何のために進むのか   作:yudaya89

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第09話「対黒森峰」

 

 

「この作戦内容について如何でしょうか?」

「確かに悪くないとは思います。しかしクルセイダーを使用するのは我が校の浸透強襲戦術に相応しくないかと。あなたはどう思います?ダージリン」

「リゼの言う通りですわ。しかし新戦術には興味がありますわ」

「あら?この作戦に同意するんです?」

「もう少し内容を修正する必要はありますけど。リゼはこの作戦には反対という事ですよろしいのですか?」

「ええ、私はこの作戦の起用には反対です。なぜなら我が校の伝統に反しますし、何よりほぼ実戦で使用していないクルセイダーの起用です。今からクルセイダーを使用した戦術への対応が出来るとは思えません。アールグレイ様はどう思われますか?」

「確かにその部分は大きな問題の一つと思います。しかしその部分に対してどう対応するかも私達上級生の役目と思います」

「アールグレイ様はこの作戦の起用に賛成と?」

「はい」

「・・・では私は反対です。ダージリンあなたは?」

「もしも私が賛成した場合、あなたはどうされます?」

「私はこの作戦に反対していますので、部隊から外して頂きます」

「それは困った事になるわね。でも私はこの作戦なら、あの黒森峰に勝利出来ると思ってますの。だから私はこの作戦に賛同致しますわ」

「ではもしも作戦が失敗した場合、あなたとアールグレイ様はどのように責任を?」

「そうですわね。その時は仕方ありませんわね、アールグレイ様」

「そうねダージリン、負けた時は2人揃って責任を取る必要はありますね」

「その言葉お忘れなくよう」

 

 

 

 怖い怖い作戦会議は無事?終了した。今のところ当初のシナリオ通りに進んでいる。俺の計画に沿ってダージリンもリゼもアールグレイも動いている。おそらく3人共気づいているかもしれない。でも今のところ優勝するには俺の流れに乗るしかない。でもその船は俺を含み3人乗りだ。誰を途中で下すかはもう決めている。勿論これからも邪魔な人間は川に放り込んでいく。だから最初に放り込まれるのはリゼだ。もうその材料も揃っている。証拠も揃えた。後は作戦を修正すると見せかけて、リゼを蹴落とす準備をする。試合3日前に作戦内容の修正を完了させ、全部隊には2日前に周知させる。そうすることでリゼの息が掛かった人間は対応する事は出来ない。

 

 今回リゼ小隊が抜けた穴を埋めるため補欠から数名補充した。その中には今だ派閥に所属していない人間もいる。そういう人間を恐怖で派閥に所属させ、試合でミスをするように指示する。そうすることで、今回補充員に補欠を使用した事、その原因を作った作戦を起用したダージリン、アールグレイを蹴落とす。それがリゼの計画だ。

 

 

 

 

そして黒森峰との試合当日を迎えた。当日は生憎の雨となってしまった。ここ最近は雨も降らず晴天が続いていた。まぁ原作のように川が氾濫する心配がないだけマシだ。

 

 

 

「「「「「よろしくお願いします」」」」

 

 そして俺の、いや、これからの聖グロの運命を賭けた試合が始まった。

 

 

 

『クルセイダー小隊全速前進。横の森を突っ切ります』

『了解!』

『今日の夜から降り続いている雨で地面は抜かるんでいます。その事を考慮して全速力でついてきてください』

『敵車両を発見した際は?』

『車両6両以下なら交戦します。それ以上であれば逃げます』

『逃げるんですか?』

『はい。負けるよりマシです』

 

 そう負けるよりマシ。

 

 

『敵車両捕捉。6両です!』

『交戦します』

 

 昨日この森を下見した。その時この地面は水分を大量に含んだとき、かなり沈む。今まで幾つかの試合会場の森などを下見したが、この試合会場の地質は他のと比べ物にならないぐらい沈む。

 

 軽量化を行い、通常より200kg軽くなったクルセイダーと何もしていない重戦車。この森の中で起動戦を行えばまず、こちらが2倍程度有利になる。勿論あまり時間をかけすぎると勝機が薄れる。

 

 

 作戦は簡単だ。下見によりこの森に関してはある程度戦車が通過できるポイントは把握している。そして今までの練習の成果により、クルセイダー3台は全速の80%の速度でこの森を通過できる。

