仮面ライダー電王LYRICAL StrikerS Vol.1 Spring Party   作:(MINA)

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第十二話 「訓練と訓練まがい?」

シュミレーターで作られた仮想都市にフォワード四人とイマジン四体にコハナ、シャリオ・フィニーノ、高町なのはは足を踏み入れていた。

とてもまがいものとは思えないくらいに精巧な造りだった。

ガラスを壊せば音が鳴って破片が飛び散るだろうし、ビルの壁に爪を立てて引っかけば生理的に寄せ付けない音も鳴りそうなくらいリアルなものだった。

もちろん、この地面で躓いたら膝をすりむく。

「みなさん。凄く驚いてますねぇ」

ビルの屋上にいるシャリオは周囲をキョロキョロしている地上の四人と四体のリアクションを楽しんでいた。

「この顔を見る為に、ひたすらリアルに追求したかいがあったよねぇ」

なのはは満足げな表情を浮かべていた。

思い起こせばこのシュミレータを作る際に、色々な苦労があったとなのはは振り返る。

全てがリアル体感できるという事はそれらを数値化させる為に、実験が行われていた。

なのはが監修しているといっても、彼女の性格からして後ろで腕組んであれやこれやと仕切る事などはせずにほとんどが彼女が被験体となっていた。

つまり躓いて膝がすりむいたりビルの壁に爪を立てて生理的に寄せ付けない音が鳴るのも全て、なのはが直に味わったものだという事になる。

後は何人かに声をかけて付き合ってもらったりもしていたわけだが。

その体験者達いわく『もう二度と体験したくない』とのことだ。

「なのはさん」

シャリオが腕を組んで、空を見上げているなのはに声をかける。

「みんなの血と汗と涙と笑いがこのシュミレータを生んだんだよ。ありがとう……」

「なのはさん、血と汗と涙はわかりますけど笑いは関係ないような……」

なのはの呟きにシャリオは冷静にツッコミを入れた。

 

「何だよココ。ビルばっかじゃねーかよ」

仮想都市を見回しながら、モモタロスは感想をもらした。

「センパイ。訓練を想定する街にコンビニがあるわけないじゃない」

ウラタロスが、店を探し回って現在は愚痴っているモモタロスに指摘する。

「確かにリアルに出来てるかもしれへんけど、あんまり面白みのない場所やで。ただ建ってる物がリアルに出来てるだけやもんなぁ」

キンタロスは親指で首を捻ってから腕を組む。

「ここで訓練するっていっても何もないよー。ビルでも壊すの?」

リュウタロスは愛銃リュウボルバーを喚び出して、ジャキリとビルに向けて構える。

「それじゃ管理局の訓練にならないわよ」

コハナは服装はそのままだが、軽く準備運動はしていた。

彼等はフォワード四人とは違う場所にいる。

「何にもねーからこうやって寝転んでもいいんだよな?」

モモタロスは道路で寝転び始めた。

「道路で寝転ぶなんて貴重な体験だけどセンパイ。空から襲い掛かってきたらどうすんの?」

「なのはの性格からして不意打ちなんてしねーだろ」

そう返した。

「訓練だからっていきなり予告なしに襲い掛かってくるような事をする子じゃないのはわかってるけどね」

ウラタロスも道路に座り込んだ。

「なのはも十九やで。管理局に十年おるんや。子供と思ったら大怪我するかもしれへんで」

キンタロスがエア突っ張りをしながら言う。

「なのはちゃん。尻尾が一本になったから大人になってるもんね」

リュウタロスはリュウボルバーの銃口を空や斜め上などに構える。

引き金は絞ってはいない。

「どうしてなのはちゃん。私達とあの新人さん達をバラバラにしたのかしら……」

コハナはオープンフィンガーのグラブを指に通しながら、疑問に感じた。

 

「よしっと。みんな聞こえる?」

ビルの屋上でシャリオとこれからの準備をしていたなのはは仮想都市にいる全員に声をかける。

全員の返事が返ってきた。

「じゃあ早速ターゲットを出していこうか。まずは軽く八体から」

そう言うとシャリオに顔を向ける。

「動作レベル一。攻撃精度ニってところですかね」

シャリオが両手で器用にカタカタと宙に浮かんでいるモニターを操作していく。

「私達の仕事は捜索しているロストロギアの保守管理。その目的の為に私達が戦う事になる相手は……コレ!」

なのはが言い終えると、地上ではフォワード達の前に水色の魔法陣が展開されて、楕円形で中央に黄色の目がある機械兵器が出現した。

「自律稼動型の魔導機械。コレは近づいてきたら攻撃してくるタイプね。攻撃は結構鋭いよ」

シャリオが機械兵器の特徴を説明しながら若干脅しに似たコメントももらす。

 

「では第一回模擬戦訓練。ミッションの目的、掃討するターゲットの破壊もしくは捕獲。十五分以内に!」

 

なのはがそのように告げると、フォワード四人の返事が返ってきた。

「それでは……」

「ミッション……」

 

