仮面ライダー電王LYRICAL StrikerS Vol.1 Spring Party   作:(MINA)

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連日の投稿になります。

久方ぶりに投稿したのに、感想をくださって本当にありがとうございます。

相変わらず素っ気ない文章しか出せない自身のボキャブラリーの貧困さを少し呪いたくなったりします。



第十四話 「激戦開始!! 電王 対 ゼロノス」

 

時空管理局ミッドチルダ地上本部中央議事センターで機動六課の設立趣旨と仮面ライダーに関する釘刺しを無事に終えた八神はやてとフェイト・T・ハラオウンはヴァイス・グランセニ

ックが操縦するヘリコプターに乗って、機動六課隊舎への帰路をたどっていた。

「お疲れ様っス。首尾はどうでした?」

ヴァイスは操縦桿を操作しながら、はやてとフェイトに訊ねる。

「まぁまぁかな。六課の方はかなり前から入念に練ってたから問題なしだけど、仮面ライダーの方は二週間しか期間がないとはいえいい方だったと思うよ」

「そうやね。これで侑斗さん達に余計な茶々を入れてくることも当分はないやろうね」

フェイトは先ほどの件に関しては良好だと自己評価し、はやては当分の間は異世界の仮面ライダー達もそれなりに平穏に過ごせるだろうと言う。

「異世界の仮面ライダーが来て、もう二週間になるんスねぇ。その間にイマジンが一匹も出てこないってのは何か意味があるんスかねぇ」

ヴァイスは管理局入局歴八年になるが、イマジンに関する知識に関しては一般市民に毛が生えたくらいだ。

だから野上良太郎達が来訪してから全く音沙汰なしになっていることは何かの前触れではないかと疑ってしまうのだ。

「多分、それは関係ないと思うよ。イマジンって人間に限りなく近い性格してるしね」

「気分屋さんがおらへんと否定することはできひんのは確かやね」

フェイトとはやては、何も関係ないとヴァイスに告げる。

「あ、缶コーヒーありますけど飲みます?」

ヴァイスは時間が空いていたから人数分購入していた缶コーヒーを座席にいる二人に勧めてみる。

「「いただきます」」

フェイトとはやては断る理由もないので、受け取った。

プシュッと三人で同じタイミングでタブをこじ開けてから、一口ぐびっと飲む。

「「「ぷはー」」」

と三人同時に安らぎの息を吐く。

「そういえば、なのはちゃんの訓練はどうなっとるんやろね?」

「いい具合に盛り上がってるんじゃないかな?」

「回線開いてみます。なのはさん。ヴァイスです。近況はどうですか?」

モニターに高町なのはが映し出されていた。

『あ、ヴァイス君。どうしたの?』

「フェイト執務官と八神部隊長が訓練の方はどうなってるのか気になっているそうで……」

『ふえっ!?』

モニターに映し出されているなのはの表情が一瞬ひきつった。

「なのはちゃん。どうしたんや?」

「なのは?」

はやてとフェイトは乗り出して、モニターを見る。

『ええとね。その……訓練は上手くいってるんだけどね……』

なのはは凄く歯切れが悪い。

「もしかしてモモタロス達が何かやらかしたの?」

フェイトの予想に、なのはは首を横に振る。

「まさかヴィータやシグナムが乱入したんか?」

はやての予想にも、なのはは首を横に振る。

「じゃあ、一体何なんでしょうねぇ」

ヴァイスは想像がつかないので何も言わずに、なのはが言うのを待つ。

『ええとね。その驚かないで聞いてね』

なのはが深刻な表情をしている。

 

『今、良太郎さんと桜井さんが全力全開状態なんだよ~』

 

なのはの一言に、フェイトとはやては口に含んだコーヒーを盛大に吹いた。

 

 

