仮面ライダー電王LYRICAL StrikerS Vol.1 Spring Party   作:(MINA)

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予告通りとなりますか、投稿いたします。

みなひろです。

懐古主義というわけではありませんが、「STAR DRIVER 輝きのタクト」

を見ていたりします。




第二十話 「任務終了と模擬戦終了」

 

フォワード---スバル・ナカジマ、ティアナ・ランスター、エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエとフリードリヒは円陣を組んでいた。

「いい?私達の今日の相手は間違いなく『最強』といってもいい人よ。出し惜しみなんてしてたら簡単に蹴散らされちゃうわよ……」

これから戦う相手がどんな存在なのかをティアナは全員に確認させる。

「ティア、質問」

「何よ、スバル」

スバルが挙手はできないが、心の内で挙手をした。

「野上さんとなのはさんってどっちが強いの?」

ティアナはスバルの胸中を察した。

彼女にとって、高町なのはが『最強』の存在なのだろうと。

「直に戦っている姿を見ているわけじゃないから、何とも言えないわよ。ただ……」

「ただ、なに?」

「野上さんがリミッター状態のなのはさんに勝るとも劣らないって考えておいた方がいいんじゃないしら」

明確な答えを発することができなかった事にティアナはむず痒さを感じるが、それが現在出せる回答なのだからと納得させることにした。

「あの、ティアさん」

挙手はできないが、心の内で挙手をしたのはエリオだ。

「はい、エリオ」

「もし、僕達がこの模擬戦で良太郎さんに勝つ事が出来れば僕達はその……」

「なのはさんに勝つ事も夢じゃないって事になるわね」

言いながらも、そういう解釈に直結しているのだとティアナは確信している。

「あの……」

形式化しているのか次に、心の内で挙手をしたのはキャロだ。

「いいわよ。キャロ」

「良太郎さんは変身するんでしょうか……」

キャロの一言は、全員をさらに緊張させるに十分だった。

失念していたわけではないが、野上良太郎は仮面ライダー電王に変身できるという事を再認識する。

対比も『リミッター状態のなのは=電王』ではなく、『リミッター状態のなのは=(?)良太郎』だという事もだ。

「どうかしらね。変身した時点で模擬戦終了になるだろうけど、『実戦』という事を考慮したなら電王になった方がリアリティはあるわね……」

キャロの質問に対しても、どっちつかずな返答になる事にティアナは自身の『読み』のなさを悔やむしかない。

「いい?相手が野上さんでも私達は以前の戦いで実戦の中でイマジンの存在を感じ取ったのよ。知らないと知ってるでは大きな違いがあるわ」

それが自分達の自信になるのだと、自分に言い聞かせると同時に三人にも告げた。

顔を上げて、準備運動をしている良太郎を見る。

(私達がこれから戦う相手は……。あの二人に勝るとも劣らない人……)

ごくりとティアナは固唾を飲んだ。

 

 

 

 

ヘリから飛び降りて、無事にリニアレールの屋根に足を着けていたフォワードとモモタロス、リュウタロス。

リインがヘリから『飛び降りる』という表現が似合わないくらいのゆっくりした降下速度でリニアレール屋根まで降りた。

バリアジャケットのデザインが自分達が想像しているものと違っていた。

スバル、ティアナのバリアジャケットは、なのはのバリアジャケットに用いられるデザインやカラーリングがされていた。

エリオ、キャロのバリアジャケットはフェイト・T・ハラオウンのバリアジャケットに用いられているデザインやカラーリングがされていた。

リインがその事を蛇足とは思いながら説明しておいた。

任務に支障がきたす程の事になるとは思えないが、一応念のためである。

「さあ、任務スタートですよぉ!!」

リインは二手に分かれた四人と二体と一匹に告げた。

 

 

「スバル、感動は後!!」

バリアジャケットのデザインが、なのはによるものだと感激していたスバルをいち早く現実に目を向けていたティアナが注意した。

リニアレール内部からボコボコと屋根を持ち上げているものがあった。

「おいでなすったぜ!」

モモタロスが何が来るかまではわからないが、少なくとも自分達の味方でないという事だけはわかった。

下から青い光線が発射された。

屋根を破って出てきたガジェットドローンが出てきた。

「シュートォォォ!!」

ティアナがアンカーガンに替わる新型デバイス---クロスミラージュを構えて引き金を絞る。

オレンジ色の魔力弾が銃口から発射される。

ガジェットドローンは防御としてAMFを展開する。

しかし、魔力弾はAMFを侵蝕していく。

ガジェットドローンのAMFがガラスのように砕けて、魔力弾が直撃した。

爆発して、煙が立った。

それが戦闘開始の合図だった。

 

 

「うおおおおおおおお!!」

連なるようにしてスバルが穴の開いた屋根へと突入していく。

降下しながら右腕を振りかぶって、リボルバーナックルを回転させる。

寝そべって触手のような腕をウネウネとさせているガジェットドローンに向けて叩きつける。

グシャリと拳がめり込み、ガジェットドローンの全体がバチバチと火花を散らしていた。

爆発するが、スバルは残骸を掴んだままで新型ローラー---マッハキャリバーを以前に使っていたローラーと同じ要領で使う。

ローラーが回転して、狙いをつけるようにして内部に潜伏している一機を睨む。

睨まれたガジェットドローンが腕を伸ばして、スバルに攻撃を仕掛ける。

「りゃあああああああああ!!」

襲い掛かってくる腕を避けながら、スバルは右手で掴んでいる残骸を腕を蜘蛛のようにして動かしているガジェットドローンに向けて投げつける。

直撃してガジェットドローンは爆発して、爆煙が立つ。

まだ破壊されていないガジェットドローンがスバルに向かって青い光線を放つ。

中腰でやや前傾の姿勢になってマッハキャリバーを走らせる。

ガジェットドローンの攻撃をかわしながら、走行場所を壁へと変えていく。

走りながらもリボルバーナックルを構えてナックルスピナーを回転させて、次の攻撃を繰り出す準備をする。

対面には青い光線を放っている天井に張り付いているガジェットドローンに向かっていく。

拳を振りかぶる。

 

 

「リボルバァァァァシュウゥゥゥゥゥトォォォォ!!」

 

 

右拳をまっすぐ放つとナックルスピナーから生じる衝撃波がガジェットドローンへと向かっていく。

衝撃波はガジェットドローンを破壊して、そのままリニアレールの天井をもぶち破った。

「え?」

放った当人が間抜けな声を出してしまう。

破った天井から飛び出てしまう。

飛行魔法を使用できないため、ホバリングも当然できない。

「ちょっ……まず……」

対処の仕方を模索するが、突然の事なので浮かび上がってこない。

 

