仮面ライダー電王LYRICAL StrikerS Vol.1 Spring Party   作:(MINA)

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コロナのうえにこの猛暑とみなさん、いかがお過ごしでしょうか?

みなひろです。

8/18 8/19と連休を取っておりました。

明日からまた仕事になります。




第二十五話 「機動六課 海鳴へ①~旅行気分?~」

 

 

私の住む世界は時空管理局の管理が行き届いていない世界---管理外世界だ。

その次元世界はとある一族が全ての実権を握るという独裁社会が浸透していた。

いわばその一族が存在する限り、私を含めてその世界に住む者達は地獄の毎日といってもよい。

そしてこれからもその地獄は続くと思われていた。

だが、それはある日突然に幕を閉じる事になった。

その一族が突如現れた者達に滅ぼされたのだ。

私を始め、その世界の住人達はその者達を『救世主』と崇めようとした。

しかし私達はすぐに知る事になる。

自分達を支配していた者達がまだ、『天使』に見える事を。

その一族を滅ぼした者達こそが真の『悪魔』である事を。

悪魔はわずか半日でその世界を蹂躙し、破壊し、殺戮をした。

その悪魔は自らをこう名乗った。

 

 

ゴルゴム

 

 

と。

 

 

 

 

 

 

「このような手記が残っていたとはな……」

かつてこの次元世界を支配していた一族の城にある玉座の上に座っている青年がパラパラとページを捲っていた。

その表情は無表情と言ってもいいほど、冷たいものだった。

「燃やしますか?」

玉座の前で膝をついている三人のうちの一人が顔を上げて進言した。

上から下まで白色のローブで必要最小限しか肌しか露出していなかった。

「ダロム、構わん」

青年はその進言を却下した。

パタンと手記を閉じると、玉座の肘置きで頬杖をつく。

「バラオム」

「既に我らがかつていた地球には刺客を放っております」

バラオムと呼ばれた白色ローブの一人が、顔を上げて報告した。

その顔は緑色の岩を顔面に彫刻したかのようなものだった。

とても『人間』と呼べるものではなかった。

ちなみに最初に青年に進言した白色ローブ---ダロムは顔が白く、老人じみた声だったりする。

「あの男の言うように、世界を股にかける仮面ライダーが足を踏み入れているのならば私達が赴いた方が……」

白色ローブの最後の一人が、青年に指示を仰ごうとする。

「ビシュム。今回の刺客は何も仮面ライダーを仕留める事が目的ではない。素性を知ることが目的だ」

「このビシュム。浅はかでした。申し訳ございません」

ビシュムと呼ばれた白色ローブは深く頭を下げて謝罪をした。

「気にするな。どういう因果かはわからないが既に命尽きた我等がこうしてまた地上に足を踏み入れている。ならば果せなかったことを果たすまで!」

青年が玉座から立ち上がって高らかに宣言する。

 

 

ははぁ!!

 

 

ダロム、バラオム、ビシュムは深く頭を下げた。

 

 

 

 

 

管理外世界97番 地球 海鳴市。

ボワッと人型ほどの青色の炎が五つ空から地へとゆっくりと降下した。

グギュギュギュギュグギュ。

奇妙な鳴き声を上げながら、五体の蜘蛛型の怪人が青色の炎から抜け出た。

そして、互いに目配せをしてから五体は散開した。

 

 

 

 

機動六課フォワード陣がデスクワークをしている頃、野上良太郎と高町なのはが将棋で対決するという構図がレクリエーションルームで行われていた。

なのはが難しい表情をしているのに対し、良太郎は涼しい顔をしていた。

「むむむむむ……」

唸り声まで上げているが、なのははよい手が浮かばない。

良太郎は茶化さずに待っている。

その態度がさらに、なのはを追い詰めていたりする。

(この強さ、フェイトちゃん並みだよ~)

