仮面ライダー電王LYRICAL StrikerS Vol.1 Spring Party   作:(MINA)

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移籍して初の投稿になります。

時間に余裕がある時は更新していこうと思います。

それでは第13話目の始まりです。



第十三話 「初対決!?」

野上良太郎と桜井侑斗がフォワード四人が休憩に入ったと同時に、シミュレーターの中に入った。

二人は「これが仮想?」という言葉が口から出かかっていた。

「そういえば何かの本かテレビかでこんな事が書いてあったな……」

「ん?何が」

風景はまがいものでも空だけは本物なんだ、と思っている良太郎は侑斗の口から聞き慣れない言葉を口にしたので顔を向ける。

「科学っていうのは度を超すと魔法と変わらない、だそうだ」

「相反する二つ、なのにね」

『科学』と『魔法』、全く間逆のものだが根底は繋がっているという事になるのかもしれないと考える事も出来る。

電王やゼロノスも科学とも魔法ともいえない存在なのだから、二人がこの説を頭ごなしに否定する事は出来ない。

侑斗は護身用ゼロガッシャーをサーベルモードにしており、両手で正眼に近い下段に構える。

重量があるので、正眼に構えるとそれだけで体力が消費するからだ。

対して良太郎は、護身用デンガッシャーをソードモードにして右手でだらりと下げていた。

『無形の位』で応じる気だ。

ちなみに二人とも、スーツ姿ではなく一応フォワード達が着用しているトレーニングウェアである。

アンダーのズボンはフォワードと共通で、トップは良太郎はエリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエ同様に黒色のシャツであり侑斗は黒色に金の十字の模様が施されているものだった。

シャツのカラーはまるで、今後関わっていくチームを表しているようだった。

「お前とするのはいつ以来だ?」

「いや、多分初めてだよ」

侑斗は過去の事を思い出しながら言おうとするが、良太郎は即座に否定する。

「そうだったか?」

「そうだよ」

この二人のやろうとしている事はオーナーに渡された武器の試運転のようなものだ。

だが、その組み合わせがシミュレーター内でも外でも好奇心を駆り立てるものだった。

野上良太郎と桜井侑斗。

互いにこの次元世界の中で『最強』という地位に限りなく近い二人だ。

性格的なものからか、二人がぶつかる事はほとんどない。

良太郎は厭戦的で、侑斗は無駄な事はしないというところからだ。

こうして二人が訓練とはいえ、武器を持って向き合うのは本当に初めての事になる。

互いに視線が合うと同時に、両者が手にしている武器が相手に向かって放たれようとしていた。

 