『ウイングロード』

 

マッハキャリバーが電子音声で発すると、空中で水色の魔力道が展開した。

ウイングロードに流されるような勢いで、滑りながらリニアレールの屋根へと着地する。

勢いが完全に殺しきれていないため、そのまま百八十度ターンして勢いを流した。

以前のローラーと同じ感覚で使うとこちらが振り回されかねない。

「はわぁ、マッハキャリバー。お前ってかなりすごい?」

スバル自身、デバイスは持っているが対話機能---AIが組み込まれているデバイスとは初めてだが物怖じする理由もないので相手を人間と同じだという感覚で質問した。

「加速とかグリップコントロールとか、それにウイングロードまで……」

『私は貴女をより強く、より速く走らせるために作り出されましたから』

マッハキャリバーが水色のクリスタルを明滅させながら答えた。

「うん?」

マッハキャリバーの言っている事は間違いではない。

ただ何かが違うようにも思えた。

そのように思えたのは、上官であるなのはと専用デバイスであるレイジングハート・エクセリオンのやり取りを見ているからかもしれない。

互いを尊重しているように思えたのだ。

自分とマッハキャリバーの関係はまだそこまで行き着いていない。

(ま、当然か。まだ会ったばっかりだもんね)

そのように自身を納得させた。

「うん。でもマッハキャリバーはAIとはいえ、『心』があるんでしょ。だったらちょっと言い換えよう」

前傾姿勢になっていたスバルはゆっくりと上半身を起こす。

髪が風でなびく。

 

 

「お前はね。私と一緒に走るために生まれてきたんだよ」

 

 

先程開けてしまったリニアレールの穴を見ながら言う。

『同じ意味に感じます』

「違うんだよ。色々と!」

マッハキャリバーの即答に、スバルも負けじと否定した。

『考えておきます』

しばらくしてからマッハキャリバーが返答した。

多分今までの言葉の中で『心』が入っているようにスバルは思えた。

「うん!」

ガジェットドローンを数機倒しただけなので、任務はまだ終わっていない。

 

 

(ティアナ。どうです?)

リニアレール内は必要最小限の照明しか照らされておらず、周囲は薄暗かった。

「駄目です。ケーブルの破壊、効果なし!」

クロスミラージュで一機破壊したティアナは念話の回線を開いてきたリインの質問に返した。

(了解。車両の停止は私が引き受けるです。ティアナはスバルと合流してください)

「了解!」

リインとの念話の回線が切れて両手に握られていたクロスミラージュのうち、左手に握られていた方が消ええた。

『ワンハンドモード』

クロスミラージュがそのように告げた。

「おおっ。左手に握られた方が消えた!?手品かよ!?」

現在、リニアレール内にいるのはティアナだけではない。

モモタロスもいるのだ。

「モモタロスさんの武器と同じ原理と思えばいいと思いますよ」

「ふーん」

モモタロスは愛剣であるモモタロスォードを見てから頷いた。

「で、モモタロスさん」

「何だよ?銃の姉ちゃん」

「銃の姉ちゃん?ああ……」

ティアナは自身の呼称の要因を探るように見るが、右手に握られているクロスミラージュを見て納得した。

「イマジンの臭いってまだあります?」

「ん?あー、するにはするんだけどな。こうして襲い掛かってこねぇところからするとオメェ等がコミックだっけか?それを狙ってる可能性はあるぜ」

(襲い掛かってこない?イマジンの精神は確か人間と遜色ないって言ってたから漁夫の利を狙う事も考えられるわけね)

モモタロスの話を聞いて、ティアナは周囲を警戒しながら考える。

「レリックですよ」

ティアナは真剣な表情のまま、間違いを指摘した。

「急いでスバルと合流しましょう」

『了解』

「おう」

自然とそのような指示を出してしまったが、クロスミラージュはともかくモモタロスも特に何も言わなかったことに、ティアナは内心ほっとした。

 

 

場所は現場から機動六課司令室へと変わる。

『スターズ(フォワード)交戦中。ライトニングF交戦中』

現場にいるリインの報告がコンソールを入力しながらモニタを見ているシャリオ・フィニーノの耳にも入っていた。

「スターズ1、ライトニング1。制空権獲得」

「ガジェットⅡ型。散開開始。追撃サポートに入ります」

隣にいるアルト・クラエッタが敵方の動きを報告する。

司令室のドアが開き、八神はやてと桜井侑斗が入室してきた。

「ごめんな。お待たせ」

軽く詫びのあいさつを入れるはやてに対して、侑斗は軽く頭を下げて入室してきた。

「八神部隊長。桜井さん」

グリフィスが喜色と安堵が混じった表情を浮かべて迎えてくれた。

「お帰りなさい」

「ここまでは比較的順調です」

はやては席に着きながらグリフィスの経過報告を聞き、シャリオの挨拶には軽く手を振って返した。

「イマジンの存在は?」

侑斗がこの任務での一番の厄介者を訊ねる。

「リイン曹長からの報告ですと、モモタロスさんが言うには『いる』そうです」

「フィニーノ通信主任」

「はい、何ですか?」

「このモニターじゃ、敵イマジンとモモタロス達を分別することは?」

「今のところは無理ですね。モモタロスさん達が私達の味方といってもマーキングもされていない以上映し出されるとしたら敵方のイマジンと区別がつかないんです」

「せめて、仮面ライダー電王になってくれれば判別は可能なんですけど……」

シャリオとアルトが侑斗の疑問に答えてくれた。

ちなみにアルトが見ているモニターのリニアレールに映し出されている反応はガジェットドローンとフォワード四人だけでありイマジン二体の反応は映し出されていなかった。

「ライトニングF、八両目突入……」

シャリオが見ているモニターにはリニアレール八両目がデジタルワイヤーフレームで映し出されており、そこには巨大な丸型のガジェットドローンが待機していた。

「エンカウント、新型です!!」

 

 