泣き言を心の中で言う始末だ。

なのはは、一度たりともフェイト・T・ハラオウンとボードゲームで勝った事がない。

将棋はもちろん、オセロやチェスそして双六に至るまで一度もだ。

「良太郎さん」

「なに?言っておくけど『待った』はなしだよ」

「あのそうじゃなくて、フェイトちゃんにこの手のゲームを教えた事ってあります?」

フェイトの強さのルーツは良太郎にあるのではないか、と推測しての事だ。

「いや、僕はフェイトちゃんとチェスなら何度かした事があるけどその頃から強かったよ」

「ふえ?そうなんですか。てっきり良太郎さんが教えたものだとばっかり……」

なのはの言葉に良太郎は首を横に振る。

「フェイトちゃん。テレビゲームはてんで弱いんですけど、この手のゲームはメチャクチャ強いんですよ~」

もしも良太郎がフェイトの『ゲームの師』ならば何か教えを請おうと思ったのだが、なのはの期待は見事に裏切られることになった。

「どのくらい強いの?」

興味がわき、良太郎が訊ねる。

「私やはやてちゃん、すずかちゃんではまず相手にはなりません。アリサちゃんでもいい勝負に持ち込めますけど一度も勝っていません……」

二人は将棋を指す手を止めている。

「クロノ君だと十回戦えば二回くらい勝てばいいくらいですね。ユーノ君やリンディさん、エイミィさんだと四回ですね」

「それだけのメンツと戦っても勝率は五割以上をキープしてるなんて……」

「だから男性局員内ではボードゲームでフェイトちゃんに勝ったら、恋人になる権利が得られるという噂まであるみたいですよ」

「うわあ……」

何とも言えないというような想いをこめて、良太郎は声を上げるしかなかった。

 

 

ミッドチルダは本日も快晴である。

雲一つない青空。

太陽の光は万物に平等に温かさを与えてくれている。

「本日も良い天気じゃのぉ」

「巡礼日和ですなぁ」

聖王教会で巡礼することを日課としている老夫婦が笑顔で言っていた。

「これも聖王のご加護です」

「まったく、まったく」

別の老夫婦が本日の晴天を『奇跡』か『思し召し』のように言う。

シャッハ・ヌエラはそのような声を聴きながら、幸せに満ちた顔を浮かべている巡礼者を見る事が好きだった。

聖王教会のシスターという立場上、表沙汰になってはならない聖王教会の『裏』というものも知っている。

シスターといえども人間、時としてやり切れない気持ちを抱くこともある。

そういう憤懣を払ってくれるのが、巡礼者の笑顔だった。

給仕場で上司が好物のお茶を淹れる。

茶を淹れたシャッハは上司の部屋へと足を運ぶ。

ドアの前に立って、ノックをする。

「失礼します」

部屋へと入る。

「シャッハ」

上司---カリム・グラシアが笑顔で迎え入れてくれた。

「ご休憩の時間ですよね?お茶をお持ちしました」

「ありがとう。シャッハ」

カリムは礼の言葉を述べてからお茶を受け取る。

彼女の好みは紅茶系なら何でもありである。

淹れる側としては楽なようにも感じるが、飽きないように色々と模索しなければならないのが実情だ。

シャッハとしてはそれ自体は大して苦にはならないのだが。

「先程の緊急連絡は何か荒事でしょうか?」

「そういう事じゃないんだけど……」

シャッハの疑問に対して、カリムはタッチパネルモニターを展開させて操作していく。

「ロストロギア発見の報告、管理外の異世界で……」

「管理局から回ってきた依頼なんだけどね……」

シャッハがモニターに映し出された内容を読み上げて、カリムはため息を吐く。

「遺失物管理部も機動課も捜査課も、今は人手が足りていないみたいで……」

カリムは自分達にお鉢が回ってきた理由を口に出す。

だが、それが『建前』である事をシャッハが見抜けないわけがなかった。

「それで機動六課に依頼ですか?六課はレリック専任ですのに……」

時空管理局が次元世界を護る事を仕事の主としているが、積極的に関わるのは自らが管理下に置いている世界---管理世界だ。

対象が管理局の管理が行き届いていない世界---管理外世界にロストロギアが発見されたとしても、途端に消極的になる。

理由としては管理外世界が『未開の世界』だからだ。

たとえ安全だと噂されていたとしても、『未知』というだけで人は足をすくんでしまうものだ。

それを非難することは誰にもできないだろう。

「レリックである可能性も捨てきれないからって……」

正論とも言えるし、屁理屈とも言える事を言ってきて依頼をしてきた管理局にカリムは苦笑を浮かべてしまう。

「はあ……、正直六課はあまりミッドから動かしたくはないんだけど……。騎士団もすぐに動ける隊はなくって……」

自分達側で片を付けれるならばそうしたいが、できないのが現状だ。

カリムも聖王教会で高い地位にいるが、決してトップではない。

自分の一存でできる事もあればできない事もあるのだ。

「仮面ライダーもレリックに関しては門外ですからね……。それで派遣先は?遠くの世界ですか?」

「あ……、まだ見てなかったわ。えっと……」

シャッハに訊ねられるまで、カリムは自分が機動六課へ依頼する派遣先を知らなかった事に自覚した。

「あら……」

「この世界は……」

派遣先を知ったとき、そこは機動六課のごく一部の者達には縁深い場所だと二人は同時に思った。

 

 

 

 

