仮面ライダー電王LYRICAL StrikerS Vol.1 Spring Party   作:(MINA)

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本日は休日のため、変則的ではありますが投稿します。

正直、暑いです。

熱中症にコロナと気を付けないといけないものが多いですね。

世にも静かな夏ですが、みなさまはどうお過ごしでしょうか?




第二十四話 「動き出す闇の者達」

 

 

 

「ジェイル・スカリエッティ……」

 

 

フェイト・T・ハラオウンが眼前のモニターに映し出されているガジェットドローンⅢ型の分解図の金色のプレートに刻印

されている文字を読み上げた。

フェイトの声に某かの『想い』が含まれている事を野上良太郎は見逃さなかった。

「誰それ?」

少なくともカタギではないという事はフェイトの口調から理解できるがどういう存在なのかはわからない。

フェイトがシャリオ・フィニーノに替わってコンソールを操作する。

モニターに映る映像には長い文章が流れるように表示されていく。

ミッドチルダの文字をある程度は読めるようになった良太郎は目で追いかけながら黙読する。

(罪状。ジェイル・スカリエッティのだね)

それでも専門的な言葉が多すぎるため、途中で匙を投げた。

「ドクター……。ジェイル・スカリエッティ、ロストロギア関連の事件を始めとして数えきれない罪状で超広域指名手配されている一級捜索指定の次元犯罪者だよ」

フェイトが良太郎とシャリオに教えるように語る。

モニターにはスカリエッティの全体写真とバストアップ写真が映し出されていた。

外見年齢は二十代中頃から後半、もしくは三十路とも考えられるが罪状の数と年齢が合わないし別世界(ここ)では外見と実年齢がイコールにならない事は体験済みだ。

「次元犯罪者……」

「ちょっと事情があってね、この男の事は何年か前からずっと追ってるんだ……」

良太郎もシャリオも今ここにいるフェイトが自分達が知っているフェイトではないと感じた。

彼女の口調からは先程から感じた『想い』があったし、写真を見ている彼女の瞳にも某かの『想い』が宿っていた。

(どう見ても、友好的ってわけじゃなさそうだね……)

口には出さなくてもそのくらいはわかる。

フェイトが語った『ちょっとした事情』というのが気になった。

(恐らくこの犯罪者を追いかけている背景は、なのはちゃんや八神さんも教えていないはず。という事は出生繋がり?)

飛躍した推測だと思う。

「そんな犯罪者が何でわざわざこんなわかりやすく手がかりを?」

「本人だとしたら挑発。他人だとしたらミスリード狙い。どちらにしても私やなのははもちろん、別世界から来た良太郎達の事を知ってるんだ」

「君やなのはちゃんが絡んでいる事を知っているとしても、僕達の事も知っているって何故思えるの?」

シャリオの質問に適切にフェイトは回答するが、良太郎が更に質問を投げかけた。

「今まで計画的にかつ狡猾に事を進めてきた男だよ。自分達が敵に回したら最も厄介な相手の事を知らないままで済ますとは思えないからね」

「なるほどね」

犯罪にも色々と種類がある事を良太郎は記憶の底から引っ張り出す。

「本当にスカリエッティが首謀者だとしたら、ロストロギア技術を使ってガジェットを製作できるのも納得できるし、レリックを集めている理由にも大体の想像がつく……」

「この人がイマジンに興味を持つ事ってある?」

「十分にあり得ると思うよ。イマジンのエネルギーはスカリエッティには魅力的だからね」

フェイトは横から発した良太郎の言葉も耳に入っており、内容に首を縦に振った。

「シャーリー。このデータをまとめて急いで隊舎に戻ろう。隊長達を集めて緊急会議をしたいんだ」

「はい。今すぐに」

フェイトの指示に従い、シャリオは今まで停めていた両手を動かしてコンソールを操作する。

「良太郎達にもこの会議には参加してもらいたんだけどいいかな?」

「もちろん。この人が『サイキョウニシテサイアクナルモノ』に繋がっているとも考えられるしね」

 

 

 

 