「ふわーあ」

リュウタロスが間の抜けた欠伸をしながら、愛銃のリュウボルバーを片手に持ってエリオとキャロの後ろを歩いていた。

「暇だな~」

今回現場に出れば退屈しのぎになると思ったのだが肝心のイマジンは襲い掛かってこないし、ガジェットドローンは撃退してはいけないと良太郎に言われていた。

さすがに十二両目からスタートして今の八両目になるまで、一回も身体を動かしていないと退屈で仕方がない。

「今までよりおっきいのが来た」

ガジェットドローンなので、やっぱり撃退はエリオとキャロ、フリードリヒに一任するしかない。

自分達の前にいるガジェットドローンが攻撃を繰り出してきた。

Ⅰ型のようなか細い触手じみた腕ではなく、このガジェットドローンが繰り出してきた腕はベルトコンベアを伸ばしたような太い腕だった。

二人と一体はその直線的な攻撃をしっかりと見切って後方へと下がった。

後方へと下がったキャロはそのまま攻撃態勢へと入る。

足元には桃色の魔法陣が展開される。

「フリード。ブラストフレア!」

ガジェットドローンに向けて放つように、キャロはフリードリヒに命じる。

フリードリヒは口を開き、炎を練り上げて火炎球を構築させていく。

「キュクー」

一定の大きさになると、そのまま吐き出した。

ドォンと放たれる。

しかし、ガジェットドローンは火炎球を器用に腕で弾き飛ばした。

弾き飛ばされた火炎球は山岳に向かっていって直撃した。

爆煙が立った。

「うおりゃああああああ!!」

ストラーダの尖端に稲光を放出させて、エリオはリニアレール内にいるガジェットドローンへと向かっていった。

落下の勢いと攻撃を繰り出すタイミングを狙って、ストラーダを上段に構えて振り下ろす。

ガジェットドローンの機体に尖端は当たるが傷一つ、破片一つも飛び散らなかった。

「か、硬い!!」

エリオは苦い表情を浮かべてしまう。

ガジェットドローンがAMFを展開させる。

それだけでストラーダの尖端の稲光が消滅し、キャロの足元の魔法陣も消滅した。

「あ、消えるヤツだ」

後ろで見ていたリュウタロスがガジェットドローンが何をしたのかを自分なりの解釈で口にした。

「AMF!?」

「そんな!?こんな遠くまで……」

二人にしてみれば訓練外の出来ことだった。

「助けちゃダメなのー?」

リュウタロスが上空のデンライナーに顔を向けた。

 

 

デンライナー内部の良太郎、ウラタロス、キンタロス、コハナはというと。

「これってマズイ状態じゃないの!?」

「助けた方がいいんだけど、それをしたら……」

コハナとウラタロスは良太郎がどのような指示を下すか待つ。

「助けたら間違いなく、あの二人の顔を潰すことになるやろな……」

キンタロスはここで助けに入れば、二人にしこりを残す結果になると想像する。

「リュウタロス。二人は弱音を吐いた?」

良太郎はモニターに映るリュウタロスに、一つの質問をした。

『ううん。全然、まだ頑張れるみたい~』

モニターのリュウタロスは首を横に振った。

「だったら、大丈夫。リュウタロスはそのままイマジンが出てくるまで待機してて」

『え~。まだ戦っちゃダメなの~?』

良太郎は二人にまだ闘志がある以上、割り込むべきではないと言う。

「モモタロスが言うには、イマジンがいるんでしょ?」

『うん。まだ見てないけどね』

「まだ見てない?襲い掛かっても来ないってこと?」

『うん』

リュウタロスの言葉に、良太郎は手を顎に当てて思案の仕草をする。

「どうしたの?良太郎」

ウラタロスが見る。

「イマジンの目的はレリックじゃないのかもしれない……」

「「「?」」」

良太郎の思案の結果に二体と一人が首を傾げる。

「仮にモモタロスとリュウタロスが参加しなかった場合、イマジンにしてみれば好都合になると思わない?」

「一番の脅威がないから?」

ウラタロスの回答に良太郎は頷く。

「イマジンにしてみればフォワードの四人を倒すことは決して難しいことじゃない。なのにそれをしないって事が気になってね」

「イマジンの目的がレリックなら手に入れる前でもあとでも大して差はないってことよね?」

イマジンがフォワードに倒されるという仮説は彼等にはない。

それは過小評価ではなく、現実だからだ。

四人の戦闘能力ではイマジンと戦っても、一分は持たないだろう。

最悪の場合、出会った直後に最期を迎える可能性は十分にある。

「モモタロス。イマジンの臭いはずっと同じ場所?」

モニターをリニアレール内に切り替えてスターズと行動しているモモタロスに訊ねてみる。

『ああ。そんな感じだな。嗅ぐ度に臭いが強くなってるって事はよ。俺達が近づいている証拠だろうな』

「そっか。ありがとう。モモタロス、くれぐれも……」

『イマジンと出くわしたらアイツ等を守れってんだろ。わかってるよ』

良太郎はモモタロスが自分が何を言いたいのか、理解してくれていたようだ。

「七両目にイマジンが潜伏していて、動く気配が全くない。となると、結論は一つしかないね」

「何や?」

腕を組んでいるキンタロスが訊ねる。

 

 

「イマジンの目的はレリックじゃなくて、それを確保しようとしている僕達だよ」

 

 

「目的はなんなの?」

「僕等を倒して名を上げようってのが一番最初に出てくる動機だね」

「俺等もそれだけの価値があるほど、有名になってもたわけやな」

結論を出した良太郎に替わって、ウラタロスとキンタロスが説明した。

 

 

エリオは力のある限り、ガジェットドローンと力比べをしていた。

といっても、体格差から生じる重量差は当然存在するので彼の方が不利になろうとしていた。

「く、ううぅ……」

ストラーダを横に構えてガジェットドローンが繰り出す両腕の攻撃を防いでいた。

かなり苦悶の表情を浮かべていた。

踏ん張っている両脚が徐々にではあるが、後方へと下がってきている。

「あ、あの……」

屋根から不安の感情隠さずにキャロがエリオに声をかけてきた。

弱音を吐くわけにいかない。

(僕が弱音を吐いたら、あの子はもっと不安になる……)

圧し掛かってくる力にぶつかりながらもキャロを気遣う。

「だ、大丈夫!!任せて!!」

短いが、エリオが今できる精一杯の強がりだった。

ガジェットドローンが何かを仕掛けてくることが見えたエリオは力比べをやめて飛び上がる。

エリオの予想通り、青い光線を放ってきた。

光線はエリオを追うかのように機体を傾ける。

光線の威力は凄まじく、天井がドロドロに溶解していた。

ガジェットドローンを飛び越えて、空中で体を捻りながら向かい合うようにして着地する。

「!!」

エリオの反応よりも速く、ガジェットドローンが巨体に似合わず一気に間合いを詰めてきた。

すかさず、青い光線を今度は一度に三発放つ。

避けるために後方へと下がるが、バランスを崩して横に伏してしまう。

それでもガジェットドローンが攻撃を緩める事はなく、ひたすら光線を放ってくる。

エリオは転がりながら、避けていく。

(諦めるな。必ず、必ず勝機があるはず!!)

