何のために進むのか   作:yudaya89

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第06話「釘を刺される」

リゼにボコボコにされたくないし、アールグレイに見捨てられたくないしね。悪いが俺の野望のために利用させてもらうぞ。

 

 

「敵本隊此方に向かってきています」

「全車森に待機して下さい」

「作戦ですか?」

「はい。簡単に説明します。部隊を2つに私の部隊をA、副小隊長の部隊をBに分けます。部隊間は300m程度を維持して下さい。私の指示で各車2発発砲後即時移動します。B部隊は300m移動3発発砲して下さい。その隙にAは森を利用し反対側に移動します」

「挟撃ですか?」

「いえ、挟撃はではないです。あくまでも敵部隊の攪乱です」

「上手くいきますか?」

「多分。あちらには西住まほがいますから」

「どういうことですか?」

「まぁ結果しだいですがね」

 

 

 俺は副小隊長と簡単に打ち合わせをする。彼女は2年生だ。しかし紅茶名を貰えていない。これが成功すれば彼女も評価されるだろう。

 

 

 

 

 

 敵本隊が俺達の前を通過する。そして

『各車発砲開始!!』

 

 俺の指示で発砲が開始され

 

『全車移動開始』

 

 敵本隊は我々の森に砲撃を行うが、既に森に紛れて移動している。向こうの側面を守っているヤークトティーガーは固定砲塔。対応が遅れ、尚且つその際彼女達の視線は砲撃方面に向く。砲撃を開始しても敵はそこには居らず、違う場所から砲撃跳んでくる。そしてその砲撃に紛れA部隊は森から森に移動する。

 

 

 そして

 

「代わってください」

 

 俺は砲手と交代する。昔から砲撃には少し自信がある。俺が狙うのはフラッグ車である西住まほの車両・・・の転輪を狙う。

 

 

 

『相手部隊の右側面、左側面を同時に砲撃して下さい。車両本隊ではなく転輪やキャタピラを狙ってください』

『了解』

 

『撃て!』

 

 

 俺の作戦は50%成功した。相手は先頭車両、左右車両、後方車両、全ての車両が統一されているわけではない。先頭は機動力、攻撃力優先、側面は防御、後方は先頭と同じ。これから考察できることは、側面を崩壊する事で相手部隊はその場から動く事が出来ない。おまけに側面を崩壊=防御力は大幅ダウンする。そうなると相手のフラッグ車は側面から丸見えになる。

 

 

『私はここに残ります。他の車両は引き続き作戦を継続して下さい』

『しかし其処に砲撃が』

『ここには砲撃は飛んできません』

 

 

 

 当たり前だ。側面の車両の転輪が破壊されている状態で砲撃が飛んでくるはずが無い。飛んできてもあたるはずが無い。自信はないが確証はある。あの西住まほがそんな愚考はしない。もしも砲撃が飛んできてもそれは、違う人間の独断だ。

 

 

 4~5発砲撃が飛んできたが直ぐに収まった。やはり部隊全体の錬度が低い。

『相手フラッグの転輪を狙います。少し右に移動して下さい・・・そこで大丈夫です』

 

 俺は狙いを定め引き金を引く。側面車両の合間を縫って、俺が放った砲弾は吸い込まれるように西住まほの乗るティーガーⅠの転輪を破壊した。これが原因で相手部隊の一部が森に進撃を開始した。しかしそれは幾らなんでも無謀な行動だ。なぜなら

 

 

『全部隊、アールグレイ様に合流して下さい』

 

 我が高の本隊が合流したからだ。素晴らしいジャスト600s!!俺の仕事は終わりだ。あとは本隊に任せます。

 

 

 

 

 

 

 今回の親善試合の結果は、こちらの敗北だった。

 

 相手の動きを封じたのが悪手だった。側面防御が低下させたのは良かったが、それを補うため部隊が密集してしまい全体の防御が上昇してしまった。おまけに敵フラッグ車であるティーガーⅠの転輪を破壊された事で部隊の士気が上がった。この状態をまほは利用し、攻撃部隊を短時間で構成した。これは西住まほだけではなくみほの能力もあると思う。でなければ早すぎる対応だ。そしてその攻撃部隊に我が高が対応できず、瞬く間に蹂躙された。その際みほと対峙したが、手も足も出なかった。俺の指示が遅いのと、指示内容に隊員がついてこれないのが原因だ。流石黒森峰・・・錬度が半端ない。

 

 

 しかし我が高もただで蹂躙されたわけではない。相手の損害は撃破5、転輪破壊4とまぁまぁの結果は出した。転輪破壊の中にフラッグ車もある。これ以上の結果が何処にある?敗北は仕方ない。しかしその原因は我々にもある。しかしそれを言っても私の前にいる人たちには理解できない。

 

 

 

 

 試合終了後アールグレイ様はそこそこ機嫌はが良かった。ミーティングでも今回はいい成績だった、次につなげるための対策もわかったと発言した。勿論俺へのフォローもしたが・・・・中には「アールグレイ様に黒星をつけた1年」や「命令無視」「我が高のハジ」などと考える人間も要る。考えるだけならマシだ。それを実行し始めたら、性質が悪い。物が無くなる、無視、階段で付き飛ばされる・・・等は可愛いが、トイレで水を掛けられる、学食で飯を出されない(最後にされる)、用も無いのに立たされて小言を聞かされる(長時間)等、段々イラついてきましたよ。まぁそれでも効果がない事に痺れを切らした人間達が俺を屋上に連れだしたという訳です

 

「あなた何様?」

「どういう意味でしょうか?」(じゃあ上で)