「始まりやがったな……」

「正直、こういうのってちょっと興味あったんだよね」

ビルの屋上で見下ろすかたちでモモタロスとウラタロスは地上でならし(・・・)をしている二人を見ながら、感想をもらした。

「良太郎と侑斗が戦う、か……。そこそこの付き合いになってきたしなぁ。どっちが強いか言われるとようわからんで」

「そういや、アイツ。僕と決着つけてない!!」

キンタロスは良太郎と侑斗、それぞれ違った『強さ』を持っているためどちらが強いのかハッキリ判断する事が出来ない。

この中で侑斗と戦った事があるのはリュウタロスだけであり、結果は彼の言うように『どっちつかず状態』のままだった。

白黒ハッキリつけたがる性格ではないのでリュウタロス自身もこの光景を見るまで忘れていた事だ。

同じビルの屋上で休憩をしているフォワード四人もじっと見ている。

「ハナさん。あの二人ってどちらが強いんですか?」

電王、ゼロノスの姿を見たことがなく、噂程度でしか知らないシャリオ・フィニーノは、なのはの隣で座って観戦しているコハナの隣に座って訊ねる。

「単純な腕っぷしなら侑斗の方が上でしょうね。でも……」

「でも、何ですか?」

「いくら侑斗でも本気でキレた良太郎が相手だとどうなるかはわからないわね」

コハナの口にした『キレた良太郎』という言葉に、なのはとイマジン四体は何かを思い出し、一瞬背筋に悪寒が走ったのは仕方がないことなのかもしれなかった。

「あの……どうしたんですか?みなさん」

スバル・ナカジマは場の雰囲気が変わった原因を作ったコハナに訊ねる。

「……思い出しちゃったのよ。キレた良太郎をね」

コハナの表情もどこか怯えていた。

「おっかねぇぞ……」

「アレは正直あんまり見たくないよね」

「見る者に恐怖、相手には恐怖と地獄を与えるというても大げさやあらへんなぁ」

「僕、あの時の良太郎、やだ~!!」

怖いもの知らずと認識しているイマジン四体が総出でビビッている姿を見たフォワード四人は念話の回線を開く。

(キレた良太郎さんってどういう事なんでしょう?)

(さぁねぇ。いくら仮面ライダーっていっても人間なんだからあり得ると思うわよ)

エリオ・モンディアルの質問に対してティアナ・ランスターは超人ではないと前提して言う。

(でも、なのはさんやハナさん。それにイマジンのみなさんまで本気で怖がってたよね)

(相当おっかないってことなんでしょうね)

スバルとエリオは頑張って自身の想像力を駆使する。

(で、でも本当にその良太郎さんがその……プッツンなんてあるんでしょうか……)

キャロ・ル・ルシエは信じられないようだ。

(そう言われると、自信がなくなるわね……)

先程『超人ではない』と言い張ったティアナだが、野上良太郎の人物像を考えると疑ってしまう。

『キレる』とは理性を弾き飛ばして、目の前に敵がいるのならばいかなる手段を用いても屠る状態だ。

温厚な人間には最も結びつきにくいものだといってもいいだろう。

(あ、始まるよ)

スバルの一言がフォワードの念話会議の終幕となった。

 