ライナー電王とZゼロノスは対峙したまま、全く動こうとはしない。

互いに相手の出方をうかがっているようにも思えた。

その異様な光景をビルの屋上で、傍観している者達は固唾を飲んで見るしかなかった。

「全く動きませんね……」

「動かないのか動けないのか、正直どっちなのかしら……」

エリオ・モンディアルとティアナ・ランスターは二人の仮面ライダーが何故動こうとしないのかを独自で探ろうとする。

「キュクー」

フリードリヒも動物の本能が勝り、主であるキャロ・ル・ルシエの後ろに隠れていた。

「フリード。大丈夫だからね」

キャロは後ろに隠れているフリードを抱きかかえて頭をなでる。

「なのはさん。これはどっちなんですか?動けないんですか?動かないんですか?」

スバルがなのはに訊ねる。

「両方だね……」

なのはの回答に、フォワード四人とシャリオ・フィニーノは目を丸くし、イマジン四体とコハナはうんうんと首を縦に振っていた。

「あの二人が今からやろうとしていることは殺傷設定の魔法戦と変わらない戦いだね」

殺傷設定。

非殺傷設定が義務付けられている時空管理局局員にしてみたらタブー中のタブーだろう。

非殺傷設定でも打ち所が悪ければ一生背負わなければならない後遺症を背負わなければならないこともある。

殺傷設定なら打ち所が悪くなくても、『死』に限りなく近い場所まで連れて行かれるだろう。

(刃引きをしていない真剣同士の戦いになるんだよね)

なのはは日本での感覚で二人のこれからの戦闘を予測する。

「なのはさん。記録残しましょうか?」

「お願い。シャーリー」

シャリオの気遣いを、なのはは受け入れた。

 

 

Zゼロノスは対面の相手と対峙する。

(こうして見ると、出会った頃とは別人だな)

対面の相手---ライナー電王はデンカメンソードを無形の型で構えている。

(隙がない……)

出会った頃なら同じ構えをとっても、隙だらけだ。

Zサーベルを正眼に構えても攻めに入ろうとは思わない。

迂闊な攻撃は全て自身の敗北につながると予感しているからだ。

カツンとライナー電王の右足が右に一歩動いた。

すかさず自分も右足を右に一歩動く。

ライナー電王が引きずるようにして、左足を右に動かす。

Zゼロノスも引きずるようにして、左足を右に動かす。

視線を外せば負ける。

Zゼロノスは本能的に感じながら、右足と左足を動かす。

ただそれだけの動作なのに、疲れを感じる。

神経が極度にすり減っているようだった。

移動するだけで、ここまで疲労感を感じるのは初めてだ。

(一瞬の気の緩みが即敗北、か……)

やがて二人の視界を奪うかのようにビルの壁が現れる。

それでも二人は同じ足運びをする。

Zゼロノスはビルの外、ライナー電王はビル内にという構図になる。

規則的に鳴っていた靴音が鳴らなくなった。

(停めた……)

壁越しとはいえ、視線を外すことはできない。

壁の向こうにはライナー電王がいる。

正眼に構えたZサーベルを左へと引いてから、『突き』の姿勢へと構えを転ずる。

「………」

Zゼロノスのフリーエネルギーがそれだけで、吹き出ていた。

 

壁の向こうにはZゼロノスがいる。

ライナー電王はデンカメンソードを『突き』の姿勢へと構える。

一瞬でも遅れれば、Zサーベルが心臓部を貫く。

(狙いは一回。外せば終わる……)

ライナー電王の中では既に今行っていることが『模擬戦』だという事は失念していた。

いや、敢えてその事を忘却しようとしていた。

摸擬だと認識すると、油断が生まれるからだ。

心臓がどくんどくんと高鳴る。

この鼓動が壁越しのZゼロノスに聞こえているかと言われると、聞こえてはいない。

「ふぅぅぅ」

息を整える。

鋭く壁の向こう側にいるZゼロノスを睨む。

デンカメンソードを握る手が力んでしまう。

過剰に力を加えることは却ってマイナスになることを右腕に言い聞かせる。

スッと右腕に余分な力は抜けた感じがした。

(今だっ!!)