「「スタートォォ!!」」

 

シャリオとなのはが同時に声を揃えて言うと同時に訓練が始まった。

「なのはさん。フォワード達の訓練が始まったのはいいですけど、その……」

シャリオは展開しているモニターをチェックしながらも、気になっている事を打ち明ける事にした。

「モモタロスさん達のこと?」

なのはがシャリオが言いたい事を先に言った。

「はい。その……どうするんですか?同じ様に訓練をするんだったらわざわざ別の場所に移動させる必要なんてないですよね?」

「正直に言うとね。今モモタロスさん達と訓練をさせたら、その……間違いなく……」

なのはは歯切れ悪く口ごもっている。

「あの子達が確実に自信をなくすと思う……」

「イマジンを倒す事にですか?それともこれから一緒に戦う事に、ですか?」

「……両方だよ」

なのはは一番最悪な事を告げた。

「モモタロスさん達と一緒に訓練して、今のあの子達が知ってしまう事はまず『自分達では逆立ちしてもイマジンに勝てない事』と、モモタロスさん達との戦いに介入しても『手伝う』どころか『足を引っ張る』かたちになってしまう事、だからね」

「じゃあ、野上さん達と訓練すれば……」

シャリオの打診に、なのはは首を横に振るだけだ。

「それも効果はないよ。仮に良太郎さん達と訓練しても、それは『良太郎さん達といればイマジンと勝てる』であってあの子達自身が成長する事には影響があるとは思えない

よ。私もそうだったしね……」

なのはは、初めてイマジンと戦闘した時の事を思い出していた。

「なのはさんは確かスクライア司書長と一緒にイマジンと戦った事があるんでしたよね」

「今思い出しても、あの時一緒に戦ってたのがユーノ君じゃなかったら私は無事じゃなかったかもしれないね」

なのはは無限書庫のトップで業務に勤しんでいる青年の顔を思い出す。

「シャーリー。モモタロスさん達にはさっきの十倍の数を用意してあげて」

「じゅ、十倍!?本気ですか!?」

なのはの申し出に、シャリオは思わず返してしまう。

「うん。本気だよ」

なのはの瞳に迷いはない。

ここで八十体の機械兵器が出現するとなると、仮想都市の中には計八十八体の機械兵器がいる事になる。

「ちょっとした戦争になっちゃいますね……」

シャリオは苦笑するしかなかったが、なのはの命に従い出現させた。

その直後に立て続けに爆発音が鳴り、爆煙がたつのを見てシャリオは口元を引きつるしかなかった。

 

「やはり問題にはならんな」

「仮にもあたし等を倒した奴等だぜ。あんな機械に負けるかよ」

隊舎の屋上で仮想都市の戦況を見学していたシグナムとヴィータが空に昇っていく爆煙を見ながら感想をもらした。

二人は爆煙を起こしたのがフォワード達ではないという事はすぐにわかった。

残酷な事を言えば、あの四人ではとてもではないがこの短時間では破壊など出来ないからだ。

「少しはストレス発散になってるといいけど……」

オーナーから貰った護身用デンガッシャーをソードモードにして素振りをしている野上良太郎も仮想都市を眺めながら言った。

「あいつ等だけじゃなく、俺達も肩身は狭かったしな」

護身用ゼロガッシャーをボウガンモードにして、発射の構えを取っている桜井侑斗も同意した。

「ならお前達も参加したらどうだ?」

「いいんですか?」

「新人達の訓練が終わって休憩してる時にやればいいじゃねーか。あの妙なオッサンがくれた武器の試運転とか侑斗だったら、はやてから貰ったカードを使うって名目があれ

ばさ、なのはも納得するかもしれねーし」

シグナムの打診に良太郎は問い返し、ヴィータがなのはが納得するかもしれない言い訳の例えを二人に教えた。

「な、何だよ?」

じっと見ている良太郎と侑斗を見て、ヴィータは睨む。

「ヴィータちゃんがそんな事を言うなんて……」

「十年経って賢くなったんだな。お前……」

二人のあまりの言葉にヴィータはというと。

「お前等!!あたしをどんな風に見てたんだよ!?」

両腕を高らかに挙げて、吠えた。

「モモタロスと似たもの同士かなって……」

「というより、同類だろ」

良太郎は穏便な感じで言うが、侑斗はストレートに言った。

 

「あたしを赤鬼と一緒にするんじゃねぇぇぇぇ!!」

 

更に吠えた。

「そういう所がモモタロスと同類だと言われる所以なんだがな」

三人を見ているシグナムが腕を組んでヴィータの耳には届いていないと判断して呟いた。

 

 

時空管理局ミッドチルダ地上本部中央議事センターの会議室の一つは昼間なのに、異様に暗かった。

太陽の光が入らない部屋のため、常に証明機器が必要なのだが本日はとある目的の為に証明は全てオフにされていた。

そこには地上本部のお偉い方達が数名とフェイト・T・ハラオウンと八神はやてがいた。

本日は機動六課の設立趣旨を発表する為に席を設けたわけだ。

(はやて。イマジンの事はわかるけど、良太郎たちのことも話さないといけないのかな……)