和食を売りにしている小料理店にゲンヤ・ナカジマの引率で桜井侑斗、八神はやて、ギンガ・ナカジマが食事をしていた。

「兄ちゃん。どうした?さっきからしかめっ面じゃねぇか」

斜向かいとなっている侑斗の表情が食事とかけ離れているのでゲンヤは訊ねた。

「ああ。和食っていってもデネブが作るヤツの方が美味いと思って……」

喫煙経験もなく、味覚は狂っていないので侑斗の舌は確かなものだ。

「侑斗さん。それは贅沢すぎや」

隣で味噌汁を啜っているはやてが窘める。

「デネブさんというのは?」

左利きのギンガは箸を左で持っており、刺身を掴んでいた。

「侑斗さんと契約しているイマジンさんや。ちなみに料理の腕は私と同等かそれ以上やね」

質問に答えたのは契約者の侑斗ではなく、はやてだった。

「お前とタメ張れる奴がいるとは驚きだな……」

ゲンヤは、はやてが研修の際に夜食を作ってもらった事があるのでその時の味を思い出していた。

「もし六課に来る機会があったら一度は食べた方がいいですよ」

「お前、宣伝してどうするんだよ……」

はやての言葉に、侑斗がツッコミを入れた。

「そういえば桜井さんは、八神二佐と同じ日本人なんですよね?」

「別世界だけどな」

ギンガの質問に、侑斗は短く答える。

「日本の料理もこの店みたいなモンなのかい?」

ゲンヤも好奇心を隠してはいなかった。

侑斗は即答はせずに、お品書きを手にしてからパラパラと捲っていく。

「郷土料理はこの店にはありませんが、外国人が思い描く和食のほとんどはこのお品書き通りだと思います」

お品書きを戻して、侑斗は感想を語る。

はやての眼前に、モニターが出現する。

送信者はフェイトだ。

「フェイトちゃん。何か進展あったん?」

『もしかして食事中?だったら改めようか?』

「いや、構へんよ。どうしたん?」

『実はね……』

フェイトが語る内容は侑斗の耳に入らない。

音声が伝わってこないのだ。

そうなってくるとフェイトの肉声は、はやてのみに伝わっているという事になる。

大衆食堂とはいえ、どこで誰が聞いているかもしれないのでこのような通信方法を取るのはよい選択と言ってもいい。

ギンガは気になっているらしく、箸が進んでいない。

対してゲンヤはとくに気にならないわけではないが、落ち着き払った態度で箸を動かしていた。

(この手の職場に長くいた故に身に着いた度胸だな……)

侑斗も見習って、気にしない素振りで箸を動かすことにする。

「うん。了解や。すぐ戻るから対策会議しよ。うん、侑斗さんも参加すると思うから伝えとく。ちょうど捜査の手も借りれた事やしね。うん、そんならまた後で」

伝えたい事を簡潔に伝え終えたらしく、はやての眼前に出現していたモニターは消えていた。

「ふう……」

一息吐いた。

(本当に二十四時間勤務だ)

はやての横顔を見ながら、侑斗は思った。

これで慢性的な人手不足なのだから、一人にかかる負担は半端なものではないだろう。

超過勤務に耐えきれずに退職をするのもある意味では頷けるというものだ。

「何か進展ですか?」

「俺も参加すると思うって事は、俺達の目的にも繋がっているって事か?」

ギンガと侑斗が、はやてに即座に質問する。

「うん。事件の犯人の手掛かりがちょっとな……。確実に繋がっているとは言い切れへんけど、知っておいて損はないかもしれへんで」

「今でも暗礁状態なんだ。それを抜けれるなら藁でも掴むさ」

はやてが立ち上がって、背もたれにかかっている上着を掴む。

侑斗も最後のお茶を啜ってから席から離れる。

「というわけで、すみませんナカジマ三佐。私達はこれで失礼します」

上官が帰ろうとするため、礼儀正しいギンガは席から立ち上がる。

「おお」

ゲンヤは立ち上がらずに、食事をしている。

はやてが伝票を取ろうとするが素早くゲンヤが引っ手繰った。

「さっさと行ってやんな。部下が待ってんだろ?」

ひらひらと伝票でゲンヤは『勘定は払ってやる』と仕草をした。

「はい。ギンガはまた、私とフェイトちゃんから連絡するな」

「はい。お待ちしています」

ギンガは快く応じた。

「あ、兄ちゃん」

ゲンヤは侑斗に顔を向ける。

「八神の事を頼むぜ」

「最善は尽くします」

はやてが顔を赤くしたが、何も言わなかった。

正確には言いたいけれど、言えないというのが本音だという事を侑斗にはわかっていた。

 

 

 

 

