仮面ライダー電王LYRICAL StrikerS Vol.1 Spring Party   作:(MINA)

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リアルで忙しくて(仕事、プラモ、ゲーム、読書、ため込んだTV番組の視聴)

更新を超おろそかにしたみなひろです。




第五話 「電王と魔導師 三度」

ハイウェイ跡地で魔導師ランク試験のゴール地点では一人の小柄な局員がモニターを開いていた。

「見た事がない仮面ライダーですぅ!!」

リィンは小さい全身をあたふたさせながら、自身が展開したモニターに映っているイマジンと対峙している戦士を見ていた。

(リィン。今映ってるのが仮面ライダー電王やで)

念話の回線を開いたのは、八神はやてだ。

その口調は母親が子供に何かを教えるように優しい。

「フェイトさんの初恋の人なんですね!」

(そうやで。あ、フェイトちゃんもこの念話聞いてるみたいやから顔赤くなってるわ)

はやては楽しそうに自分の隣でころころと表情を変えているフェイト・T・ハラオウンを実況していた。

(もう!はやてもリィンも今はそんなこと言ってる場合じゃないよ!)

フェイトが二人に、注意をした。

(まぁまぁ)

「まぁまぁです!フェイトさん」

(うううううう~)

はやてとリィンがフェイトを宥めるが、それは決して効果的とはいえなかった。

(不思議ですぅ。イマジンがいるのにこんなに落ち着いていられるなんて、コレがはやてちゃん達がよく言っていた『別世界の仮面ライダー』なんですね!)

イマジンがいるのに、こんなにも能天気な会話ができる事にリィンは妙に納得していた。

 

 

「「………」」

スバル・ナカジマとティアナ・ランスターは今、目の前で起こっている出来事に目を疑った。

自分達を助けてくれた青年がバリアジャケットとは違う何かを『着用』もしくは全く別の何かに『変身』したのだ。

「『青い狩人』じゃないわね。青くないし」

「うん。でも魔導師や騎士でもないよね。てことは……」

二人はある結論に到達して、同時に口を開く。

 

「「仮面ライダー!!」」

 

『P・T事件』、『闇の書事件』の真相を知らない者は『仮面ライダー』が関わっている事は噂話程度でしか知られていない。

噂話であるため、半信半疑になるのも無理はないことだった。

この二人も半信半疑でしかなかった。

目の前でグースイマジンと戦っている戦士を見るまでは。

二人の前ではライナー電王がデンカメンソードでグースイマジンの剣戟を受け止めていた。

弾いてから、反撃に移る。

「イマジンと対等に戦ってるなんて……」

「デタラメすぎるわよ……」

ただただ二人は今目の前で起こっている出来事を焼き付けるしかなかった。

 

デンカメンソードと銃剣がぶつかって火花が飛び散る。

鍔迫り合い状態だが、押しているのはライナー電王だ。

一歩一歩ゆっくりとだが、進んでいる。

「ぐっ!な、何て力だっ!?」

グースイマジンは二振りの銃剣で防ぐだけで精一杯で、ズルズルと後方へと下がっていく。

ライナー電王の左手はデンカメンソードのデルタレバーを握って引っ張る。

『ウラロッド』

ガシャンとターンテーブルが回転する。

デンカメンソードを引っ込めて、左足を軸にして腰に捻りを加えて右上段回し蹴りをグースイマジンのこめかみに狙いをつけて放つ。

速くそして重い一撃を。

「ぶっ!!」

グースイマジンは踏ん張ることもできずに、左へと飛ばされる。

『うん、悪くない蹴りだね。パワー、速度、タイミングどれをとってもいいと思うよ』

ウラタロスの声(以後:ウラボイス)で先程の蹴りを称賛していた。

「ありがとう。ウラタロス」

ライナー電王は褒められた事に素直に喜ぶ。

「ぐっ!やってくれるなぁ!!」

二振りの銃剣を上段に構えて同時に振り下ろす。

(来る!)

デルタレバーを引っ張る。

『キンアックス』

ガシャンとターンテーブルが回転し、ライナー電王は直立になる。

振り下ろされた銃剣のうち一振りはデンカメンソードで弾き飛ばして、もう一振りは左手で受け止めていた。

ギギギと銃剣がきしむ音が響く。

「ぬうううううう!!」

ライナー電王の銃剣を握る力が強くなる。

「離せ!離せ!!」

ドスっと弾き飛ばされた銃剣はグースイマジンの後方に突き刺さった。

ミシミシミシと握られている銃剣に亀裂が走る。

「あああああああ!!」

左手を完全に握ると同時に、銃剣が砕けて先端が地面に突き刺さった。

グースイマジンは残っている銃剣の位置を確認すると、握っている銃剣を手放して後方へと素早く下がって突き刺さっているもう一振りを引き抜く。

グリップを一度握ってから、クルリと順手から逆手へと持ち替える。

グリップの下部分が銃口になっており、強く握る事でフリーエネルギーの弾丸が発射される。

(間に合わない!なら!)