フェイトは良太郎と十年ぶりに会った際の夜のやり取りを思い出しながら、念話の回線を開く。

(気持ちはわかるでフェイトちゃん。野上さんのお願いを聞いてあげたいって気持ちは。私かてできれば侑斗さん等の内部事情は打ち明けたくないんや)

はやてとて、異世界から来た仮面ライダー達の事情は承知している。

だが、隠蔽となってくると後々でその辺りを突っついてくる輩がいないとも限らない。

この手の事で最善の策となるのは『隠し通す』ではなく『先に暴露する』になる。

早い内に痛いところはつつかれた方がマシというのは既に歴史が語っている。

機動六課において一番叩かれて痛いところは間違いなく『異世界の仮面ライダーの存在』だ。

高ランクの魔導師が何人でかかっても倒す事が出来ない存在---イマジンを唯一倒すことが出来る戦力を独占していると見られていて間違いないだろう。

(それにフェイトちゃんもわかってるやろ?野上さん等がイマジンと戦えば戦うだけ、マスコミやら何やらは絶対につついてくるって。完全に隠し通すことは不可能やって事も)

(う、うん……)

良太郎達がイマジンと戦えば戦うだけ望む望まない関係なく知名度は上がっていく。

それが時空管理局と縁があると思われる人物ならば好奇心が湧かないわけがない。

その好奇心が純粋か邪かは別にしてもだ。

(始めよか)

(うん)

はやてはこれ以上の念話はグダグダ、つまり何の進展もないことだと判断した。

フェイトもそれには同意し、念話の回線を切った。

「本日はこのような席を設けさせていただき、誠にありがとうございます。それでは始めさせていただきます」

フェイトが最初の挨拶をし、二人はこの場に集まった面々に頭を下げた。

「捜索指定遺失物---ロストロギアについては皆さん、よくご存知のことと思います」

はやては、愚問に近い事から切り出した。

「様々な世界で生じたオーバーテクノロジーの内、消滅した世界や古代文明を歴史に持つ世界において発見される危険度の高い古代遺産……」

その場にいる誰もが、はやての説明に対して「何を今更」とか鼻で笑うような小馬鹿にした態度は取っていなかった。

それだけロストロギアが脅威だという事になる。

はやてが説明している間も、大型スクリーンの映像は切り替わっていく。

会議室にいる誰もが映像を目で追いながら、耳ではやての言葉を聞いている。

「特に大規模な災害や事件を巻き起こす可能性のあるロストロギアは正しい管理を行わなければなりませんが、盗掘や密輸による流通ルートが存在するのは確かです」

盗掘にしろ密輸にしろ共通している事はロストロギアが『金のなる木』だという事だろう。

自身が巨万の富を得る事やロストロギアを兵器として用いようとする者達は世界の一つや二つ、滅んでも構わないと思っている事も否定できないというのも事実だ。

スクリーンは過去に存在したロストロギアの事例から一つの赤い結晶体へと切り替わる。

「さて、機動六課が設立されたのには一つの理由があります。第一種捜索指定ロストロギア……通称レリック……」

「このレリック。外観はただの宝石ですが、古代文明時代に何らかの目的で作成された超高エネルギー結晶体であることが判明しています」

はやてからフェイトへと交代し、スクリーンはレリックと呼ばれている宝石の詳細が表示されていた。

「レリックは過去に四度発見され、そのうち三度は周辺を巻き込む大規模な災害を引き起こしています」

フェイトの説明と同時にスクリーンはレリックによって引き起こされた過去の災害が映像で映し出されていた。

室内にいる面々がどよめく。

「そして後者二件ではこのような拠点が発見されています」

スクリーンには研究施設らしきものが映し出された。

『らしき』というのは、映像に映し出されているものは原形を留めていないからだ。

スクリーンにカーソルが出現して、ある一部分をクリックする。

「極めて高度な魔力エネルギー研究施設です」

拡大表示されてから更に画面が切り替わる。

画面には研究施設が破壊された廃墟が映し出されていた。

「発見されたのはいずれも未開の世界。こういった施設の建造が許可されていない地区で、災害発生直後にまるで足跡を消すように破棄されています……」

フェイトは少しだけ移動してから足を止める。

「悪意ある少なくとも法や人々の平穏を護る気のない何者かがレリックを収集し、運用している広域次元犯罪の可能性が高いのです」

フェイトの口調にはどこか棘があった。

まるで、この事件の首謀者を知っているようにも感じられる。

スクリーンに映し出された映像が消える。

「そして、何者かが使用していると思われている魔導機械がこちら……」

消されたスクリーンがまた映し出される。

それは楕円形で一つ目の機械兵器だった。

「通称ガジェットドローン。レリックを始め、特定のロストロギアの反応を捜索し、それを回収しようとする自律行動型の自動機械です……」

フェイトとはやての機動六課設立趣旨の説明はまだ続く。

 

