仮面ライダー電王LYRICAL StrikerS Vol.1 Spring Party 作:(MINA)
スバル・ナカジマとティアナ・ランスターのドツキ漫才的やり取りを見ている者達がいた。
高町なのは、八神はやて、桜井侑斗、デネブである。
「あの二人は確定か?八神」
「まず間違いあらへんね」
侑斗の問いに、はやては満足げな笑みを浮かべる。
「なのはちゃん、嬉しそうやね?」
なのはが喜色の表情を浮かべているのは、誰から見ても明らかなものだった。
「二人とも育てがいがありそうだし、時間かけてゆっくり教えられるしね」
腕を組んで戦技教導官としての眼差しを向けて告げた。
「それは確実や」
はやても笑みを浮かべて返す。
「八神、高町」
デネブはいつの間にか取り出したデネブキャンディーをなのはとはやてに渡した。
デネブの素早い行動に、二人は掌に乗っているデネブキャンディーを見る。
「デネブからの餞別だ。受け取ってやってくれ」
侑斗はそう言いながら、デネブキャンディーを口の中に放り込んだ。
二人も侑斗に倣って、デネブキャンディーを口の中に放り込んだ。
「この味や~♪十年経ってもデネブちゃんのこの味は出せへんねんなぁ~」
はやては至福の表情を浮かべている。
「桜井さん。このキャンディーって本当にデネブさんが作ってるんですよね?」
なのはがカラコロと鳴らして舐めながらも、侑斗に確認する。
「疑いたくなる気持ちはわかるが、間違いなくデネブが作っているぞ」
「凄いですよねぇ」
「あのごつい手でどうして作れるのか俺も疑問に思うよ」
「あ!」
侑斗とデネブ談義をしていたなのははある事を思い出して、はやてを見る。
「新規のフォワード候補はあと二人だっけ?そっちは?」
「二人とも別世界(この場合はミッドチルダとは違う次元世界のこと)。今シグナムが迎えに行ってるよ」
スバルとティアナ以外にも『フォワード』というポジションに組み入れる人員は二人予定している。
「なのは、はやて、桜井さん、デネブ。お待たせ」
フェイト・T・ハラオウンを始めとする野上良太郎にイマジン四体、コハナ、そしてフェイトの肩に乗っているリィンがやって来た。
イマジン四体は何故か沈んでいた。
「お待たせですぅ」
リィンは、はやて側へと浮遊しながら移動する。
「あのフェイトちゃん。モモタロスさん達どうしたの?」
「ええとね。私達が住んでる場所を話したら、その……この通りになっちゃって……」
フェイトは苦笑いを浮かべている。
良太郎も似たような表情を浮かべており、コハナはやれやれと呆れていた。
「こいつ等ね、なのはちゃんの家で厄介になる気マンマンだったのよ」
「私の家、ですか?」
「正確には今、なのはちゃんが住んでる所じゃなくて『海鳴』のだけどね」
良太郎が詳細を告げると、なのはは「ああ、なるほど」と納得した。
「プリンが食えねぇ……」
「桃子さん。美由希さん……」
「サッカーができない……」
モモタロス、ウラタロス、リュウタロスの落胆ぶりは見ていて痛々しいものだった。
キンタロスも落胆はしているが、三体ほどではなかった。
「すまんなぁ。なのは」
キンタロスが、なのはに謝罪する。
「何か三人を見てると、一人暮らしを始めた事に罪悪感が……」
なのはとて自身のやりたい事を叶える為に、ミッドチルダへと移住したのだ。
そのことに後悔はないが、こうしてかつて世話になった者達の望みを容赦なく断ってしまったと知ると罪悪感が湧いて来るものだ。
「気にしたら負けよ。こいつ等の術中に取り込まれるわよ」
コハナは、なのはにイマジン達が作り出す領域に取り込まれないように注意する。
「確かにこいつらの言うとおりだな。俺達毎度毎度だが根無し草だからな」
侑斗も自分達の住居先には常に頭を抱えていた。
彼は以前は八神家で厄介になっていたが、今回もそういうわけにはいかないと予想する。
「侑斗さんとデネブちゃんなら、私の家で何とかなるけど野上さん達までは正直難しいで。野上さん達が来るってわかってれば寮での準備もできたんやけどなぁ」