溜め込んでいた力を解き放つようにして、ライナー電王はデンカメンソードを突き出した。

 

「「うおおおおおおおおお!!」」

 

ライナー電王がデンカメンソードを突き出すと同時に、ZゼロノスもZサーベルを突き出していた。

遮蔽物となっている壁は二振りの剣先が起点となって、壁に亀裂が入っていく。

ライナー電王もZゼロノスもそれぞれの武器を押し込めるように押す。

さらに壁に亀裂が入り、瓦礫となって両者に向かって飛んでいく。

やがて壁らしき原型はなくなり、残っているのは互いの刃が触れないようになっているほんのひとかけらしかなかった。

「くううううう!!」

「ぬううううう!!」

壁だったものの最後のひとかけらにも亀裂が走り始める。

形を維持できなくなり、完全に砕ける。

パラパラと粉末になって、地面に落ちていく。

ライナー電王はデンカメンソードを両手持ちにする。

同じようにZゼロノスもZサーベルを両手持ちに構える。

互いに振りかぶって、刃と刃がぶつかる。

バチバチと火花が飛び散る。

ライナー電王が攻めると、Zゼロノスが後方へと下がる。

Zゼロノスが攻めに入ると、ライナー電王が後方へと下がってしまう。

そのたびに二人の足元から粉塵が舞う。

ライナー電王がデンカメンソードのデルタレバーを引く。

『ウラロッド』

デンカメンソードのターンテーブルが電仮面ソードから電仮面ロッドへと切り替わる。

「はああ!!」

鍔迫り合い状態のまま、右足を軸にして左足で前蹴りを繰り出す。

蹴り技を得意としているウラタロスの能力の状態の蹴りなので、それは速くて重い。

「!!」

Zゼロノスもその事は重々承知しているので、蹴りのモーションが見えた瞬間からすぐに飛びのいた。

その間にZサーベルを手放す。

ガシャンという音を立てながら、Zサーベルは地面に着く。

Zゼロノスの両足が地に着いた瞬間に、消えたように見えた。

(何か来る!!)

そう予感したライナー電王は握られているデンカメンソードのデルタレバーを引っ張る。

『キンアックス』

電仮面ロッドから電仮面アックスへと移動する。

「!?」

Zゼロノスに腰回りを両腕で抱え込まれる。

「食らええええええ!!」

グシャアアアアアンという音が耳に入った。

景色が逆さまになり、焦点が合うと空を見上げていた。

全身がマヒしたかのように痺れていた。

「あ……ぐ……」

 

 

ビルの屋上で、シャリオが展開しているモニターを見ているイマジン達はというと。

「アイツもサボってたってわけじゃねぇってか……」

モモタロスはZゼロノスの動きを見て感心していた。

「まさか実戦で拝めるとはね……」

ウラタロスもお決まりのポーズをとり、いつもの口調で言うが内心では驚いていた。

「アレはまともに食らってるで……。下手したら終わりやな……」

キンタロスも腕を組んでライナー電王を見ている。

「ん、あれ?良太郎まだいけるんじゃない?」

リュウタロスはキンタロスとは反対のことを言っている。

「確かに動いてはいるけど……」

コハナはリュウタロスの一言を半信半疑で見ている。

「なのはさん。この後ってどうなるんでしょうか?」

シャリオが、黙ってモニターを凝視しているなのはに訊ねる。

「魔法を用いない戦い。でも、その質は魔法戦よりも上。個人としても教導官としても興味は尽きないよ」

「なのはさん。嬉しそうですね」

「そっかな。だったらやっぱり嬉しいのかもしれないね」

シャリオの質問に、なのはは少しだけ考えてから答える。

「どうしてですか?」

「良太郎さんやモモタロスさん達の戦いってね。見ている側には色んな気持ちを感じさせるんだよ」

「どういう気持ちなんですか?」

「私が子供の時に感じたのは、『安心』かな。今は色々感じちゃうね」

十年経てば、精神的に成長し現在に至るまでに得た知識や知恵などが総動員して様々な視点で感じることができる。

「今は味方という視点なら、さっき言った『安心』に『信頼』だね。敵としての視点なら『恐怖』や『絶望』かなぁ……。どちらでもない視点なら『不安』だね」

なのはの感想を聞いているのは、シャリオだけでなくフォワード達もだ。

「オメェ等。授業もいいけどよ。また面白くなってきたぜ~」

モモタロスの声により、なのはのプチともいえる教導は中断した。

 