 

ギュィィィィンと車輪が回転している。

車輪とはスバル・ナカジマが履いているローラーの車輪だった。

彼女は見た目に反して素早く逃亡している楕円形の自動機械---ガジェットドローンを追いかけていた。

「はあああああああああ!!」

スバルは跳躍して、リボルバーナックルを装着している右腕を振りかぶる。

彼女の視界には四体が固まって逃走しているガジェットドローンが見えた。

振りかぶった拳をその中央に放つように照準を決める。

リボルバーナックルのスピナーが回転する。

一直線に拳を放つと同時に、水色の魔力弾が発射された。

魔力弾は一直線に向かうが、ガジェットドローン四体は後ろに目でもあるようにして、素早く四方に分かれた。

爆煙がたつが、それは魔力弾が地面に直撃したものであり破壊によって生じたものではなかった。

着地して、ローラーの回転に流れるようにして進むスバルは停止する。

「何コレ!?動きめっちゃ速い!?」

スバルとしてはあそこまで速いとは想像していなかった。

更に爆煙がたっていた。

「モモタロスさん達、だよね……」

一応自己紹介は終えているので、イマジン達の名前は知っている。

外見だけならば間違いなくイマジンだ。

しかし態度や挙動を見るかぎりでは、人間と大して差がないように思えた。

むしろ人間よりも人間臭く感じる。

イマジンだから『敵』という認識を持っていないわけではないが、彼等が敵と思う事は出来なかった。

仮に戦う事になったとしても、勝てる見込みはゼロだが。

(はっ!今は訓練に集中しないと!!)

スバルは前方を見る。

そこには標的であるガジェットドローンの姿は当然あるはずもなかった。

 

エリオ・モンディアルは槍型アームドデバイス『ストラーダ』を構えて、眼前に向かってくるガジェットドローンを見据えていた。

(来る……)

時空管理局に身を投じると覚悟を決めた以上、戦わなければならないという事も理屈では理解していた。

そしてエリオにとって、これは人生初の限りなく実戦に近い模擬戦だ。

緊張が本人の意思とは裏腹に身体全身を支配していた。

(大丈夫。やれる……)

自分に言い聞かせるようにして、エリオは心中で呟く。

ガジェットドローンの飛行音がエリオの両耳にはっきりと聞こえてくる。

眼前に現れたガジェットドローン四体が魔力弾を数発発射させた。

素早く避けながら前進して、視線を左斜めへと向けて高く跳躍する。

宙に浮いた状態でストラーダを冗談に構えてから振り下ろし、すかさず第ニ撃として右に薙ぎ払うようにして振るう。

魔力で圧縮した金色の刃が二つ、縦と横でガジェットドローンに向かっていく。

ガジェットドローンは予期していたかのようにして、難なく避けて前進する。

エリオが放った二つの刃はビルの一階に激突して、爆煙をたてながら消失した。

着地してから、その場から離れていくガジェットドローンに視線を向ける。

自分の中では結構いい具合に『捕らえた!』という感触があった。

「駄目だ……。フワフワ避けられて当たらない!」

両肩を上下に揺らして、息を整えながらエリオは言う。

(モモタロスさん達はこれだけ速い動きをするヤツを始まって早々に一体、破壊してるなんて……)

同じ場所にいる以上、姿はわからなくても爆煙を起こしたのが自分達ではないのだから消去法ですぐにわかる。

だから破壊とまではいかなくても、ダメージを負わせるぐらいはできると思っていた。

だが現実には自分の攻撃を相手はあざ笑うかのように、避けてしまったのだ。

正直、ショックといえばショックだ。

歴然とした差のようなモノがハッキリとわかってしまったのだから。

(だけど、くさってたって仕方がない!)

気持ちを切り替えて、対策を考える事にした。

 

「前衛二人。分散しすぎ!!ちょっとは後ろの事も考えて!」

(は、はいっ!)

(ごめん!)

数あるビルの屋上でキャロ・ル・ルシエと共に後衛のポジションについていたティアナ・ランスターは前衛二人を叱り、エリオとスバルは念話で謝罪の返事をした。

アンカーガンを移動しているガジェットドローンの背中に狙いをつける。

オレンジ色の魔力球がアンカーガンの銃口に収束されていた。

「チビッコ。威力強化をお願い」

「はい!ケリュケイオン!」

ティアナの指示に従い、キャロは左手に嵌められているグローブ---インテリジェントデバイス『ケリュケイオン』に命じる。

ケリュケイオンの核ともいえる珠が輝いて主の命に従う。

『Boost Up』

ケリュケイオンが発すると、桃色の魔法陣がキャロの足元に出現する。

ティアナに力を振り分けるための動作なのか、左手を振り払うようにする。

直後、オレンジ色の魔法陣を足元に展開させたティアナに今までにない力が宿る。

(これが強化……)

ティアナにしてみれば知識で知っていたとしても、体験はそうそうにないことなので身体に妙な感覚が走った。

「シュゥゥゥゥゥトォォォォォ!!」

アンカーガンの引金を振り絞る。

銃口で収束されていたオレンジ色の魔力球は四発の魔力弾となって、ガジェットドローン四体に向かっていく。

照準はバッチリの直撃コースとなっていた。

(行ける!!)