「妙な期待をしてる奴らがいるかもしれねぇけど、俺達がするのはあくまで……」

「オーナーからもらった武器のならし、でしょ?」

「わかってるなら……いい!!」

鍔迫り合いから両者は同時に距離をとる。

その間に、互いのDソードとZサーベルから火花が飛ぶ。

地面に足を着けると同時に、良太郎は一気に間合いを詰める。

Dソードを上段には構えず、中段で引いているような構えで『突き』を繰り出そうとしている。

対して侑斗は良太郎に応じず、離れた位置のままZサーベルを楯のようにして構える。

肉厚のあるZサーベルだからこそできる手段といってもいい。

「!!」

Dソードの刃は侑斗には届かずに、防がれてしまう。

だが良太郎の表情には落胆の色はなかった。

そうなることはあらかじめ分かっていたかのようなくらいに落ち着いていた。

素早くDソードを引き戻してから、右薙に狙いをつけて切りつける。

「無駄だ」

侑斗は軌道がわかっているので、Zサーベルを少しだけ移動させて防ぐ。

侑斗の足が少しだけずるっと後方に下がるところから威力は十分にある。

これ以上の攻撃は却って危険が孕む可能性があると判断した良太郎は距離をとって下がる。

構えは上段でも中段でもない、最初の時と同じ無形の位だった。

「さすがに固い、ね」

「お前に破られるほどヤワならイマジンに勝てねぇだろ」

侑斗は余裕の笑みを浮かべる。

「そりゃそうだね」

良太郎はDソードを右肩にもたれさせる。

「剣の使い方としては申し分はないな。ま、変身していないからどうしても重くなっちまうのが欠点っていえば欠点だが」

Zサーベルは見た目通りに重量はある。

ゼロノスに変身して、やっとマシに扱える程度だ。

ゼロノスベガフォーム(以後:Vゼロノス)なら普通の片手剣同様に扱えたりする。

護身用のゼロガッシャーは侑斗の力量に合わせてセッティングを施されている。

威力はイマジンを葬るには弱いが、身を守るという点では及第点になっている。

それは良太郎が現在手にしているデンガッシャーも同様だ。

このデンガッシャーも電王時に用いるより物より性能はデチューンされている。

威力はゼロガッシャー同様に、イマジンを葬ることはできないが身を守るという点では及第点を得ている。

それがオーナーが二人に与えた護身用武器であるガードデンガッシャー(以後:GDガッシャー)、ガードゼロガッシャー(以後:GZガッシャー)である。

侑斗はGZサーベル(ガードゼロガッシャーサーベルモード)を地に突き刺してから、グリップ部分を引き抜いてからパーツを逆にする。

突き刺しているパーツを左手で握ってから、グリップ部分と連結させる。

刃となっていた部分を自分の方向へとスライドさせて弓の弦にする。

ガードゼロガッシャーボウガンモード(以後:GZボウガン)に変形を終えると、先端を良太郎に向ける。

そして引き金を絞る。

フリーエネルギーで構築された矢が飛んでいく。

「!!」

良太郎は自身に向けられた瞬間に、反射的に右に避けた。

 

「ヤロォ。完全にオッサンがよこした武器モノにしてやがるぜ」

モモタロスが侑斗の動きを見てそのように言う。

「武器の変形パターンが二種類しかないってのはある意味では強みになると思わない?」

ウラタロスはフォワード達に考えさせるように言う。

詐欺師的な性格をしている彼だが、この四体の中では何かと面倒見のいい性格をしているのも彼だったりする。

「野上さんの手にしているデバイスはどのくらい変形できるんですか?」

ティアナは率先して訊ねる。

電王に対しての対抗意識のようなものなのかもしれない。

(ふーん。ただ単に悔しがってるだけじゃないってわけか)

ティアナだけではない。

他の三人もティアナと同じ眼差しをしていた。

この侑斗との模擬戦で良太郎---電王の力を研究しようというハラなのだろう。

「さっきのランスターさんの答えだけどね、主に四つだよ。本当は五つあるんだけど、そのうちの一つは良太郎にとっては使用経験が圧倒的に少ないからあえて省いてるけどね」

「四つですか……」

エリオが反芻するようにして呟く。

デバイスのモードチェンジで四形態というのは決して珍しいことではない。

しかし、それでもその四形態が全くの別物ということもない。

なにがしかの法則性のようなものがあるのだ。

たとえるならばヴィータのデバイス---グラーフアイゼンだと。

基本形態のハンマーフォルム。

ハンマー先端にピックとロケットが搭載されているラケーテンフォルム。

大型のギガントフォルム。

ラケーテンフォルムを巨大化させたようなツェアシュテールングスフォルム。

というように四つの形態がある。

形態は四つだが、どれもハンマーとしての特性からは逸脱していない。

だがデンガッシャーの四形態は根本的な部分が完全に区別されているため、事実上別物と言った方がいい。

それらを扱うためにはその特性を知っておかなければならないという事だ。

ひとつの武器で様々な顔を持つ場合は、数が少ない方が理解が早いというのは誰にでもわかることだろう。

数が多ければ便利にも思えるが、多彩な機能が逆に足を引っ張るというのも誰もが一度は体験していることだろう。

「良太郎からしたら武器が二種類しかないから、対処そのものはさほど難しいもんではないしなぁ」

キンタロスが腕を組んで、GZガッシャー対策の難易度を語る。

「でもアイツからしたら難しいよねー。何せ四つもあるんだしー」

リュウタロスは侑斗の視点で語る。

 

隊舎屋上で傍観しているシグナムとヴィータはというと。

「場数を踏んでいるだけあって、野上もやるな」

「何だよ?シグナム。惚気?」

シグナムが良太郎の動きに賞賛の言葉を贈ると、隣のヴィータはすかさず茶化す。

日頃から子供扱いでからかわれていることが多いので、その仕返しだ。

「お前、野上達が来てから随分と言うようになったな」

「こーゆー時じゃねーとからかえねーじゃん」

シグナムがジロリと睨むが、ヴィータはどこ吹く風だった。

「で、シグナム。マジな話、侑斗と良太郎。どっちが勝つと思う?」

ヴィータは真剣な表情で訊ねる。

「十年前、私達が知ってる野上と桜井ならば予想を立てることができるが……。今の二人が私達が知っている頃の二人とはとても思えん。それに今二人が行っていることはオーナー殿から