はやては自身の見通しの甘さを呪うが、その場にいる誰もが責めはしなかった。
誰も予想できる事ではないからだ。
「八神さん。僕達の部屋ってどのくらいでできるの?」
「着替えて寝るだけやったら、遅くても明日の正午までにはできますけど」
「それでお願いするよ」
「わかりました。そない言うておきます」
良太郎が部屋の設備が完了する時間を訊ねると、はやてが最速の時間を告げてくれた。
「なぁ良太郎」
今まで凹んでいたモモタロスが顔を上げる。
「どうしたの?モモタロス」
「侑斗とおデブはオカン(はやて)のところだけどよ。俺達今日はどうなるんだよ?まさか野宿かぁ!?」
「ええっ!?無理だって!」
「修行の一環やと思えば何とでもなるかもしれへんけどなぁ」
「いやだいやだ!野宿なんていやだぁぁぁ!!」
それに連なるようにして、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスも野宿で一泊過ごす事には断固拒絶していた。
別世界での暮らしが本世界より快適だったという証明である。
駄々をこねる四体にコハナは指をバキボキと鳴らしていた。
鉄拳制裁の準備運動である。
「よくてデンライナーの中で、最悪の場合は野宿だね」
良太郎とて寝袋で寝たいとは思わないが、年頃の女の子の部屋に堂々と入り込んで一泊を過ごせるほど豪胆ではない。
「なぁオカン。俺達が明日から生活できる場所ってどこにあるんだよ?」
モモタロスが、はやてに明日から自分達が生活できる場所を訊ねる。
「ちょいと待って。モモタロスさん」
「何だよ?オカン」
「確認しますけど、その『オカン』って私の事やないでしょうね?」
はやてはそうであってほしくないと思いながらも、モモタロスを見る。
「オメェ、赤チビ(ヴィータ)やそこの銀バエ(リィン)の親みてぇなもんだろ?だったらオカンじゃねぇーかよ」
おおおおおお!!
モモタロスがはやてを『オカン』呼ばわりする理由が判明すると納得する声がでていた。
「ムキー!!」
妙な奇声が響き、同時にモモタロスの眉間に何かが直撃した。
「あでっ!何しやがる!?この銀バエ!!」
モモタロスは眉間を押さえながら、自分に蹴りを入れたリィンを摘み上げてから睨む。
「リィンは今まで『妖精さん』とか『ちっちゃいカワイイ何か』とか言われたですけど、よ、よりによって『ハエ』はなかったです!!」
リィンは両肩を上下に揺らして、「ふーふー」と息を乱しながら抗議する。
「センパイ。女の子なんだから『ハエ』はないんじゃない?」
「せめて『蛾《が》』の方がよかったんとちゃうか?」
「『妖精さん』でいいんじゃなーい?」
ウラタロスがダメ出しをして、キンタロスが別の虫に例えればいいのでは言い、リュウタロスはリィン自身が告げていた『妖精さん』で憶えようとしていた。
誰一人としてリィンの本名を訊ねなかったりする。
「リィンは……、わたしはリィンフォースⅡです!だからハエでも蛾でもないです!!」
摘み上げられている状態から解放されたリィンは堂々と胸を張って自己紹介をした。
「あーわーったよ。銀バ、じゃなかった銀チビ」
訂正したが、『銀バエ』から『銀チビ』になっただけであまり変化はなかった。
無視から人間に進化したと考えればまだマシだが。
「銀チビじゃないです!リィンです!!」
リィンとイマジン達のやり取りを見ている者達はというと。
必死で笑いをこらえていた。
イマジンの世界観に引き込まれたら最後、中々出られない事を知っているからだ。
結局、デンライナー一同は翌日から使用できる寮の前でテントを張って野宿という事になった。
なお、夕飯はバーベキューの予定だったりする。
なのはとフェイトの二人は駐車場に足を運んでいた。
「まさか私達まで参加する流れになるなんてね……」
デンライナー一同と別れたなのはは自身の今夜の予定が流れ的に決まった事に苦笑するしかなかった。
