オーバーロード~慎重な骨と向う見ずな悪魔~   作:牧草

39 / 41
今日は投稿来ると思ってた人いました?
当たりです!!

Devil May Cry:Peak of Combat配信中ですよ!←DLだけしてまだやってない人


mission 35

「ここは……」

 

 

気を失っていたアインズは身体を起こし辺りを見回した。

 

 

「いかがなさいましたか?アインズ様?」

 

「……アルベド、か?ここは一体……」

 

「ここはナザリック地下大墳墓第六階層円形闘技場(コロッセウム)

 

 

いつの間にかそばにいたアルベドの言葉に驚き再び辺りを見回すアインズ。

しかし、自分の記憶にある円形闘技場とは違うように見える。

 

 

(いや……これは……)

 

 

あちらこちらが朽ち、壁が崩れ、観客代わりのゴーレム達の大半が原型を留めていない。

廃墟のようになってはいるが円形闘技場の面影はある。

 

 

「何故!? とお思いですか?」

 

 

アインズの背後から腰をかがめスッと顔を突き出してきたデミウルゴスが問いかける。

 

 

「コレハアインズ様達ガナサッタコト……」

 

「世界中がこのようになっておりんす」

 

「あたし達が修復しているからここはまだマシなんですけどね」

 

 

コキュートス、シャルティア、アウラが放つ言葉を聞き流しながら、アインズはさらに周囲を見渡し、最後に空を見上げた。

地下の偽物とはいえ広がっている空の一部が欠け第5階層が見えていた。

 

 

「お、覚えていないんですか?」

 

「マーレ、まだ判決は出ていないのだからよしなさい」

 

「判決…?アルベド、それは一体どういう事だ」

 

 

アインズは思わず立ち上がりアルベドに詰め寄った。

 

 

「どうもこうもないですよ、モモンガさん」

 

「は?……たっち、さん?…えっ!?」

 

 

もう、聞くこともないと思っていたとても懐かしい声に思わず振り返り、たっち・みーの後ろに居並ぶ面々にさらに驚愕した。

 

 

「さすがの俺もまさか、モモンガさんとユーゴがここまでやるとは思わなかったわ」

 

「たしかに、『悪』を標榜する俺でもここまではやらねぇわ」

 

「ゲームじゃないんだから、もしかして俺がワールド征服しようなんて言ったからか?」

 

「さすがにいい大人なんだからゲームと現実の区別くらいはついてると思いますが、そうと言えない現状ですね」

 

 

アインズを糾弾するような言葉に思わず後ずさりする。

 

 

「ペロロンチーノさん、ウルベルトさん、るし★ふぁーさん、死獣天朱雀さん……」

 

 

辺りを見回せば40人が全員揃っていた。

アバターだし、表情のわからない種族すらいるのに総じて非難の目を向けてくる。

 

 

「モモンガさんやりすぎですよ」

 

「私たちのアインズ・ウール・ゴウンを貶めた」

 

「なぜこんなことをっ!」

 

 

様々な言葉が飛び交う中、たっち・みーが片手をあげてそれを制した。

 

 

「私達はナザリック地下大墳墓に唯一残られたアインズ様、いいえモモンガ様に従ってまいりましたが、至高の御方々が戻られた今それぞれの創造主に従っております」

 

 

アルベドがモモンガに目を向けることもなくモモンガ以外の40人の前に歩を進め、跪いてさらに声を上げる。

 

 

「さあ、至高の御方々。あなた様方のアインズ・ウール・ゴウンを恣にした者への判決をっ!」

 

 

アルベドに倣うようにモモンガの近くにいた階層守護者たちも跪いている。

 

 

「ユーゴと同じく(・・・)処刑でいいのでは?」

 

「妥当ですね」

 

「異議なし」

 

 

それらの言葉にモモンガはさっきまでの状況を思い出した。

一緒にナイトメアと戦い、自らのミスで何かに取り込まれたことを……

 

 

「ダンテは!?」

 

「ダンテ?ユーゴさんならそこにいる(・・・・・)じゃないですか」

 

 

たっち・みーの指し示す方を見遣れば、幾多もの刀剣や槍、矢を突き立てられたダンテが立っていた。

腕や足すら欠損しているにもかかわらず立っているのは背中から突き刺された大剣が支えになっているだけだった。

 

 

「何故こんなことを……」

 

「何故?正直それはこちらのセリフなんですよ、モモンガさん」

 