劣勢に追いやられながらも、エリオの瞳に『諦め』は宿っていなかった。

ガジェットドローンが右腕を振り上げてエリオに向けて叩きつける。

「うわああああああああ!!」

転がって避けていたエリオは吹っ飛ばされて、壁へと叩きつけられた。

「ぐっ」

ズルリとエリオは滑るようにして崩れ落ちた。

(つ、強い……)

眼前に立つ相手をエリオはまだ睨んでいた。

 

 

エリオの苦悶の声は外にいるキャロとフリードリヒ、リュウタロスの耳にも入った。

キャロはこの中で、エリオを助ける事ができるリュウタロスを見る。

「キャロちゃん?」

「あ、あの……」

キャロはリュウタロスに助けを求めようとするが、上手く口にできない。

「キャロちゃん。それ以上は言っちゃダメだと思う」

リュウタロスはキャロの隣まで歩んで、座り込んだ。

「え?」

キャロがリュウタロスに顔を向ける。

「よくわかんないんだけどね。ここで僕がキャロちゃん達を助けたらダメになるって思うんだ」

リュウタロスは精一杯考えながら言っているように、キャロには思えた。

「リュウタロスさん……」

「キュクー」

パタパタと翼を動かしているフリードリヒが励ますように鳴いていた。

「フリード……」

キャロにはリュウタロスの言いたい事が理解できた。

ここで自分の力を信じずに、他人の力に頼りきったら何にも出来なくなってしまう事を。

一生、自身の力に怯え続けて逃げ続ける事になる事も。

その呪縛を解くには、自身の力を信じて向き合うのは今しかないという事もだ。

(今しか……今が……その時……)

キャロが決意しようとしたとき、目の前の景色が変わった。

 

 

「確かに凄まじい能力を持ってはいるんですが、制御がろくにできないんですよ」

「竜召喚だってこの子を守ろうとする竜が勝手に暴れまわるだけで、とてもじゃないけどまともな部隊で働けませんよ」

「せいぜい、単独で殲滅戦に放り込むしか……」

 

 

キャロの目に映るものは床から天井まで真っ白の空間で、陸士隊服を着た男性が数人と執務官服を着た一人の女性が対面の位置で立っていた。

相棒のフリードリヒはここにはいない。

キャロが一人で椅子に座っていた。

(これはフェイトさんと初めて逢った時の……)

現在のキャロが過去のキャロを見下ろしている状態になっていた。

この時にはこの何とも厄介者的な紹介はあまり気にしてはいなかったが、今になると結構グサリと来るものだ。

実際、楔になっているのは確かだからだ。

 

 

「ああ。もう結構です。ありがとうございました」

 

 

自分を引き取りに来た女性執務官は男性局員の説明を強引に止めた。

(フェイトさん。怒ってた……)

今振り返ってみると、あの時の女性執務官---フェイトの言葉の中には『怒り』が混じっていた。

見ず知らずの人間のためにこの人は怒っているのだ。

 

 

「では……」

 

 

男性局員の予想はフェイトが引き取りを『拒否』するものだと予想していた。

この時の自分も、同じ考えだったからだ。

しかし、

 

 

「いえ、この子は予定通りに私が預かります」

 

 

その答えは、その場にいる男性局員達と自身の予想を裏切るものだった。

「え?」

決して大きな声量ではないが、そのような声を発してしまった。

外は雪景色。

偏境と呼ばれても不思議ではないここでは雪が降って、積もる事は珍しいことではなかった。

 

 

「わたしはどこに行けばいいんでしょう?」

 

 

この時はフェイトの人柄を知らないわけであって、どこかにたらい回しにされるのかもしれないと思っていた。

実際、今までがそうだったのだから仕方がない。

マフラーを巻いてくれているフェイトが言った。

 

 

「それは君がどこに行きたくて、何をしたいかによるよ」

「?」

「キャロはどこに行って、何をしたい?」

 

 

そのように言われても、わからなかった。

(フェイトさんは、わたしにまず最初に考える事の大切さを教えてくれたんだ……)

今までは、そのような事を考えたことはなかった。

自分がいてはいけない場所があって。

自分がしてはいけないことがあるだけだった。

 

 

「うわああああああああ!!」

 

 

エリオの苦悶の声が、キャロを現実へと引き戻した。

ガジェットドローンがエリオを掴んで、壁に叩きつけていた。

メリメリメリと腕がリニアレールの屋根を破っていく。

そして、空に向けてエリオを放り投げた。

エリオに反撃する意思はない。

正確には意識が飛んでおり、反撃できないのだ。

宙に浮いたエリオはそのまま重力に逆らうことなく、落下していく。

(死んじゃう……)

フェイト以外で自分を気遣ってくれた少年が。

自分と同じようにフェイトから仮面ライダー電王の話を聞かされている少年が。

(エリオ君……)

心中で名を呼んでも意味はない。

キャロの心の中にかかっている枷がビシビシと亀裂が入ろうとしていた。

(助けたい。助けたい!助けたい!!)

枷に更に亀裂が入っていく。

あと一押しで完全に砕け散る。

(エリオ君を助けたい!!)

決意と覚悟が完全に一致した時、キャロは駆け出してリニアレールから飛び降りた。

 

 

「エリオくぅぅぅぅぅぅん!!」

 

 

キャロの行動に、誰もが驚きの表情を隠せなかった。

だが、これは実をいうと『正解』なのだ。

ガジェットドローンと微妙な距離を取っている限り、AMFの干渉範囲内におかれ存分に力を発揮することができない。

発揮するためには干渉範囲外に出れば、存分に使える。

もっともキャロはそこまで考えての行動ではないが。

(守りたい。わたしに笑いかけてくれる人達を!)

