オーバーロード~慎重な骨と向う見ずな悪魔~   作:牧草

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なんとなーくのプロット(脳内)で進めてきた拙作。
あまりにも時間が経ちすぎていてどんなプロットだったか思い出せない。


mission 37

守護者たちの前でムンドゥスについて語ったあと、ダンテはアインズの私室に連れてこられていた。

守護者たちからはいつものようにアルベドとデミウルゴスが同席している。

 

 

「正直、信じたくないような情報ばかりだったわけだが、どこまで本当なんだ?」

 

「言いたいことはわかるが、俺にも正直わからない」

 

 

アインズは「Devil May Cry」におけるムンドゥスがダンテの語った通りであるとすれば、どう戦えばいいのかすら検討が付かず、途方に暮れていた。

ダンテにしても、これまでに出現してきた悪魔たちや、赤く光る3つ星などの状況証拠的にあれがムンドゥスであると言っているのであって本当にムンドゥスなのかそこをはっきりさせたいと思っている。

そして本当にムンドゥスだった場合、ゲームで突如始まった謎のシューティングゲームパートをどうするのかという問題にぶち当たる。極論を言えば魔人化して射撃しているだけなのだが、魔人化は長時間保つことができないし、射撃にしても銃撃でいいのかと疑問を覚える。

また、いままでユグドラシルの設定がこの世界に反映されているからといって、別のゲームの世界観や設定がそのまま現状に当てはめても通用するのかという問題もある。

加えてこの世界独自の設定(武技や生まれながらの異能(タレント))も存在している。

それらがどのように影響するかはまったくもって未知数なのだ。

 

 

「一つずつ整理していこう、まずムンドゥスという存在について」

 

「魔界の統一者、無から有を創造する力の持ち主ということですが…」

 

「創造の力というものがどの程度のものなのかを詳しく知りたいですね」

 

「……なんでも作れる。モノでも生き物でも世界でもだ。アインズにわかりやすく言えば、さっき戦ったナイトメアはあいつが創り出したものだし、引きずり込まれたあの空間もムンドゥスの力の片鱗だろう」

 

「まさに、なんでもありだな」

 

「俺たちがユグドラシルにいた頃から2140年くらい前に一度人間界に侵攻して世界を支配しようとしたが失敗して封印されていたらしい(ゲームの発売が2001年でそこから約2000年前という設定らしいからそのくらいだろう)」

 

 

ダンテはゲームの設定の話を付け加えた。ゲームの話をさも事実かのように語ることに中二病から解放された後の羞恥心にも似た複雑な気持ちを抱くが、この世界では設定が事実となっていることも数多くあるため、馬鹿にできない情報だった。

 

 

「失敗した原因は何だったのかしら?」

 

「当時、ムンドゥスの部下だったスパーダという悪魔が裏切り、人間側につきムンドゥスを封印したらしい」

 

「たった一人でか?」

 

「さぁ?人間側の伝承に残ったくらいだから人間と一緒に戦ったんじゃないのか?」

 

「…この世界の人間どもと比べるとアインズ様方のいたリアルという場所には強大な力を持つ人間が数多くいたのでしょう」

 

デミウルゴスが転移前のリアルの人間たちを称賛しているが、ゲームの話であることを知っているアインズとダンテは内心で苦笑いしていた。

現実はその日を生きるのすらやっとの労働者たちと一部の肥え太った富裕層だ。とてもじゃないが戦える人間などいない。

そもそもあの世界に守る価値なんてあるだろうか?大半がそのまま滅びてしまえ思ったとしても不思議はない。

 

 

「……ムンドゥスについてもっと掘り下げたい気持ちもあるが、続いて『魔界』についてだ」

 

「一つの世界について端的に答えろというのも無茶苦茶な話だが、イメージで言うなら神曲に描かれる地獄が一番近い。完全な弱肉強食の世界らしい」

 

「魔界の統一者であるというのにこちらの世界に干渉したことを考えれば、世界を超える方法があるということになるのではないでしょうか?」

 

「これもイメージの話になるが、人間界と魔界の境目は網目のようなものらしい。力の弱い悪魔はその網目をすり抜けることができるが、逆に力の強い悪魔は自由に通り抜けることはできないらしい。それも場所によって網目の強度が違って、無理矢理通り抜けることができる場合もあれば、地獄門*1を通ることで自由に行き来できる。他の方法*2もあるのかもしれないな」

 

 

「つまり、その網目を通ることができるのならば、理論上誰でも世界を超えられるということになるわけですか……」

 

 

ここでダンテはふと、ムンドゥスが未だこちらの世界に直接は来れない可能性に思い至った。

地獄門などの特殊な事例を置いておけば、境界の網目を超えるしか移動する手段はない。

しかし、ムンドゥスほどの悪魔になればその力の大きさによって網目を超えることができない。それこそ境界があいまいになるほど網目が緩くならない限りムンドゥスの直接移動は不可能なのではないだろうか。