ティアナはこれまでの経験からして確実に貫けると思った。

だが……

魔力弾とガジェットドローンとの距離がゼロになった時に、予測も出来ない事が起きた。

ガジェットドローンの機体を護るようにして、何かが展開されてティアナが放った全弾を消滅させたのだ。

「バリアッ!?」

「違います。フィールド系!」

ティアナの推測が間違いであるようにキャロが即座に返した。

 

「魔力が消された!?」

それは念話越しにスバルにも伝えられた。

(そう。ガジェットドローンにはちょっと厄介な性質---機能があるの。攻撃魔力を掻き消すアンチマギリンクフィールド---AMF。普通の射撃は通用しないし……)

なのはの解説を聞きながらも、スバルの目には四体のガジェットドローンの姿が目に入った。

壁に登っていくようにして、ビルの屋上へと逃げていく。

「このぉ!!」

スバルは追いかけるようにして水色の魔力で構築された一筋の道を出現させて、空中に敷設させていく。

水色の魔力道---ウイングロードに乗っかって、ローラーを回転させてガジェットドローンを追いかけた。

 

スバルがウイングロードを伝って、ガジェットドローンを追撃しようとする姿はティアナの目にも映った。

「スバル!馬鹿!危ない!!」

AMFを使用できる機械兵器に真正直に魔法を用いる事が得策とは思えなかった。

だが、スバルにティアナの注意が聞こえるはずもなかった。

(それに、AMFを全開で展開されると……)

なのはの解説はまだ続いていた。

「あ……」

スバルが展開したウイングロードがガジェットドローンまで前進するが、先端が歪み始めていた。

それどころか今迄一直線に空中に敷かれていた部分までグニャングニャンと動き始めていた。

AMFの影響で、ウイングロードは原型を留める事が出来なくなり始めていた。

そうなると、上に乗っているスバルにしてもバランスが一気に崩れてしまう。

「わっ、ひゃああああああああ!!」

完全に留められなくなってしまったウイングロードにスバルは弾かれ、前方のビルに激突した。

スバルが激突した際には無論、窓ガラスが割れる音も聞こえた。

「凄いリアル……。本当に徹底してるんだ……」

このシュミレータのリアルさと、なのはの拘りにティアナは改めて舌を巻くしかなかった。

(飛翔や足場作り。移動系魔法の発動も困難になる……。スバル、大丈夫?)

派手にガラスの割れる音がしたが、ティアナはスバルの安否に関してはさほど心配していなかった。

「な、何とか……」

と返事する事はわかっていたのだから。

 

「AMFか……」

「対魔法対策としては最高のものだな」

護身用のデンガッシャーとゼロガッシャーを独自で振り回していた良太郎と侑斗はガジェットドローンが展開させた魔法に対抗策はあるのかと、思考を張り巡らせる。

「だけどどんなモノでも完璧じゃねーってのが」

「世界の常識だ」

ヴィータとシグナムはAMFを使用するガジェットドローンには倒せる方法があるような口振りをする。

「僕達だったら……」

「魔法を使えない以上、AMFの摘要範囲外だから簡単に壊す事が出来るってわけだ……」

対策の一つとは言い難いが、一つといってもいい。

有無を言わせぬ物理破壊。

圧倒的な力を有する者のみに許される手段。

イマジンを倒し、魔導師や騎士とも互角以上に戦える仮面ライダーのみに許される手段だ。

「あいつ等はそんな事考えずに実行してるけどな」

腕を組んで、ヴィータはシミュレータ内を見る。

その視線に映るのはフォワードではなく、イマジン四体だった。

 