貰った武器のならしのようなものだろう。お前達が思っているようなことまで発展するのか?」

「ま、あたしもあの二人の性格からしてそうはならねーと思ってるけどよ。赤鬼達はあの二人が()り合うとマジで思ってるらしーけど」

「ならなるかもしれないな……」

モモタロス達がそのように考えているのならば実現するのかもしれないとシグナムは考える。

 

仮面ライダー電王 対 仮面ライダーゼロノス。

 

「やはり奴等が来ると熱くなるな……」

「まーた始まった。その性癖、どうにかしねーと良太郎に嫌われちまうぞー」

拳を作ってわなわなと震わせていたシグナムをヴィータは窘めた。

 

 

時空管理局ミッドチルダ地上議事センターの会議室では、機動六課の設立趣旨についての説明が終わりにかかろうとしていた。

地上本部のお偉方も今のところ黙って聞いているところからしてこちら側のロジックに隙がなかったと考えていいのだろう。

少なくともここまでは二人にとっては予定通りだ。

問題はここからだろう。

二週間前に現れた別世界の仮面ライダーについてだ。

次元世界で脅威となっているイマジンを唯一倒すことができる存在。

それは捉え方によっては『次元世界で最も危険な存在』ともいえる。

(フェイトちゃん。ええね?)

(うん。わかってるって。はやて)

八神はやてが回線を開いて、フェイト・T・ハラオウンと念話の交信をする。

「続きまして私達、機動六課と現在協力体制をとっている仮面ライダーについて説明したいと思います」

はやての一言に、お偉方達の目の色が変わったのは決して気のせいではないとフェイトは確信している。

次元世界を守ることも破壊することもできる存在。

「皆さんもご存じのとおり、二週間前起きた魔導師ランク試験に乱入したイマジンをたった一人で撃退した戦士---それが仮面ライダーです」

フェイトが言うと同時に、スクリーンにライナー電王が映し出されていた。

その場にいるお偉方全員は大きく目を開いた。

「あれが仮面ライダー……」

「我々が手を持て余しているイマジンを撃退できるという……」

「次元世界最強の戦士といわれている……」

お偉方がひそひそと言っている。

(やっぱり、色々言われてるんだね……)

(無理もあらへんと思うで。侑斗さん等にとってイマジン倒すんは私等が犯罪者取り締まるんとほぼ同じようなもんやけど、組織が何もでけへん相手を個人でやってるわけやしね)

どちらも一般感覚からは大きく離れていたりするが、そのことを指摘してくれる者はここにはいない。

「八神部隊長」

お偉方の一人が挙手をした。

「はい。どうぞ」

「このスクリーンに映し出されている仮面ライダーの名称は?」

 

「仮面ライダー電王です」

 

フェイトが即答した。

「なお、この電王を魔導師ランクだと最低でもAAA+となっています」

はやての言葉に誰もが何も言えなくなってしまう。

時空管理局は大組織ではあるが、その実態としては高ランクの魔導師というのはさほど多くはない。

全体の五パーセント程だといわれている。

つまり一万人だと仮定すると、五百人しかいないという事になる。

千人だと五十人だ。

「最低でと言ったが、これは本来のものではないという事かね?」

「はい。仮面ライダーの能力を魔導師ランクで計測しようとしても、どうも精神状態やその時のコンディションで大きく左右されてしまうんです。だからこの確認されているものは戦闘開始前で