「お帰り。そしてお疲れ様」

「いえ、ちょうどいい退屈しのぎにはなりましたよ」

天井も床も金色でホルマリン漬けのようになっている無数の全裸の人間が入っているカプセルが両側に陳列されている。

そのような場所を科学者風の男と金髪の青年が並んで歩いていた。

科学者風の男---ジェイル・スカリエッティは遠方へと出向いていた金髪の青年に労いの言葉を送った。

金髪の青年は特に気にした風もなく、涼しい顔をしていた。

「『将軍』と『王子』はなんて?」

「それぞれが次元世界を侵略し終えた後でしたからね。随分退屈そうにしていましたよ。怪人は手配するとの事です」

「そうかい。それにしてもさすがだね。ある存在がなければ実際に管理外世界97も掌握できていたくらいだからね」

スカリエッティはしみじみと呟く。

「そうですね」

金髪の青年も同意する。

「父さん。『塾』の方はどうなっているんですか?」

「かなりの人数が集まっているよ。彼は実に口のまわる男だからね」

「いつ頃、あちらに送るつもりですか?」

「クライアントの意思を尊重するよ。こちらが勝手に送り込んで資金の援助が打ち切られるのはよくないからね」

スカリエッティは金髪の青年の顔を見る。

曇っていた。

(そういえば彼とは折り合いが今ひとつよくないんだったね……)

隣の青年と『塾』の中心人物は決して良好な関係を築いてはいない。

(珍しいものだ。『将軍』や『王子』とは互いに認め合っているというのに……)

スカリエッティがふうっと息を吐く。

「やはりまだ反対かい?彼等を使うのは……」

「彼等が役に立つとは思えませんね。『将軍』や『王子』のような高い戦闘力はありませんよ」

「わかっているさ。彼等は特殊な手術を施されているとはいえ、成功作ではないからね」

スカリエッティは『塾』と呼ばれている団体のメンバーのリストをモニターで展開する。

「驚きましたね。彼等、一度(・・)死んでいるんですね……」

「そういえば君は彼等の事をあまり知らなかったんだね。驚いただろ?」

目を丸くしている青年の表情を見て、スカリエッティは『してやったり』という表情を浮かべていた。

「じゃあ、彼等は二度死んだって事ですよね。現に死霊になっているんですから……」

「一度目の死は蘇生を施せる状態で、二度目は恐らくその条件が整っていなかったのだろうね」

モニターを操作しながら、スカリエッティが言う。

「蘇生を受けるうえでの最低条件としては、まず肉体が完全に残っている事ですよね」

青年の言葉に、スカリエッティは首を縦に振る。

「しかし、魔法が浸透していない文明の世界で蘇生技術が存在するとは実に興味深いね」

舌なめずりしている『父』をみて、青年はため息を吐く。

「しかも、その世界名が『地球』なのですからさらに驚きますよ」

「現在、私達が確認しているだけで『地球』というのは三つも存在している事になるね」

さらにモニターを操作すると、今度は地球が三つ映し出されていた。

「一つ目は野上良太郎達が生活している地球、二つ目は『将軍』が標的にして『王子』が生活していたともいえる地球。そして三つ目は『塾』の面々が生活していた地球だ」

「共通するところといえば、魔法文化が発達していないところですね」

「だが、『王子』が生活していた地球にはごく稀にだが突然変異で高い魔力資質を持った人間が誕生するらしい」

さらにモニターが出現する。

ギル・グレアム、高町なのは、八神はやての三人が表示された。

「この三人のようにね」

「彼女達二人は今、自分が生きている事に感謝するべきなのかもしれませんね。『王子』や『将軍』は日本を拠点に世界征服を企んでいたわけですからね」

「日本侵攻で計画が頓挫したために、他国侵攻は打ち切りですからね」

二人の前に出現しているモニターが出現した順番とは逆に遡行するように消滅していく。

「侵攻の妨げになったのは仮面ライダーだけどね」

スカリエッティと青年は歩き出す。

 

 

『ゼストとルーテシア、活動を再開しました』

 

 