「ハナの言うとおり、流されたら抜けられなくなるね」
フェイトも笑みを浮かべて答えた。
「ま、久しぶりに賑やかな夕飯が食べれるのは嬉しいけどね」
なのはも笑みを浮かべて言う。
二人は黒色がメインカラーとなっている自動車で足を止める。
外見は外国車だが、内部構造は日本車となっていた。
前に立つと、フェイトはキーで操作をするとロックを解除する。
フェイトは運転席に、なのはは助手席に乗り込む。
ドアをバタンと閉じると、フェイトはアクセルを踏んで車を発進させた。
「でもフェイトちゃんはよかったの?」
「え、何が?」
ステアリングを握りながら、前を見たままフェイトはなのはに訊ね返す。
「だって十年ぶりに良太郎さんと会えたんだしその……、積もる話もあったんじゃ……」
十年間待ち続けた末にやっと会えたのに二人は随分と素っ気無いから、なのはは心配をしていた。
「うーん、何て言ったらいいのかなぁ。会うまでは色々と話したい事とか聞きたい事もあったんだけど、しばらくはいてくれるみたいだから追々聞こうと思ってるしね」
「ふーん。そうなんだぁ」
フェイトの言い分に、なのはは異議を唱えるつもりはなかった。
そもそも、今のなのはではこの手の分野に関しては説得力のある発言は出来ないに等しい。
「それに良太郎を紹介したい子達もいるしね」
フェイトはそう言いながら助手席側にモニターを展開させて、なのはに紹介する。
十歳前後の少年と少女だった。
「それってもしかしなくてもフォワード候補のこの子達?」
「うん。紹介するのは問題ないんだけど、今後に関してはちょっと心配なんだけどね」
「でも能力的には問題なさそうだし」
「能力とかで心配してるわけじゃないんだけどね」
フェイトは一瞬だが、真面目な表情になっていた。
付き合いの長いなのはでも見た事のないものだった。
子供を心配する『親』の表情をしていたのだから。
「私の隊だし、一緒なら少しは安心かなとは思ってるんだけどね」
フェイトのアクセルを踏み込む足の力が強くなった。
自動車が速度を増して、目的地へと向かっていった。
*
ミッドチルダの空港ではエリオ・モンディアルが腕時計を見ながら周囲を見回していた。
(まだかな……)
待ち人は予定時間が差し迫っているの来る気配がない。
正直、こうなると自分が時間を間違っているのではないかと疑ってしまう。
エスカレーターから、桃色の長髪をポニーテールにした女性---シグナムが上って来た。
「お疲れ様です!私服で失礼します。エリオ・モンディアル三等陸士です」
エリオはシグナムに敬礼した。
その口調はとてもその年齢相応の子供のものではなかった。
シグナムは一瞬面食らったが、すぐに平静に表情を戻す。
「ああ。遅れてすまない。遺失物管理部機動六課シグナム二等空尉だ。長旅ご苦労だったな」
近辺を見ながら、フェイトに聞かされていた人数より一人足りない事に気付く。
「もう一人は?」
「はい。まだ来てないみたいで……」
敬礼の姿勢を崩さないまま、エリオは表情を暗くしていく。
「あの地方から出てくるとの事で、迷ってるのかもしれません。捜しにいってもよろしいでしょうか?」
「頼んでいいか?」
エリオの申し出をシグナムは笑みを浮かべて任せることにした。
「ルシエさん。ルシエさーん!管理局機動六課の新隊員のルシエさーん!」
エリオは叫びながら、広大な空港内を同僚となる人物を捜す。
といっても移動しながら顔のわからない人間を叫びながら捜すというのは『人捜し』としては決して賢明とはいえない。
『考える』より先に『動く』が優先されたエリオは『受付に行ってアナウンスで呼び出し』という考えは持っていなかった。
「いらっしゃいませんかー!」
エリオはひたすら声を上げて、捜すが何の反応もない。
そのまま駆けて捜しまわる事を続行する。
親子連れやカップル等いろんな人が行き来しているが、それでもエリオは目当ての人物を見つけることが出来ない。
(もしかして誘拐!?)