「ナザリック地下大墳墓はこんな有様にされてるし、世界は悪魔とアンデッドにあふれて人間はおろか亜人すらいない」

 

「この世界を滅ぼしつくしたのは君たち二人なんだよ」

 

 

アインズは混乱の極みにあった、かつての仲間から矢継早にぶつけられる身に覚えのない行動。

糾弾の声に思わず漏れる「俺じゃない」の声。

 

 

「じゃあ誰がやったっていうんですか!?この世界の雑魚にそんなことができると本気で思ってるんですか!?」

 

「いちいち言い訳なんて聞かなくてもいいって、もう処刑しちゃおうよ」

 

「そうですね。声を聴くのも不愉快ですし」

 

「それもそうだ。でも正直意外ですよ、たっちさんなら最後の言葉くらいは聞いてあげると思ってましたよ」

 

「聞いてあげる価値がある者からならそれも吝かではないですけどね。そんな価値ないでしょう?」

 

 

すでにアインズは声を上げることもなく自分の目の前で言葉を紡ぐかつての仲間を見上げていた。

もはや誰が何を言っているのかすら理解もできないままこのまま死ぬのだろうと半ば諦めていた。

 

 

「地味に似せてきてるのがマジでうぜぇな」

 

 

もはや聞きなれた不遜な声と共に横合いから極太のレーザーが目の前を薙ぎ払った。

アインズがレーザーの放たれた方を見やるとダンテがアタッシュケースを踏みつけながら苦虫を噛み潰したような顔をしているのを目にした。

 

 

「アインズ、こいつらは全部偽物だ。殺せ」

 

 

赤く目を光らせたダンテが愛用の拳銃を向ける。

アインズはそんなダンテの様子に困惑を隠せなかった。

 

 

「ま、待てダンテ。みんなが偽物?どういうことだ」

 

「ここはお前の悪夢の中だ。さっきまで違う場所でナイトメア…あー、気持ち悪いスライムと戦ってただろう。あれに取り込まれたんだ」

 

「いや、意味が「そういう敵だ。意味なんか俺も知らねぇ!」わか……」

 

「こいつらがこんなところにいるわけねぇし、こんなに弱くねぇだろうが!!」

 

 

そのダンテの言葉にレーザーで薙ぎ払われた方を見遣ると、大半のメンバーが倒れていたり大怪我を負っていた。

 

 

「特に!あのピンクの肉棒があんな柔らかい(フニャチ〇な)わけねぇだろうが!!」

 

「ぶくぶく茶釜さんを肉棒言うな!!フニャ〇ン言うな!!」

 

 

ギルド内でタンク役を務めていたぶくぶく茶釜が不意を突いたとはレーザーの掃射であそこまでのダメージを負うとは考え辛い。

彼女曰く「タンクなんだからガチガチのバッキバキじゃないとね」とのこと。

ペロロンチーノだけがその言葉に苦虫をまとめて嚙み潰したような顔をしていたことをハッキリと覚えている。

 

とはいえ、推定偽物の彼らがここまで弱いのは、おそらく敵性の悪夢を数多く出現させたため、一つ一つがそんなには強くできなかったのだろう。

しかし楽勝かと言われればそうでもない。見知った人物であるし、自身を除いて40人もいるとなると純粋に手が足りない。

ダンテの言う通り、速攻を決めるべきだった。

 

アインズが攻めあぐねている間もダンテはドッペルゲンガーを出現させ、一人ずつ確実に対処している。

遠距離攻撃を重ねながら隙ができれば接近し、大技を叩きこむ。

ドッペルゲンガーは常に高火力の技を連発している。

 

ダンテがみるみるうちに打倒していくが、さすがに時間が足りず、生き残った33人が態勢を整え反撃に移った。

 

 

「影縫い!」

 

軍荼利明王撃(グンダリー)!」

 

大災厄(グランドカタストロフ)!!」

 

次元断切(ワールドブレイク)!!」

 

 

二式炎雷と武人建御雷がダンテの足を止めようと技を繰り出し、ウルベルトとたっち・みーのそれぞれが自身の最強技を惜しみなくぶつける。

 

 

「っ!!」

 

 

影縫いの短剣をステップで躱し、軍荼利明王の手から放たれる蛇をエボニー&アイボリーで打ち落としつつ距離を取りながら大災厄(グランドカタストロフ)からは逃れられないと知っているダンテはロイヤルガードを発動し、ダメージを抑えることに成功するも、次元断切(ワールドブレイク)の直撃をくらい吹き飛ぶ。