 

体全身に痺れが支配していたが、少しずつだが自分が体を動かしている感覚がよみがえりつつあった。

(何をされたのかはわかる……)

自分がどのような(モノ)を食らったのかを思い返す。

抱えられての反り投げ---スープレックスだ。

(キンタロスの状態にしてたのはよかった)

投げられる前に、切り替え(チェンジ)をしておいたのは正解だった。

でなければ、瞬間的な麻痺だけで済むはずがない。

このように意識を保っていられるわけがない。

「はあ……はあ……はあはあ……」

息を吐き、次の手を考える。

(動ける。動けるなら……、僕はまだ……)

開いていた両掌に、十本の指に力が入っていく。

(闘える!!)

握られていたデンカメンソードを離し、頭上の両手首をガシッと握った。

 

(決まったな)

Zゼロノスは先ほどのフロントスープレックスは最高の出来だと確信していた。

今までデネブと特訓をしていた時にもこのような実感はなかった。

これがイマジンならばこの一撃で、致命傷に持っていけるだろう。

(実戦でこの手の技ってのはそうそう使えないな)

使ったZゼロノスも疲弊していた。

肉体よりも精神的な疲労が割を占めていた。

(ん?)

両手首に掴まれる感触を感じた。

しかも力強くだ。

(まさか……)

Zゼロノスが驚いているのは、反撃をしてくる事よりもその対応の速さだった。

自分が起き上がって、Zサーベルを拾うくらいまでの猶予はあったと踏んでいた。

自身が持ち上げられていく感触を感じた時には視界が動いた。

 

「ぐ……う……りゃあああああああ!!」

ライナー電王はZゼロノスの両手を掴んだまま、起き上がる。

ゆっくりとだが、両足はきちんと地を踏んでいる。

完全に起き上がると同時に、その勢いを利用して前方へと投げる。

「うおおわあああああ!!」

グシャアアアンという音を立てながらアスファルトの地面が割れて、瓦礫となっていく。

Zゼロノスが地面にたたきつけられた音だ。

「はあ…はあはあ……はあ……」

激しく両肩を揺らして、息を整えようとするが中々戻らない。

眼前に映るデンカメンソードを手にするためにゆっくりと足を運ぶ。

拾い上げてから、瓦礫の下敷きになっているZゼロノスを見る。

(侑斗がこれくらいで参るわけがない……)

自分の知っている桜井侑斗ならばまだ立ち上がってくる。

カチャンという音が耳に入る。

カチャンカチャンと音が騒がしくなっていく。

やがてガシャンという大きな音が鳴ると同時に、Zゼロノスが立ち上がっていた。

「はあ……はあ……はあはあ……」

両肩を激しく揺らして息を整えながらも、こちらから視線を外そうとはしない。

「どうした?今がチャンスだぜ。何故、こない?」

乱れる息が徐々にではあるが、回復していく中で挑発をしてくる。

「そんな余裕はないさ」

ライナー電王は返す。

「武士道精神や騎士道精神なら俺にはお門違いだぜ」

「わかってるよ。侑斗は武士でも騎士でもないからね」

自分もZゼロノス同様に、武士道や騎士道を重んじることはない。

何故なら『戦士』だからだ。

Zゼロノスは地に落ちているZサーベルを拾い上げる。

「少しだけ本音を言ってやるよ」

Zサーベルを右肩にもたれさせる。

 

