ネタバレも何も原作の通りですが、映画だけだとカルカもケラルトもキャラクターがわからないだろうなぁという感じでした。いいキャラなのにもったいないなぁと感じました。
声優さんも豪華なのにあっという間に聖棍棒に…
ナイトメアとの戦闘に勝利してカッツェ平野に戻ってきたダンテとアインズは目の前の光景に言葉を失った。
「な、なんだこれは……」
「……」
絨毯爆撃を受けたかのようにクレーターだらけとなった平野。
天変地異の前触れを彷彿とさせるような異様な空の色。
そして空を吸い込むような渦の中心部に輝く3点の赤い星。
「………」
「ダンテ、これは一体」
「ク〇野郎のお出ましだよ」
空を睨みつけながら、呟くダンテはアインズが見たことのない珍しい表情だった。
アインズがダンテに事情を問い詰めようとした矢先、一つの気配が背後で蠢くのを感じた。
「アインズさま……」
その声に振り替えれば、ボロボロになったマーレが地に倒れ伏していた。
アインズは慌ててマーレを抱きかかえるとインベントリからポーションを取り出してマーレに飲ませた。
「ありがとうございます。アインズ様」
「そんなことより、ここで一体何があったんだ?」
アインズの問にマーレは申し訳なさそうに語りだした。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
アインズたちが謎の水たまりに吸い込まれて、マーレがデミウルゴスに助けを求めると、デミウルゴスから調査用のモンスターたちが派遣されてきた。
謎の水たまりや戦場の様子を確かめるためだ。
モンスターたちが集めた情報のうち、主要な人物たちの状況として、リ・エスティーゼの国王であるランポッサ三世はアインズが仔山羊たちを召喚した直後に行動を開始しており、ガゼフの部下に背負われ戦場を離脱済みだった。
前線に上がってきていた貴族たちの5分の1が仔山羊たちに踏みつぶされている。
想定上に被害が少なかったのはダンテの影響だった。
そしてガゼフたちは何とか逃げおおせていた。
マーレにアインズの行方を聞かれた直後に離脱していたのだ。
ガゼフはアインズはともかくダンテを心配して残ろうとしたが、王国の戦士団を預かる立場の人間がいつまでも離れているわけにはいかないこと、それに加えここにいても出来ることはないと、ブレインに言い含められる形だった。
確かに、アインズもダンテもこの場にいない以上、できることは彼らが飲み込まれたであろう鏡のような水たまりを見つめるだけだった。何より、ガゼフたちより圧倒的な強者であるダンテの心配はするだけ無駄だとブレインが笑った。
それにマーレの存在はいつこちらに牙を剥くかわからない不確定要素でしかなかった。
マーレに対するブレインの警戒はガゼフにも伝わっており、そうそうにクライムを連れて離脱した。
また、帝国側も撤収の準備が進められており、直に帝国に向けて出発するだろうとのことだった。
すでに主要な将軍格は陣を引き払っており、小部隊の隊長格が撤退の指揮を取っているようだった。
マーレは情報収集をモンスターたちに任せ、引き続きアインズの安否を気にして鏡のように光る水たまりの周りをつぶさに調べ上げていた。
魔法で周辺の土を掘り返してみたり、水たまり直下の土を移動させてみたりしても水たまりは空間に固定されているかのように場所が変わらない。
不用意に触るわけにもいかず、状況は芳しくない。
2時間後。
突如空に暗雲が立ち込めた。
いつからそこにあったのか赤く光る3つ星を中心に一気に空が暗くなっていった。
正体不明ながらも、明確な意思を感じるそれは得も言われぬ圧力を放っていた。
人のというより生命の根源から受け入れられぬような悍ましい気配によってエ・ランテルに退却を始めていた王国軍は恐慌に陥り、もともと退却どころか敗走の有様だったが、自らの君主、軍の上官、同僚の区別もできず我先にと逃げていた。
目の前で人が転べば踏みつぶし、それに足を取られてさらに転んだ者がいればそれらをも乗り越え、何の秩序もなくただその場から少しでも離れたい一心で逃げていた。