フォワードが考えながら、ガジェットドローンに対しての策を練っている中でモモタロスをはじめとするイマジン四体とコハナはというと。

「四十九っ!!」

モモタロスが破壊したガジェットドローンをカウントしながら、専用武器であるモモタロスォードを上段に振り下ろして真っ二つにした。

バチバチと火花を散らして爆発した。

「五十ッとぉ」

ウラタロスがサッカーボールを浮かせるようにして、地面に転がって起き上がろうとしているガジェットドローンを蹴り上げた。

「ばーん!!」

リュウタロスがリュウボルバーの銃口をウラタロスによって宙に浮かされたガジェットドローンに狙いをつけて引金を絞った。

紫色のフリーエネルギーの弾丸が機体の腹部を貫いた。

空中で爆煙がたつ。

「おっしゃ!十体一気倒しや!!」

キンタロスは突っ込んでくる一体を両手で受け止めてから、右手で片手持ちする。

ボウリングの球を持つような姿勢になっていた。

親指、中指、薬指に力が入っており、握られているガジェットドローンには三箇所がめり込んでいた。

「行くでぇぇぇぇ!!」

右腕を大きく振りかぶってやや前傾姿勢となり、左足を前に押し出して振りかぶっていた右腕を前へと振った。

ブォンという空を裂く音が鳴り、脳天に三本の穴が出来ているガジェットドローンが迫ってくる同機に向かっていく。

一体に激突して爆発する。

隙間なく並んでいたガジェットドローンは避ける事も出来ずに誘われるようにして爆発していった。

その光景は花火のようにも見えた。

もっとも花火のように人を魅了するような美しさは欠片ほどにもないが。

「おっしゃストライクや!!」

キンタロスはガッツポーズを取って喜ぶ。

「やるじゃねぇかクマ!俺も負けてられねぇぜ。カメ、手頃なヤツ一匹持ってこい!」

感化されて対抗意識を燃やしたモモタロスはウラタロスにガジェットドローンを一体持ってくるように言う。

「手頃なヤツって……センパイ、こいつ等言っておくけど魚じゃないんだよ?」

そう言いながらも、ウラタロスはモモタロスに一体のガジェットドローンを蹴りで宙に浮かす。

その軌道はモモタロスへと向かっていた。

「小僧!合わせろ!!」

リュウタロスに叫んで跳躍する。

「え?う、うん!わかった!」

モモタロスにいきなり指名されたリュウタロスはリュウボルバーを投げ捨てて、同じく跳躍する。

モモタロスは右脚、リュウタロスは左脚を宙に浮いているガジェットドローンに狙いを定める。

「いっけぇぇぇぇぇ!!」

二体は同時のタイミングで振り上げて脚をガジェットドローンに直撃させる。

イマジン二体分のフリーエネルギーを帯びたガジェットドローン十九体に向かっていく。

避ける事もなく、激突する。

一体の爆発が連鎖反応の如くドォンドォンとけたたましい音を立てながら爆発していく。

「あーあ、終わっちゃったわね」

間近で傍観していたコハナはイマジン四体が作り出した惨状を見ていた。

ビルのガラスは破壊され、八十体のガジェットドローンは胴体を裂かれたり、貫かれたり、内部の部品が地面に転がったりしていた。

「凄いね。こんな惨状までキチンと表現されてるなんてさ……」

「真面目ななのはらしいっていえばらしいわなぁ」

ウラタロスとキンタロスは目の前の光景を見ながら、なのはの監修に感心する。

「おーい。なのはぁ!メガネの姉ちゃん!終わったぞー!おかわりくれー!」

「くれー!」

モモタロスとリュウタロスは、なのはとシャリオがいるビルに向かって催促した。

 

「おかわりぃ!?」

宙に出現しているモニターに映し出されているモモタロス達の映像を見て、シャリオの眼鏡がずるりと落ちた。

「開始十分で八十体が全滅なんて……」

一分間に八体破壊しているという計算になる。

「それでまだ本気にはなってないんだからね~」

なのはもモニターを見ながら、四体のイマジンを見ながら微笑ましく見ている。

(あれから十年。全然変わってないなぁ)

十年前に自分が彼等を見て、『得たい』と思った強さは更に成長しているようにも思えた。

「なのはさん。どうします?おかわり出した方がいいでしょうか?」

「うーん。いくら出しても結果はわかりきってるしね。退屈になるかもしれないけど、こっちに戻ってきてもらおうっか」

「わかりました。すみませーん。こっちに戻ってきてくださーい」

シャリオがモモタロス達がいる場所にモニターを展開させて、告げた。

モモタロス達が不満をこぼすのは、なのはにしてみれば予想の範囲内だった。

 

なのは、シャリオとイマジン達のやり取りはフォワード達にも伝わっていた。

「「………」」

ティアナとキャロは何もいう事が出来なかった。

わかってはいた事だが、戦闘力に差がありすぎると改めて突きつけられた。

正直、魔導師ランク試験の時にライナー電王に助けてもらってよかったと安堵する。

でなければ、自分はこの場にいないのだから。

(でも、いつまでも逃げ回ってるってワケにはいかないのよね……)

今は電王が助けてくれるかもしれない。

だが、そういうわけにはいかないというのも確かだ。

いずれは自分達で何とかしなければならない。

そのためにもまずは、眼前の課題である『十五分以内にガジェットドローンを破壊、捕獲』を突破しなければならない。

ティアナは後方のキャロを見る。

その瞳には『諦め』や『ヤケ』というものは含まれてはいなかった。

むしろ『闘志』が更に上がっているようにも思えた。

(諦めるより足掻く、か。チビッコなんて言えないわね)