管理局員といっても、私服姿で街を歩いていれば民間人と何ら変わりがないのでそのような考えを持っても不思議ではない。
(でも管理局員がそんな簡単に誘拐されるだろうか……)
自身の考えは相手に対してあまりに失礼なのではないかとエリオは考えてしまう。
「ルシエさーん!!」
下りのエスカレーター前で呼んでみる。
「はーいぃ!わたしでーす!」
声のする方向に、身体を向けてみるとフードを深く被って両腕で持つのがやっとの鞄を持って危ない足取りでエスカレーターに下っている一人の少女がいた。
「遅くなりましたぁー」
少女は謝罪しながらも、下りのエスカレーターなのに駆け下りてくる。
「ルシエさんですね。よかった」
エリオは目当ての人物を見つけることが出来て、安堵の息を漏らす。
「あ!」
少女が足を踏み外した。
「!!」
『ソニックムーブ』
エリオが少女を助けなければならないと判断した瞬間に、腕時計に時刻ではなく『Sonic Move』と表示されていた。
その直後に、エリオの全身は稲妻の如く駆け始めた。
その場にいる人間にはまさに『目にも留まらぬ速さ』というものだった。
進行方向は一直線ではなく、左右の壁に弾かれるようにしてジグザグとしたものだった。
少女のいる場所へと金色の光は向かっていく。
がしっとエリオは少女を掴んだ感触があった。
だが……。
「「あ!」」
勢いが余ってしまい、そのまま踊るようにして回るが足がもつれてよろけてしまう。
(このままじゃルシエさんが!)
エリオは咄嗟に自分が仰向けに倒れる姿勢を作ろうとする。
それは少女を自身で守る現段階の最良の手段と判断したからだ。
やがて、エリオと少女は倒れてしまった。
ガタンと少女の持っていた鞄が地に伏した。
「あ、ててて。すみません。失敗しました……」
側から見れば少女を助けているのだから充分に成功しているのだがエリオにしてみれば失敗だ。
「い、いえ。ありがとうございます。助かりました」
少女は感謝の言葉をエリオに告げる。
(よかった)
「ん?」
少女はエリオに掴まれている部分を見る。
胸だった。
エリオは『助ける』という目的とはいえ、女性の胸を掴んでいると今になって自覚した。
(わああああああああ!!本当に失敗だあああああ!!)
エリオの表情から血の気が失せ始めていた。
(たしか女性の胸を無断で掴んだ男はビンタ等の暴行なら寛大な方だって……)
自身にどのような仕置きが来るかはわからないが、エリオは覚悟する事にした。
「あ、すみません。今どきます」
少女は特に羞恥心をあらわにすることなく、エリオから退いた。
「い、いいいいえ!こちらこそすみません!覚悟は出来ています!」
「?」
少女はエリオが何を言っているのか理解できなかった。
少女の鞄からモゴモゴと動き出して、それは正体を現した。
「キュー」
白い小型の翼の生えた生き物だった。
(コレって竜?)