だからこそ、ムンドゥスは下級の悪魔からこちらに送り込んで、こちらの世界の一部を魔界化することで境界を超えるつもりなのかもしれない。

だとすれば、多少時間の猶予があるかもしれない。

 

 

「仮にダンテ、様の言葉がすべて正しいとすれば、ムンドゥスはまだこちらに来られない可能性があります」

 

「どういうことだ、アルベド」

 

 

アルベドの言葉にすかさずアインズが食いついた。

ダンテは自らとほぼ同時に気が付いたような発言をした彼女に対し、さすが頭いいな…などとぼんやり考えながらも、解説役は自分のキャラじゃないと思い、説明をアルベドに丸投げした。

 

 

「はい、網目という表現は言いえて妙です。つまり境界を超えるには自らの力の大きさに合った網目を見つけて通る。もしくは網目を広げる。網目を破壊するといった手法が考えられます。それぞれどういった方法を取るのかは不明ですが、膨大な力を持つムンドゥスが通れる網目が存在しないのではないでしょうか?それは、手っ取り早くこちらの世界に直接顕現しなかったことを考えても可能性は高いかと……」

 

「なるほど、配下の悪魔を力の小さい者から送り込むことで、世界に歪みを与え、網目を解れさせようというのですね」

 

「おそらくそうなのでしょう、事象としてはアンデッドが大量発生した場所が異界化するのに似ているわ、ちょうどカッツェ平野や、以前アインズ様が解決したエ・ランテルの墓地のような状態ね」

 

「だとすれば、ムンドゥス側の散発的な襲撃こそ避けられませんが、ムンドゥスの顕現までにはしばらく時間がかかるのでしょう」

 

「どこかの境界がムンドゥスがこちらに顕現できるほど歪むまで段階を追って強い悪魔を送ってくるということだな?問題はどれほどの猶予があるか。また、避けられない散発的な襲撃にどう対処するかだ」

 

「「………」」

 

 

さすがの知恵者二人も黙らざるを得ない難題だった。

相手がどう動くかもわからないし、境界にどれほどの負荷をかけるか、またどれほどの負荷がかかれば歪むかのデータもないのに猶予など算出のしようがない。襲撃の対処にしても悪魔に対抗できる戦力がそもそも足りないのに対処などできない。

ない袖は振れぬのだ。

 

 

「まだ、問題点はある」

 

「なんだ?」

 

 

ダンテは指をひとつずつ伸ばし告げた。

 

 

「ひとつ、相手はウン千年以上生きてる老害で寿命なんてものはない悪魔だ。俺たちみたいにここ数年で活動しているわけじゃないことを考えれば、時間感覚が合わないことも考えられる。下手をすれば下級悪魔たちの襲撃そのものが100年後なんてことも普通にあり得る」

 

「ふたつ、襲撃は網目を通り抜けられる下級悪魔から順番だ。手が足りないのはもちろんだが、下級悪魔程度の力であれば、襲撃そのものを察知すること自体が難しい。平時にもあるような事件に紛れてしまう可能性は高い」

 

「みっつ、世界を超える方法が境界を超えること以外にもあるかもしれないってことだ、仮にムンドゥスがこちらに繋がる地獄門を見つけて一気に乗り込んできたら被害は下級悪魔の襲撃程度では済まない。襲撃の対処に加えその他の世界を超える方法の調査なんて平行して進められるリソースは俺たちにはない」

 

「まったく、どうしろというのだ……」

 

「どのみち、受けに回っていては物量に擂り潰されてお終いだ」

 

「地獄門などで世界を超えて直接ムンドゥスを叩くという方法を取るしかないという事ね……」

 

「流石に境界の網目をこちらから超えるわけにはいかないでしょう。通行可能か不明ですし、境界にどのような影響があるか、それもまた不明。その影響によってムンドゥスが境界を超えられるようになってしまっては本末転倒でしょう」

 

「つまり、こちらは一刻も早く地獄門かそれに類する魔界への移動手段を発見し、魔界でムンドゥスを倒す必要があるという事か……」

 

 

話をまとめたアインズの言葉にアルベドとデミウルゴスはその難易度の高さからか眉間に皺を寄せて考え込んでいる。

 

 

「アルベド、デミウルゴス」

 

「「はっ」」

 

「現状ではこれらを一気に解決する方法はなさそうだ。できることからやるとしよう」

 

「承知いたしました。それでは各地に配下を放ち、地獄門および魔界への移動手段について調査いたしましょう」

 

「並行して悪魔たちの襲撃に対し迅速な対応を行えるよう放った配下たちを利用する通信網兼警戒網を構築いたします」

 