「チビッコ。名前何て言ったっけ?」

ティアナは展開しているモニターに映し出されているガジェットドローンとモモタロス達が繰り広げた跡地を見ながら、キャロに訊ねる。

「キャロであります」

「キャロ。手持ちの魔法とそのチビ竜の技で何とか出来そうなのある?」

「キュワー」

地に足着けてフリードリヒは翼を広げていた。

それは『呼んだ?』か『出番?』というジェスチャーにも思える。

「してみたいのがいくつか……」

「私もある」

キャロの気持ちは今の自分と同じだった。

(スバル)

念話の回線を開いた。

 

ウイングロードが消失した勢いで、ビルに突っ込んでしまったスバルは起き上がっていた。

「オッケー。エリオ」

ティアナとの念話は会話らしい会話はなかったが、意図は理解できた。

何かをやろうとしているのだろうと。

そうなると、自分と似たポジションに就いている少年にも伝えなければならない。

スバルはエリオへ念話の回線を開く。

「あいつ等に先行して足止めできる?」

(え?ええと……)

エリオはその意図がわからないので戸惑っている。

「ティアが何かを考えているから時間稼ぎ!」

簡潔に説明をした。

(やってみます!)

エリオも了承してくれた。

その直後、スバルはビルから飛び出した。

ティアナの作戦を成功させる為に。

 

小石が隣ビルの貯水タンクにカンと当たっていた。

「おしっ!当たったぜ!!」

小石を投げたモモタロスがガッツポーズを取っていた。

「それじゃ僕もー!」

リュウタロスも振りかぶって小石を隣ビルの貯水タンクに向かって投げた。

やはりカンと当たった。

「よし。この手や!」

パチンとキンタロスは将棋盤でウラタロスと二人で将棋を指していた。

ちなみにこの将棋盤もこのシュミレーターの建造物同様に実物ではない。

「フフン。引っかかったね。キンちゃん♪」

わざと不利になるように指していたウラタロスは狙いを定めるかのような手を指していた。

コハナは、なのはの隣に座っている。

「それにしてもみんな、よく動きますねぇ」

シャリオはモニターを操作しながら感想をもらす。

「危なっかしくてドキドキだけどね~」

なのはにしてみれば危うさ満載というところなのだろう。

「ん?どうしたんですか?ハナさん」

なのはは先程から感じる視線の元であるコハナを見た。

「教官なんだなぁって」

「え、えへへ」

コハナの一言に、なのはは照れが入って笑ってしまう。

「そ、それよりシャーリー。デバイスのデータは採れそう?」

なのはは気を取り直して、シャリオに訊ねる。

「いいのが採れてます。四機ともいい子に仕上げますよぉ」

シャリオの瞳が輝いているのは決して気のせいではないだろう。

「レイジングハートさんもご協力お願いしますね」

『オーライ』

シャリオの言葉に、なのはの首元に吊られている赤珠で待機状態のレイジングハート・エクセリオンは輝かせて答えた。

 

スバルとエリオは先回りして、ガジェットドローンが来るのを待ち構えていた。

スバルは地上で。

エリオは歩道橋でだ。

エリオのいる場にガジェットドローンが四体移動してきた。

「行くよ!ストラーダ!」

迫り来る四体をエリオは睨む。

 

「カートリッジロード!!」

 

『エクスプロージョン』

ストラーダはガシャンと音を立ててから、スライドカバーからカートリッジを排莢する。

エリオの足元に金色の三角形の魔法陣が展開される。

ストラーダから稲光が帯びている。

両手で抱えて、豪快に振り回す。

ブンブンと空を裂くような音が聞こえてくる。

ひたすら回す。

(来い。来い……)

ガジェットドローンが来るのを待つ。

距離が近くなり、こちらの間合いに入ると同時に、

 

「でええええええええいぃぃぃぃ!!」

 

頭上で振り回していたストラーダを片手持ちにして、右、左、左、右というように足元の歩道橋を斬りつけていく。

そのたびに、破片と埃が舞う。

完全に切り裂いた感触を得ると、エリオはその場から離れるようにして跳躍する。

ガジェットドローン四体はそのまま引き寄せられるようにして真っ直ぐに進んでいく。

土埃と砂煙が辺りを舞う。

その内、二体がその中から突き出てきた。

ローラーで助走をしたスバルは跳躍して、リボルバーナックルを振りかぶってから真っ直ぐに放つ。

「潰れてろぉ!!」

ガジェットドローンに直撃するが、AMFを展開しているためにダメージには繋がらない。

弾かれてしまい、スバルはバック転を宙でしてから地面に着地する。

「やっぱ、魔力が消されちゃうとイマイチ威力が出ない~」

ぼやきながらもどうしたらいいかはわかっていた。

「そんなら!!」

ローラーを上手く操り、背後に立っているガジェットドローンへと方向転換する。

その場で軽く跳び上がって、ガジェットドローン相手にマウントポジションを取ってからリボルバーナックルを振りかぶる。

 

「ううりやああああああああ!!」

 

拳はガジェットドローンの機体にめり込み、やがて貫く。

バチバチと音がスバルの耳に入ってくる。

ガジェットドローンが許容量のダメージを受けたという事だ。

(よしっ!)