エリオにしても確信がないので、下手な事は口に出さない。
「あ、フリードもゴメンね。大丈夫だった?」
「キュクー」
フリードと呼ばれた生物は翼をパタパタと羽ばたかせて宙に浮く。
「竜の子供、ですか?」
エリオが耐え切れなくなったのか、気になっていたことを口に出してしまった。
「あの、すみませんでした。エリオ・モンディアル三等陸士ですよね?」
「あ、はい」
エリオは即座に返事する。
少女は被っていたフードを脱ぐ。
「はじめまして。キャロ・ル・ルシエ三等陸士であります」
少女---キャロは自己紹介しながら敬礼した。
「それからこの子はフリードリヒ。わたしの竜です」
キャロの元に先程の生物がパタパタと舞い降りた。
「キュクー」
フリードリヒはぺこりと頭を下げた。
「行きましょう。ルシエ三等陸士。シグナム二等空尉が待っています」
「はい」
エリオはキャロとフリードリヒを連れてシグナムが待機している場所まで向かった。
シグナムのいる場所までキャロとフリードリヒを連れてきたエリオは無事に自身に課せられた任務を完了したとホッとした。
「キャロ・ル・ルシエ三等陸士であります。私服で失礼します!こちらはフリードリヒです」
「キュクー」
キャロとフリードリヒはシグナムに敬礼する。
「ああ。遺失物管理部機動六課シグナム二等空尉だ」
シグナムもキャロとフリードリヒに自己を紹介する。
「テスタロッサが予約しているホテルがある。今日はそこで休むといい」
「「はい!」」
子供二人が元気よく返事を返す。
「ん?もしもし」
着メロが鳴ったので、シグナムは携帯電話を取り出す。
「もしもし、主はやてですか。え、はい。本当ですか!?……失礼しました。はい。わかりました」
シグナムが何を聞いて突然大声を上げたのかはわからないが、聞き終えると携帯電話を切った。
「シグナム二等空尉?」
「すまないな。古い知人が急にやってきたものでな」
エリオの問いに、シグナムは今までにないくらいの笑みを浮かべて返す。
「「………」」
その笑みを二人は見た事があった。
自分達の保護者であるフェイトがある決まった話をする時に、時折見せる笑みだ。
((たしか……))
エリオとキャロは特に打ち合わせなどをしたわけでもないのに、同じ答えに行き着いた。
野上良太郎。
と。
*
機動六課の寮前ではもくもくと煙が上がっていた。
良太郎、イマジン四体、コハナ、なのは、フェイトがバーベキューをしていた。
一泊過ごすように、テントも張っていた。
「みなさん。できましたよー」
「たくさん焼いておいたからねー」
テントを張り終えて恒例ともいえるババ抜きをしていた二人と四体に、なのはとフェイトが呼びかけた。
ここにいる連中は全員健啖家といってもいいくらいなので、本当に何でも食べる。
その食べっぷりは作った側にしてみても、『作ってよかった』と思わせるには充分なものだった。
モモタロスが牛肉を食べる。
ウラタロスがとうもろこしを食べる。
キンタロスがイカを食べる。
リュウタロスが鶏肉を食べる。
コハナはピーマンやタマネギを食べる。
良太郎は『戦ったからたくさん食べろ』という事で皿には肉も野菜もたくさん乗せられていた。
焼き係になっていたなのはやフェイトも皿を手にして自分の分をキープしていく。
もきゅもきゅと皆頬張っていきながら、今度は各々が好き勝手に好みの食材を焼き始めた。
「この食材。どこから買ってきたの?」
フェイトはトングを持って、鶏肉と牛肉をひっくり返しながら同じく現在は焼き係になっている良太郎に訊ねる。
「……デンライナーの食料保管庫から少々」
良太郎の代わりにウラタロスがボソリと呟いた。
今頃ナオミが保管庫の中身の少なさに驚きの声を上げているかもしれない。
「ん?」
モモタロスが空を仰ぐようにして鼻をクンクンさせる。
「モモタロス?」
良太郎は箸を止めて、臭いをかいでいる仕種をするモモタロスを見る。
「イマジンの臭いがしやがるぜ」
モモタロスの短い一言にチームデンライナーを始めとする雰囲気はがらりと変わった。
夜はまだ始まったばかり。
次回予告
第八話 「初日の夜」