ベッド起きてすぐ、酷く頭が痛む。悪夢でも見たのだろうか、心拍数が高い。
なんの夢を見ていたのだろう、とぼーっと考えていると、家のドアから2人分の足音が聞こえてくる。
リズミカルに、扉のノックする音が聞こえる。
あぁ、鍵なら空いてる。入ってくれ。
そう言うと、よく見知った男が見えた。
「よぉ、元気か?」
軽率な声が聞こえてくる。
いつも通りだよ、何も変わらないさ。相変わらず退職金はたんまりあるし、一生遊んで暮らせそうだぜ。
「おいおい、現行警察官へのイヤミかよ!ひでえもんだな。」
仰け反るような仕草をしながら、笑いかけてくる。
所で、どうしたんだ一体?いつもより早いじゃないか。
連絡もなかったし。と続けていい終える前に、思い出したと言うように後ろから人を引っ張り、持ってきた。
「今日早く来たのは他でもない、この子を紹介したくてな。」
連れてこられたのは幼さの残る少女。
紫の髪色や、それに合わせたであろう服。華奢な手足は、どんな相手にも悪い印象は浮かばないであろう。
ただ…ひどく濁った瞳をしている。まるでこの世に絶望しきったような。
「…はじめまして。結月ゆかりと申します。」
少女は消え入るような声で、自己紹介をする。
あ、あぁ…俺はマーフィ。マーフィ・ランバート。
反応を待たずに友人、ルーカスが口を開いた。
「それでだ、相棒。」
元だ。
「…元相棒、その子を頼みたいんだ。」
…なに?
「その子は元々、ボイスロイドってのだったんだが…逮捕したある奴の家に居てな・・・。」
ほう、そいつは災難なことだな…。それで?なんでその子を?
もうすでに察しているのだが、どうか間違いであれとダメ元で聞いてみる。
「人が悪いな...解ってるんだろう」
ルーカスが肩をすくめ、聞いてくる。
「彼女が社会復帰できるまで、面倒を見てやって欲しいんだ。」
予想は的中したらしい。はぁ、とため息をつきながらそれで?と話を続けるよう促す。
「今のお前は、精神が不安定すぎる。この子の世話をしてお前の精神も治り、この子も社会復帰できる。合理的だろう?」
阿保らしい…片づけるのが厄介な荷物をよこしただけだろう?
「ハッ、違いない。」
こいつは実際どうでもいいんだろう。人の頼みを断らない奴だから押し付けに来ただけだろう。
あぁ…気が滅入る。人に言われて断れない性格は何とかして直さないといけない。
オーケー、了解した。どの道いいえなんて言えないんだって踏んでるんだろ?
「良く解ってるな、さすが相棒だ」
クツクツと笑いながら言ってくる。こいつはやはりいけ好かない男だ。
「まぁ、そういうわけだ。よろしく頼むよ。」
俺が引き取る意思を見せると、ほぼ押しやるように少女をドアの前に立たせ
まだ予定があるんだ、もう行く。と言いながら去ってしまった。
濁った眼の少女と目が合うと、すぐさまその瞳は怯えの感情を帯びる。
…ファーストインプレッションは最悪だな。
これから始まるであろうお先真っ暗の新生活に、ため息をついた。
どうしよう