キャロとフリードリヒは落下していく中で、巧みに体を動かしてエリオのそばまで寄っていく。

 

 

「自分の力で守りたい!!」

 

 

ガシッとキャロの右手がエリオの空いている左手を掴んだ。

キャロのデバイス---ケリュケイオンが桃色に光り輝いた。

まるで、抑圧されていた力を解き放つように。

桃色の魔力の球にキャロとエリオとフリードリヒが包み込まれる。

気を失っているエリオを優しく抱き留める。

「フリード。不自由な思いをさせててごめん。わたし、ちゃんと制御するから」

フリードリヒに自身の覚悟を打ち明ける。

もう迷いはない。

「う……ん……」

エリオが意識を取り戻しつつあった。

「行くよ!竜魂召喚!!」

桃色の魔力球の硬質が上がり、一つの天体のようになっていた。

球体の周りには環状魔法陣が展開されていた。

「蒼穹を走る白い閃光、我が翼となりて天を駆けよ」

魔力球の中ではフリードリヒの姿がなく、桃色の巨大魔法陣がエリオとキャロの真下に存在していた。

キャロの詠唱に従うようにして、巨大な桃色の双翼が出現した。

エリオがその光景を見て、驚愕の表情を浮かべていたりするが、キャロには見えない。

 

 

「来よ!我が竜、フリードリヒ!竜魂召喚!!」

 

 

ケリュケイオンが更に輝きを増すと同時に、魔法陣から桃色で覆われた巨大な竜と思わしき身体がゆっくりと出てきた。

桃色の魔力球が卵の殻のように砕け散ると、そこには巨大な白竜が翼を広げていた。

「ガアアアアアアアアアアア」

その咆哮はまさに『竜』という種族に相応しいものだった。

フリードリヒは優雅に空を舞っていた。

まるで、自身に今まで取り付けられた錘が一気に剥がれたことを喜んでいるかのように。

「!!」

キャロは自身がまだエリオを抱きしめた状態に自覚して、顔を赤くしてしまう。

「ご、ごめんなさい!」

「あ、いえそんなこっちこそ……」

キャロが赤面して謝罪する反応に、エリオも伝染してしまい同じように顔を赤くしてしまう。

リニアレール内にいたガジェットドローンが両腕を上手く使って外へと出てきた。

「フリード、ブラストレイ!!」

気を取り直したキャロはフリードリヒに命じる。

ケリュケイオンから桃色の魔力光が飛び出して、フリードリヒの足元へと飛んでいく。

口元には、火炎を凝縮した球体が練り上げられていく。

フリードリヒの足元には、桃色の魔法陣が展開されていた。

「ファイア!!」

キャロの掛け声とともに、フリードリヒは炎の球をガジェットドローンに向けて放つ。

ブラストフレアとは比べものにならない魔力量と威力がこもった炎だ。

しかし、ガジェットドローンに直撃はしたものの効果的なダメージは得られなかった。

「やっぱり硬い……」

「あの装甲形状じゃ砲撃じゃやり辛いよ。僕とストラーダがやる」

「うん」

互いに次に何をやるかは意図が見えていた。

 

 

「我が請うは青銀の剣、若き槍騎士の刃と祝福の光を」

 

 

左手のケリュケイオンが輝きだす。

 

 

「猛きその身に力を与える祈りの光を」

 

 

右手のケリュケイオンが輝きだす。

両腕を水平に広げると同時にケリュケイオンにこもった魔力が球となって、キャロの両掌の前で浮かびあがっている。

「いくよ、エリオ君!」

「了解、キャロ!」

フリードリヒの頭部辺りでエリオはすでに準備を完了していた。

「たあああああああぁ!!」

エリオが駆けて、フリードリヒから飛び立ってガジェットドローンへと向かう。

「ツインブースト、スラッシュ&ストライク!!」

告げた直後に、キャロは左右の魔力球をエリオに向けて投げつけた。

 

 

ストラーダにキャロの補助魔法が伝導されていくのがエリオにはわかった。

(これならやれるかも、いや、やってみせる!!)

ストラーダの尖端に桃色の魔力光が纏われる。

大きく振りかぶる構えに転じる。

こちらに向かってくるガジェットドローンの二タイプの腕を薙ぎ払うようにして斬りつけると、桃色の尖端は伸びて鞭のように柔らかくしなりながらも腕を切断していった。

リニアレールの屋根に両足を着地させると、桃色の尖端は縮めて元の大きさに戻っていた。

直後に、ストラーダからカートリッジが二本排莢される。

足元には金色のベルカ式魔法陣が展開された。

雷がバチバチと魔法陣から出現される。

ストラーダを『刺突』の構えにする。

 

 

「一閃必中!!」

 

 

やや前傾姿勢になって叫ぶと同時にストラーダの噴射口から噴射される。

ザシュッとストラーダの尖端からガジェットドローンに突き刺さる。

尖端は完全に貫いており、証拠として桃色の尖端がガジェットドローンの背部から生えていた。

「せぇやああああああああ!!」

エリオは突き刺したストラーダをそのまま身体のバネを生かして、持ち上げていく。

ガジェットドローンの身体がケーキを切るようにして切断されていく。

やがて頭頂部まで切り上げると、ストラーダの姿が全て露出した。

それはガジェットドローンが両断されたことを意味していた。

エリオの背後ではガジェットドローンが機体維持をできずに爆発して、爆煙を起こした。

「やった♪」

フリードリヒに乗っているキャロが喜びの声を上げた。

「やったね♪エリオ!」

爆煙の中から出てきたのはリュウタロスだった。

「リュウタロスさん」

「あ、リュウタロスでいいよ。キャロちゃんもフリードもすごいね~」

大きな翼を羽ばたかせているフリードリヒに乗っているキャロを見る。

「僕も負けてられないや!」

そう言うと同時にリュウタロスはリニアレール内に入り込んだ。

「リュウタロスさん、その……」

「ん、どうしたの?キャロちゃん」

キャロがフリードリヒから降りて、リニアレールを覗き込んでいた。

「ありがとうございます!」

「ん?僕何にもしてないよ。それにリュウタロスでいいよ。あとエリオと話す感じていいからね」

「じゃあ、リュウタ君でいい?」

リュウタロスは右親指をぐっとサムズアップした。

『了承』という意味だ。

「リュウタロス、頑張って!」

エリオの掛け声をリュウタロスは振り向かずに手を挙げて応じた。

その直後、爆発音がエリオの耳に入った。

エリオ、キャロは顔を見合わせてしまったが不安を感じる事はなかった。

 

 

 