左腕を前に出して、弾丸を防ぐ。

「ぐっ!」

バコォンと爆発音が鳴り、爆煙が立つ。

「やったか?」

グースイマジンは倒れてほしいと思ったが、爆煙が晴れるとそこには左腕で防御したライナー電王が立っていた。

「おのれぇ!仮面ライダー電王!!」

デンカメンソードのデルタレバーのグリップを引く。

『リュウガン』

堂々とした立ち振る舞いから、軽快な足取りに切り替わる。

デンカメンソードの刃をグースイマジンに突きつける。

先端から紫色のフリーエネルギーが収束されて、弾丸として発射される。

ドォンドォンドォンと三発ほど弾丸が飛ぶ。

「ぶっべっぼっ!」

三発とも直撃して、仰向けになって倒れていった。

 

「す、凄い……。イマジンを追い詰めてる……」

「………」

間近で観戦しているスバルとティアナはただただ呆然と一人と一体の戦闘を目にそして記憶に焼き付けていた。

魔導師や騎士では戦う事は出来ても『追い詰める』ことや『倒す』ことは至難の技だ。

それをあの戦士はたった一人でやってのけた。

自分達にとってイマジンは最早、『天災』のようなものだからだ。

『天災』を前に敗北する事は決して恥じる事ではない。

今まではそのように思っていた。

それは決して変わることはないと思っていた。

だがそれが変わろうとしていた。

異世界からやってきた戦士---仮面ライダーに。

「コレって勝てるんだよね?」

「黙ってて。今は瞬きするのも惜しいから」

「う、うん」

スバルはティアナ同様にイマジンが倒されるという歴史的瞬間を焼き付ける事に専念した。

 

『モモソード』

デルタレバーを引っ張ってデンカメンソードのターンテーブルが回転する。

『へっ!止めと行こうぜ!良太郎!』

「わかった!」

デルタレバーを押し込んで『モモソード』と電信音が発して、デンカメンソード先端からフリーエネルギーで構築された黄金の線路---オーラレールが出現する。

ライナー電王は助走をしてから飛び乗る。

オーラレールの上を滑るようにして進み始める。

デンカメンソードを右中段に構え、後はグースイマジンに向かっていくのみ。

「ぐぐぐ……!!」

起き上がるグースイマジンだが、自分に次の一手がないとわかると後退を試みる。

 

「電車斬りぃぃぃぃぃ!!」

 

グースイマジンとの距離がほぼゼロになると、デンカメンソードを横一線に振るう。

ライナー電王が走り抜けて停止し、デンカメンソードを軽く振る。

「うおわおおおおおおおお!!」

グースイマジンの腹部に横一文字に切り傷が刻まれ、基点となって膨大なフリーエネルギーが注ぎ込まれていき、爆発した。

ライナー電王が振り向くとグースイマジンの姿はなく、爆煙がもくもくとたっているだけだった。

デンオウベルトを外すと、野上良太郎へと戻る。

デンカメンソードも光り輝き、モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスに分離した。

良太郎は歩み寄ってスバルとティアナの前に立って、二人と同じ目線になるようにしゃがむ。

「さっきの続きだけどいい?」

「は、はい」

「な、何でしょうか?」

先程とは違い、二人とも恐縮していた。

(さっきの戦いを見てたら無理もないか……)

二人をリラックスさせるためにも仕切り直しをすることにした。

「自己紹介がまだだったね。僕は野上良太郎」

「ティアナ・ランスターです」

「ス、スバル・ナカジマですっ!」

ティアナが冷静さを取り戻しつつあるのに対して、スバルは緊張しているままだった。

「単刀直入に聞くよ。フェイト・T・ハラオウンって名前に憶えはないかな?」

二人は顔を見合わせるだけだ。

「なら高町なのは、八神はやてって名前は知らない?」

「失礼ですけど、その……貴方はその方々とどういった関係で?」

良太郎の質問にティアナは無礼を承知で訊ね返す。

「友達。もしくは仲間、かな」

良太郎は嘘は言っていないと思っている。

「あー!ヘリとゼロライナーがこっちにくるよー」

リュウタロスは頭上を見上げながら指差していた。

「ホンマやな」

キンタロスも腕を組んで見上げる。

「ボクちゃんがヘリの人と上手くやってくれたのかもしれないね」

ウラタロスは冷静に判断する。

「ま、上出来じゃねーか」

モモタロスは首を鳴らしていた。

 