「俺もサボってたわけじゃないんだぜ。お前ならその意味、わかるだろ?」

 

Zゼロノスの言葉を聞き、ライナー電王はどこか安心したような気がした。

陰で特訓をしていたのは自分だけではなかったという事に。

侑斗が日頃から言う大言壮語にはそのような背景があった事に。

「そうだったんだ」

「八神には言うなよ。アイツ、茶化すかもしれないからな」

「うーん。僕は言わないけどさ。今この会話は全部、なのはちゃん達に筒抜けだと思うよ。シャリオさんが記録してたら八神さんに知れ渡るのも時間の問題だね」

ライナー電王は、Zゼロノスの希望を壊すようなことを冷静に告げた。

「迂闊だったな……」

天を見上げながら、Zゼロノスは呟く。

『リュウガン。モモソード』

ライナー電王はデンカメンソードのデルタレバーを二回引く。

電仮面アックスから電仮面ガンに、そして電仮面ソードへとターンテーブルが移動した。

「今度はこちらから行くよ!!」

ライナー電王はZゼロノスに向かって駆け出した。

 

 

「シグナム。どうする?」

「主はやてには今回の映像が知れ渡るのは時間の問題だから仕方あるまい。桜井らしからぬ迂闊さだったな」

隊舎屋上で二人の戦いを観戦していたヴィータとシグナムにも先ほどの会話内容は知られていた。

「侑斗の言うように、はやては茶化すのかな?」

「どうだろうな。茶化すというより、お前やリィンにするような事をするのではないか?」

シグナムの仮説に、ヴィータは想像したのか頬を赤く染める。

「うわー。あたしやリィンならいいけどよ。侑斗はちょっと恥ずかしくね?」

「そうかもしれないな」

ヴィータの言葉を聞きながら、シグナムは苦笑していた。

 

 

 

ライナー電王の宣言通りだった。

彼は『こちらから行く』と言った。

そして、Zゼロノスの顔面に右飛び膝蹴りを食らわしていたのだ。

ライナー電王が着地した直後に、Zゼロノスは仰向けになって倒れている。

見事な一撃としか言いようがなかった。

「不意打ち、じゃないわね。宣言してたし……」

宣言した攻撃がこうも見事に決まるものなのだろうかとティアナは目の前の出来事を疑ってしまう。

「スバル。アンタならどう?」

自分は肉弾戦タイプではないので、相棒に訊ねてみる。

「無理だよぉ!!宣言して成功させるなんて、相手の隙を完全に狙わないとできないって!」

スバルは首を横に振って、強く否定してから理由を告げる。

「桜井さんに隙があったとは思えないですよ……」

「でも良太郎さんは攻撃を当てたって事は隙があった、のでしょうか?」

エリオはZゼロノスに隙があったとは思えず、キャロはそれでも攻撃を当てたのだから自分達では見つけられない隙があったという事ではと、自信なさげに言う。

「さっき僕達が戦ったガジェットドローンの何倍くらい強いんだろう……」

エリオが比較対象を言いながら、考えてみるが答えは恐らく出てこないだろう。

何故なら、イマジンであるモモタロス達が十倍の数のガジェットドローンを十分で倒してしまったのがつい先程だ。

電王やゼロノスがイマジン達と対等に戦い、そして勝つ事ができるという事からして仮にガジェットドローンと戦ったとしたら似たような結果が出ているだろう。

「比べる対象を間違えてるわよ」

ティアナはガジェットドローンで比較するだけ無駄だとエリオに言う。

「あ、今度は桜井さんから動き出した」

「反撃ですね」

スバルとキャロはモニターに映し出されているZゼロノスが、今度は攻撃を繰り出そうとしているのを凝視していた。

 

 

右飛び膝蹴りを食らってからすぐに起き上がって、Zサーベルのパーツを外し、上下を逆転にしてから連結させてからサーベルの刃をスライドさせて弓の弦状にするとフリーエネルギーに

