聖グロリアーナに入学して早1ヶ月。その間は淑女としての教育が徹底して行われる。その教育課程が終了した者から部活動を選択していく。しかし困った事に選択したい部活動が無い。戦車道を選択したいが、あのフレーバが副隊長と思うと・・・あまり入りたいとは思わない。しかし戦車道を選択する事でアールグレイ、ダージリン、アッサムなどの将来大物になる予定の人間との交流が深めることが出来ない。これは大きな分かれ道だ。確かに上記の3人以外にも有権者になる人間は居る。しかしそれを見極める時間が勿体無い。ならばその時間を有効に使うにはどうすれば良い?だから戦車道を受講する事が一番の近道であり、一番の成果を生む。だから今凄く悩む。そのフレーバーの居る戦車道に入るか否かを・・・
フレーバー
今年の一年生は少し出来が悪い。それに1ヶ月経過しないで6人も辞めた。確かに厳しいと思うけど私達もそれを受けてきた。この程度に耐えられないようであればこの学園に相応しくない。そういう不適合者はそうそうに間引く必要がある。この学園のためにも、そしてあの人のためにも。
それと最近1年生の水樹エリの様子がおかしいとの報告が上がってきた。彼女は入学試験で上位3位に入っており、教育課程も早々に修了した優等生だ。それに自殺防止の花を置く仕事も先生に頼み込んだとも聞く。その彼女に何があったのか?調べた見たが、特に苛めなどは無いようだ。
考え事をしている間に会議の時間が迫ってきた。考えを切り上げて会議に向かう。朝から降っている雨が少し激しくなってきている。会議終了する頃は大雨になるかもしれないな。
水樹
朝から降っている雨がウザイ。今現在運命の分かれ道の選択をしているときに、ウザイ雨・・・考えが纏まらないし、イライラが積もる。
確か図書室はエアコンが設置されている。あそこなら時間のある限りゆっくり考え事が出来る。流石に手ぶらは怪しまれる。勉強道具を持参し、勉強しているフリでもしながら人生の選択をするかね。
「水樹さん?」
「・・・」
「水樹さん?」
「・・・」
「水樹さん!?」
「・・えっ、あっはい」
「もう時間です」
「申し訳ありませんでした」
ヤバイヤバイ、いつの間にか閉室時間になっていたか。残念ながら良い案は出なかった。いつ間にか朝から降っていた雨は大雨になっていた。そういえば屋上においておいた花を置く台を校舎に入れておくか。飛ばされてガラスでも割った日には何を言われるか。俺は屋上に傘と缶コーヒーを持って向かった。屋上への扉の前でコーヒーを堪能し、扉を開けた。外は大雨だが、風は無い。これなら余り濡れないだろう。それにしてもこの大雨でも戦車道の練習はするんだな。確かに戦車はどんな時、どんな状況でも前に進む。中学のときも天候など関係なしに練習したな。あの頃の俺は何のために戦車道をしていたんだろうか・・・・その時
「辞めないさい!!」
その声のする方向へ顔を向ける間も無く俺は押し倒された。
フレーバー
会議が終わり外を見ると大雨になっていた。まったく今日は嫌な日だ。その時だった。対面の校舎に水樹がいる。表情は分からないが雰囲気が何時もと違う。それに向かっている方向は屋上へ通じる階段がある。そして彼女は鍵を持っている。まさか!!
水樹のいる対面校舎に到着した。階段上から扉の開く音がする。おかしい、ここに到着するのに4分程度掛かっている。なぜ4分程度も扉の前で・・・まさか最後に思いとどまった、けどやっぱり・・・急がないと!
私は階段を駆け上がり扉を開けてた。彼女は傘を持ってフェンスの前に居た。今にも乗り越えそうだ。だから私は
「辞めないさい!!」
そう言い彼女を押し倒した。
「痛った!!・・・フレーバー様?」
「どうして!どうして!」
「え?フレーバー様?」
「どうして相談してくれないのですか!?」
「え?いえ、このぐらいの事は一人で出来るので」
(流石に花の台座ぐらい一人で持てるぞ?)
「あなた!!何を言ってるの!」
(そこまで・・・そこまで思いつめていたなんて)
「え・・・あの、相談したほうがよろしかったでしょうか?」
(台座運ぶのに相談?え?何々?)