自陣にて布陣していた帝国軍も程度の差はあれど、自国に向けて遁走していた。
王国軍と違い職業軍人として訓練されていたにもかかわらず、上官の静止命令を聞くこともなく逃げ出す。
そもそもその上官ですら我先にと逃げだしている状況だった。
マーレの周囲には調査用のモンスターが何体かいるが相変わらず、空に輝く赤い光の情報、およびアインズたちが捕らえられた鏡のような水たまりの情報は得られていない。
デミウルゴスの指示のもと、それ以外の情報は着々と集まりつつある。もっとも、上空に3点の赤い光が現れるまでの情報だけだった。
両軍が混乱に陥ったあとは情報収集もままならない
アインズの救出が叶わず、半ば途方に暮れるマーレの背後で何かが大爆発して木の葉のように吹き飛んだ。
この世界に転移して以降、受けたことのないようなダメージを負いつつ、マーレは状況把握に努めようと振り返った。
そこには大きなクレーターが出来上がっており、デミウルゴスが派遣してきたモンスターたちは一掃されていた。
それだけではなく、次々と空から赤い槍のような光が降り注ぎ、地面を穿っている。
逃げる王国軍、帝国軍の区別なくそれらは降り注ぎ両軍にとんでもない被害をもたらしていた。
マーレはこちらに向かってくる槍に対して攻撃魔法を放ち相殺を図るも槍の攻撃力は尋常ではなく相殺などできず、再び地面を転がる羽目になった。
追い打ちをかけるかのような攻撃に対して地面を操作し防壁を作るも、一本当たるごとに防壁は吹き飛び槍の物量に次第に防御が間に合わなくなっていく。
そしてついに槍をその身に受けてしまう。
魂をも削り取るような痛み。身体的な痛みはもちろん、このままにしておけば廃人にでもなってしまいそうな、身の内側を犯し、蹂躙するような痛みの波濤。
マーレはアウラのことを脳裏に浮かべながら意識を手放した。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
マーレは自身が意識を失ったところまでを話すとアインズの前に跪き、頭を下げた。
「ごめんなさい。アインズ様。ボク、なんの情報も得られないままやられてしまって」
幸いマーレが死んでしまう直前で赤い槍が消え、一命を取り留めていたのだが、マーレからしてみれば何故か生き残ったと言える。そんなマーレにアインズは屈みこみ、頭を撫でながら言った。
「いいんだ、マーレが無事でよかった」
そしてアインズはダンテを見遣る。
「ダンテが何か知っているようだ。一度ナザリックに戻り情報の共有を行うとしよう。いいな、ダンテ?」
「あぁ、ヤツがここから俺たちを逃がしてくれるなら、なっ!!」
ダンテは言葉の途中で飛来した赤い槍をリベリオンで打ち払うと、そのまま肩に担ぎ赤い3点の光を見上げて叫ぶ。
「なぁ!ムンドゥス!!」
ダンテの問いかけに応えるかのように、空から重苦しい声が響いた。
「人間ごときが、大人しく死んでおればいいものを……まぁ、よかろう観客の一人もいないのは興醒めというものか。喜べ人間ども、これより魔界から悪魔を次々と送り込みこの人間界を侵攻してくれよう」
「そりゃご親切に」
アインズは黙って、ダンテとムンドゥスとのやり取りを聞いていた。
どうやらムンドゥスは直接侵攻せず、悪魔を使ってこの世界を侵略するつもりのようだ。
ムンドゥスがどの程度の強さなのかは不明だが、ナイトメアとの戦闘後である今の状況で戦えるとも思えないため、これから悪魔をこの世界に送り込むという情報はHPやMPの回復が出来るこである。
それはアインズにとっては僥倖だった。
「戦力の逐次投入は愚策だって知らないのか?神気取りのク○野郎」
「おい、やめろダンテ」
とアインズのそんな考えをよそにムンドゥスを挑発するダンテに思わず声を荒げ、ダンテの腕を引く。
敵が愚策を取ってくれるというならそれに越したことはない。
「止めんな!この世界が滅ぶぞ」
「どういうことだ!?」
「ちっ!!」
言い争う二人をよそにムンドゥスはいつの間にかその姿を消していた。
「いいから、説明しろダンテ」
「はぁ…あのな、逐次投入が愚策になるのはもう一方がある程度戦えることが前提の話だ」
