何のために進むのか   作:yudaya89

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第11話「狩る側と狩られる側」

 

『聖グロリアーナ女学院 2両 戦闘不能』

 

 

 ようやく動きだしたか、心配したぞ?君達が動かないと俺の作戦は成立しない。

 

 そもそも何故俺が同じ作戦を実施するか君達はわかるか?通常の高校生なら別に3つの部隊に分ける必要はなかった。俺の小隊で防御陣形に移行させ、ダージリンとアールグレイが取り囲んで一点集中攻撃で地味に削っていく、またはクルセイダーで側面か攻撃し、相手の陣形を崩したところで本体で叩く、などので十分だ。

 しかし相手は黒森峰。普通にしては勝てない。彼女達は練習試合で尚且つ一年生が混じっていたとはいえ、俺達相手に苦戦した。それを踏まえ相手は同じ戦術への対策を講じるのが普通と考える。それも一年生が居た時より迅速に対応出来るように。そして今回同じ戦術を仕掛けてきた事で彼女達は思うだろ「バカめ!」「以前と同じようにいけると思うなよ」っと。しかしそれはこちらのセリフだ。確かに黒森峰の対応は前回より迅速であった事は認める。ただ誤算があった。それが天候による地盤の影響だ。優等生ほどその罠に嵌る。いつも同じ気候、条件で有るはずがない。現場の人間と背広組と言えば分かりやすい。現在の黒森峰においてこの状況を打破できるのは、副隊長である西住みほのみだ。正統派西住流の西住まほでは無理だ。

 

 

 

 『聖グロリアーナ女学院 2両 戦闘不能』

 

 

 『状況報告してください』

 撃破されたのは、マチルダ、クルセイダーの2両だ。マチルダは兎も角、クルセイダーを失ったのは痛い。俺はマチルダに無線を入れた。

『相手から死角になる箇所から攻撃を行っていましたが・・・気づいたら撃破されていました』

 なるほど。それが状況報告と思っているなら、もう一度最初から指導だな。

『バニラ様?状況を』

 バニラとジャスミンの搭乗するクルセイダーならもう少しマシな報告をするだろう。

『マチルダと同じだ。有り得ないところから攻撃された。それとやつらの戦車の位置が変わっている。それも撃破された車両の』

『それなら大会本部に報告してください。撃破された車両を動かす事は禁止ですから』

『いや違う。動かしているのは後ろの車両だ』

 待て、押せるはずがない、地盤に埋もれ停止している車両を後ろから押す事は可能だ。しかし押す車両が地面に埋もれているはず・・・それをどう解決した?

 

『撃破された車両自身が動いているのではなく、動かされているということですね』

『どうやっているかはわからない。でも相手の攻撃後に動いているのは間違いない』

『どのくらい動いていますか?』

『ここから見る限り1m?ってところだ』

 

 1m?この状況で?どうやった?

 

『どんな時に動いているか分かりますか?』

『攻撃後に、少しずつ動いている』

『それはおかしいです。後ろの車両は・・・』

『どうした?」

 

 

 撃破された車両が動いている・・・それが砲撃後・・・後ろ車両は側面以外に攻撃箇所はない・・・おいおいおい!!!もしかして!!

 

『バニラ様!!』

『どうした?』

『動いている車両の状態を詳細に!!足周り、装甲はどうなっていますか?』

『装甲は外れて地面に落ちている。履帯も同じく外れている』

 

 それなら!!!

 

『ダージリン様!!』

『どうしたの?もっと『即離脱してください!!』っな!!何故?』

『敵が今の状況から脱出します。脱出の際に攻撃が来ます!!』

『なっ!!』

 

 あいつら!!動けない車両に対し空砲を撃ってやがった。劇場版の空砲ブーストの応用だ。いきなりするとこちらに作戦がバレる。そのため空砲を撃つ箇所をずらして、撃たれた車両の動きを僅かに抑えていたんだ。ならそのあとはどうする?撃破された車両を空砲で撃って逃げ道を作っても、車両が埋もれているせいで脱出は困難だ。それを解決したのが、撃破車両の装甲、履帯だ。それを足場に脱出するつもりか!!

 

『ダージリン様早く!!!』

『くっ!!全車両撤退!!』

 

 

 

 撤退が遅れ、我が高の車両2両が追加で撃破された。勿論我々も反撃し、1両を撃破した。これで敵は5両、こちらは11両。

 

 

 

 

 

 

 本当にありがとう。これで言い訳が出来る。

 

 

 

 

『ダージリン様、大丈夫ですか?』

『ええ、貴方のおかげで助かったわ』

『いえ、相手の動きが怪しかったので』

『相手は何処へ?』

『ポイントPへ』

『其処にはアールグレイ様が・・・』

『もしもの事を考え、相手が脱出する際、ポイントPにしか向かえないようにしていました。これで挟撃が可能です』

『ではポイントPへ急行しましょう』

『分かりました』

 

 

 まぁ結局のところ、この作戦は失敗する。そもそも戦力差を考えれば、挟撃など出来ない。例え5両であっても相手は黒森峰であり、西住まほ、みほがいる。

 

 それ以前に、挟撃は相手の動きを止める必要がある。相手の動きを止めるには、相手と同等もしくはそれ以上の攻撃力が必要になる。相手もバカではない。状況から挟撃される事は分かっている。ならば答えは一つだ。

 

 

 

 

 

『水樹です。アールグレイ様、状況を』

『こちらアールグレイ小隊!!すみません。フラッグ車を守るのが精一で・・・』

『アールグレイ様は?』

『相手の砲撃を受けた際、頭を強打して、現在意識がありません』

『状況は?』

『相手が一点突破を行い、フラッグ車と護衛の2両を残り全滅しました。こちらもなんとか相手のフラッグ車の履帯にダメージを与え、しばらく動けないと思います』

『了解しました。こちらと合流してください』

 

 

 

 ふむふむ、アールグレイが負傷したのは予定外だが、これで実質ダージリンが隊長代理だな。

 

 

『ダージリン様』

『どうかしました』

『相手の向かった場所はある程度わかります。なので地形を利用し待ち伏せといきましょう。多少時間は掛かりますが、問題ないと思います。内容は我々クルセイダー小隊が後方から相手をダージリン様が待機している場所に追い込みます』

『でも今から相手に私たちはおいつけないわよ?』

『追いつく必要はありません。相手が戻ってきたらいいんです』

 

 

 

 試合会場は戦車道を行うため広大である必要がある。しかしある程度フィールドを限定する必要がある。当たり前だ、逃げ続ければいつかは逃げ切れる。それでは試合が成立しない。だから限定している。よって黒森峰はいつかはフィールドの端に辿り着き、端を沿って行動するか、もしくは違う作戦を実施する必要がある。

 

 そういった事を利用し、『きつね狩り』を行う。キツネが犬に追い回されて、猟師の居る所まで追い立てられる。あとは猟師が撃ち殺せば試合終了だ。

 

 

 

 

 しかし原作では増水する崖から落ちた車両の乗員を助けたため、黒森峰は敗北した。

 

 じゃあ準決勝で敗北したら、みほやまほはどうなるんだろうか?

 

 その時が楽しみでしかたない。

 

 

 

 

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