「リィン!」

白色が目立つバリアジャケットを纏った高町なのはが、青空から地上に着陸した。

「なのはさん!イマジンが……イマジンが……その……」

「落ち着いてリィン。倒された、って言いたいんだね」

「は、はいです!仮面ライダーが倒しちゃったんですよ!」

こんな間近で戦闘を見た事がないリィンが興奮するのも無理はないと、なのはは思う。

「あの人達なら当然、だよ」

なのはにしてみれば電王がイマジンを倒す事なんて当たり前のことのように捉えている。

十年前にもそのような光景を見ているのだから。

「受験生二人が怪我してるかもしれないから行くよ。リィン」

「はいです!そろそろ、はやてちゃん達も到着するはずです!」

「はやてちゃんが?となるとフェイトちゃんは良太郎さんと会えたのかな……」

「感動の再会ですぅ!」

三度目の出会いを『再会』と呼んでいいのかわからないが、なのははリィンに指摘をしなかった。

 

ゼロライナー一号車であるドリルでは、桜井侑斗とデネブがヘリコプターの搭乗者達と通信をして、ひとしきりのことを伝え終えて通信を切った。

「今の声ってもしかして八神?」

「だろうな」

デネブが訊ねてきたので侑斗は即答した。

「元気でよかった」

デネブがうんうんと首を縦に振って喜んでいた。

「ああ」

侑斗も笑みを浮かべていた。

父親のような世代間を越えた友人の笑みともとれた。

 

なのはとリィンが現場に到着すると、フェイトとはやてが乗っているヘリコプターの隣にはゼロライナーが並列していた。

「わわっ!?イ、イマジンがいっぱいいるですぅ!!」

モモタロス達を知らないリィンはなのはの後ろに隠れた。

「あのイマジンさん達は味方だよ」

なのはは安心させるように短く告げる。

「あれ?あのお姉ちゃん。僕達を見てるよ?」

「美人だねぇ。でも誰かに似てるような気がするんだけど……」

リュウタロスとウラタロスがこちらの視線に気付いたのか、顔を向けてきた。

「カメの字の記憶が曖昧なんやから俺等が知ってるわけないやろ……」

キンタロスが腕を組んで首を傾げる。

「カメ。頭振ってやるから頑張って思い出せ。クマ、小僧。手ぇ貸せ」

「おっしゃ!」

「はーい!」

「そんな事したら僕の頭、センパイになっちゃうじゃない!!」

モモタロスの提案にノリノリのキンタロスとリュウタロスに対して、ウラタロスは狼狽する。

(変わらないなぁ)

そんな四体のコント的会話を見ながら、なのはは十年前に会った時と全く変わってない事を内心嬉しかった。

自分にとってはユーノ・スクライアとは違う意味での『師』だからだ。

「モモタロスさん、ウラタロスさん、キンタロスさん、リュウタ君。お久しぶりです!」

なのはは笑顔で四体の前で挨拶してから軽く会釈した。

「「「「久しぶり?」」」」

四体がこちらを見たまま、今行っている事(ウラタロスの頭を振る)を中断する。

 

「なのはです。高町なのはです!」

 

なのはが告げると四体が一瞬だが完全に停止した。

 

ええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

 

この声には良太郎とイマジン四体は目の前の女性と自分達が知っているなのはとのギャップに。

リィン、スバル、ティアナは、なのはが良太郎とイマジン四体が顔見知りであった事に。

「なのはちゃんがお姉ちゃんになってる!?」

「頭の尻尾が一本になってるぜ!?」

リュウタロスとモモタロスは現在のなのはの見た目を大声で言う。

「たまげたなぁ」

「うーん。ユーノも随分と釣り甲斐のある魚に出会えたもんだねぇ」

キンタロスとウラタロスは各々の感想を述べる。

「にゃははははは」

なのはは久しぶりに聞く四体のコメントを聞きながら笑ってしまう。

イマジン四体に軽く会釈してからスバルとティアナに歩み寄る。

「二人ともお疲れ様。試験が滅茶苦茶になっちゃってごめんね」

なのははイマジンの乱入を許してしまった事は自身の監督不行き届きであると見ており、受験生二人に謝罪する。

「ランスター二等陸士」

「は、はい」

「ケガを治療するからブーツ脱いで」

「治療ならわたしがやるですぅ」

なのははティアナの治療に取り掛かろうとするが、リィンが買って出た。

「あ、やっぱり小さい」

リィンを見たティアナの呟きをなのはは耳に入ってしまい、笑いをこらえるのに必死だった。

「なのは……さん」

「ん?」

スバルの呟きをなのはは聞き逃さなかった。

「高町教導官二等空尉!」

ガチガチにスバルは固まっていた。

なのはは笑みを浮かべて歩み寄る。

「なのはさん、でいいよ。みんなそう呼んでるから。四年ぶりかなぁ」

なのはの言葉に、スバルが震えていた。

 