「アールグレイ様の経歴に泥を塗っておいて、平然としている。普通ならそんな事はできませんわよ?」

「親善試合の件でしょうか?」(主語が無いぞ)

「当たり前ですわ」

「それなら本日のお茶会時に報告する予定です。それに基づいて練習メニューを組むとアールグレイ様が仰っていましたが?」()

「そうでは有りません!!なぜ未だにこの学園に在学しているのかと聞いているんです」

「辞めなければならないほど、今回の件は重大な事でしょうか?」(ならお前が辞めろよ)

「あなた・・・そこまで無知とは・・・アールグレイ様は卒業後イギリスに留学し、国際戦車道メンバーとして活躍されます。そこで誰よりもいい成績で入ることが重要なのです。それを彼方のせいで西住に負けた人間とレッテルが貼られたんです。わかりますか?」

「解かります。しかしその国際選手に入るために無敗を維持したいのであれば、なぜアールグレイ様は今回の親善試合に挑まれたのでしょうか?別にアールグレイ様が指揮を行う必要は無かったと思いますが?」

「そ、それは」

「それに先輩方も聞いていたと思いますが、なぜ私と合流するまでの間、なぜアールグレイ様は私に早急に合流する事を命令されなかったのでしょうか?如何ですか?」

「「「「「・・・・・・」」」」」

「アールグレイ様の狙いは、こちらが新しい戦術を行った場合、黒森峰の対応する時間、隊長、副隊長である西住姉妹の実力などのデータが欲しかったのです。現時点での黒森峰の実力を知りたかったのです。黒星を付けてでも欲しい情報がある。そしてそれを自分の目で見たい、だから敗北するのを承知で私に命令した」

(まぁしらんけどな)

「本当?出任せではないの?」

「確認はしていませんが、状況から私の言った事は証明出来ます」

(さぁ反論してみろや~)

 

 

「何話しているの?」

 そこに今一番合いたくない人間が現れた。

「さっき下級生から屋上に先輩達が上がっていたったと連絡がありましてね・・・困りますね」

「リゼ様!!申し訳ありません」

「あら?水樹じゃないの?何しているの?」

「リゼ様・・・先輩達に「色々ご指導」していただいたところです」

(ヤバイな・・・目が据わってる)

「そう。続きはお茶会でいいかな?ここは本来立ち入り禁止よ」

「「「「「はい。失礼します!!」」」」

 

 俺を呼びつけた先輩は素早く出て行った。残されたのは俺とリゼの2人だけ。

 

「ねぇ?」

「何でしょうか?」

「試合前に言ったこと覚えてる?」

「ヘマはするな。でしょうか?」

「ええ。その他に」

 

 そういうと行き成り俺の脚を蹴り飛ばし、地面に叩き付けた。その衝撃で息が一瞬出来なかった。

「ガッハ!!」

「どう?思い出した?少し衝撃を与えたら思い出すかなって思ったけど・・・息できない?なら仕方ないね。教えてあげる『まぁあなたに結果を求めてはいないわ。殆どがアールグレイの指示通り動けば問題ない』って言ったわよ?思い出した?思い出しなさい!!」

 

 リゼは俺を地面に叩き付けたあと、目立ちにくい背中を重点的に攻撃した。手馴れていると俺は感じた。

 リゼの理不尽な暴力の勢いが少し弱まったところで

「今回の件、何かリゼ様に不利益があったのでしょうか?」

 足で体を地面に押さえつけられている状態でリゼに質問した。

「不利益?無いわよ。あのアールグレイには大きな利益があったのよ。OG、OB会はアールグレイの改革に賛同したわ。解かる?あなたのミスでアールグレイを失墜させるはずが、彼方が余計な事をした事で、あの女の評価は鰻上り・・・まったく」

「しかしこれはチャンスなのでは?」

「はぁ?」

「アールグレイ様の評価が上がるという事は、この先もっと結果を出さなければいけません。その際に私がミスをする事で」

「なるほどね。いい意見ね」

「ありがとうございます」

「処で」

「何でしょうか?」

「約束違反や言い逃れができないように念を押す。って事をなんていうと思う?」

「『釘を刺す』ですか?」

「正解。で、今回私との約束・・・守らなかったでしょ?だから今から『釘を刺そう』と思うんだけど」

「はぁ・・・今まで行ったのは違うと」

「勿論。で、これなんだけど」

 

 彼女は懐から何か工具を出す。

 

「今から釘・・・刺すから」

「え?」

「言葉より実際に打ち込んだほうが、効果あるから♪」

 

 いやいやいや!!何々?意味不明なんだけど?釘をガチで刺すの?はぁ?サイコか?

 

「・・・ご冗談を」

「ん~じゃあ、ここに」

 

 

 ガッシャ

 

「え?」

「ここなら大丈夫」

 

 

 俺の上腕三頭筋の皮を伸ばし、そこにリゼは本物の釘を工具で打ち込んだ。その瞬間、

「あああああ!!!」

 激痛に俺は叫び声を上げた。しかしそれはリゼにとっては騒音でしかない。

「あ!!うるさい!!後4本打ち込むから!!一度でも叫び声出したら、追加で5本打ち込むから!!」

 

 

 

「・・・」

「すごいわね。以前に釘を刺した子は、始終泣き叫んでたけど」

「・・・」

「痛みで何も言えないのかな」

 

 リゼは俺の髪の毛を持ち、顔を上に上げ、目線を合わせる。

 

「いい?次は無いわよ。肝に銘じなさい」

 

 

 

 腕から頭に激痛が走り、意識が朦朧とする。おまけに腕には釘が刺さっている・・・

 

「ハハハ。これどうすんの?」

 

 

 

 もう・・・イヤ 






 会社が火事でなくなればいいのに・・・いや、
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