同時に、呆然としていたアインズも大災厄(グランドカタストロフ)が直撃し大ダメージを受けることになる。

幸いなことに、ナイトメアの生み出したギルドメンバーたちの強さが本物に劣るため、戦闘不能にまで追い込まれることはなかった。

ダンテの吹き飛んだ先に追い打ちをかけるペロロンチーノの弓の連射や他のメンバーたちの魔法攻撃が降り注ぐ。

しかし、いつの間にか上空に現れていたダンテは流星のごとく降下しつつ少し離れた位置にいたヘロヘロに蹴りを浴びせる。

 

 

「イージス!」

 

 

しかし、ぶくぶく茶釜が間に割り込みスキルで防いだうえ、かばわれたヘロヘロがぶくぶく茶釜を回復させてしまう。

ダンテは間髪入れず、リベリオンでぶくぶく茶釜を打ち上げ、コヨーテ・Aを背後へ放ちぺロロンチーノが射った矢を打ち落とすと、目にも止まらなぬ速さでぺロロンチーノへ迫りガンスティンガーを放つ。

 

先程背を向けたヘロヘロとさらに左右から二式炎雷と武人建御雷がそれぞれ飛び掛かるがダンテは飛び上がって避けつつ下方に向けてエボニーとアイボリーを回転しながら乱射し、3人の足を止めた。

さらに打ち上げられていたぶくぶく茶釜が発砲しているダンテに向けて急降下するが、カウンターを狙ったかのようにリベリオンでの兜割りで3人の上からぶくぶく茶釜を叩きつける。足元に4人をまとめたところにいつの間にか接近していたフラットフットのつるりんぺたんが振りぬかれるが、ロイヤルガードのリリースで足元の4人とまとめて消し飛んだ。

 

 

「5人……あと何人だ?」

 

 

呟きながら、アインズに目を向けるとちょうどやまいことブルー・プラネット、チグリス・ユーフラテスが消えたところだった。

最初のパンドラのレーザーで消滅こそ免れたものの行動不能になった者たちもいつの間にか消えていて、残りは6人ほどになっていた。

 

空気を割いて飛来した矢を首を傾げて避け、飛んできた方向にスパイラルを構え発射。

いつの間にか闘技場を抜け、距離を作り一方的に矢で打ち抜くつもりだったぺロロンチーノの腕を吹き飛ばした。

 

 

(本物なら銃弾を矢で打ち落とすか、最低でも避けるくらいはするのにな…)

 

 

倒せてはいないが、もう戦力外だと判断し後回しにする。

その間、アインズはたっち・みーとウルベルトの猛攻を辛うじて凌いでいた。

二人が悪夢ではなく本物であれば、アインズはとっくにやられていたことだろう。

 

ダンテはアインズが他を引き付けている間にネヴァンをかき鳴らし帯電する蝙蝠を召喚する。

そしてダンテの周りを大量の蝙蝠が飛び交うと帯電していたそれらはバチバチと音を鳴らしながらアインズたちに向かって打ち出された。

アインズは逐一ダンテの様子を見ていたため、特に呼びかけがなくてもその場を退いた。

蝙蝠たちを稲妻と共に打ち出す攻撃(ディストーション)。ネヴァンによる攻撃のなかでも特に威力の高いそれによってたっち・みーとウルベルト以外は完全に消し飛んでいた。

 

 

「アインズ!ウルベルトを!!」

 

「わかった!」

 

 

ダンテがたっち・みーにルシフェルから取り出した魔力剣を次々と投げつけながらアインズに叫ぶ。

アインズはいつかの焼き直しのような光景に思わず気を取られそうになるが、目の前のウルベルトに集中する。

アインズはウルベルトの魔法の構成を知っている。どんな魔法を好んで使うかも知っている。

ナイトメアがアインズの記憶からこの悪夢を作りだしているのであれば、アインズの知っていること以外は起きえない。

とはいえ、本来のウルベルト相手なら勝ち目はない。それは純粋にウルベルトがガチビルドキャラクターだからだ。

ガチビルドVSロマンビルド。ロマンビルドは文字通りロマンの一発がない限り勝てるわけがないのだ。

しかし、ここでは彼らに本来の強さはなく、弱体化している。

 

スキル構成等は記憶の通りLV100の構成となっているように見受けられるが、それを振るうステータスが弱すぎるというちぐはぐな状態。攻撃をいなすだけなら問題かった。

ここまでは数で押され気味だっただけで、タイマンにまで持ち込むことができたならば、十分以上に勝ち目はある。

 