「あの二人には救援はもう必要ないですから、こっちはこっちで行くですよ」

リインの指示でスバル、ティアナ、モモタロスはリニアレール内部に入り込んで、レリックのある七両目まで向かっていた。

七両目車両手前で足を止める。

「ここにレリックがあるですよ」

「んでもってイマジンまでいやがるぜ」

リインとモモタロスがスバルとティアナに告げる。

この二つの情報は事前に分かっていた事なので、二人が驚くことはない。

「とにかくよ、俺がイマジンと戦ってる間にオメェ等はトリックを守ればいいってことだな」

「モモタロスさん、レリックですよ」

指摘したのはスバルだ。

「細けぇ事は言うなよ青髪。あんまり気にしてっと赤チビみてぇに成長できねーぞ?」

モモタロスの一言に、三人が思わず吹き出してしまった。

ここにヴィータがいたら全員がグラーフアイゼンで叩かれていただろう。

「んじゃ、行くぜぇ!!」

モモタロスは七両目へと通じるドアを蹴破った。

ドアが七両目内へと吹っ飛んでいくが、真っ二つに斬り落とされた。

ドアが左右にガランという音を立てる。

「来たか。待ちくたびれたぞ」

そこには二体の同型のイマジンがいた。

モモタロスと向き合う形になっているイマジンの両手には両刃の剣が握られていた。

「あ、モモタロスー」

向かいの入り口からリュウタロスが単身で入り込んできた。

「小僧、チビ二人はどうしたんだよ?」

「外にいるよ~。で、こいつ等が僕らの相手?」

「だろうな。ちょうど二匹いるしよ。一匹ずつと行こうぜ?小僧」

「んじゃ、僕はコイツと!!」

リュウボルバーを構えて、リュウタロスは対面にいる二丁の拳銃を持ったイマジンに銃口を向けた。

「スバル、ティアナ。戦闘が始まる前にレリックを回収するです」

「「了解!!」」

この間、イマジン二体が妨害に出る事は一切なかった。

この事からこの二体はレリックを目的にしているわけではないという事がわかる。

七両目には凄まじいまでの殺気が満ちていた。

二体のイマジン---隼型のペレグリンイマジンがそれぞれの武器をモモタロスとリュウタロスに構える。

直後、七両目の天井が爆発した。

「「行くぞ。仮面ライダー電王!!」」

ペレグリンイマジンが一斉に攻撃を仕掛けてきた。

 

 

二刀流のペレグリンイマジンがモモタロスとの間合いを詰めて、切りかかる。

右の剣でモモタロスの逆袈裟を狙う。

モモタロスォードで受け止めるが同時に、空いている左の剣でモモタロスの右薙ぎに狙いをつけて横一文字に斬りつけてくる。

「くっ!!」

両手持ちから片手持ちに切り替えて、右薙ぎに狙いをつけている剣を右手で握りしめた。

「なっ!?この連撃に反応した!?」

「おいおいこの程度、戦いだったらよくある事だろうがよ」

攻撃を二撃とも受け止められた狼狽するペレグリンイマジンに対して、モモタロスは平静だった。

掴んでいた剣を握りしめてベキリとへし折った。

フリーエネルギーで構築されているため、折れた剣先は地面に刺さると粒子となった。

モモタロスォードを押し出す。

モモタロスは握っている愛剣を左手から右手に持ち替える。

左手を前に出してクイックイッとする。

「まさかこれで終わりじゃねぇだろうな?俺と戦りにきたんだろ……。だったら来いよ。全力でな」

モモタロスは余裕で挑発する。

「ぬかしたなぁぁぁ!!」

殺気を漲らせて、折れた剣をフリーエネルギーを急速に再構築させてから切りかかろうとする。

だが、

「オラァァァ!!」

べシャッとペレグリンイマジンの顔面にモモタロスの右足が直撃して、仰向けになって倒れる。

「どうも調子狂っちまうなぁ……」

剣を用いたとしても、使える手段はとことん使う事が黙認されるのが戦いだ。

だが、眼前のイマジンはどうも今まで戦ってきたイマジンの中でも、物足りなさを感じる。

最初の二撃はいいものだったことは確かだ。

だが、それでも今の自分にしてみれば簡単に対処ができる。

「うーん」

モモタロスにしてみれば今まで戦ってきたイマジンや仮面ライダーや魔導師や騎士の方がよっぽど強いように思えた。

 

 

「オメェ、弱くはねぇけど俺の敵じゃねぇな」

 

 

モモタロスは思ったことをストレートにぶつけた。

「な、何だと……」

「それともそれで本気かよ?だったら悪い事言っちまったな。悪ぃな」

「殺してやるううぅぅぅ!!」

倒れていたペレグリンイマジンは起き上がり、背中から閉じていた翼を広げた。

足で屋根を蹴ってから、翼を羽ばたかせて空へと場を移していた。

「行くぞおおお!!」

二振りの剣を構えて、そのまま急降下する。

剣を前にして突き出しているところからして、『刺突』が来るのは丸わかりだった。

「………」

ひらりとモモタロスは避ける。

ペレグリンイマジンはまた空へと戻って体制を整える。

「悪ぃけどな。テメェとじゃれてる暇はねぇんだよ。今度はこっちが本気で行かせてもらうぜ!!」

モモタロスは宣言すると、自らのフリーエネルギーでデンオウベルトを出現させてカチリと腰部に巻きつける。

モモタロスォードを突き刺して、モモタロスはパスを取り出す。

 

 

「変身!!」

『ソードフォーム』

 

 

パスをセタッチしてデンオウベルトの電子音声が発して、モモタロスは黒と銀色が目立つ電王プラットフォーム(以後:プラット電王)へと変わる。

胸部あたりに赤色をメインカラーとしたオーラアーマーが出現して、三百六十度回転してから装着される。

最後に頭部に桃をモデルにした電仮面が走り、定位置になると停止してパカッと横に割れて『仮面』の形状となる。

全身から赤いフリーエネルギーが噴出して風のように起こる。

左腕を前に出して、右腕を斜め後ろに構えて歌舞伎役者のようなポーズを取る。

 

 

「俺、別世界でも参上!!パート3!!」

 

 