「背伸びたね。スバル」

 

スバルの双眸の涙腺が緩み始める。

「また会えて嬉しいよ」

なのはは左手をスバルの頭にポンと手を置く。

「ううっ……ぐすっ……」

スバルは嗚咽を漏らし始めた。

 

ヘリコプターの車輪が陸地にボムッと触れた。

ドアが開いて、フェイトとはやてが降りる。

「さ、フェイトちゃん」

はやてに促されるようにして、フェイトは一歩一歩歩き出す。

涙は既に拭き終え、この日に備えて何千回とイメージトレーニングをした事を思い出す。

今の自分を見てもらう為に。

もうみっともない姿をさらしてオロオロしていた頃と違う。

逢いたかった青年の背中が大きくなっていく。

距離が近くなっている事だ。

徐々に、徐々に。

青年---良太郎がこちらを向き、目と目が合った。

「良太郎……」

良太郎の顔を見て、名を呼ぶのは十年ぶりだ。

それだけで心臓の音が高鳴る。

 

『良太郎。好きだよ。大好き!』

 

十年前に告げた告白が甦ってくる。

(ど、どうしよう。今までのイメージトレーニングが無駄になりそうだよ~)

心臓の鼓動が激しくなっているのがハッキリとわかる。

周りには自分の親友がいる。

信頼できる別世界の仲間達もいる。

でも今は、今だけはこの者達は自分の味方にはなってくれない。

「久しぶり、だね。良太郎」

フェイトが切り出した。

「もしかして……フェイトちゃん?」

良太郎は確認するようにおそるおそる訊ねてきたので、首を縦に振って回答する。

 

ええええええぇぇぇぇぇ!!

 

イマジン四体は、なのはの時と同じ様に驚きの声を上げた。

「え?なに?どうしたの?」

急に驚かれたので、フェイトは眼を大きく開いてしまう。

「驚くのも無理ないよ。十年で人ってこんなに変わるんだなって思ってね」

良太郎がイマジン四体が驚いた理由を教えてくれた。

「私、変わった?」

良太郎は人差し指で頬を掻いていた。

 

良太郎は人差し指で頬を掻きながら、フェイトを見る。

幼かった頃の『儚さ』のようなものはなく、それが『強さ』に変わっているようにも思えた。

(プレシアさん。貴女が全てを懸けて守ったフェイトちゃんは幸せを手に入れてますよ)

届くとは思えないが、デッドライナーでアリシア・テスタロッサと暮らしているプレシア・テスタロッサにそのように告げた。

同時に『決意』も改めて固まってくる。

フェイトにプレシアの事を告げる事を。

たとえそれでフェイトに軽蔑される事になろうとも、だ。

「あの……良太郎?」

黙りこくっているフェイトは沈黙に耐えられないのか、不安げな表情を向けてきた。

「フェイトちゃん」

「なに?」

良太郎は右手をフェイトの頭に置いてから優しく撫で始める。

 

「大きく……、そして立派になったね」

 

良太郎は万感の思いで短く告げた。

 

「!!」

その一言にフェイトは胸を貫かれるような感覚に襲われた。

双眸から散々流したと思われる涙がまた溢れ始める。

「うっ……」

全身が震える。

「ううっ……」

嗚咽が漏れ始める。

ヨロヨロと自然に良太郎に歩み寄ってゼロ距離になると、こてんと額を良太郎の右肩に置いてから両手で彼の服を掴む。

 

「良太郎ぉぉぉ!!うわああああああん!!」

 

我慢も限界を超え、フェイトは人目を気にすることなく大声で泣いた。

良太郎の手のぬくもりに背中に伝わってきた。

 

戸惑いながらも泣いているフェイトを安心させるための優しい抱擁だった。




次回予告

リュウタロス 「仮面ライダー電王LYRICAL StS!」

    無事にかつての仲間達と合流したデンライナー、ゼロライナー。

    スバルとティアナの合否の結果が明らかになる。

    はやては勧誘し、良太郎達は申し出を受ける。

    仮面ライダーと機動六課が『サイキョウニシテサイアクナルモノ』に挑む。

    第六話 「機動六課 前編」
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