「当たり前です!!そんなに信用ありませんか!」
「あの、その前に・・・」
「何ですか!!」
「雨が強くなってきたので中に入りませんか?」
「・・・あなた・・・自殺するつもりだったはずでは?」
「え?自殺?」
「え?」
「え?
「「え?」」
その後俺は事情を説明した。ここ最近悩んでいたのは、部活動について(嘘ではない)屋上には花の台を校舎に入れるために向かっていた。扉の前で数分居たのは、鍵を開けるのにもたついた&雨の勢いが収まるか少し待っていた(嘘ではない)。こんな時間まで学校に居たのは図書室で勉強していたから(嘘ではない)などと説明した。
「なら私の勘違い・・・という事ですね」
「私の行動がフレーバー様に勘違いさせたことは事実です。以後気をつけます」
「いえ、私も確認しないで押し倒してしまいました。・・・此方に着なさい」
「・・え、あ、はい」
どこに連れて行かれるのだろうか。
連れて来られた場所は大きな扉の前だった。その扉の向こうに何があるかは学園の生徒なら皆知っている。其処の名前は
「紅茶の園」
紅茶の園は全校生徒の憧れの的であり、選ばれた人間以外は立ち入り禁止だ。ここに立ち入るには紅茶の名前を与えられた幹部もしくは幹部候補のみ。
「ここで待っていなさい」
「はい」
フレーバー様は扉の中に入って行った。正直な話、あの人に押し倒されたお陰で、服は濡れ、髪の毛も濡れている。はっきり言って早く帰ってシャワーを浴びてコーヒーを飲みたい。3分程度でフレーバー様が戻って着て一言、
「入りなさい」
「・・・」
「早くしなさい」
この全校生徒の憧れの場所に俺が入るのか?いやいや
「あ、あの、ここは確か私のような人間は立ち入りは・・」
「特例です。アールグレイ様の許可もあります」
「・・・はい」
中は原作で見た光景だった。赤い絨毯、テーブル、豪華なシャンデリア等々・・・
「さぁ、入りますよ」
「ここは・・・」
「大浴場です」
「・・・」
髪を洗い、体を洗い、そして湯船に入る。ヤバイ・・・最高!!これでフレーバー様が居なければ天国だ!! さてそろそろ話しをするかね。正直メンドクサイ。
「あの、フレーバー様?」
「何でしょうか?」
「何故ここに私を?」
「風邪でも引かれると、色々と困りますので」
「でも可笑しくないでしょうか?」
「どういうことです?」
「それ程度の理由なら、寮の大浴場もしくは個室のシャワー室で事足りるのでは?ワザワザアールグレイ様の許可を取るほどではナないと考えます」
「それは「私がフレーバーに頼んだのよ?」!!アールグレイ様!!」
「!!」
「初めまして水樹さん。私はアールグレイよ。よろしくね」
「・・・」
「水樹!!」
「・・あ、初めましてアールグレイ様。一年水樹エリです!突然の状況変化に対応できませんでした。申し訳ありません!」
「いいのよ。それよりあなたの疑問にフレーバーに変わって私がお答えしましょう。簡単です。彼方と色々話がしたかったからです。これで納得してくれます?」
「どういうことでしょか?」
「そのままの意味よ?彼方に個人的に興味が沸いた。だから一年生の教育係のフレーバーに頼んでいたの。そしたらさっき『自分の勘違いで水樹を屋上で押し倒してしまいました。そのせいで制服を汚してしまいました』って言われたの」
「・・・それは色々と誤解を生む発言と思います」
「そうでしょう。それも前々から気になっていた水樹だから事情を聞く目的でここの使用を許可したの」
「なるほど、承知しました」
「因みに押し倒されたの?」
「はい」
「大雨の屋上で?」
「はい」
「どっちが下?」
「私です」
「・・・」
「・・・」
「キスしました?」
「しません」
「は~~」
あれお嬢様のはずじゃあないのか?最後の質問完全にユリを期待している質問だぞ?そもそも説明が端折りすぎだ。大事な・・・いやちゃんと説明しているが、もう少し詳細を加えて説明しろよ。
「じゃあ事情は分かったわ」
ホントに?
「そろそろ上がってお茶にしましょう」
予想をしていない状況となったが、しかしこれはチャンスといえる。あのアールグレイと話が出来る。
腹の探りあいになるのは明確であるがな。