 

「ウルベルトさん、あなたの戦い方は身に染みてるんですよ。覚悟してください」

 

 

アインズがウルベルトを相手取って立ち回っている間、ダンテはたっち・みーを一方的に弄っていた。

 

 

「少しは期待していたんだけどな……」

 

 

ダンテはつまらなさそうにエボニーとアイボリーで釣る瓶打ちにしていたたっち・みーを蹴り上げる。

目の前の悪夢が弱体化していること自体はわかっていた。

それでもダンテはたっち・みーに期待していた。自分がどれほど強くなれたかを測る指標として。

結果から言えば、なんの指標にもなりえなかった。

最初はダンテの戦闘スタイルが確定したときの模擬戦。こちらの世界に来てすぐのころにナザリックで記録映像を上映したときの戦闘に則して戦っていた。アインズの記憶が元の悪夢であればあの戦闘は知られているはず、弱体化していようとも対応されるだろうと考えてのことだった。

しかし、相手のステータスが低すぎたのか、あの模擬戦(映像)と同じように対処しようとするも力負けして、たっち・みーはダメージを負う。

 

 

「まぁ、いい。とっととこんな辛気臭い場所から出るか」

 

 

ダンテはアルテミスを構えると魔力を収束さて撃ち放った。アルテミスから放たれた複数の魔力弾はたっち・みーに殺到し、最後の一発が当たった瞬間にたっち・みーごと爆散した。

ちょうどアインズ側もウルベルトを撃破したらしく、誰もいなかった。

 

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「……あれ?」

 

「ダンテ?」

 

 

元の場所に戻ると思ったが何も起きないことに首を傾げるダンテ。

ダンテが黙って何かを待っているのだと思い、じっとしていたアインズ。

本来なら悪夢に取り込まれた場合、その悪夢の中にいる何かを倒せば出られるはずなのだが……

 

 

「誰か倒し損ねてるか?」

 

「えっ?ここには誰もいませんが?」

 

「………ちなみになんだが、アインズ」

 

「なんです?」

 

「お前は本物か?」

 

「いや、それどちらで答えても怪しいやつじゃないですか!?」

 

 

さすがに同士討ちは避けたいなぁと考えるダンテだが、頭の片隅に引っかかる何かがある。

 

 

「あ、ペロロンチーノが逃げてた」

 

 

その一言と共に再びアルテミスに魔力を収束、そして放つ。

しばらくの後に風景画歪み、気づけば目の前には気色の悪いスライムが苦しそうに蠢いていた。

ナイトメアと戦っていた場所に戻ってこれたようだった。

しばらくするとブヨブヨと蠢いていたナイトメアは動かなくなった。

 

 

「…………」

 

「…………」

 

「なんか、しまらねぇな……」

 

「間違いなく死闘のはずだったんですが……」

 

 

ダンテはナイトメアから何かを吸収するような感覚を覚えつつも辺りを見回す。

アインズもとりあえずこれで戻れると若干安堵した。

ちょうどナイトメアのいたあたりに光を放つ魔法陣らしきものがあるのを見つける。

 

 

「で、どうする?向こうに戻ったら喧嘩の続きでもするか?」

 

「あー、そうですね。もう疲れたので話し合いましょう」

 

 

アインズはダンテの言葉に、そういえば喧嘩といっていいのか疑問はあるが戦っていたことを思い出していた。

言葉通り疲れたのもあって戦いたくはない。そもそも、最初からダンテと戦いたいわけではないのだ。

ここでの戦いではっきり分かったが、元より勝ち目の薄い戦い。避けられるものならば避けた方がいいに決まっている。

 

戦闘が終わって、じわじわと回復しつつはあるが、何か攻撃を受ければそのままぽっくりと逝きかねないダメージを負っている中での戦闘の再開はどちらも避けたいと思っていたのでアインズの「話し合い」という言葉に思わず笑いを漏らす。

 

 

「それはそれで疲れそうなんだよなぁ」

 

 

ダンテのボヤキにアインズも、黒髪美人のサキュバスと眼鏡スーツの悪魔の顔を思い出して内心で苦笑い。

二人は「守護者は抑えてくれよ?」「OKOK」なんてやり取りをしながら魔法陣に足を踏み入れカッツェ平野に帰還した。

 




お気に入り、感想などなど本当にありがとうございます。
また、誤字脱字の報告もありがとうございます。


次回もお付き合いいただければ幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。