精神的にも安定している状態で出た結果なんです」

「それはつまり……」

「全く本気にならずにそれだけの力を有しているという事です」

はやての一言は、彼等の微かな野心さえ打ち砕く結果になったという事になった。

「現在のところ、仮面ライダー電王ともう一人の仮面ライダーであるゼロノスは機動六課の民間協力者というかたちで協力体制をとっています。でも、時空管理局(我々)が某かの行為で彼らの逆鱗に触れることになれば……」

フェイトの一言に、その場の空気が冷えたのは気のせいではない。

その場にいる誰もが安易に想像できた。

 

時空管理局の崩壊。

 

お偉方が全員顔を青ざめてしまっていた。

(はやて。もしかして……)

(ちょっと効きすぎたかもしれへんね……)

はやてとフェイトとしてはちょっと脅すだけでよかったのだが、必要以上に効いてしまったらしい。

(でもこれでフェイトちゃん……)

(うん。良太郎達に妙なちょっかいをかけてくることはない、ね)

デンライナー、ゼロライナー来訪から懸念している事があった。

彼等の懐柔もしくは変身メカニズムの解析だ。

前者が失敗した場合、法の名のもとに身柄を拘束して、身体検査と使用して何故電王やゼロノスに変身できるのかを解析し、あわよくばそれらの技術を管理局の発展に使おうと考えている者は決して少なくないだろう。

だから、もし実行した場合のことを先に話して、あり得る最悪の結末を想像させたのだ。

結果としては二人の目論見はとりあえず成功したのだ。

二人はとりあえず気づかれないように胸をなでおろした。

よほどの野心家ではない限りはデンライナー、ゼロライナーに干渉したりはしてこないだろうと。

 

 

GZボウガンから放たれる矢を良太郎は直に避ける事はせずに、建造物を壁代わりにして隠れながらもある作業をしていた。

GDソードからガードデンガッシャー・ガンモード(以後:GDガン)へと切り替えているのだ。

電王の姿ならば宙に放り投げてフォームチェンジかデンカメンソードのターンテーブルでの切り替えで手動以外に使えるのだが、変身前の今の状態だとその方法は難しい。

使えなくはないが、体力の消費が激しくなるのだ。

いざという時にしか使えない。

GDガンへと切り替えを終えると、隠れることをやめて侑斗の姿を見つけるために駆け出す。

「来たか!!」

「これなら!!」

こちらの姿を確認すると同時に、侑斗はGZボウガンを構えてフリーエネルギーの矢を放つ。

迎撃するようにして、GDガンの銃口を向けてから引き金を絞る。

フリーエネルギーの弾丸が発射される。

矢と弾丸が宙でぶつかって、爆発する。

視界がまぶしくなるが、もう一回引き金を絞る。

放った場所に侑斗がいるとは限らないが、それでも威嚇射撃として放つ。

弾丸が建造物にぶつかった音しかしないとなると、侑斗はそこにはいないという事になる。

(逃げた?いや……)

良太郎はGDガンを下げてから、その場に立つ。

GDガッシャーを分離させて別の形態へと切り替える。

(僕の考えが外れてなければ……)

ガードデンガッシャー・ロッドモード(以後:GDロッド)へと切り替えを終えると、その場に立つ。

心臓が高鳴る。

自分の直感が当たれば、『勝ち』になるが外れれば『仕切り直し』になる。

自分の全神経を集中させる。

足音が耳元に入ってくる。

その音は次第に大きくなっていく。

GDロッドを構える。

両目を閉じて、意識を集中する。

「そこだぁ!!」

GDロッドを槍投げのようにして構えて、投げる。

その反応はというと。

いると思った場所に投げたのに、何の反応もない。

GZガッシャーで弾く音も。

侑斗自身に直撃したような感覚も。

何もなかった。

「いない?」

「誰をお捜し、かなぁ!!」

声がした方向は良太郎の予測の位置だが、GZボウガンを構えた侑斗が間合いを詰めながらも、矢を数発放つ。

上段、中段、下段へと矢が飛んでいく。

GDロッドを手放している良太郎に防ぐ手段はない。

右手をGDロッドに向けてかざす。

(電王の時にはできたけど、リュウタロスの力なしにできるのか……)