 戦術は簡単だ。まずこちらが相手の走行を抜く力は無い。勝るのは機動力のみ。無いなら利用する。戦車の構造で最も弱い部分それは上か下だ。下からの撃破は物理上難しい。ならば上だ。この森の樹木は高く太い。何よりこれまでの試合で何本か折れたり倒れたりしている。間引きも出来ており、倒す角度さえ間違えなければ、戦車の頭上に倒す事が出来る。勿論相手も止まっているわけではない。止まらないなら、止めればいい。もしくは動けなくする事でこの作戦は成功する。勿論この作戦は誰にも話していない。この作戦はあくまでも「たまま外した砲弾が樹木を倒した。その倒れる場所に敵戦車が居た」ということにする。これでOB、OGは黙る。

 

 

 

 

 

『このまま全速で前に向かってください。私の合図で全車右に向きを変更してください』

 俺は相手の動きを見る。雨は森の木々が傘の代わりになり小雨になった。お陰で状況がよくわかる。

『2号車!3時の方向に砲撃!!撃て!!』

『このまま前進してください。100m前進したら4時の方向に車体をい向けて砲撃!!』

 

 何て・・・何て面白いんだろう。私が指示し、明後日の方向に飛んだ砲撃が樹木を倒す。そしてその下には敵車両がぬかるみで逃げ切れず下敷きとなる。数百kgが数mの高さから落ちてくる力は計り知れない。そしてその樹木に下敷きにならずとも、倒れた樹木に逃げ場を潰される車両もいる。砲塔は木々で邪魔されて我々に照準を合わす事も出来ない。そうなればただの的になる。

 

 

『黒森峰女学院パンターG3両走行不能』

 

 3両撃破、もう3両は足周りに重大なダメージを与えた。流石に試合中に修理は無理だろう。この6両には30分も時間を喰われた。さて敵さんは残り9両。こちらは15両。

 

 

 

 

 

 

 ダージリン

 

 水樹の作戦通り私は所定の位置で待機し、彼女の指示を待っていた。雨のせいで視界が悪く、作戦の都合上エンジンを停止にし、エンジン音が響かないようにしている。そのため常に外の様子を見続けなければならない。

 

「外の様子はどう?」

「異常ありません」

 

 外の様子をみている子にアッサムが紅茶を渡す。

「ありがとうございます」

「引き続きお願いね」

 

 その時

 

『黒森峰女学院パンターG3両走行不能』

 

 この放送を聞いた時「まさか」と思い、アッサムに確認した。

「クルセイダー小隊にも確認しましたが、3両無事です。現在作戦ポイントへ移動中とのことです」

 彼女の作戦には「森での戦闘は避ける」と記載されていた。しかし彼女は何故交戦したのか。そういえば

「アッサム?」

「はい」

「彼女の作戦書には『森での交戦は避ける』とだけ記載されていますか?」

「記載されています。『避ける」と」

「わかりましたわ」

 

 なるほど、避けるという事は避ける事が出来ない場合は交戦すると捉える事ができますわね。彼女の作戦書のいたるところに意味を理解しておかなければ勘違いしてしまう文面が幾つかある。なるほど、ある程度逃げ道を確保しているという事ですわね。OG、OBもこの作戦書は事前に閲覧している。先ほどの交戦に関しても「避ける」と明記されているが、「避けられない場合」に関しては記載されていない。避けられなければ、状況的に交戦するしかない。そうすることで負けても勝っても、自分のミスを追及されにくい。 

 

 彼女はアールグレイ派に属しているはずなのに、噂ではリゼ派に寝返ってアールグレイ様を陥れる算段をしていると聞く。最初リゼならあり得ると思いましたわ。だから彼女に接触する際はある程度警戒しましたわ。でも彼女から提示されたのは、リゼを落とす事。最初は?っと思いましたが、あの話し合いで分かりましたわ。だから私は彼女に乗った。そしてその結果が3両のクルセイダーで黒森峰の重戦車を3両撃破・・・

 

「アッサム?」

「はい」

「クルセイダー小隊に連絡、残りの敵車両は?と」

 

「ダージリン」

「何かしら?」

「クルセイダー小隊は6両の敵車両と交戦。3両撃破、3両の足周りに重大なダメージを与え追撃不可能に。以上が返信です」

「・・・」

「・・・」

「すごいですわね」

「はい。ここまでの彼女達が結果を出すとは・・・私のデータにもありませんでした」

「あなたに予想出来なければ私にも無理ですわね」

 

 

 その時

「ダージリン様?」

「どうしたの?」

「水樹より通信『計画通りのポイントへ移動し待機せよ』とのことです」

「わかりましたわ。全車ポイントαへ移動しますわよ」

『『了解』』

 

 

 彼女の作戦書にもありましたわね。

 【高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する】

 

 

 その言葉に従って敵を対処するだけですわ。




 基本的に曖昧な言葉は社会に出たら使用してはいけません。

 でも私は自分の首を締めないように、ある程度使用しています。


 最近カンパン見てないない。原作忘れかけてます。

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