乗っかっていたスバルはすぐに飛び上がって前方に着地した。

直後にガジェットドローンが爆発し、爆煙がたった。

「よしっ!!」

スバルは今度は口に出していた。

 

「連続行きます!」

ビルの屋上にいるキャロはその場にいるティアナ、もしくは違う地点で見ているなのは達に告げるようにして言った。

 

「フリード。ブラストフレア!」

 

キャロはフリードリヒに標的を指差してから命令する。

「キュワー!」

フリードリヒは翼を羽ばたかせながら口元で炎の球を出現させる。

「ファイア!」

キャロの指示と共にフリードリヒは出現させた炎の球を吹きかける。

炎の球はそのまま一直線に飛んでいく。

ガジェットドローンの足元を火の海とさせた。

バチバチと稲光が生じて、動きが停止する。

キャロの足元から桃色の円形魔法陣が展開される。

 

「我求めるは戒めるもの。捕らえるもの。言の葉に応えよ」

 

詠唱をすると同時に桃色の魔法陣の輝きが増していく。

 

「鋼鉄の縛鎖。錬鉄召喚!!アルケミックチェーン!!」

 

ガジェットドローンの足元に桃色の魔法陣が出現し、中心部から鋼鉄の鎖が無数出現して生き物のような動きで三機のガジェットドローンを捕縛した。

キャロの召喚した鎖は魔力で構成されているものではないので、AMFの摘要範囲外という事になる。

 

ティアナはキャロの捕縛から逃れた二機を追跡していた。

通常の魔力弾による射撃はAMFの餌食となってしまう。

「こっちだって射撃型。無効化されて、ハイそうですかって下がってたんじゃ生き残れないのよ!!」

アンカーガンの銃口を移動しているガジェットドローンに向ける。

バンバンと二発発砲音が鳴るが、空砲ではなくカートリッジロードをしたのだ。

カートリッジが排莢されないため、傍目には少々わかりづらい。

ティアナの足元にオレンジ色の円形魔法陣が展開される。

(スバル!上から仕留めるからそのまま追ってて!!)

(おう!!)

ティアナは念話の回線を開いて、指示をする。

スバルが追跡している限り、ガジェットドローンは逃げ続ける。

その隙をティアナは狙うわけだ。

アンカーガンの銃口にオレンジ色の魔力弾が形成されていく。

しかし、すぐに発射はしない。

このまま発射しても先程と結果は変わらないからだ。

(攻撃用の弾体を無効化フィールドで消される膜状バリアで包む。フィールドを突き抜ける間だけ、外殻が持てば本命の弾はターゲットに届く!!)

オレンジ色の弾丸は更なるオレンジ色の膜で包まれていく。

フィールド系防御を突き抜ける多重弾殻射撃はAAランクの技術である。

ティアナはこの技術を既に習得しているという事は、それだけ射撃型として生きていく『覚悟』があるという表れということだろう。

(固まれ……)

ティアナの瞳はオレンジ色の魔力弾に集中している。

(固まれ!)

オレンジ色の膜はもう少しというところで遅々としてしか動かない。

(固まれぇぇぇ!!)

ティアナは更に内にある力を引き出す。

 

「うわああああああ!!ヴァリアブルシュートォォォォォ!!」

 

膜は完全に覆われ、ティアナはすぐに引金を振り絞った。

ドォンという音を響かせて、オレンジ色の魔力弾は追走しているスバルを抜く。

魔力弾はガジェットドローンのAMFに引っかかる。

しかし、魔力弾はAMFを抜けてからそのまま一直線に腹を貫く。

一機を破壊すると、魔力弾は消滅せずに残り一体にも向かっていく。

蛇のようなうねりをしながらも残りの一機もAMFを展開するが、抜けて先程の一機と同様に腹を貫かれた。

二機ともバチバチと音を立てながら、原型を留められずに爆発した。

(やった……)

ティアナは二機を破壊できた事に安堵し、全身の力が抜けてそのまま仰向けになった。

側には誰もいないのがせめてもの幸いかもしれない。

スバルが念話の回線を開いて喜んでくれるが、今のティアナには、

「……スバル。うっさい」

というぐらいしか元気が残されていなかった。

 

 

フォワード四人の最初の模擬戦の所要時間、十四分五十二秒。

 

この事は隊舎屋上で傍観していた四人にもすぐに伝わった。

「まだまだだな」

ヴィータは所要時間がわかると、無愛想な表情で呟いた。

「これからだろう」

シグナムは今後に期待する事にした。

「あ、そうだ。侑斗、良太郎。なのはにはさっき話通してさ、使っていいって」

ヴィータは念話で、なのはに侑斗と良太郎のシミュレータの使用許可を申請し、許可が下りたことを告げた。

「「!!」」

ヴィータの言葉にその場で素振りをしていた侑斗と良太郎の胸中に何かが跳ね上がった事を誰も知らない。

 




次回予告

第十三話 「初対決!?」
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