「派遣任務ですか?」

機動六課隊舎では訓練ではなく、隊員オフィスでデスクワークをしていたスバル・ナカジマが自身の耳に入った単語を訊ね返した。

「しかも異世界に?」

隣でキーボードを操作していたティアナ・ランスターもその手を止めて耳を傾けていた。

「うん決定事項。緊急出動がなければ二時間後に出発だから。スバル、ティアナ。今の作業が終了したら出発準備をしておいてね」

「「はい!」」

なのはの言葉に、隊員二人は即座に返事した。

「レリックかガジェット、もしくはイマジンの出現なんでしょうか?」

キャロ・ル・ルシエが慣れない手つきでキーボードを操作しながら、指導をしてくれているフェイト・T・ハラオウンに訊ねた。

「まだわからないけど、ロストロギア関連なのかもしれないね。あ、そこ間違ってるよ。エリオはきちんと確認するんだよ」

フェイトがキャロの疑問にどこか曖昧な答えしか出せない事を苦に感じながらも、指導の手を緩めない。

「はい」

エリオ・モンディアルの返事は指導に対してなのか、これからの任務に対してなのかはわからないものになっていた。

「前線メンバーは全員出動だし、良太郎達も一緒だからイマジン対策もできてるから、いつもの任務とあんまり変わらないよ。エリオもキャロも平常心でね」

フェイトはまだ不安を抱えているエリオとキャロに優しく語る。

「「はい!」」

二人は元気よく返事する。

「準備ができたら屋上に来てね」

フェイトの言い方に何か違和感を感じたが、それが何なのかまでは二人にはわからなかった。

「オメェ等。忘れもんはねぇだろうな?」

隊員オフィスにはどこか場違いな声が響く。

今まで黙って作業をしていたモモタロスが仲間である三体のイマジンに確認を取った。

「当たり前でしょ」

ウラタロスが抜かりはないと言い張る。

「いやあ、久しぶりに羽を伸ばせるでぇ」

キンタロスが両肩をグルグルと回しながら、笑顔で言う。

「早くいきたいな~」

リュウタロスに至っては既に旅行というよりは遠足気分であり、背中にはリュックサックが背負われていた。

初の派遣任務に対して、若干の不安を抱えているフォワード陣に対してイマジン四体は平常だった。

「ウラタロスさん、どうして皆さんはそんなに普通なんですか?」

ティアナが一番まともに答えてくれそうなウラタロスに訊ねる。

「忘れたの?僕達にしてみれば今の状態が派遣任務みたいなものじゃない?」

ウラタロスの回答で、ティアナの目から鱗が落ちたようだ。

「あ、そうかぁ。皆さんも元を言えば……」

「「異世界人なんですよね……」」

イマジン四体が平常でいられる理由をスバルとエリオ、キャロが特に打ち合わせしたわけでもなく繋がるようにして言った。

知り合って、時間はさほど経っていないがそれでもここにいる事が当たり前のように感じていた。

「でも何だか浮かれてません?」

スバルがそのように訊ねたくなるのも無理はない。

明らかに四体は浮足立っているのだから。

そしてその質問に対して、誰も回答はしてくれなかった。

 

 

部隊長室では設置されているソファに座っている桜井侑斗と八神はやてが深刻な表情を浮かべて、互いの目を見ていた。

双方ともに退くつもりはないと、互いに理解していた。

その二人をオロオロしながらデネブと彼の肩に乗っかっているリインが見ていた。

「本気なんやね?」

「何度も言わせるな」

はやては確認するように訊ねる。この件に関して確認を取るのは既に何回目になるかはわからない。

「私が出した条件はちゃんと呑むんやね?」

「お前はそんなに俺が信用できないのか?」

疑問で疑問で返すのは、マナーとしてはよくないが互いにそんな事に目くじらを立てる余裕はない。

「そういうわけじゃあらへんよ。でも……」

「俺が今から会いに行く相手が相手だから、か?」

侑斗の言葉に、はやては重く首を縦に振る。

「あのな八神。俺がもし恨みのひとつでも持ってるんだったらとっくに事を起こしてると思わないか?」

「うーん……」

そう言われると、言い返せない。

侑斗がもし、これから会う人物に恨みを持っているなら遠まわしに自分に訊ねて黙って報復をしに行くだろう。

「はあ……、わかった。侑斗さんを信じて場所を教えます」

折れたのは、はやてだった。

「助かるよ」

侑斗の表情に『勝った』というような感情は浮かび上がっていなかった。

むしろ、『安堵』の方が強かったりする。

はやては机に戻ってメモに書き記していく。

そしてびりっと千切って侑斗に渡した。

「ありがとう」

侑斗はソファから立ち上がって、頭を下げた。

彼がどうしても会いたがり、彼女がその事に関して異常なまでに慎重な態度を取った相手の名は……。

 

