てかさ、みーくん? 今日お前おやつ貰い過ぎじゃね?」

 

 

待て待て、まず俺が学校から帰って来てちゅーるをやっただろ? 次に一夏くんと箒ちゃんがカニカマをあげただろ? その次に千冬がササミで、束が焼きカツオ。

 

今日四回も貰ってんじゃん!? しかもこの直前のごはんもしっかり食べてるし、太るのは当たり前だわ。

気が付いてみれば今日集まってるメンバー以外も、俺ん家に遊びに来た人達は何かしらのお土産をみーくんに持って来てるからしょっちゅう誰かしらから食べ物貰ってる事になる。

 

箒ちゃんと一夏くんや千冬は勿論、今思い返すと束もよくよく考えたら影で可愛がってた様な気がする、だから太ったんだなぁ。

 

 

変な病気とかじゃなくてホッとしたけど、実際このままおデブちゃんになったら病気になる可能性はあるし、ダイエットをさせたいんだけど、まだ子猫なんだよね、首輪とリード付けてのお散歩より秘密兵器を使った運動の方が合ってるかな?

 

 

そう考えて、俺は二、三日前に買ってきた猫じゃらしをリビングから持って来たんだけど、俺が使う前に一夏くんと箒ちゃんに取られてしまう。

 

ほんとは俺が使いたかったんだけどなーと思いはしたけど、楽しそうに仲良くみーくんと遊んでる二人を見て猫じゃらしを諦めた。

 

 

「まーいいや、取り敢えずこれにて一件落着って奴かな? どー思うワタポンくん?」

 

「それを言うならワトソン、後この束さんがなんでお前の助手役なんだよ」

 

 

扇子を広げながら、そんな風にカッコつけた俺は束のツッコミと共に軽く小突かれるのだった。

 





みんながこぞっておやつをあげるから太り出したみーくん、この後適度な運動によって標準まで戻りました(白目

原作7巻までがどちらの会社かのアンケート(今後の描写に関わる為)

  • MF文庫J
  • オーバーラップ

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