仮面ライダー電王ソードフォーム(以後:ソード電王)がミッドチルダの大地に足を踏んだ。

「テメェの望み通りに仮面ライダー電王に変身してやったぜ」

ソード電王は言いながら、腰部に収まっているデンガッシャーを手にして、カチャカチャと組み上げていく。

左側パーツを横連結させてから、右側パーツを上下で挟む。

フリーエネルギーを注ぎこむと『武器』としての大きさになって赤色のオーラソードが出現した。

「さあ、行くぜ行くぜ行くぜぇ!!」

屋根の上を少し助走してから、足に力を入れて飛び上がる。

ペレグリンイマジンより高く飛び上がってから、右腕を振りかぶって脳天に狙いをつけて素早く振り下ろす。

べシャッという音がして、ペレグリンイマジンは落下してリニアレールに落ちる。

対照的にソード電王は見事に着地する。

「ぐ、くっ……」

起き上がろうとするペレグリンイマジンをソード電王は攻めない。

「貴様、何故攻撃せん!?」

「オメェ、俺と対等だとでも思ったのかよ?俺が攻撃したのはたった二回だぜ?それでそんなヘロヘロじゃ話にならねぇよ」

ペレグリンイマジンが怒りがこもった瞳でこちらを睨みながら、起き上がる。

「じゃあ、締めと行くぜ!!」

ソード電王は間合いに入り込んで、Dソードを両手で下段に構えてからペレグリンイマジンの逆風に狙いをつけて掬い上げる様にして振るう。

剣戟ではなく、振るった際に生じる風圧で浮かび上がる。

ほとんど無防備状態なので虚を突かれてはどうしようもないだろう。

ホバリングをすることは可能だが、今のペレグリンイマジンには翼を羽ばたかせるだけの余力もなかった。

というより、唯一の持ち味である『空中戦』もあっさりと破られてしまったのだ。

彼には他に手がなかった。

心が折れてしまっているのだから。

『フルチャージ』

パスをデンオウベルトにセタッチしてから、放り投げたらコハナに何を言われたものかわかったものではないので、きちんとしまいこむ。

両脚にぐっと力を入れてから、飛び上がる。

飛び上がった位置は宙に浮いているペレグリンイマジンと同位置だ。

フルチャージしたことによって、Dソードの刀身であるオーラソードにはフリーエネルギーが伝導されており、バチバチと稲光が纏われていた。

「俺の必殺技……」

ソード電王は空中で八相の構えを取ってから、振り上げる。

 

 

「空中殺法ぉぉぉぉぉ!!」

 

 

袈裟から右切上と斬りつけてから右薙ぎから左薙ぎへと真横に斬りつけてから、逆袈裟から左切上へと斬りつけてから逆風から唐竹へと掬い上げる様にして斬りつける。

最後に唐竹から逆風へと縦一閃に斬りつけた。

「言っただろ。オメェは俺の敵じゃねぇってよ」

ソード電王が告げた直後に、屋根に着地するとペレグリンイマジンは攻撃に耐えきれずに爆発した。

 

 

空中で起こった爆発を見て、二丁の銃を構えたペレグリンイマジンは動揺の色を隠せなかった。

「まさか兄者が……」

「モモタロスがやっつけちゃったんだね~」

リュウボルバーを構えてから、リュウタロスは引き金を絞る。

ドォンという音を響かせてフリーエネルギーの弾丸が発射される。

リュウボルバーはDガンに比べると、精密な射撃には向いていないのが欠点だ。

対してペレグリンイマジン(弟)の銃は手ごろな大きさだ。

あの大きさなら持ち手の負担にはあまりならない。

発砲に生じる反動で無防備状態になることもないだろう。

「よそ見してる暇ないんじゃな~い?オマエの攻撃ってさ、僕にひとっつも当たってないもんね~」

リュウタロスの言う通り、ペレグリンイマジン(弟)(以後:ペレグリン弟)の攻撃は一発も当たってはいない。

単純に射撃の腕が下手というのもあるが、リュウタロスが巧みに避けているというのもある。

「おのれぇぇぇぇぇ!!」

逆上したペレグリン弟が二丁の銃を構えて、リュウタロスに狙いをつけた引き金を絞る。

無数のフリーエネルギーの弾丸が発射される。

リュウタロスは右へ左へ斜めへ上へ下へと巧みに避けていく。

「やーいやーい。へったくそー♪」

弾丸を避けながら、即興で作った歌まで歌っておちょくっていた。

更にムキになったペレグリン(弟)が弾丸を放つ。

リュウタロスはそれらを先程同様に簡単に避けていた。

「おしーりペンペン♪」

後ろを向いて、お尻を叩きながら挑発までしていた。

「ん?チャージが必要か……」

いくらフリーエネルギーの弾丸といえども、一定量を放てば銃に貯蓄されているエネルギーが切れるのも当然だ。

「じゃあ、次は僕の番だけどいいよね?」

「ちょ、ちょっと待て!今からチャージをして……」

「答えは聞いてなーいっと」

リュウタロスは持ち前の台詞を言ってからフリーエネルギーを用いて、デンオウベルトを出現させる。

右手にはリュウボルバーではなく、パスが握られていた。

 

 

「変身!」

『ガンフォーム』

 

 

デンオウベルトをセタッチすると、リュウタロスの身体がプラット電王へと変わる。

オーラアーマーが出現して、三百六十度回転してから胸部に装着される。

頭部に紫の龍をモデルにした電仮面が走る。

定位置になると、ガチガチっと形状を変えて『仮面』となっていく。

電仮面が光り、その後に全身から紫色のフリーエネルギーが噴出す。

紫色が目立つ電王---仮面ライダー電王ガンフォーム(以後:ガン電王)がその場にいた。

「オマエ、倒すけどいいよね?」

告げると同時に、ガン電王はその場でくるりとターンする。

 

 

「答えは聞いてない!!」

 

 

右人差し指で相手を指して、高らかに無慈悲な事を告げる。

ペレグリン(弟)は二丁の銃を構えて、引き金を絞る。

銃に一定量のフリーエネルギーが貯蓄されたのかもしれない。

ガン電王は軽い足取りで、間合いを詰めていく。

弾丸を避けながら、デンガッシャーの右と左のパーツを一つずつ抜き取って投げつける。

狙うは銃を握っている手だ。

「がっ!ぐっ!」

投げつけた二つのパーツはペレグリン(弟)の手に直撃して、銃を二丁ともガシャンと落す。

投げつけたパーツはガン電王の手元に戻って、横連結させて左手で握る。

抜き取っていない右パーツを更に手にして、投げつける。

狙いはペレグリン(弟)の眉間だ。

コンッという間抜けた音が響き、パーツはそのままガン電王の手元に戻る。

戻ってきたパーツは横連結させたパーツの斜め後ろに連結させる。

最後に余った左パーツを手にしてから今までと同じように投げつけてコンとぶつける。

投げつけたパーツはクルクルと回転しながら連結しているデンガッシャーの先端に連結された。

ガシャンという音が鳴り、フリーエネルギーを注ぎ込むことで武器としての機能を持つ。

デンガッシャーガンモード(以後:Dガン)の銃口を向けてから引き金を絞る。

フリーエネルギーの弾丸が数発発射される。

それらは全て相手に直撃する。

「ががががががががが!!」

その姿を見ながら、ガン電王は「はあっ」とため息を吐く。

「オマエ、弱すぎだよ~。それで僕達に勝とうなんて言えるね」

声の中には『落胆』が含まれていた。

無論、ガン電王がそのような意識をしているわけではないが。

うつぶせになっているペレグリン(弟)が手元に落ちている銃に手をかけようとする。

拾って反撃をさせてあげるほど、ガン電王は慈悲深くはないのですかさずDガンで狙いをつけて銃を二丁破壊した。

「最後、行くよ」

ガン電王はDガンを左手に持ち替えて、パスを右手に握ってデンオウベルトにセタッチする。

『フルチャージ』

紫色のフリーエネルギーがデンオウベルトから発して、Dガンに伝導されていく。

ペレグリン(弟)がよろよろとなりながらも、起き上がる。

命乞いをしているようにも見えるが、何を言っているのかわからない。

だが、こちらを睨んで向かってくる事からして命乞いではなかったらしい。

 