 

次々と計画を立てていく3人を後目にダンテはこれからどうするか考えていた。

調査や警戒網については手が出せない。襲撃のあった場所に対処すること自体は可能だが速度から考えればナザリックの人員で行ってしまうのが手っ取り早い。

襲撃の対処として転移門(ゲート)の使えるアインズやシャルティアが引っ張りだこになるのは目に見えている。下級悪魔であれば態々ダンテを呼びに来る必要もないだろう。

 

(まぁ、自分の勘に従ってあっちこっちうろうろしてみるか)

 

 

「まずは私とシャルティアで各地に転移門(ゲート)を開けるようにしておこう」

 

「それには及びません。各地に派遣した配下たちの位置情報をもとに遠隔視(リモート・ビューイング)を使用したうえで転移門(ゲート)を開いていただければ十分でございます」

 

「む。それもそうか…」

 

「各地に派遣する配下の選定や召喚の為に多少のお時間はかかりますが、エ・ランテルを中心に広げてまいります。今はその準備を迅速に進めるために一刻も早く魔導国の建国を進めようと思います」

 

 

3人が今後の予定を詰めていく中、ダンテはまずはどこに行くべきか思案していた。

基本的には下級悪魔たちが紛れやすい情勢が混沌としている場所、争いが絶えない場所がいいだろうと考える。

 

 

「なぁ、争いが続いてる場所ってどこだ?」

 

「……なるほど、そういう事でしたら竜王国が適当かと」

 

 

ダンテの問いにデミウルゴスが答えた。話を途中でぶった切ったダンテにアルベドは険しい目を向けている。

デミウルゴスによればダンテの言う争いが続いている場所というのは竜王国とローブル聖王国らしい。

竜王国はビーストマンの国(?)と戦争状態にあるらしい。

 

 

「対して聖王国はアベリオン丘陵の亜人たちとの小競り合いが頻発しています。もっともこれは私たちが意図的に起こしているものも含まれますので異常があればすぐに察知可能でございます」

 

「わかった」

 

 

そういうとダンテは立ち上がってアインズに帝国へ転移門(ゲート)を開くように要求した。

アインズはダンテが竜王国に行くのだろうと理解し、一つ頷くと転移門(ゲート)を開いた。

 

 

「そういえば、アインズ」

 

「なんだ?」

 

「全く知らなかったんだが、どんな国を作るんだ?」

 

「全ての種族が平等に暮らせる国だ」

 

「…ならいい」

 

 

ダンテはひらひらと手を振りながら転移門(ゲート)を潜った。

それを見送ったアインズも守護者二人に今の話し合いを考慮した今後の動きについてまとめるよう言い渡し、退室させた。

アインズの私室を辞してある程度離れるとアルベドがポツリと呟いた。

 

 

「今度は邪魔をされないといいのだけれど……」

 

「アルベド、君はダンテ様のことになると視野が狭くなるね」

 

「どういう意味かしら」

 

「言葉通りの意味だよ。一見邪魔をされているように感じるが、これまで行ってきた作戦のいずれも想定外の事態が起きている」

 

「先のナイトメアも、王都のリヴァイアサンも想定外で………認めたくはないけれど」

 

「そう、ダンテ様のおかげで事無きを得ている。アインズ様のお話の通りであればナイトメアとの戦いでダンテ様がいなければ……」

 

 

デミウルゴスは言葉を詰まらせると、肩を自ら抱くようにして震えた。

アルベドもそれを否定はできず沈痛な面持ちで押し黙った。

 

 

「アインズ様をお救いしていただけたのだ。至高なる御方々のご友人であることその事実だけで敬ってしかるべき、加えてその戦闘力。称えるに値すると思うんだがね?それを君は…本当に理解しかねる」

 

「言いたいことは、わかるのよ。それでもダンテ、様がアインズ様をナザリックから連れ出してしまうのではないかという恐怖が拭えないのよ……」

 

「…確かにアインズ様がナザリックからいなくなってしまう恐怖はありますが、結局私たちはアインズ様に逆らうなんてことはできない。アインズ様がそう望まれたならそれに従うべきだと思うよ」

 

 

「それに…」とデミウルゴスは続ける。

 

 

「ダンテ様はお一人で旅に出ていくんじゃないかと思うよ」

*1
Devil May Cry4で登場 ダンテが新しい武器を手に入れる度にスタイリッシュに破壊されてた石板

*2
Devil May Cry3に登場したテメンニグルの塔 封印を解くと魔界への入り口が開く




ユーゴ「ゲームの話をさも実際にあった出来事のように話すのって結構恥ずかしい」
モモンガ「しかも、それ自分のモデルの父親ですしね」
ユーゴ「パパ自慢とかヤバイ…」

次回もお付き合いいただければ幸いです。
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