状況は絶望的だ。しかし、このユイというAIのおかげでかなり進展があった。これだけの情報がまとめて手に入る事はまず無い。そのまず有り得ない事が実際に起こっているのだ。これを他の生存者が幸ととるか不幸ととるか。莫大な情報の入手を喜ぶか目を背けられない現実に絶望するのか。恐らくは後者だ。この情報には希望が無い。どうにかこじつけて希望と取れるものがあるとすれば、行方不明のプレイヤーの多くが姿を変えても生存しているくらいか。しかし彼らは容赦なくこちらに襲いかかって来る。対してこちらは反撃しきれない。知り合いが、仲間が錯乱して敵になっている。まともに戦えるわけが無い。それにあれよりも厄介なのが女王個体だ。延々と卵を産む上、体格もそこそこ大きいらしい。「The」と付くからフロアボスレベルで考えてもいいだろう。それはビッグチャップも同じ事だが……
なんにせよこの情報は取り敢えずアスナ達と合流してから相談して公表するか決めよう。そういえば
「なぁユイちゃん。今あいつらの巣は何層まで進行してる?」
「最後に確認した時点で59層でした。」
「!?」
まだ俺がオレンジになってから1週間強だ。つまり1日あたり1層以上のペースで進行してる。つまり残された時間は単純計算で2ヶ月も無い。下手をすれば1ヶ月も無いかもしれない。
「あの巣の侵食にはなにか法則みたいなものってあるのか?」
「具体的な計算等は出来ていませんが、〈Warrior〉の個体数に比例している事は判明しています。」
「つまりNPCがいっぱいいる層の進行は必然的に早くなるのか…」
要するに何もしなくても勝手に増えるということか。
そういえば
「偶然あいつらが100層の紅鉄宮に侵入してボスを倒すことは?」
「茅場晶彦により正常に稼働しているプレイヤーアカウントでしか入れないようにプログラムを変更されています。その為誰かが100層に到達しなければボスが傷つくことはありません。しかし1度通常のプレイヤーが侵入した時点でそのプログラムは無効化するようです。なので…」
「つまり誰かが1度100層までたどり着ければその後はあいつらが倒してくれる、と」
「そういう事です。そうなれば後は籠城していれば何とかなります。」
「それなら話は早い。どうせフロアボスが居ないなら走り抜けて各層をアクティベートしまくればいい。行ってくる。」
「無茶です!敵の数は文字通り半永久的に増え続けるんですよ!?それにNPCならともかくプレイヤーを相手取るのは…せめて他の人と!」
反発された。しかし
「もう誰かを、犠牲にしたくはないんだ。俺が1人で逃げ切れればそれで終わる話なんだ。俺がやらないと。」
「でも…でも…‼」
あぁもう煩い!!!!
「AIなんだろ!?言うこと聞けよ!!」
「!!」
「転移 モアレセンス」
「待って…待ってください…!」
色鮮やかな光に包まれて地獄にダイブする。
キリト君サイテ-女の子泣かしちゃダメだぞ♡
75層の主街区の名前勝手につけました。もし公式で既にあれば教えて頂ければ変更しますのでよろしくお願いします。