 

 

ギル・グレアム、という。

 

 

 

 

機動六課隊舎のヘリポートでは前線メンバー(スターズ、ライトニング、その他諸々)が待機していた。

これからヴァイス・グランセニックの操縦でヘリコプターに乗って、本局に配置されている転送ポートを使って派遣任務先へと向かう予定になっている。

「あれ?」

「ヘリがないわね」

一番乗りしていたスバルとティアナはあるべき物がないため、周囲を見回す。

「スバルさん!」

「ティアさん!」

エリオとキャロが手を振りながら、駆け寄ってきた。

「エリオ、キャロ」

スバルが手を振って応える。

「すみません。遅れました」

「まだ時間あるわよ。隊長達もまだ来てないしね」

キャロが謝罪するが、ティアナはやんわりと遅刻ではないと言う。

「みんな、お揃いやなぁ」

はやてが遅れて、ヘリポートに現れた。

「八神部隊長にヴィータ副隊長?」

「おう」

スバルが意外な面子に首を傾ける。

「シグナム副隊長にシャマル先生?」

「ああ」

「はーい♪」

スバル同様にキャロも首を傾げていた。

(これって本当の意味での六課の前線メンバーじゃない……)

ティアナはこれからの任務が決して軽いものではないのではないかと考える。

前線メンバーとは、自分達+隊長二人+チームデンライナーの事だと思っていたからだ。

だからこそ部隊長に副隊長二人に医師まで含むとなると、機動六課で戦えるほとんどの面子が駆り出されていることになる。

そうなると、ミッドチルダで某かの事件が起こった場合の対処はどうなるのだろう。

ロストロギアがらみならば他の遺失物管理部が果たせばいいのだが。

相手がイマジンとなると、時空管理局のあらゆる部隊では太刀打ちできないだろう。

(青い狩人頼みになるよのね……)

ミッドチルダでイマジンが出現する場合、今でこそチームデンライナーだが以前は神出鬼没の『青い狩人』が主に戦っていた。

だが立場的に管理局の敵、味方の分別となるとどちらにでも取れるところが悩みどころだ。

「私もいるですよ~」

華麗に宙を舞ってリインもフォワード陣の前に現れる。

「リイン曹長まで……」

エリオもとても『いつもの任務』とは思えなくなっていた。

六課はどうなるのだろうと不安も芽生え始めていた。

「部隊はグリフィス君がしっかり指揮を執って、ザフィーラが留守を守ってくれるから心配はいらんよ」

はやてが安心させる。

「詳細不明とはいえ、相手がロストロギアだし主力メンバーは全員出動って事で」

なのはが補足する。

「あとは行先もちょっとね……」

「「「「?」」」」

フェイトの言葉に含みがあるのを四人は逃さなかった。

「行先、どこなんですか?」

代表してティアナがはやてに訊ねる。

「第97管理外世界。惑星名称は地球。その星の小さな島国の小さな街……名前は」

 

 

日本 海鳴市!!

 

 

はやてが最後まで答える前に頭上から拡声器交じりの声が横槍を入れてきた。

「もう!いくら嬉しいからって最後まで言わせてくださいよぉ!!」

はやては妨害をしたモノに向かって睨みの眼差しを向けながら、両腕を挙げて抗議する。

彼女の台詞を妨害した者達が搭乗している物がこちらに向かってきた。

空中に線路を敷設・撤去を繰り返しながら移動している。

遠目からでは何回か見たことがあっても、間近で見るのは数えきれるくらいしかない。

時間を股に掛けるタイムマシンでありながらも、そこいらの戦闘兵器よりも遥かに優れている特殊車両。

デンライナー、ゼロライナーがヘリポートに停車した。

デンライナーのドアが開く。

「みんな、乗って。今から行くよ」

良太郎がヘリポートにいる全員に促した。

 

 

この場にいる全員がまだ知らない。

自分達が向かう世界に未知なる敵と戦う事になる事を。

 

 

ヘリポートにいる全員を乗せたデンライナーとゼロライナーは線路を敷設・撤去を繰り返しながら空の一部が

歪んで生じている『時の空間』へと通じる穴へと向かっていった。

 

 

 

 




次回予告

シャマル 「仮面ライダー電王LYRICAL StS!!」

   侑斗がこれから会いに行く人物の名を聞き、声を上げるヴィータ。
 
   はやてとすずかが作ったある記録を見て驚愕を隠せない、なのは達。

   海鳴でもすでに事件が起きていた。



第二十六話 「機動六課 海鳴へ②~懐かしの地へ~」
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