矢は無情に接近しているのは確かだ。

「やるしかない!!おいで!!」

良太郎は突き刺さっているGDガッシャーに向けて叫んだ。

「来い」ではなく「おいで」なのが彼らしいといえば彼らしいことだった。

 

「良太郎さん。何してるんですか?」

幾多の魔導師の教導を行ってきたなのはだが、良太郎の行動は今ひとつわからなかった。

だからこそ良太郎に戦闘の手ほどきをしたモモタロス達に訊ねるしかない。

「あのデンガッシャーを呼びつけてるんだよ」

答えたのは意外にもリュウタロスだった。

「そんな事できるんですか?」

スバルがおそるおそる訊ねる。

「うーん。僕教えたけど難しいんだよねー」

良太郎が今からやろうとしている事を教えたのはリュウタロスだ。

「リュウタが教えたのはエネルギーの扱いの中では最上級クラスになるんだよ。なにせ遠距離から任意のものを呼び寄せるのってセンパイやキンちゃんはもちろんのこと、僕でさえ

使えないんだ」

リュウタロスが特技とする能力---何かを操る力はフリーエネルギーを用いている。

この『何か』とは万物つまり何でも操れるという事だ。

それはGDロッドを良太郎のもとに呼び寄せることもまた『操る』という力の一つになっている。

「おいカメ。俺やクマはもちろんの事ってなんだよ?オメェだってできねぇじゃねぇかよ」

「そうやで。カメの字。自分もできへんのにそういう言い方はアカンでぇ」

モモタロスとキンタロスが指の骨をバキボキと鳴らしてから、ウラタロスの右肩と左肩をつかんでいる。

もちろん力を込めてだ。

「痛い!痛いって!!マジで痛いよ!!センパイ、キンちゃん!!」

モモタロスとキンタロスに仕置きを受けているウラタロスを尻目にかけてからリュウタロスは、なのは達に視線を向ける。

「良太郎だったらできるって♪だって誰よりも強いんだしー」

リュウタロスは楽観的に言うが、その言葉には強い『信頼』が含まれていた。

「「「「誰よりも強い……」」」」

その言葉をフォワード四人は反芻していた。

仲間にそのように思われるってどのようなものだろうと考えてしまう四人だった。

 

(アイツ。何をするつもりだ?)

GZボウガンを構えて引き金を三回絞ってから、侑斗は良太郎の行動を訝しむ。

自分の横にある。GDロッドを引き寄せようとしているのならば無茶な行為と言ってもいいだろう。

(イマジンでもそれができるのはリュウタロス

(お子様)だけだってのに……)

無謀な挑戦だと思う。

馬鹿にする気にはならないが、今この場でやるにはあまりにも愚かだ。

(だが今更、手加減はできない!!終わるか?仕切りなおすか?どっちだ!?野上!!)

三本の矢にこれからどうなるかを侑斗は託す。

良太郎の目を見る。

諦めていない。

「ん?」

横に刺さっているGDロッドを見る。

カタカタと震えていた。

風がなびいているわけでもないのにだ。

(まさか……)

信じられない事だ。

ずるっとGDロッドがひとりでに引き抜かれていく。

 

「来るんだ!!」

 

良太郎の叫びに反応するようにして、GDロッドが引き抜かれて侑斗が手にしようとする瞬間を与えることもなく飛んでいった。

 

