何のために進むのか   作:yudaya89

13 / 15
第13話「油断大敵」

 

 勝利に酔いしれている先輩隊員達をしり目に、俺は同級生及び整備班と一緒に撤収作業を行う。皆勝利した事に喜びたいところだが、撤収作業時に油断していると大けがを起こす可能性があるため、皆真剣に作業している。そんな中整備部長から声をかけられた。

 

 

「本当に黒森峰に勝つなんて、今でも信じられないわ」

「アールグレイ様、ダージリン様の活躍があったからこそ、勝利出来たんですよ」

「そう?私にはあなたの作戦が有効だったと思うけど?」

「例え作戦が良くても、実行する人材が無能であれば意味はありません。今回は人材が有能すぎたんですよ。作戦内容の不備を能力でカバー出来たんです」

「なるほどね。ところで」

「はい」

「アールグレイ様には?」

「・・・」

「まだなの?」

「フレーバー様が・・・近寄るな、と」

「確かに貴方の作戦でアールグレイ様が負傷したわ。でも戦車道において、負傷する事は決して珍しい事じゃないわ。少しフレーバー様に意見してくる」

「あの・・・大丈夫です。撤収作業終了報告を行う際に謝罪します」

「ダメよ。遅くなれば貴方の立場はさらに悪くなる。今すぐ行くべきよ。大丈夫、私がフレーバーに話を付けるから」

 

 

 撤収作業を他の部員へ引き継ぎ、俺はアールグレイのもとへ向かった。幸い部長のおかげでアールグレイに謝罪することが出来るようになった。いや、近づく事ができるようになった。勿論試合終了後すぐにアールグレイのもとに駆け寄ったが、フレーバーの目線が「近づくな」と・・・怖かった!!

 

 

 

「この度は私の作戦でアールグレイ様を負傷させてしまいました。本当に申し訳ありません」

「エリ?」

「はい」

「今回の作戦内容を承認したのは私です。よって責任は全て私にあります。分かりますか?」

「・・・はい」

「貴方が責任を感じる事はありません。だからフレーバーが貴方に対して行った行為が正しい行為ではない事はすでに彼女に指導済みです」

「・・・」

「だから貴方は胸を張って学園に帰りなさい」

「・・・ありがとうございます」

「それと、次の決勝戦での作戦内容に関してもお願いするわ」

「はい」

 

 

 

 そりゃそうだろ。作戦で生じた責任は全て責任者にある。この作戦を承認する際、アールグレイ、ダージリンは、責任は全て自分達にあると言った。よって俺が責め立てられる事はない。もしも俺に責任があるという人間が居たら、それは無知である。

 

 

 

 アールグレイのおかげで俺の立場に関しての心配は不要になった。撤収作業が終了後、我々は自分達の学園艦へ戻った。途中でリゼの「お仕置き」が行われると思ったが、何事も無く学園艦に帰還できた。今回の試合は、新しい改革を進めるアールグレイの勢力を弱体化するため負ける予定だった。そこでリゼは反アールグレイ派のOB,OGの人間を会場に招いた。しかし結果は・・・・リゼの顔を潰す事になった。しかし移動中リゼを見たが怒っている様子はなかった。怒っているというよりも、むしろ喜んでいる・・・と感じられるほど機嫌がよかった。そこが不気味で仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  まぁ何もないならないでOK。どうせ今頃、OG,OBから文句を言われている最中だろう。お偉いさん達を招き、アールグレイの失態を見せるはずが、逆にアールグイレの改革は有効であると、証明してしまった。我々学生の時間と、企業のお偉いさんの時間の価値は、まったくと言っていいほど違う。その時間を無駄にしてしまったのだ。リゼの立場はかなり悪くなったはずだ。今頃自分の立場回復のために、せっせと走り回っているころだ。

 

 

 

 

 

          ザマw

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう

 

 

 

 

 

 そんな戯言を

 

 

 

 

 

 考えていた頃もあった

 

 

 

 

 

 今の状況を容易に

 

 

 

 

 

 想像出来たのに・・・

 

 

 

 

 

 何故、俺は

 

 

 

 

 

 対策を講じなかったのだろうか

 

 

 

 

 

 まったく・・・・

 

 

 

 

 

 情けない

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇエリ?この状況に関して、理解できている?出来てるわよね?そこまでおバカじゃないものね?まぁ時間も無いから要件だけ伝えるわね」

 

 

 俺は今、椅子に座らされている。

 

 

「貴方のせいで、今回の私の苦労が、全て水の泡」

 

 

 そして、椅子の背もたれに上半身を固定され、椅子の脚に、足を固定されている。両手は自由に動かせるが、見動きは完全に出来ない。

 

「漸くOB,OGへの謝罪が済んだら、次は私の立場の回復に走りまわったわ」

 

 

 そうだろうな。学園でも噂になっていたしな。

 

「まったく、「水の泡に消えたり」、「無駄骨を折ったり」、「駆けずりまわった」わ。どれがいい?」

「え?」

「水の泡か、無駄骨か、駆けずりまわるか。選んで」

「内容とか教えて頂けたりするのでしょうか?」

 

 その時

 

 私の腹部に激痛が走った。

 

「あああああ」

「いつ質問を許した?私は「選べ」としか命令していない。さぁ・・・選べ」

 リゼのひざ蹴りが俺の腹部へダイレクトに入った。流石にこれ以上刺激するのはヤバい!

「・・・無駄骨で」

「あら~、それでいいのね?」

 

 

「ところで無駄骨の刑って言うのは、貴方の手から肩にかけての骨を折っていく刑の事よ。勿論減刑する事も出来るわよ。その方法は、一切声を上げない事。5本折るわね。一度でも声をあげると2本追加・・・最初は、指、爪(剥ぎ)、手の甲、手首、腕、肩・・・頑張ってね♪」

 

 

 

 

 まったく・・・今日は厄日だ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。