よって肥大化してZボウガンにした。

「この空間内でしか体験できない面白いモノを見せてやるぜ」

そう言うと、Zゼロノスゼロノスベルト上部のフルチャージスイッチを押す。

『フルチャージ』

ゼロノスベルトが電子音声で発すると、ダミーカードをクロスディスクから引き抜いてZボウガンのグリップ部分にあるガッシャースロットに挿入する。

「ふうぅぅ。おりゃああああ!!」

叫びと同時に、ZゼロノスはZボウガンの引き金を絞る。

Zボウガンから、金色のフリーエネルギーで構築された『A』という文字の矢が発射された。

「!!」

ライナー電王が正体に気付いた時には遅く、防御する間もなく後方へと吹っ飛んだ。

ビルの壁を四、五枚ほどぶち抜いてライナー電王は背中から倒れた。

ガシャッと音を立てて、ガッシャースロットからダミーカードを抜き取る。

そしてゼロノスベルトのチェンジレバーを右にスライドさせてからクロスディスクにダミーカードを挿入した。

このシミュレータ空間限定の現象だ。

「一つ試してみるか」

かつて仮面ライダー電王ソードフォーム(以後:ソード電王)が二回連続でフルチャージをしたことがある。

ゼロノスである自分にはこの芸をした事がない。

理由としてはリスクを考慮しての事だ。

電王と違って、ゼロノスは変身システムに常に『代償』が付きまとうので冒険ができないのだ。

だが、今の状態ならかねてより試してみたいことができる。

それが二回連続のフルチャージ(以後:ダブルチャージ)だ。

Zゼロノスはゼロノスベルト上部のフルチャージスイッチを二回押す。

『フルチャージ。フルチャージ』

Zボウガンに二回分のフリーエネルギーが充填されて、バチバチバチバチと稲妻のように喧しく輝く。

 

「吹っ飛べぇぇぇぇぇ!!」

 

Zボウガンの引き金を絞ると、二発の矢が発射された。

それは先ほど起き上がったライナー電王に向かっていた。

 

(二発!?)

状況を把握する前に攻撃を繰り出されたので、じっくりと検証する間もない。

(叩き切るには、こっちの威力がなさすぎる。打ち消すにはレバーを三回引かなければならないから間に合わない……)

素直に直撃するか、防御するしかないのかとライナー電王はデンカメンソードを楯のように構える。

バシィッと一発目を防ぐ。

ダメージは防げても、威力が消えているわけではないのでライナー電王の両足はズルリと下がる。

さらに二発目が飛んできたので、防ぐ。

同じようにダメージを防ぐ事はできたが、同じように両足がズルリと下がった。

背中はビルの壁に数センチの距離だった。

「はあはあ……はあ……はあはあ」

Zゼロノスを見ると、Zボウガンからダミーカードを抜き取ってゼロノスベルトに挿入しているところが見えた。

(この空間なら侑斗は僕達と同じように何回もフルチャージができる……)