二人の眼前にモニターが出現すると、足が止まる。

モニターに映っているのは一人の女性だった。

彼女は時空管理局の関係者ではない。

総務を担当している戦闘機人---ウーノである。

「クライアントからの指示は?」

『彼等に無断での支援、援助はなるべく控えるようにとのメッセージが届いております』

「自律行動を開始したガジェットドローンは、私の完全制御下というわけではないんだ。勝手にレリックのところに集まるのは大目に見てほしいね」

『お伝えしておきます。それと……』

ウーノが青年を見る。

『例の物がホテル・アグスタのオークションで出品されるようよ。どうするつもり?機動六課が黙って見過ごすとは思えないわ』

「その点なら大丈夫です。その事を伝えたら、『王子』の部下の三人が直接取りに行くとの事です」

『ならば大丈夫ね』

青年が告げると、ウーノは安堵の表情を浮かべながらモニターを閉じた。

ガーッという音が鳴りながら、床の一部がスライドしてカプセルが出現する。

そこには両サイドに陳列されているカプセル同様に中身は同じだった。

だが違う部分もあった。

女性ではなく、男性が入っていた。

「『適合者』だと知ったのは、この人物が死んだ後だからね……」

カプセルに手を当てながらスカリエッティが言う。

「蘇生技術を使えばよかったのに……」

青年の言葉にスカリエッティは首を横に振る。

「確かにそれもいいが、蘇生技術を使えば今後の課題はクリアできないからね」

「あっちが立てばこっちが立たず、ですね」

「仕方ないさ」

スカリエッティは台詞とは裏腹に笑みを浮かべていた。

それが合図になって、カプセルはまた地下へと沈んでいった。

 

 

 

 

訓練終了のホイッスルが響いた。

「はぁーい。夜の訓練、おしまい」

高町なのはの一声で訓練が終了した。

 

 

ぜえはあ……ぜえぜえはあ……。

 

 

夜間の空間シュミレータから激しく乱れた息が聞こえている。

疲弊しきったフォワード陣が座り込んで、息を整えていた。

ちなみに昼間と違って『森林』ではなく『市街地』となっていた。

 

 

ありがとうございましたぁ~。

 

 

半ば屍同然の状態で、フォワード陣は声を出した。

 

 

お疲れ様でしたぁ~。

 

 

階段を上って寮へと戻っていく。

「ちゃんと寝ろよ~」

ヴィータは念押しで帰っていく教え子達に釘を刺しておいた。

その間にも、なのははタッチパネルモニターを展開させて空間シュミレータを調整していく。

その慣れた手つきで片手操作している。

なのはの背中を見ながら、ヴィータは歩み寄る。

「しっかし、お前本当朝から晩まで連中に付きっきりだよなぁ。疲れんだろ?」

「私は機動六課の戦技教官だもん。当然だよ」

なのはの声に疲れは含まれてはいなかった。

『あの出来事』以来、ヴィータはなのはの前向きな台詞には常に警戒心を抱いてしまう。

(ヤな癖、身に着いちまったな~)

仲間の台詞を疑うというのは、彼女的には気乗りしない事だ。

だがそれでも、同じ轍を踏むよりはマシだと自分を納得させる。

「あと、アレだ。なんつーかもっと厳しくしねーでいいのか?あたし等が昔受けた新人教育なんて、歩き方から挨拶まで何でもかんでも厳しく言われてたじゃんか」

鼻頭を掻いてから、腕を組んで当時の事を思い出しながらヴィータは訊ねる。

正直、もう一度経験してみるかと訊ねられたら「二度とやりたくねー」と言い切れる自信がある程だ。

「戦技教導隊のコーチングって、どこも大体こんな感じだよ」

ヴィータを一瞥してから、なのははまた作業を再開した。

「細かい事で叱ったり怒鳴りつけたりしてる暇があったら、模擬戦で徹底的に打ちのめしてあげる方が教えられる側は学ぶことも多いって、教導隊ではよく言われているしね」

「おっかねーなぁ。おい……」

戦技教導隊のモットーを知ったヴィータは若干引き気味になる。

タッチパネルモニターのボタンを押すと、空間シュミレータの市街地全体が原型を崩すように揺らいで姿を消した。

「私達がするのは、まっさらな新人を教えて育てる教育じゃなくて「強くなりたい」って意思と熱意を持った魔導師達を今よりもハイレベルな戦闘技術を教えて導いていく戦技教導だからね」

展開されているタッチパネルモニターが消滅し、左手に握られているレイジングハート・エクセリオンを待機状態にしてから首に引っ掛ける。

「ま、何にしても大変だよな。教官ってのも……」

ヴィータにしてみれば『性に合わない』とか『面倒だからあんまりやりたくねー』という部類だ。

「でもヴィータちゃんもちゃんとできてるよ。立派立派♪」

なのはは歩み寄って、ヴィータの頭を撫でる。

「な、撫でるな~!!」

上手く逃れようとするが、なのはの可愛いモノを愛でる時に放たれる雰囲気には何故か勝てない。

とてもその絵面は勤続十年同士とは思えなかった。

 