「……そういうことか」
悪魔たちは強い、逆にこの世界の人間は弱い。
今回の場合、悪魔に対して人間は無力だ。全く戦いになどならない。
対抗できるのはナザリックの勢力や、評議国のドラゴンロードたち、法国の絶死絶命くらいだろうか。
遠隔地に散発的に悪魔を投入されては迎撃の手が圧倒的に足りない。
足りなければどうなるか、迎撃に間に合わない場所では人間の大虐殺が起きるのだ。
愚策だ、愚策だと言われる逐次投入もこの場合ではむしろこちらにとっては致命的な戦術となる。
ダンテもアインズも知りはしないが、ムンドゥスは魔界を統一しており、その勢力は膨大でこちらの世界とは比較にならないため、逐次投入であっても結果的に擂り潰されることは確定的である。
そもそも、悪魔たちが軍として行動できるかといえば、それもまた否である。
連携や戦術など関係なく自らの力に任せて襲い掛かるのみ。
極端な話、まとめて悪魔たちを投入しても、迎撃には数が必要になる。
ならばどう防ぐのかと問われれば頭をやるしかないのだ。
命令する者がいなくなればとりあえず侵攻そのものは止まるだろう。
しかし、それと送り込まれた悪魔たちが帰還することはイコールではなく、むしろ残された悪魔たちは自らの生存や強化のためにこちらの世界で暴れることが目に見えている。
どちらをも防ぐそのため、ダンテはムンドゥスがそのまま戦いに応じることを願いつつ挑発していた。
もっとも、それも叶わずムンドゥスは去ってしまっている。
どこにいるかもわからない以上何か手掛かりを得なければ悪魔の侵攻前にムンドゥスを叩くことはできない。
魔界に行ければ直接ムンドゥスを倒すこともできるかもしれないが、魔界へ行く方法など全く知らない。
魔界へ行く方法そのものはもしかしたらあるのかもしれない。
それを調べるにしても時間は必要だろう。その間に悪魔たちを送り込まれては一巻の終わりだ。
「どちらにしろ、ここにいても仕方ないだろう。一度ナザリックに戻り対策を考えるぞ」
アインズはそう言うとゲートを開き、マーレを促しダンテの腕を掴んでゲートに足を踏み入れた。
ゲートを抜けた先には、マーレを除く階層守護者たちが揃っており、跪いてアインズの帰還を待っていた。
「おかえりなさいませ。アインズ様。ご無事で何よりでございます」
「アインズ様の危機に我々一同何もできなかったことを深くお詫び申し上げます」
アルベドとデミウルゴスが代表して話すが、アインズは手を振って話を遮った。
「気にする必要はない。あの場にお前たちが巻き込まれていなくて逆に私は安堵している」
「「…………」」
今までのアインズの行動から、それが自分たちが逆に足手まといになってしまうであろうことを理解した守護者たちは閉口した。
アインズは守護者たちが抱える思いを理解しつつも喫緊の問題を解決することを優先とし、守護者たちに問いかけた。
「そのようなことより、状況は理解しているか?」
「はっ、ムンドゥスなる者について文献などを調査中です。何かわかり次第逐一報告が上がってきます」
「並行してこの世界における調査も進めております」
アルベドとデミウルゴスが現状の調査状況を報告する。
当たり前だが、ムンドゥスという名称についてダンテの発言からしか得られていないため、たった今調査を始めたといってもいいほど何もわかっていない。
「……ナザリック内に情報はない。外にもおそらくだが情報はない。だろうダンテ?」
「そうだな、たぶんヤツの情報を持っているのは俺だけだろう」
アインズの問いかけにダンテははっきりと答えた。
ダンテは俺も正確に覚えているわけでもないし、本当に合っている保障はできないと前置きして語り始めた。
ゲーム「Devil May Cry」におけるムンドゥスの設定について。
毎度、お気に入り、感想などなど本当にありがとうございます。
また、誤字脱字の報告もありがとうございます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
この頻度で聖王国編なんていつになるんだろう(白目