距離が開いており、間合いを詰めようとしても必ず相手は迎撃するだろう。

それをダメージゼロでよけきる自信は今の自分にはない。

「!!」

ライナー電王は覚悟を決めて走り出す。

Zゼロノスがダミーカードを抜き取った状態で、引き金を絞る。

フリーエネルギーで構築された矢が数本発射される。

バシュンと左肩アーマーにかする。

バスッと右脇腹にかする。

「ぐっ!」

アーマーにあたってダメージが軽減されたわけではないので、苦悶の表情を浮かべる。

だが変身しているのでその表情は相手にはわからない。

ある程度、間合いを詰めると両足を強く大地に踏んで跳躍する。

デンカメンソードを上段に構えてから、一気に振り下ろす。

だがZゼロノスの手に握られているのは、ZボウガンではなくZサーベルだった。

ガキンという音が剣と剣がぶつかる。

だがこの状態で鍔迫り合いはこちらに分が悪い。

何せ自分は空が飛べないから足場がないのも等しい。

となると今の状態で優勢なのはZゼロノスだ。

Zゼロノスが押し勝ち、宙に浮いていた両足は地に着地する。

Zゼロノスの左拳が飛んでくる。

デンカメンソードを楯替わりに防ぐ。

その直後に、身体が傾いた。

そう認識すると、左足首に痛みがあることを知った。

Zゼロノスが右足払いをしたのだ。

不意打ちに近い状態で、左を支えている軸足を奪われたため傾きを止めることができない。

視線を相手に向ける。

Zサーベルを上段に構えるが、刃を向けてはいない。

こちらに向けているのは日本刀でいう側金(がわがね)、切断力がない部分を向けていた。

『真っ二つに斬る』のではなく、『叩きつける』のが目的なのだろう。

何を叩きつけるのか?

ガァンという鈍い音が自分の顔面に襲い掛かってきた。

地面にめり込む勢いで叩きつけてきた。

そう、自分をだ。

 

 

「終わりました……?」

なのはは、黙ってモニターを凝視しているコハナに訊ねる。

「決まった、そう思ってもいい状況よね……」

コハナとしては善戦した方だと思っている。

以前の、それこそ電王に成りたての頃からすれば十分すぎるくらいの戦いだった。

コハナはモモタロスを見る。

モモタロスはコハナが何を考えているのか、大まかに理解したらしくウラタロス、キンタロス、リュウタロスに声をかけて立ち上がる。

「ま、まさかハナさん。モモタロスさん達は桜井さんに仕返しをしようとしてるんじゃ……。だ、駄目ですよ!!絶対に駄目です!!教導官としてそれは認めません!」

なのはは、コハナがモモタロス達に某かの合図のようなものを送ったのはわかっていたので、その内容を口にする。

フォワード四人達はその内容に、大きく目を開いてからどうしようかとオロオロしていた。

教導官のなのはを止めれないし、イマジンであるモモタロス達を止めることもできない。

何せどちらも自殺行為なのだから。

「バーカ。何勘違いしてんだよ。俺達はあそこでぶっ倒れてる良太郎を拾いに行くだけだぜ?」

モモタロスの言葉に、なのはは自身が早とちりをしていたことを知って顔を赤らめながらもほっと安堵の息を漏らしていた。

「あ、あのー」

スバルがおそるおそると手を挙げていた。

「何だよ?ハチマキ女」

モモタロスの安直な呼び方に、スバル以外の全員が吹き出しそうになるが必死でこらえていた。

 

「野上さん。立ち上がってるんですけど……」

 

スバルの一言に、全員が「え!?」という間抜けな声を出てしまったが誰も笑うものはいなかった。

 

 

立ち上がって何ができるんだろうと思う。

やれる事は全てやったのでは?と自身に問いかける。

だが『やった』とも『出し切っていない』とも返答は何一つなかった。

(そういやまだ一回もフルチャージ使ってないな……)

意識が朦朧とする中でこの戦闘の中で、自分はまだ必殺技(とっておき)を用いていない事を思い出した。

(アレ、使ってみよう。上手くできるかどうかはわからないけど……)

自分にまだ『やり残したことがある』と言い聞かせると、ライナー電王の両腕、両脚に力が入ってくる。

「タフだな」

Zゼロノスの『呆れ』とも『称賛』とも取れる台詞を聞きながら、ライナー電王は睨む。

フラフラで本当に戦えるのかどうかはわからない。

「次で……」

睨む力はまだ弱まっていない。

 

「次で全部だ……」

 

ライナー電王は手にしているデンカメンソードのデルタレバーを引いた。

『ウラロッド、キンアックス』

電仮面ソードから電仮面ロッドを経由して、電仮面アックスで停止した。

 

 

 

 




次回予告


ウラタロス 「仮面ライダー電王LYRICAL StS!!」


          ライナー電王 対 ゼロノス


             ついに決着か!?


       そして、そんな彼らに待ち受けるものとは!?



          第十五話 「勝負者達が恐れるもの」
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