 

 

「今日の戦闘データ。分類してデータルームに送っといてくれるかな?」

『了解しました』

寮へと足を進める中で、前に進んでいるなのはとレイジングハート・エクセリオンとやり取りしていた。

仕事の事だという事は聞いていてわかる事だった。

(連中は自分達がどれだけ幸せか気付くまで、かなり時間がかかんだろうなぁ。自分勝手に戦ってる時もいつだって、なのはに守られてる幸せに)

ヴィータの表情が引き締まる。

(あたしはスターズの副隊長だからな。お前の事は、あたしが守ってやる!)

なのはの背中を見て、決意を新たに固める。

前を歩いているなのはが歩を止めて、こちらを見ている。

「何でもねーよ」

無愛想な返事で返した。

 

 

「オメェ、つまんなくなっちまったなぁ」

 

 

午前にモモタロスに言われたことが不意に甦った。

(あのヤロォ。好き勝手言いやがって……)

この言葉は今の自分にしてみれば、核心に触れるものでもあった。

あれから十年経っている。

『闇の書事件』の際の荒々しさはなりを潜めているとも自覚はしている。

(アイツが言ってるのはそういうことじゃねぇんだろうなぁ……。バカ鬼のくせにこういう事だけは鋭いんだよなぁ)

そんな事を考えながら、なのはを寮まで送ってから隊舎に戻って着替える。

着替え終えた自宅である八神家へと帰路を向かおうとしていた時だ。

 

 

「ったく、クマの奴。うるさくって眠れやしねぇ」

 

 

出来る限りなら今最も会いたくない奴と出会ってしまった。

「赤鬼……」

「赤チビかよ……」

現実は残酷なものだった。

 

 

 

ヴィータは現在、モモタロスと歩いている。

進路は八神家だ。

モモタロスがついてきている理由は「眠くないから身体を動かして疲れさせる」ためだ。

「何か言えよ……」

ヴィータが沈黙に耐えられずに隣に歩いているモモタロスに話しかける。

「浮かばねぇんだよ」

モモタロスが歩きながら、答えた。

(はやてと侑斗だったら、もっといろいろ言ってんだろうなぁ)

口喧嘩はするが、互いに信頼し合っている者同士だ。

会話が弾むだろう。

しかし、自分とモモタロスは違う。

口喧嘩にしても戦うにしても本気になってしまう。

そこには、はやてと侑斗のような穏やかなものはない。

互いに沈黙したまま、歩を進める。

「オメェ、なのはと何かあったのかよ?」

次に先に口を開いたのは、モモタロスだ。

「何でそんなこと聞くんだよ?」

ヴィータがモモタロスをちらりと見上げるようにして見てから訊ねた。

「暇さえあったら、なのはのいる方に目ぇ向けてたじゃねぇかよ」

モモタロスの言葉に、ヴィータは目を丸くし内心では驚愕した。

(見てやがったのかよ……)

普段何も考えてないくせに、目聡いから性質が悪いのだ。

「……まあな」

ヴィータはそっぽを向きながら肯定した。

「それよりも、あたしがつまんなくなったってのはどういう意味だよ?」

昼間に言われたことをもう一度訊ねる。

「まんまの意味だよ。オメェ自身にわかんねーんだったらわかんねーんだよ」

「何だよ。ソレ」

まるで「自分で捜せ。俺に言わせるな」というような意味合いにも取れた。

一人と一体はまた沈黙のまま歩き出す。

 

 

それから十分後。

「おい……」

「何だよ……」

「腹減ったな……」

「言うな。余計腹減るだろうがよ……」

八神家までの途中、モモタロスとヴィータは空腹と戦っていた。

それから更に十分後に屋台ラーメンを見つけ、最後の一食をかけてこの一体と一人がガチンコでジャンケン勝負をしたりするがそれはどこの記録にも残ってなかったりする。

 

 

 

 




次回予告

ヴィータ 「仮面ライダー電王LYRICAL StS!!」

          ある次元世界が滅ぼされた。

           悪魔たちによって。

        機動六課は海鳴へと向かうことになる。


第二十五話  「機動六課 海鳴へ① ~旅行気分?~」
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