 

「答えは聞いてない」

 

 

左右の胸部にあるドラゴンジェムとDガンの銃口で三角形を象り、フリーエネルギーで紫色の球を構築させていく。

そして、一定量の大きさになると引き金を絞った。

ドォンと発射されて一直線に向かっていく。

球はペレグリン(弟)を食らうがごとく勢いでぶつかっていく。

「うおわあああああああああ!!」

やがてペレグリン(弟)の肉体を食らいつくすと、爆発して煙が立った。

Dガンをくるくると器用に回してから、チャキッと構えた。

「よぉ、終わったみてぇだな。小僧」

ソード電王が屋根にできた穴を飛び越えながら、こちらに寄ってきた。

「うん。何か弱っちかったよね~」

「オメェもそう思うのかよ?」

「うん。だって全然大したことないんだもん」

走行していたリニアレールが停車し、そこからレリックが入っている箱を手にしたスバルがティアナと共に水色の魔力で構築された道---ウイングロードに滑るようにして渡っていく姿が見えた。

 

 

その後、スターズの三人とリインはヘリで回収された後、そのまま中央のラボまでレリックを護送することになった。

ライトニングとデンライナーは現場待機となり、現地の局員達に事後処理の引き継ぎとなった。

 

 

こうして機動六課の初任務は白星を飾る事になった。

 

 

 

 

 

フォワードは全員でこれから戦う相手を睨んでいた。

相手---良太郎はGDソードを無造作に振っていた。

それだけでこちらとしては緊張の材料になる。

真っ白の風景だった訓練場は今までの市街地ではなく、草原だった。

下手な隠れ場所も何もない。

自分達の実力がいい意味でも悪い意味で露見される場だ。

『みんな準備はオーケー?』

なのはの声が訓練場から聞こえてくる。

「「「「はい!」」」」

四人は同時に返答する。

対して、良太郎は首を縦に振るだけだった。

『じゃあ、第一回対人模擬戦……』

なのはが告げると同時に、宙にモニターが出現してカウントが始まる。

『3』

フォワードが構えを取る。

『2』

良太郎が深呼吸をして、こちらを睨んでいた。

『1』

参加者も傍観者も緊張が最高潮になっていた。

『GO』

ビーッという音が鳴った。

その瞬間、四人の視界に良太郎の姿が近づいてきた。

ただし、尋常ではない速度で。

 

 

GDソードを右手に持って、良太郎はシグナルが鳴った直後に全速力で間合いを詰めることにした。

「スバル!」

こちらの狙う相手をティアナは叫ぶ。

だが、すでに遅かった。

GDソードでスバルの左太ももに一撃を加える。

「あぐっ!」

痛みをこらえる声が良太郎の耳に入るが、気にせずに次なる相手の打ち込む箇所に目を光らせる。

狙うはティアナの右薙ぎと右太ももだ。

「ぐっ!」

迷いなく、打ち込んで通り過ぎるとエリオ、キャロ、フリードリヒを見る。

身長差があるのでスバルとティアナに打ち込むような事ができない。

素早くしゃがみ込むと同時に左手に持ち替えてエリオの左ふくらはぎに叩きこんでから、GDソードを離して右手に持ち直してキャロの右ふくらはぎへと打ち込む。

「がっ!」

「きゃっ!」

立ち上がると同時に、フリードリヒの顎もとに狙いをつけてGDソードを持った右手で叩きこむ。

「キュッ!」

いきなり、真下から狙われては対処もできることなく吹っ飛ぶ。

良太郎はフリードリヒへのアッパーカットの体勢から宙に浮いたままだが、身体を丸めて前転をしてから両脚を着地する。

四人と一匹のいる方向に向きを変える。

誰もが驚愕の表情を浮かべていた。

魔法が使えない、それに仮面ライダー電王にも変身していないただの人間にどうして不意打ちに近い状態を許してしまったのか、という表情だ。

(これは魔法でも何でもない。人なら誰でもできる方法……)

人には物事に反応する『速度』が存在する。

自動車などで運転する際に、青信号になると異常に速く動いている自動車を見た事がある方もいるはずだ。

これは『青になったらアクセルを踏む』と停車中に自分に暗示をかけて体が反応するように前準備をしていたからできる現象といってもいい。

逆に青信号になったにもかかわらず、一向に前進しない自動車というのも見たことがあるだろう。

これは『青信号になる→青になったと自覚する→アクセルを踏む』というように三工程に分けてしまったために身体がその都度反応していく結果で生じる現象だ。

同じ行動をしたとしても、次の目的がハッキリしている場合としていない場合ではこのように雲泥の差が生じる。

この場合、良太郎は『シグナルが鳴ったら間合いを詰めて、スバルの左太ももに狙いをつけて攻撃する』という暗示を予め身体にかけていたのだ。

対して、フォワード達は『シグナルが鳴る→良太郎が来る→間合いが詰まったら攻撃する』というように三工程に分けてしまったから対応に遅れてしまったのだろう。

数では負けているのだから、それ以外で戦うしか方法がない。

特殊能力がなく、電王にも変身できない状態で彼女達とそれとなく善戦するには『速さ』しかないのだ。

四人と一匹がこちらを見ている。

まだ戦意を失ってはいなかった。

だが、

 

 

『それまで!!』

 

 

なのはの言葉で今回の模擬戦が終了した。

(なのはちゃん。僕の意図がわかってくれたんだ……)

刃引きをしているGDソードでいくら攻撃しても『刺突』にならない限りは存命できる。

しかし、審判のなのはが『実戦』を想定した模擬戦ならば自分が行った行為を察してくれるはずだと踏んでいた。

「多分、この手は二度も通じないね」

四人と一匹はきっとこれからも任務をこなし、なのはの訓練をこなす事で今回自分がした事にも瞬時対応するだろうと思った。

「僕も進まなきゃね」

闘う事は嫌いだが、話し合いで物事が片付くことがないことも知っているからこそ、良太郎は強くなる事に迷いを持たなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

     高町なのは「仮面ライダー電王LYRICAL Sts!!」

           彼らの話をしよう。

           時空管理局査察官のことを。

           提督となり、既婚者となった彼のことを。

           無限書庫の司書長となりXXXとなった彼のことを。


            第二十一話 「司書長と査察官」


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