自らの叫びに呼応したGDロッドはこちらに飛んで、右手でキャッチする。

すぐさま両手で頭上に振り回してから、前面へと持っていき三本の矢を叩き落とす。

「よし!」

悠然とGDロッドを振り回すのをやめる。

振り回す際に生じる微弱な風も、空を裂こうとする音もない。

「仕切り直し、か」

そう言う侑斗の表情は笑みだった。

「嬉しそうだね。侑斗」

「そう見えるか?」

「うん」

侑斗は好戦的というわけではない。

無駄なことはしないのが彼の信条のようなものだ。

そうなると、手合せとか模擬戦などは彼にしてみればやる必要のない行為になる。

「シグナムが言っていたことは本当のようだな」

「?」

侑斗はGZボウガンからGZサーベルへと切り替えながらも、こちらを見たままだ。

「お前は俺が知っている野上ではない、という事だ」

侑斗のセリフに良太郎は首を傾げる。

「当然だな。幾多の戦いをしてきて勝ってきた人間がいつまでも弱いままなわけがない」

侑斗の表情は笑みを浮かべたままだ。

GZサーベルを構える気配はない。

「侑斗?」

侑斗の言い方は自分を褒めているようにも思えた。

「今までのだってそうだ。武器と武器がぶつかっただけでお前は何一つダメージを負っていない。まあ武器のならしとしてはそれでもいいんだけどな」

「だったら……」

これで打ち切りにしようと良太郎は言おうとする。

「だからこそ……」

侑斗の表情から笑みが消えていた。

彼の腰元にはゼロノスベルトが出現していた。

 

「だからこそ今のお前の『強さ』、見せてもらう!」

 

腰に装着されているカードホルダーからではなく、ズボンのポケットからゼロノスカードに酷似した黒いカード---ダミーカードを取り出す。

「侑斗!?」

良太郎の両目が大きく見開く。

「勘違いするな。このカードは八神が俺にくれたこのシミュレータ専用のカードだ」

バックル上部にあるチェンジレバーを右にスライドさせる。

和風のミュージックフォーンが流れ出す。

 

「変身!」

 

侑斗はダミーカードをゼロノスベルトのクロスディスクに挿入(アプセット)する。

『チャージ&アップ』

ゼロノスベルトが電子音声で発すると同時に、侑斗の身体がオーラスキンに覆われていく。

赤銅色のオーラアーマーが装着されていく。

肩部に胸部に装着されていくと、最後に頭部の電仮面が装着されていく。

牛の頭が変形されるような変形ではなく、赤銅色の電仮面がただ装着されていった。

仮面ライダーゼロノス・ゼロフォーム(以後:Zゼロノス)だ。

Zゼロノスは良太郎を指さす。

 

「言っておくぞ。カードはダミーでも俺はかーなーり強い!!」

 

Zゼロノスは左手で右上腕をパンと叩いて、力の強さを誇示するように見せた。

赤銅色のエネルギーが吹き出し、良太郎に向かっていく。

身構えるが、それだけだ。

『恐ろしい』とか『怖い』というものが心中から出てくるが、『逃げる』というものは出てこなかった。

「わかってるとは思うけど、逃げようなんて考えるなよ。ここから無事に出るにはやることは一つしかないんだ」

「わかってるさ……」

良太郎も応じるようにして、腰元にケータロス装着型のデンオウベルトを身体エネルギーのチャクラを用いて出現させる。

ポケットからパスを取り出す。

 

「変身!」

 

良太郎はパスをケータロス装着型デンオウベルトのターミナルバックルにセタッチする。

『ライナーフォーム』

電子音声で発すると、良太郎の姿は赤白黒色のトリコロールカラーのオーラスキンで覆われたプラット電王へと変身する。

肩部、胸部もトリコロールカラーでキングライナーをモチーフにしたオーラアーマーが装着されていく。

デンライナー・ゴウカをモチーフにした電仮面が頭部に装着された。

右手にはデンカメンソードが握られている。

ライナー電王は対面のZゼロノスを見据える。

 

「準備はできたよ」

 

ただそう告げると、今まで構えなかったZゼロノスはZサーベルを構えた。

 

本番はこれからだという事を見ている誰もが瞬時に理解した。

 

 

 




次回予告

モモタロス 「仮面ライダー電王LYRICAL StS!!」


           誰もが思い描きたかった出来事。

             
           でも、決して叶わなかったこと。


           その願いがついに叶うのか!?


      第十四話 「激戦開始!! 電王 対 ゼロノス」  
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